Interview
導入事例インタビュー:株式会社マイナビ
株式会社マイナビ
新規事業のシステム開発を託せる柔軟性とスピード感のある会社とは
アルムナイ(退職者)活用支援サービスの開発を計画されていた株式会社マイナビ様(以下 マイナビ社)。企業のプライドをかけたサービス開発にあたり、信頼できるパートナーとして当社に開発をご依頼いただきました。リリース期日がタイトな中、どのように提案して推進したのかーー?
本件のPMを請け負った当社木塚と、マイナビ社とで振り返るサービス開発の裏側をぜひご覧ください。
お話を伺った方
- 株式会社マイナビ
- 新領域開発室 Business Acceleration課 課長 山本様
- 新領域開発室 Product Development課 課長 大坂様
- 株式会社TWOSTONE&Sons
- (株式会社Branding Engineer)FCS事業部 エンジニアリングコンサルチーム シニアコンサルタント 木塚 誠
マイナビ社がアルムナイサービスを提供する理由、企業プライドをかけたこだわり
今回当社が開発PMの役割として参画させていただいた、YELLoop(エーループ)はどのようなサービスなのかを簡単に教えていただけますでしょうか。
企業と、その企業を退職した人(アルムナイ)をおつなぎするようなコミュニティサービスとなっております。昨今の日本では、少子高齢化やキャリア観の多様化などによって、以前と比べると中途採用で各社が求める人材をタイムリーに採用することが難しくなってきました。
過去に退職した人を再雇用したり、業務委託で仕事を依頼する企業も増えつつあります。そこで、人的資本として効果的な環境を提供するために、退職した方たちと「気軽に」「良好な」関係を構築できるサービスを開発し、2022年8月にリリースしました。
過去に退職した人を再雇用したり、業務委託で仕事を依頼する企業も増えつつあります。そこで、人的資本として効果的な環境を提供するために、退職した方たちと「気軽に」「良好な」関係を構築できるサービスを開発し、2022年8月にリリースしました。
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木塚
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山本様
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大坂様
もともとそういった課題感をもった企業様からの声は多かったのでしょうか?
そうですね、こういった話はコロナの前あたりから見受けられるようになりました。当社は採用領域のビジネスを多角的に展開しています。採用は入口の部分ですが、出口部分の戦略として、退職者との関係性をアップデートしたいといったご要望はいただいていました。
実は、YELLoop(エーループ)のサービスのロゴやLPなども当社のアルムナイと呼ばれる退職者の方に発注して作成していくなど、実際に当社でも活用機会がありました。
属人的なつながりでの発注は過去にもあったと思うのですが、企業が公的に取り組むことで価値が最大化するのではないかと考えました。
実は、YELLoop(エーループ)のサービスのロゴやLPなども当社のアルムナイと呼ばれる退職者の方に発注して作成していくなど、実際に当社でも活用機会がありました。
属人的なつながりでの発注は過去にもあったと思うのですが、企業が公的に取り組むことで価値が最大化するのではないかと考えました。
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木塚
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山本様
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大坂様
類似サービスがある中で、強みや違いを出す必要があったと思いますが、どのあたりを意識しましたか?
当社が作るということで、これまでにHR領域で培ってきたノウハウを活かしてセキュアなシステムを心がけて開発した部分は強みであると考えております。
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木塚
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山本様
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大坂様
それだけにとても大変でしたね……笑
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木塚
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山本様
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大坂様
当社のセキュリティ要求に則って、脆弱性対応などを実施していきました。スタートアップだと、いきなりそのレベルまで考えて開発を進めるのは難しいと思うのですが、当社サービスとしては必須事項でした。これに関しては、ジョインしていただいたTSS側のPMである木塚さんに細かく対応いただいたのは大変助かりました。
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木塚
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山本様
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大坂様
利用企業様が何より安心して使えるのは、このサービスの一番の強みになりますよね。ですが、年々犯罪の手口が進化しているように、システムへの攻撃(サイバー攻撃)手法というのも増えています。
昔はケアしなくてよかったようなレベルでも攻撃されるようになり、外部の脆弱性診断で出したレポートでは、多くの報告があがってきたので、今は昔よりも細かくケアしないとダメな時代なのだと思い知らされましたね……笑
昔はケアしなくてよかったようなレベルでも攻撃されるようになり、外部の脆弱性診断で出したレポートでは、多くの報告があがってきたので、今は昔よりも細かくケアしないとダメな時代なのだと思い知らされましたね……笑
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木塚
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山本様
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大坂様
“マイナビ”というブランドだからこそ信頼できる会社に依頼したい。開発依頼の決め手
今回のサービス思想に対して、御社が安全性にこだわったのは個人情報などセンシティブなデータを扱うというのもあると思いますが、大きな理由はなんでしょうか?
退職者とコミュニケーションをするということは、すなわち個人情報や人事情報を扱っているからというのも当然背景にあります。ただ、何よりも「“マイナビ”というブランドが出すサービスだから、安全性にこだわるのは当然だ」というプライドの部分が大きかったですね。
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木塚
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山本様
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大坂様
今回のサービス開発にあたって、大坂様、山本様それぞれの役割はどのようなものだったのですか?
私は、システム全般のクオリティを担保する立ち位置で参加していました。ただ、ビジネス要件に関しても意見を持ち発言することは意識していました。
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木塚
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山本様
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大坂様
最初はマイナビさんも大坂さん、山本さん、松井さん(責任者)の3人だけでしたからね。具体的な領域を決めてという形はとれなかったのではないでしょうか。笑
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木塚
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山本様
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大坂様
私は、企業側の目線と退職者側の目線からペルソナになりそうな方にヒアリングして、「どういった機能やコンテンツがあれば満足いただけそうか?」「どのようなユースケースが想定されるのか?」という意見出しをしていました。ある意味、コンテンツ制作からマーケ施策まで幅広くやっていましたね。笑
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木塚
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山本様
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大坂様
最初3人から始まって、最終的にはどんなチームになったのですか?
リリース前の段階で徐々にメンバーを追加する形で、最終的には5名チームです。2022年の4月にビジネス側に1名ジョインしてリリース準備に入ってもらい、2022年の7月にエンジニアが1名ジョインして最後の開発に携わってもらいました。
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木塚
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山本様
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大坂様
TWOSTONE&Sonsからは僕1名、開発会社は国内とオフショア合わせて20名くらいだったと思います。
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木塚
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山本様
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大坂様
貴社の退職者も、このプロジェクトに関わっていたとのことですが、プロジェクトのどの時点から参画されていたのですか?
ブランディングのロゴやLP作成の段階だと記憶していて、かなり初期ですね。会社の事情も知った上で取り組んでくださったので、理解が早く大変助かりました。
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木塚
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山本様
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大坂様
素敵なデザインですが、どういったこだわりがあったのですか?
YELLoop(エーループ)は「Yell(エール=応援する)」と「Loop(ループ=循環する)」を掛け合わせていて、重なっている部分の色の濃淡が違っている点など、かなり細かいところまでこだわりました。退職した方などの意見も踏まえて、何度も議論を重ねて作りました。
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木塚
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山本様
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大坂様
その中で、開発面を当社へご依頼いただいた経緯などをお聞かせください。
2021年の7月初旬に、マイナビさんから機能に関する150項目に及ぶテキストベースの箇条書きをいただいたのが最初です。それをもとに見積りを作成するには、1つ1つの項目をまとめて最初に精査する必要があったので、マイナビさんと高速でQ&Aのラリーしました。
タイトなスケジュールの中でも丁寧にご協力いただけたので、なんとか概算見積を松竹梅の3種で出すことができ、その流れで予算確保まで進めていただくことができました。そういえば、当社以外にも他複数社への相見積もりもしていたんでしたっけ?笑
タイトなスケジュールの中でも丁寧にご協力いただけたので、なんとか概算見積を松竹梅の3種で出すことができ、その流れで予算確保まで進めていただくことができました。そういえば、当社以外にも他複数社への相見積もりもしていたんでしたっけ?笑
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木塚
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山本様
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大坂様
はい、御社以外で2社に相談していました。
スケジュールがギリギリで急いで見積を取らなくてはならず、1週間程度しかありませんでした。
おおよその予算を見積もるにあたって150以上の項目を精査する必要がある状況の中、新規取引でとなると「さすがにそれは無理だよ」と断られやすいですよね。そのような厳しい状況のなかで、御社の木塚さんだけが短い期間の中で、ものすごく多い量のQ&Aをくれたので、一気に信頼度があがりました。笑
そこでもう御社1択だなと感じましたね。
スケジュールがギリギリで急いで見積を取らなくてはならず、1週間程度しかありませんでした。
おおよその予算を見積もるにあたって150以上の項目を精査する必要がある状況の中、新規取引でとなると「さすがにそれは無理だよ」と断られやすいですよね。そのような厳しい状況のなかで、御社の木塚さんだけが短い期間の中で、ものすごく多い量のQ&Aをくれたので、一気に信頼度があがりました。笑
そこでもう御社1択だなと感じましたね。
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木塚
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山本様
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大坂様
正直僕も少しオーバーに対応しました。笑
今だから言えますが、その時はあまり睡眠時間も取れていなかった気がします。笑
今だから言えますが、その時はあまり睡眠時間も取れていなかった気がします。笑
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木塚
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山本様
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大坂様
どこも過去につながりがあった企業様だったのですが、コミット度合いは木塚さんが圧倒的でした。笑
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木塚
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山本様
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大坂様
数社を跨ぐ大きなプロジェクト故に発生する問題を解決するPM視点
それを経てサービス開発に入っていったと思うのですが、苦労した点などのエピソードがあれば教えてください。
まず大変だったのは、開発会社の選定ですね。今回のご要望に応えるべく「裏側の体制の分厚さや安心感があり、それでいて柔軟性がある会社」にこだわったのですが、過去に少しかかわりのあった会社さんに期待して依頼しました。
あとは、過去に当社も発注しているデザイン会社を含めて、マイナビさん・PMである当社・開発会社・デザイン会社、の4社でチームを作りました。即席で作ったチームにしては、どの会社も柔軟性とやる気に満ちて良かったのですが、やはり途中で色々なすれ違いや要件定義の甘さが目立ってしまうこともありました。当初3カ月だった要件定義が半年に伸びたこともあり、その分だけ追加で予算が必要になりますし、色々なイレギュラーがありましたね。
いいチームであったのは間違いないのですが、やはりプロジェクトがかなり大きかった分、そんなに簡単ではなかったですね。
あとは、過去に当社も発注しているデザイン会社を含めて、マイナビさん・PMである当社・開発会社・デザイン会社、の4社でチームを作りました。即席で作ったチームにしては、どの会社も柔軟性とやる気に満ちて良かったのですが、やはり途中で色々なすれ違いや要件定義の甘さが目立ってしまうこともありました。当初3カ月だった要件定義が半年に伸びたこともあり、その分だけ追加で予算が必要になりますし、色々なイレギュラーがありましたね。
いいチームであったのは間違いないのですが、やはりプロジェクトがかなり大きかった分、そんなに簡単ではなかったですね。
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木塚
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山本様
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大坂様
振り返ってみると、滑り出しの部分が一番大変でした。笑
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木塚
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山本様
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大坂様
僕個人は各社とつながりがあっても、この4社でのチームは初めてで、お互いに手探りだったため、信頼関係の構築などにどうしても時間がかかりましたし、意見が分かれる場面もありました。
サービスの具体的仕様を例にすると、ユーザ一覧というページは、ユーザが多ければ何ページにも分かれます。
そのユーザ全員にメッセージを送るために「全て選択」という機能があったりしますよね。この「全て」というのは、今表示されているユーザだけ全選択なのか、他のページも含めたユーザの全選択なのか、そのどちらであるべきなのか?開発会社は全体のスケジュールとのバランスで対応が容易な前者で進めたいという意見でしたが、マイナビさんとしては社内の過去事例などに照らすと絶対に後者でなければならないという妥協できない点でした。マイナビさんのサービス、かつその温度感の高さを最優先して、大変なのは尊重しつつ、僕は開発会社を説得しました。笑
パートナーであるべき開発会社に、上から目線で「いいからやれよ」みたいにしてしまうことはやりたくないんです。なので、ボトルネックは何なのかといった観点や、逆にマイナビさん側とも、こだわる分ある程度諦めなくてはいけない部分を見つけてもらう、といった調整の繰り返しでした。
サービスの具体的仕様を例にすると、ユーザ一覧というページは、ユーザが多ければ何ページにも分かれます。
そのユーザ全員にメッセージを送るために「全て選択」という機能があったりしますよね。この「全て」というのは、今表示されているユーザだけ全選択なのか、他のページも含めたユーザの全選択なのか、そのどちらであるべきなのか?開発会社は全体のスケジュールとのバランスで対応が容易な前者で進めたいという意見でしたが、マイナビさんとしては社内の過去事例などに照らすと絶対に後者でなければならないという妥協できない点でした。マイナビさんのサービス、かつその温度感の高さを最優先して、大変なのは尊重しつつ、僕は開発会社を説得しました。笑
パートナーであるべき開発会社に、上から目線で「いいからやれよ」みたいにしてしまうことはやりたくないんです。なので、ボトルネックは何なのかといった観点や、逆にマイナビさん側とも、こだわる分ある程度諦めなくてはいけない部分を見つけてもらう、といった調整の繰り返しでした。
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木塚
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山本様
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大坂様
4社で1チームという体制は非常に大変なものがあったのではと思いますが、大坂様の立場から見るといかがでしたか?
私も、コミュニケーションの部分が大変だった印象ですね。とくに序盤は要件定義のところで躓いた記憶があります。笑
ですが、明確に変わったのは、木塚さんから「個別の朝会」を提案してもらったことでした。これをきっかけにコミュニケーションの質が大きく変わったのを覚えています。
ですが、明確に変わったのは、木塚さんから「個別の朝会」を提案してもらったことでした。これをきっかけにコミュニケーションの質が大きく変わったのを覚えています。
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木塚
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山本様
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大坂様
提案した狙いですが、コロナ禍でのプロジェクトなので、リモート前提でスタートしていました。ただ、オンラインコミュニケーションではどうしても噛み合わないことがあったので、たとえばランチに一緒に行くなども効果があったと思います。
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木塚
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山本様
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大坂様
開発会社の全体的な状況や、各メンバーのメンタルや調子などは、多くの関係者が参加するオンラインのミーティングでは気軽に聞けなかったりします。仕事に関係ない部分もあったりするので、雑談ベースで話している時に気が付くみたいなパターンもあります。このようなコミュニケーションがなかったら、もしかしたら上手くいかなかった可能性もありますね……笑
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木塚
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山本様
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大坂様
リリース後に感じる確かな手ごたえ、そこから目指す未来とは
最初のリリースはいつ予定だったのでしょうか?
最初は2022年3月末の予定でしたが、8月に延期させていただきました。最初の要件定義に時間を要したこともあり、8月は1次リリースとして、2次リリースを12月でマイナビさんに各所調整いただきました。リリースを分けた比率が作業に単純按分されるわけではないので、マイナビさんにも開発会社さんにも調整に苦労をかけたと思います。
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木塚
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山本様
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大坂様
調整は大変でしたが、木塚さんがバランスをとってくれたので、大きなトラブルなくリリースできたと思います。リリース後も安定稼働しているおかげで、すぐに追加開発に着手することができ、現在はユーザのリアルな声を取り入れながら継続的に開発が進められています。
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木塚
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山本様
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大坂様
大事に決めたコンセプトの元、紆余曲折も経てリリースに至ったのだと思いますが、御社の満足度はいかがですか?
企業の方に提案すると、高評価をいただくことが多いです。ただ、退職がテーマなので、ハードルは様々あります。それらを乗り越えていく必要はあるものの、「こういったサービスを待っていた」という声も確実にあるので、ニーズに応えられるサービスを作れたなと感じています。
当社は従来、役員発信で新規事業を作ることが多かったのですが、我々現場メンバーがゼロから市場リサーチしてサービスを作ったという点で、社内での評価も高いです。当社内でも先月からアルムナイとの接点づくりを始め、稼働が本格化し始めています。
当社は従来、役員発信で新規事業を作ることが多かったのですが、我々現場メンバーがゼロから市場リサーチしてサービスを作ったという点で、社内での評価も高いです。当社内でも先月からアルムナイとの接点づくりを始め、稼働が本格化し始めています。
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木塚
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山本様
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大坂様
今後、当社に対して開発のみならずさらに期待していただけそうなことはありますか?
開発会社さんとの細かい調整やコミュニケーションも大変ありがたかったので、今後も継続していただきたいなと考えています。今日の話を振り返ると、途中担当が変わることもなく、最初から最後まで木塚さんに伴走いただけたことが本当によかったなと思います。
特に木塚さんは当社の立ち位置で物事を考えてくださるので、当社側のメンバーみたいな感じで、終始心強かったです。笑
特に木塚さんは当社の立ち位置で物事を考えてくださるので、当社側のメンバーみたいな感じで、終始心強かったです。笑
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木塚
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山本様
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大坂様
マイナビさんに限らず、クライアント企業が開発会社へ言いづらいことってあるんですよね。その点を理解して僕が代弁して開発会社へ相談することも意識しています。裏でも相手の意見を尊重するような形で細かくコミュニケ―ションしていましたので、それも継続していきます。
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木塚
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山本様
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大坂様
最後に、サービスを通じた今後の展望などはありますか?
間違いなくアルムナイという概念はこれから広がっていくと考えています。まだ構想段階ですが、例えばA社とB社のアルムナイをつなぐなどもできると、より価値を生み出せるのではないかと考えています。
企業を一度離れたことでわかることがあったり、転職される方は人脈を価値とされる方も多いので、アルムナイ同士をつなぐということに挑戦していきたいと考えています。
企業を一度離れたことでわかることがあったり、転職される方は人脈を価値とされる方も多いので、アルムナイ同士をつなぐということに挑戦していきたいと考えています。
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木塚
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山本様
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大坂様
世の中的にも情報をオープンにしていこうみたいな動きもあるので、この世界観は非常に楽しみですね! 素敵なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!
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