レガシーシステム統合で実現する医療DXのメリットとは?
医療
これからの「かかりつけ薬局」に求められるのは、対面に加えてオンライン服薬指導への対応です。この記事では、医療DXの重要な柱である「オンライン服薬指導」について、制度の基本から、導入によるメリット、失敗しないシステムの選び方などを網羅的に解説します。
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オンライン診療の普及に伴い、病院やクリニックだけではなく薬局に対するニーズも大きく変化しています。これからの「かかりつけ薬局」に求められるのは、対面だけでなく、オンラインも活用した新しい患者との関わり方です。
そこでこの記事では、医療DXの重要な柱である「オンライン服薬指導」について、制度の基本から、導入によるメリット、失敗しないシステムの選び方、そして具体的な活用事例までを網羅的に解説します。
オンライン服薬指導の導入を検討している薬局経営者や薬剤師の方に向けて、制度の概要や導入時に押さえておきたいポイントを分かりやすく紹介します。

オンライン服薬指導は、患者が自宅などから薬剤師と映像通話で服薬指導を受けられるサービスです。
今後、オンライン服薬指導は医療サービスの一形態として定着し、患者と薬剤師の新たなコミュニケーション手段として重要な役割を果たすと考えられます。
オンライン服薬指導は、薬剤師が映像と音声を通じて患者の表情や状態を確認しながら、対面と同じように薬の効果や注意点を説明し、質問に答える新しい服薬指導の形です。
オンライン診療などによって医療機関から処方箋が薬局に送られたあと、あらかじめ予約された日時に患者と薬剤師がオンラインでつながり、服薬指導を受けます。服薬指導が終わると、薬は自宅へ配送されるため、患者は一度も薬局へ足を運ぶことなく、必要な薬を受け取ることが可能となります。
オンライン服薬指導は、もともと一定の条件下で段階的に認められていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、電話やオンラインでの服薬指導が特例的に活用されるようになりました。感染リスクを抑えながら必要な医療や薬剤サービスを継続する手段として、オンライン対応の重要性が広く認識された経緯があります。
その後、2019年の薬機法改正によってオンライン服薬指導が制度化され、2020年の施行を経て、2022年には実施要件が見直されました。現在は、薬剤師による本人確認や服薬状況の確認、適切な情報提供などを行うことを前提に、オンラインでの服薬指導が実施されています。薬局にとっては、対面を補完する新たな患者支援の手段として位置づけられています。

オンライン服薬指導の注目度が高まっているのは、法改正による制度的な後押しに加え、オンライン診療の普及や、患者の利便性向上へのニーズが高まっているからです。
医師の診察をオンラインで受けた後、薬の受け取りだけのために薬局へ行くのは、患者にとって二度手間です。そのため、診察から薬の受け取りまでを、一貫してオンラインで完結させたいという需要は年々高まっています。
出典参照:令和5年1月~3月の電話診療・オンライン診療の実績の検証の結果|厚生労働省
また、高齢化社会における在宅医療の推進という観点からも、重要な役割が期待されています。

オンライン服薬指導を導入することで、以下3つのメリットを享受できます。
薬局にとってどのようなメリットがあるのか、一つずつご紹介していきます。
オンライン服薬指導は、患者が地理的な制約なくいつも同じ「かかりつけ薬局」に相談できる環境を提供し、継続的な健康管理を実現します。
たとえば、転居や出張などで薬局から離れてしまっても、慣れ親しんだ薬剤師にオンラインで相談できます。これにより、患者の服薬情報やアレルギー歴などを一元的に把握しやすくなり、より安全で質の高い薬学的管理が可能です。
オンライン服薬指導の導入は、薬局へ足を運ぶのが困難な高齢者、在宅医療を受けている患者、近くに薬局がない遠隔地の患者に対し、質の高い薬剤サービスの提供を可能にします。
これまで、薬剤師が訪問できる範囲には限りがありました。しかし、オンラインを活用することで、より広範囲の患者をサポートできるようになります。地域包括ケアシステムの重要な一翼を担い、医療アクセスに課題を抱える人々を支えるうえで、非常に大きなメリットです。
出典参照:地域包括ケアシステム|厚生労働省
オンライン服薬指導は、患者の来局が集中する時間帯を避け、空いた時間にオンラインで服薬指導をおこなえるため、薬剤師の業務を平準化し、働き方改革を推進します。
多くの薬局では、夕方など特定の時間に患者が集中することが多く、薬を受け取るまで待ち時間が長くなる傾向にあります。一方オンライン服薬指導を活用し予約制度を設けることで、薬剤師が計画的に業務を進められるようになり、待ち時間も少なくなります。
また、場所を選ばずに服薬指導できるため、薬剤師のテレワークといった多様で柔軟な働き方の実現にもつながるでしょう。

オンライン服薬指導を実施するには、対象となる患者や薬剤師が確認すべき事項、処方箋や薬剤の取り扱い方法など、いくつかのルールを理解しておく必要があります。
対面での服薬指導と同じく、患者が安全に薬を使用できるように情報を確認し、必要な説明を行うことが基本です。そのうえで、オンラインならではの本人確認や通信環境、薬の配送管理にも注意しなければなりません。
ここでは、オンライン服薬指導を適切に運用するために押さえておきたい主な要件を解説します。
オンライン服薬指導は、薬剤師が患者の状態や処方内容を確認し、オンラインでの実施が適切と判断した場合に実施できます。実施にあたっては、患者本人の同意を得たうえで、本人確認や服薬状況の確認、必要な情報提供を適切に行うことが求められます。
また、患者の状態や通信環境などを踏まえ、オンラインで十分な服薬指導を行うことが難しいと判断される場合には、対面での服薬指導へ切り替えることも必要です。
患者が安全に薬物治療を継続できるよう、薬剤師が個々の状況に応じて適切な実施方法を判断することが重要です。
出典参照:オンライン服薬指導|厚生労働省
オンライン服薬指導では、薬剤師が患者本人であることを確認したうえで、薬の飲み方、注意点、副作用、保管方法などを説明します。画面越しで行うため、氏名や生年月日、保険証、マイナンバーカードなどを用いた本人確認を適切に行うことが重要です。
また、患者の症状や服薬状況、併用薬、アレルギー歴などを確認し、必要に応じて医師へ疑義照会を行います。オンラインであっても、患者が安全に薬を使用できるよう支援する役割は変わりません。
高齢者や慢性疾患のある患者には、理解度に合わせた丁寧な説明が求められます。通信環境や画面越しの確認には限界があるため、状況に応じて対面指導へ切り替える判断も大切です。
オンライン服薬指導では、処方箋の受け取りから薬剤の配送までを正確に管理する必要があります。電子処方箋を利用する場合は、医療機関から発行された処方情報を薬局が確認し、調剤や服薬指導につなげます。紙の処方箋では、医療機関からの送付方法や原本の扱いを事前に確認しておくことが大切です。
薬剤を配送する際は、患者の住所や受け取り希望日時を確認し、品質を保てる方法で発送します。温度管理が必要な薬や取り扱いに注意が必要な薬剤では、配送方法にも配慮が必要です。
誤配送や受け取り漏れを防ぐには、発送記録や追跡番号の管理も欠かせません。安全に運用するには、処方箋情報と薬剤を正確に扱える体制づくりが重要です。

オンライン服薬指導のサービスを導入した場合、以下のような流れで診療〜薬の発送まで進んでいきます。
順を追って解説します。
医師による診察の結果、薬が必要と判断されると、診察結果に基づいて処方箋を発行してもらいます。
患者と医師がビデオ通話でつながり診察がおこなわれ、診察の結果薬が必要だと判断されると、医師は処方箋を発行します。
近年は、処方データを安全なネットワーク上で送受信する「電子処方箋」の発行が増えており、その後の薬局との連携がよりスムーズになっています。
処方箋が発行されると、患者はオンライン服薬指導に対応している薬局のなかから希望する薬局を選択します。その際、選択した薬局に対し処方箋を送ってもらうよう医療機関に依頼するか、患者自ら電子処方箋の情報を共有します。かかりつけの薬局が選ばれることが多いです。
電子処方箋の場合は、マイナンバーカードなどを使ってどの薬局に自分の処方箋情報を共有するかを選択できます。紙の処方箋の場合は、医療機関から直接、希望の薬局へFAXなどで送付してもらいます。
薬局で薬の準備ができたあと、患者は予約した日時に、薬剤師とビデオ通話をおこない、薬の飲み方や注意点などについて、対面と同様の服薬指導を受けます。
薬剤師は、患者の本人確認をおこなったうえで、画面越しに薬の現物を見せながら、効果や副作用、保管方法などを説明します。それに対し患者は、その場で分からないことや不安な点を直接質問することが可能です。これにより、自宅にいながらでも安心して薬を使用できます。
服薬指導が終わると、患者はクレジットカードなどでオンライン決済をおこない、支払いが確認され次第、薬が薬局から指定の場所へ配送されます。
この流れに沿って、オンライン診察から薬の受け取りまで、全ての工程が自宅で完結します。

オンライン服薬指導システムを選ぶ際は、機能の多さだけでなく、薬局の業務に無理なく取り入れられるかを確認することが重要です。
患者の個人情報を扱うため、セキュリティ体制は欠かせません。また、患者と薬剤師が使いやすい操作性、処方箋受付から決済、薬の配送まで管理できる機能も必要です。導入後のサポート体制や料金とのバランスも比較して選びましょう。
患者の極めて繊細な個人情報を取り扱うため、厚生労働省のガイドラインに準拠した、信頼性の高いセキュリティ対策が講じられているかが最も重要な選定ポイントです。
たとえば、通信が暗号化されているか、利用者ごとにアクセス権限を細かく設定できるか、といった点を確認しましょう。万が一の情報漏洩は、薬局の信用を根底から揺るがしかねません。システムの安全性を最優先に考えるべきです。
システムは、薬剤師だけでなく、ITに不慣れな高齢の患者でも、迷わず簡単に操作できる分かりやすいデザインであることが不可欠です。
患者にとっては、専用アプリのインストールが不要で、Webブラウザから簡単に利用できると、利用のハードルが下がります。また、薬剤師にとっては、予約管理や薬歴の確認、ビデオ通話の開始といった一連の操作が、少ない手順でスムーズにおこなえるかを確認しましょう。
オンライン服薬指導の業務をスムーズにおこなうためにも、ビデオ通話機能だけでなく、処方箋の受付、オンライン決済、そして薬の配送手配までを一元管理できる機能が揃っているかが重要です。これらの機能がバラバラだと、薬剤師は複数のシステムを使い分ける必要があり、かえって業務が煩雑になってしまいます。
処方箋の画像を簡単にアップロードでき、クレジットカード決済に対応しているなど、一連の業務を一つのシステムで完結できるかを確認しましょう。
導入後に操作方法で困ったり、システムトラブルが発生したりした際に、電話やチャットなどですぐに相談できる、手厚いサポート体制が整っているかを確認しましょう。たとえば、「予約時間になっても患者とビデオ通話がつながらない」といったトラブルが起きた場合、すぐに対応してもらえなければ患者の信頼を損ねてしまいます。
サポートの対応時間や連絡手段、そしてレスポンスの速さなどを、導入前にしっかり確認しておくと安心です。
初期費用や月額費用といった料金だけでなく、その料金でどのような機能やサポートが提供されるのか、費用対効果をしっかりと見極める必要があります。
単に料金が安いというだけで選んでしまうと、必要な機能がオプションで別料金だったり、サポートが不十分だったりする場合があります。オンライン服薬指導をおこなうにあたって必要な機能をリストアップし、複数のシステムの料金と機能を比較して、納得感のある、最もバランスの取れたシステムを選ぶことが賢明です。

オンライン服薬指導をスムーズに運用するには、薬局の業務フローに合ったシステムを選ぶことが重要です。ビデオ通話だけでなく、予約管理、処方箋受付、決済、配送手配、薬歴との連携など、どこまで対応できるかによって使い勝手は大きく変わります。
また、患者側の操作しやすさも重要な判断基準です。高齢者やスマートフォン操作に慣れていない患者でも使いやすい仕組みであれば、オンライン服薬指導の利用率向上につながります。ここでは、代表的なオンライン服薬指導ツールを5つ紹介します。
CARADA オンライン診療は、薬局向けに設計された、オンライン服薬指導を簡単におこなえるシステムです。
予約受付からオンライン服薬指導、決済、薬の配送までを一元的に管理できる点が特徴です。ビデオ通話による服薬指導やオンライン決済機能、薬の配送にも対応しており、薬局業務の効率化を支援します。さらに、導入後の手厚いサポートが提供されているため、安心して運用を進められるでしょう。
また、セキュリティにも配慮されており、業務効率化や患者の利便性向上に役立つサービスです。
出典参照:CARADA オンライン診療|株式会社エムティーアイ
「くすりの窓口オンライン服薬指導システム」は、予約から服薬指導、クレジットカード決済、お薬の配送まで、オンライン服薬指導に必要な全機能を網羅したサービスです。
処方箋データ受け取り後の時間調整から、オンライン通話による服薬指導、決済機能による未収リスク軽減、さらには宛名ラベル印刷による配送効率化まで、一連の業務をスムーズにサポートします。
強固なセキュリティ体制で、患者の個人情報を保護し、薬局のオンライン服薬指導業務の効率化と、患者への安心・信頼の提供を支援するツールです。
「curonお薬サポート」は、株式会社MICINが提供する処方箋ネット受付サービスです。スマホで処方箋画像を薬局に事前送信・予約することで、薬局での待ち時間を短縮し、好きな時間に好きな場所で薬を受け取れます。
忙しい方や、調剤に時間がかかる方、お子様連れの方に最適です。複数の薬局チェーンで利用可能で、患者の利便性向上に貢献します。
「Pharms(ファームス)」は、かかりつけ薬局支援システムです。オンライン診療システムCLINICSと連携し、処方箋獲得からオンライン服薬指導、ネット受付、キャッシュレス決済まで、かかりつけ薬局に必須の機能をオールインワンで提供するツールです。
15,000店舗以上の導入実績があり、充実したサポート体制も魅力です。月額0円からのライトプランもあり、薬局の業務効率化と患者・医療機関との連携強化を支援します。
出典参照:Pharms| 株式会社メドレー
「SOKUYAKU(ソクヤク)」は、患者と医師・薬剤師をつなぐオンライン医療プラットフォームです。スマホやPCから自宅や職場で診療・服薬指導を受けられ、待ち時間短縮や移動負担軽減を実現します。
内科、皮膚科、小児科など幅広い診療科に対応し、保険診療・自費診療も可能。予約から診察、薬の郵送または薬局受取までワンストップで提供し、最短当日または翌日配送にも対応しています。
オンライン服薬指導は、薬局単体の取り組みだけでなく、自治体や企業との連携によって活用の幅が広がっています。都市部での実証事業や薬局向け研修、コンビニ受け取りと組み合わせた新しい薬剤提供モデルなど、地域や患者のニーズに応じた取り組みが進められています。
こうした事例を知ることで、オンライン服薬指導が単なる非対面サービスではなく、医療アクセスの改善や薬局業務の効率化、患者の利便性向上に役立つ仕組みであることが理解しやすくなります。ここでは、具体的な取り組み事例を紹介します。
千葉市では、都市部における医療DXの推進に向けて、オンライン服薬指導の活用可能性を検証する取り組みが行われています。オンライン診療と連携し、診察後の服薬指導や薬の受け取りまでをスムーズに進めることで、患者の移動負担や待ち時間の削減を目指すものです。
都市部では医療機関や薬局の数が比較的多い一方で、仕事や育児、介護などにより、薬局へ行く時間を確保しづらい人も少なくありません。オンライン服薬指導を活用すれば、患者は自宅や職場から薬剤師に相談でき、必要な薬を配送などで受け取れるようになります。
また、薬局側にとっても来局時間の分散や予約制による業務平準化が期待できます。千葉市のような都市部での実証は、今後ほかの地域でオンライン服薬指導を導入する際の参考になるでしょう。
出典参照:【全国措置】都市部におけるオンライン服薬指導の実施|千葉市
東京都では、薬局がオンライン服薬指導を適切に実施できるよう、薬局向けの研修や情報提供を通じた普及支援が進められています。制度や運用ルールを理解しないまま導入すると、本人確認や服薬状況の把握、処方箋の取り扱いなどでトラブルが起きる可能性があるためです。
研修では、オンライン服薬指導の基本的な流れだけでなく、必要な設備、患者対応のポイント、セキュリティ対策、個人情報の取り扱いなどが扱われます。薬局が制度を正しく理解し、安心して運用できる体制を整えることが目的です。
オンライン服薬指導はシステムを導入すればすぐに定着するものではありません。薬剤師がオンラインでのコミュニケーションに慣れ、対面と同等の質を保つためには、継続的な学習と運用改善が欠かせないでしょう。
出典参照:オンライン服薬指導の実際|公益社団法人東京都薬剤師会
ファミマシーと「とどくすり」の取り組みでは、オンライン服薬指導後の薬の受け取り方法として、コンビニ受け取りを組み合わせた新たな薬剤提供モデルが実現されています。自宅配送だけでなく、患者が都合のよいタイミングで近くの店舗から薬を受け取れる点が特徴です。
仕事や外出が多い患者にとって、自宅で配送を待つ必要がないことは大きな利便性につながります。また、薬局が営業時間外であっても、対応可能な受け取り方法が広がれば、患者の生活スタイルに合わせた薬剤提供がしやすくなります。
一方で、薬剤の保管方法や本人確認、受け渡し時の管理体制は慎重に設計する必要があります。コンビニ受け取りのような仕組みは、オンライン服薬指導をより実用的に広げる選択肢として注目されるでしょう。
出典参照:処方薬を店舗にて無料で受け取れるサービスを東京都内約2,400店で展開~ファミマシーと「とどくすり薬局」の取り組み|株式会社ファミリーマート

この記事では、オンライン服薬指導の制度からメリット、システムの選び方までを多角的に解説しました。
オンライン服薬指導は、単なる「非対面」の指導ではありません。通院が困難な患者に薬を届け、薬剤師の働き方を改善し、そして患者との継続的な関係を築くことで「かかりつけ薬局」としての価値を深化させる戦略的な一手です。
導入には準備も必要ですが、その先には大きな可能性があります。まずは自薬局の強みと課題を見つめ直し、新しい患者サービスの形として検討を始めてみてはいかがでしょうか。
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