Notionの情報一元管理を自動化!方法や活用術を解説
全般
ERPをフルスクラッチで開発する際に直面しやすい課題や、進行時に意識したい重要なポイントを具体的に解説しています。業務要件の整理から関係者の巻き込み、拡張性を見据えた設計、プロジェクト管理まで、多角的な視点で成功への道筋を紹介しています。
業務の複雑化や市場環境の変化が加速する中、企業の情報管理や業務効率化を支えるERPの重要性が高まっています。その中でも注目されているのが、クラウド型ERPとオンプレミス型ERPの選択です。
しかし、どちらのタイプを選ぶべきかは、自社の業務特性やITリソース、将来的な拡張性に大きく関わります。
特にクラウド型ERPは、コストや導入スピードの面で利便性がある一方、柔軟なカスタマイズやセキュリティ面に不安を持つ企業も少なくありません。オンプレミス型は自由度が高く、機密性の高いデータを扱う企業には適していますが、導入や保守にかかる負担も大きくなります。
本記事では、両者の違いを丁寧に比較しつつ、フルスクラッチによるERP開発の意義とその活用方法についても詳しく解説します。業務改善やデジタル化の一歩を踏み出したいと考える企業にとって、納得のいく選択をするための判断材料としてご活用ください。

フルスクラッチ開発とは、既存のパッケージやテンプレートを利用せず、ゼロからシステムを設計・構築していく手法を指します。ERPにおいても、あらかじめ機能が決められている既製品とは異なり、自社の業務要件や将来のビジネス戦略に合わせた最適な構成が可能になります。
特定の業務フローや独自の管理ルールを持つ企業にとっては、フルスクラッチでの開発によって、既製品にはない柔軟性と自由度を得られるでしょう。パッケージ型のERPでは対応しきれない細かな業務ニーズや現場の声を取り入れやすく、長期的には業務効率や生産性の向上にも寄与します。
ただし、開発期間やコストの面では慎重な計画とパートナー選びが求められるため、社内外のリソース状況も加味した上での判断が重要です。
ERPをフルスクラッチで開発するメリットは、既製品にはない柔軟性を得られる点にあります。
業界特有の業務や社内独自のフローに合わせて設計できるため、実務との乖離を抑え、使い勝手の良いシステムを構築しやすくなります。また、導入後の拡張性や保守性においても、自社でのコントロールがしやすい点は大きな魅力です。結果として、業務効率の向上だけでなく、IT資産としての価値を高めることにもつながるでしょう。
ここでは、具体的なメリットを4つに分けて解説します。
フルスクラッチ開発の大きな強みは、自社だけの独自機能を思い通りに組み込めることです。既製品のERPでは、標準機能に制限される場面が多く、特定の業務に必要な処理や画面設計が実現できないかもしれません。
一方で、フルスクラッチなら、必要な機能を自由に設計・追加できるため、現場の実情や業務プロセスに応じたシステムが構築可能です。例えば、業界特有の在庫管理方法や、顧客対応履歴の詳細なトラッキングなど、他社製品では再現しにくい機能も実装できます。
これは、従業員の作業負担軽減や、運用上のストレスを減らす上でも有効であり、結果として業務効率の改善とサービス品質の向上に貢献します。
ERPを導入する際にしばしば課題となるのが、業務プロセスとシステム仕様のミスマッチです。パッケージ製品の場合、既存のシステムに業務を合わせる必要があり、結果として従業員の負担が増えることもあります。
フルスクラッチ開発であれば、業務プロセスをそのまま反映した設計が可能になり、現場とのギャップを最小限に抑えられるでしょう。例えば、複数部署にまたがる承認フローや細かい単位での工程管理など、業務の実態に応じた仕様を設計し、導入後の定着率や運用効率が高まります。
システムが業務にフィットすると、従業員のストレスを軽減し、日常業務における操作性が向上します。
ERPをパッケージで導入する場合、開発元や販売会社への依存度が高くなりがちです。システムの更新や機能追加、トラブル発生時にはベンダーの対応に時間がかかることもあり、柔軟な運用が難しくなるケースもあります。
フルスクラッチ開発を選択し、こうしたベンダー依存をある程度回避できる環境を構築しやすいです。自社で仕様を管理し、システム全体の設計意図を把握しておくことで、将来的な改修や運用の自由度が高まります。
また、特定の技術に縛られず、開発パートナーを柔軟に選定できることも、運用コストの最適化やリスク分散につながります。IT戦略を自社主導で進めたい企業にとっては、大きな魅力のひとつといえます。
他社との差別化を明確に打ち出すには、業務プロセスやサービスの品質において独自性を持たせる必要があるでしょう。フルスクラッチ開発で構築したERPは、まさにそのための有効な手段となります。
自社の強みを最大限に活かせる仕様にすると、効率性や顧客対応力を高め、結果的に競争優位性の確保につながります。例えば、受注から出荷、アフターサポートまでの一貫した業務フローをシステム化させ、対応スピードや正確性が向上し、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
また、マーケットのニーズに応じた素早い変更や新機能の追加も柔軟に行えるため、変化への適応力が高まり、長期的な成長を支える基盤にもなります。
ERPを導入する際、自社の業務に最適化されたシステムを求めてフルスクラッチ開発を検討する企業も存在します。
しかしながら、フルスクラッチ開発には多くのデメリットが伴い、慎重な判断が求められるでしょう。特に、開発コストや導入期間、人材確保の難しさ、そしてプロジェクトの失敗リスクなど、見落としがちな課題が山積しています。
ここでは、フルスクラッチ開発を選択した場合に発生しやすい主なデメリットについて詳しく解説します。
フルスクラッチ開発を行う障壁の1つが、開発コストの高さです。既製品のERPパッケージとは異なり、すべての機能をゼロから設計・実装する必要があるため、開発にかかる工数と時間が膨大になります。
その結果、開発費用は数千万円から数億円に及ぶこともあるでしょう。さらに、初期の開発費用だけでなく、要件定義や仕様変更、テストや修正対応などにも多くのコストが発生します。
また、運用開始後も独自仕様に対応するための保守・運用コストが継続的に必要となり、トータルでのコスト負担が大きくなりやすいでしょう。費用対効果の観点からも、慎重な検討が不可欠といえます。
フルスクラッチでの開発は、要件定義から設計、実装、テスト、運用開始までに長い期間を要しやすいです。一般的なERPパッケージであれば、カスタマイズの程度にもよりますが、数カ月から半年程度で導入が完了するでしょう。
一方で、スクラッチ開発では、1年を超えるプロジェクトになるケースも多く、時には2年、3年とかかることもあります。この間、企業は現行の業務プロセスに不満を抱えたまま過ごすことになり、業務の非効率性が継続するでしょう。また、プロジェクトメンバーのモチベーションの維持や他業務との兼務による負担増など、副次的な問題も発生しやすくなります。
スピーディーな業務改善が求められる現代において、長期化する導入期間は大きなハードルとなり得るでしょう。
フルスクラッチでERPを構築・運用するためには、高度なITスキルと業務知識を兼ね備えた専門人材が不可欠といえます。
特に、要件定義や設計段階では、業務フローを正確に把握し、適切なシステム設計に落とし込む能力が求められるでしょう。一方、このような専門スキルを有する人材は市場でも限られており、自社での確保は容易ではありません。
仮に、社内に専門人材を擁していたとしても、プロジェクトの長期化や仕様の複雑化により、人的リソースが逼迫するかもしれません。
外部ベンダーに依存する場合でも、ベンダー選定や契約、品質管理といったマネジメント負担が重くのしかかります。人材確保の難しさは、プロジェクトの進行に直結する深刻な課題となるでしょう。
フルスクラッチ開発は、自由度が高い反面、プロジェクトの失敗リスクが上昇する傾向にあります。開発プロセスが複雑なうえ、要件変更や仕様の曖昧さが重なると進捗が遅れ、最終的に当初想定した機能を実装できない恐れがあります。
また、ERPは企業の基幹業務を支えるシステムであるため、一部の失敗が全体の業務に波及し、業務停止や混乱といった重大な影響を及ぼすこともあるでしょう。さらに、プロジェクト期間が長くなるほど、外部環境の変化や組織構造の変更などが発生しやすくなり、当初の前提条件が通用しなくなるリスクも高まります。
このように、プロジェクト全体の成功を保証する要素が多く存在しないため、導入判断には慎重さが求められます。

クラウド型ERPは、企業ごとに異なる業務課題や目指す経営戦略に応じた柔軟なカスタマイズが求められる傾向にあるでしょう。そのため、各社の導入背景や選定理由、運用後の変化に対する具体的な把握が、自社に適したERPを検討する上で重要な手がかりになりやすいといえます。
ここでは、実際にクラウド型ERPを導入し、業務改善や情報管理体制の強化を進めている代表的な大手企業の事例を紹介します。それぞれの選定理由と得られた成果に注目し、自社にとっての有効な選択肢を見つける参考にしてください。
リクルートホールディングスは、グループ各社にまたがる財務会計・人事給与領域の業務を標準化するため、SCSKが提供するERPパッケージを採用しました。以前は個別最適化されたシステムが点在しており、全社レベルでの経営判断やモニタリングに時間と手間がかかっていました。
そこでERPの共通基盤を構築し、業務フローとデータ基盤を統一する取り組みを進めています。この導入により、リアルタイムでの予算管理や労務状況の可視化が可能になり、経営層による判断スピードの向上に貢献しています。
また、導入時には業務の棚卸しとプロセス整理を同時に行い、将来的なM&Aや組織再編にも柔軟に対応できる体制を整備しました。標準化と柔軟性を両立した運用モデルが、高い評価を受けています。
出典参照:SCSKのERPパッケージ「ProActive E2」がリクルートグループの新グループ共通会計システムとして本番稼働|SCSK株式会社
日立製作所では、グループ会社ごとに独自に運用されていたERPシステムを統合し、情報の一元管理と業務効率化を図る大規模プロジェクトを実施しました。従来は各社で会計処理や販売管理の仕組みが異なっており、連結決算や予実管理に大きな手間が発生していたため、統合によるスピードと精度の向上が求められていました。
この統合により、部門をまたいだ業務データのリアルタイム連携が可能となり、グループ全体の収益管理やKPIモニタリングが効率化されました。さらに、各種マスタ情報の整備により、システム間の整合性が高まり、社内外の監査対応にも有効性を発揮しています。統合後はデータを活用した意思決定支援がスムーズに行えるようになり、経営基盤の強化に直結しています。
旭化成株式会社は、グループ全体での業績分析および経営情報の可視化を目指し、大規模ERPとBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの連携によってシステム基盤を構築しました。複数の事業部門にまたがるデータをリアルタイムで集約・分析することで、経営層への報告業務や現場の意思決定が迅速に行えるようになった点が特徴です。
特にSAP S/4HANAを中核に据えたシステム設計では、会計・販売・購買といった主要業務のプロセスを一貫して管理できる体制を実現しました。また、BIとの連携によって、月次や週次のレポート作成作業の自動化が進み、担当者の負担軽減と分析の高度化が図られています。部門横断的な情報活用が可能になったことで、戦略的な経営判断を支える基盤としても高く評価されています。
出典参照:旭化成株式会社様 旭化成「SAP HANA」導入支援で、大規模ERPとBIのリアルタイム連携を実現|AJS株式会社
ERPをフルスクラッチで開発する際は、要件の複雑さや業務範囲の広さにより、プロジェクト全体の規模が大きくなりがちです。工数の増大や納期の遅延、品質のばらつきといったリスクも想定されるため、初期段階から全体設計と実行計画を精緻に構築することが求められます。これにより、予期せぬ仕様変更への柔軟な対応や、特定領域への重点的なリソース配分が可能になるでしょう。
ここでは、こうした取り組みを具体的に紹介し、ERP開発の全体像と成功に向けた道筋を解説します。
ERPを一度に完成させようとするウォーターフォール型の手法は、要件変更への対応力が低く、開発期間が長期化しがちです。一方、アジャイル開発は段階的なリリースを重視する手法であり、変化への柔軟な対応が求められるDX推進に適しています。
最初に全体像をざっくりと描き、スプリント単位で小規模な機能を実装・検証していくことで、現場のニーズと実際の運用状況をすり合わせながら開発を進められます。これにより、要件の擦り合わせミスを減らし、後戻り工数の削減が期待されるでしょう。
アジャイルの適用にはプロダクトオーナーやスクラムマスターの存在が重要で、チーム内の情報共有や意思決定スピードにも影響を与えます。こうした体制を整えることで、より実用的なERP開発が目指せるでしょう。
ERPシステムは会計、人事、在庫管理、販売など多岐にわたる業務を包括するため、全体を一体として開発すると構造が複雑化しやすくなります。これを避けるためには、機能単位でモジュールを分割し、各モジュールを独立して設計・実装・テストするアプローチが効果的といえます。
モジュールを設計することで、開発チームごとに並行作業がしやすくなり、リリース時のリスク分散にもつながるでしょう。また、特定のモジュールだけを改修・拡張しやすくなるため、運用後の改善フェーズにも柔軟に対応しやすくなります。
モジュール間のインターフェースは、事前に仕様を統一し、APIやデータ連携方式を標準化しておくことが重要です。このような構造化によって、保守性と拡張性の両面から効率的な開発体制を構築しやすくなります。
開発効率を追求するあまり、品質が犠牲になるケースは少なくありません。特にERPのような基幹システムでは、品質の低下が業務全体に影響を与えるため、検証プロセスの強化が不可欠といえます。そこで有効なのが、自動テストとコードレビューの徹底だといえるでしょう。
ユニットテストや統合テストを自動化し、機能追加や改修時に想定外の不具合が生じていないかを即時に確認しやすいといえます。また、コードレビューによって設計の妥当性や実装の品質を第三者の視点でチェックでき、属人性を排除した品質管理がしやすくなります。
これらの取り組みを継続的に実施すると、開発スピードと品質の両立を目指しやすくなり、導入後のトラブルを未然に防ぐ土台づくりにつながるでしょう。
フルスクラッチでERPを構築するには、多様なスキルセットが求められますが、自社の人的リソースだけではまかないきれないことも少なくありません。そのような場合は、外部の専門的な開発会社やコンサルティングファームをパートナーとして活用する選択肢も考えられます。
業界知見を有する外部チームに参画してもらうことで、自社の業務要件を深く理解しながら設計・開発を進めやすくなります。また、技術支援だけでなく、プロジェクトマネジメントやベンダーコントロール、ドキュメント整備などの支援を受けられる点も利点です。
ただし、依存度が高まりすぎると自社内にノウハウが蓄積されにくくなるため、要所では社内従業員をアサインし、協働体制の構築が求められます。このように外部リソースを柔軟に活用させ、プロジェクト成功への足がかりとなる場合があるでしょう。
ERPをフルスクラッチで開発するには、既存のパッケージ製品では対応しきれない複雑な業務や、独自の業務プロセスに対応するための特別な設計が求められます。その分、要件定義・設計・開発・テスト・運用に至るすべての工程において、細心の注意と戦略的なアプローチが必要になるでしょう。
ここでは、開発を成功に導くために押さえておくべき重要なポイントを4つに分けて具体的に解説します。
フルスクラッチ開発の成功は、業務要件をどれだけ正確に把握できるかにかかっています。ERPは、会計・人事・在庫・販売・購買など多岐にわたる業務を統合管理するシステムであるため、各部門ごとの業務フローを詳細に分析し、システム化するべき内容の明確化が出発点です。
この際、業務担当者とのヒアリングや実際の業務観察を通じて、形式的なフロー図では表現しきれない実態を掘り下げる必要があります。また、既存の課題や非効率な部分を洗い出し、将来の業務変化にも対応できるような要件設計を心がけることで、開発後の柔軟な運用が実現しやすくなります。
特に、定量的なKPIや業務パフォーマンスの可視化といった観点を取り入れることで、システムに求められる価値が一層明確になるでしょう。
フルスクラッチのERP開発では、システム部門だけで完結させようとすると、現場の業務実態と乖離したシステムになりやすくなります。そのため、現場担当者はもちろん、経営層を含む多様なステークホルダーを初期段階から巻き込むことが欠かせません。
経営層の視点では、全社的な戦略や中長期的なビジネス目標を反映したシステムであることが求められます。一方、現場からは実務に応じた操作性や業務フローの最適化が強く意識されるため、両者の視点をうまく融合させる調整力も重要です。
ワークショップ形式の要件定義や、部門横断型のプロジェクトチームの設置によって、関係者の合意形成を図りながら開発を進めていくと、完成後の運用定着もスムーズになります。
ERPは一度開発して終わりではなく、企業の成長や市場環境の変化に応じて機能追加や仕様変更が求められることも少なくありません。そのため、初期段階から拡張性や柔軟性を意識したアーキテクチャ設計が重要になります。
具体的には、機能をモジュール単位で構成し、それぞれが独立して開発・更新を行うと、部分的な改修や追加がしやすくなります。また、APIを活用して外部サービスとの連携を前提とした設計にすると、クラウドサービスや他の業務システムとの接続も容易になるでしょう。
さらに、データ構造や画面UIのカスタマイズ性にも配慮しておくことで、ユーザーごとの業務ニーズに柔軟に対応できるようになります。こうした設計思想が、将来的な再開発コストの抑制や業務変化への迅速な対応につながるでしょう。
フルスクラッチのERP開発は、長期にわたるプロジェクトになりやすく、関与するメンバーや工程も多岐にわたります。そのため、適切なプロジェクトマネジメント体制を構築し、進捗状況を常に可視化しておくことが成功のカギになります。
具体的には、WBS(作業分解構成図)を活用してタスクを明確化し、それぞれの工程に必要な人員・期間・成果物の定義が基本です。特に、要件の変更や仕様の曖昧さが後工程に影響を及ぼすことが多いため、早期段階での合意形成と文書化を徹底しておくことが重要といえます。
プロジェクト管理ツールの活用や、アジャイル開発の要素を取り入れることで、柔軟かつスピーディな対応が可能になります。

ERPのフルスクラッチ開発には、既製品にはない自社の強みや業務特性を反映できるという魅力があるでしょう。一方で、膨大な工数や高い技術力を要するため、明確な要件定義と綿密なプロジェクト設計が必要不可欠といえます。
業務内容の精査や関係者との連携、将来を見据えた柔軟なシステム設計、そして確実なプロジェクトマネジメントといった要素を押さえることで、フルスクラッチ開発の成功に近づくことができるでしょう。
自社の業務に最適化されたERPを実現したい場合は、これらのポイントを参考にしながら、自社に適したアプローチを検討してください。