Notionの情報一元管理を自動化!方法や活用術を解説
全般
ERP導入におけるROI(投資収益率)の基本概念から、計算方法・最大化するポイント・注意点をわかりやすく解説します。鹿島建設やゼネラルリンクの成功事例も紹介します。ROIを正しく評価し、ERP導入を成功につなげましょう。
企業がERP(基幹業務システム)を導入する際に重要な判断材料のひとつがROI(投資収益率)です。
ROIは投資した資金に対してどれだけの利益や効果を得られたかを示す指標で、ERPのような全社的システムではその影響が広範囲に及びます。ROIについて考える際は、単にコスト削減額や売上増加額だけでなく、業務の効率化による人員の再配置、生産性向上、意思決定スピードの改善なども含めて評価する必要があります。
本記事では、ROIの基本概念から計算方法、最大化のためのポイント、注意すべきリスク、さらに国内企業の改善事例までを詳しく解説します。ERP導入を検討中の方だけでなく、すでに運用中で効果を見直したい方にも役立つため、ぜひ参考にしてください。ROIを正しく評価し、ERP導入の成功につなげましょう。

ROI(Return on Investment/投資収益率)は、投資した資金に対してどれだけの収益や効果が得られたかを示す指標です。ERP導入の場面では、金銭的な効果だけでなく、業務効率化やリスク低減といった定量化が難しい効果も含めた評価が必要です。
ROIは導入の可否判断や、運用後の改善施策の優先順位づけにも役立ちます。ERPは全社的に業務フローを変えるため、効果の範囲が広く、ROIの算出方法や評価基準を明確にすることがプロジェクト成功の鍵となります。
ROIは、単なる費用対効果ではなく、企業価値向上への貢献度を示す指標です。ROIは「(投資による利益-投資額)÷投資額×100」で算出され、パーセンテージで表されます。この数値が高いほど投資効率が良いと判断されます。ERP導入では、売上増加やコスト削減といった直接的な効果に加え、以下の間接的な効果も評価対象です。
また、ROIは一時点だけでなく、時間の経過とともにどのように変化しているかを見ることが大切です。短期的な数値に一喜一憂せず、長期的な傾向の把握によって、より確かな経営判断が可能になるでしょう。
ERP導入によって得られる投資効果は多岐にわたります。例えば、部門ごとに分散していたシステムやデータを統合すれば、重複作業やデータ不整合が減少し、人的リソースをより付加価値の高い業務に振り向けられます。
また、リアルタイムで業務状況を把握できるため、在庫回転率の向上やリードタイムの短縮が可能です。
予算編成や業績管理が迅速かつ正確になることで、経営戦略の修正や新規事業への着手をスピーディーに行えるようになります。これらの効果はすべてROI向上に寄与し、投資回収のスピードを早める要因となり得るでしょう。データに基づいた客観的な分析が可能になり、属人に依存しない経営体制の構築につながります。
ROIを考えるうえで重要なのが投資回収期間です。これは、ERP導入によって得られる効果が投資額を上回るまでにかかる時間を指します。回収期間は企業規模、導入範囲、カスタマイズの度合いなどによって異なりますが、一般的には3〜5年程度が目安とされます。
短期回収を狙いすぎると、必要な機能を削ってしまい長期的な効率低下を招きかねません。一方で、回収が長期化しすぎると、他の投資機会を逃すリスクが高まります。
したがって、初期段階で期待効果と投資額のバランスを見極め、現実的な回収計画を立てることが不可欠です。また、回収期間中も定期的に効果を測定し、必要に応じて運用改善を行うことで、計画通りの回収を実現できるでしょう。
ERPのROIを計算する際は、単純に「導入によって得られた金額的効果」から「導入にかかった費用」を差し引き、それを投資額で割って算出します。数式にすると、ROI=(効果額-投資額)÷投資額×100です。
ただし、ERPは全社的な業務プロセスに影響を与えるため、効果額には直接的な数値効果と間接的な効果の両方を含める必要があります。直接的な効果には、業務時間短縮による人件費削減や在庫圧縮による資金効率改善が挙げられます。間接的な効果は、意思決定の迅速化による機会損失の回避、コンプライアンス対応の効率化などです。
さらに、計算時には対象期間を明確にしておくのがポイントです。ERPは導入初期に効果が顕著に表れる部分と、数年運用して初めて見えてくる改善効果があるため、評価タイミングを複数設定するとより正確なROIを把握できます。

ERPは導入がゴールではありません。継続的な活用と改善によって、ROIを向上させていきましょう。
ERP導入のROIを高めるためには、単にコストを減らすだけでなく、効果の最大化に直結する取り組みが必要です。具体的には以下のようなポイントを意識して取り組みましょう。
ここではERPのROIを最大化するポイントを解説します。
導入段階では、必要な機能と将来必要になる可能性のある機能を切り分け、最小限の構成で稼働を開始することが有効です。不要なカスタマイズを避け、標準機能で対応できる部分はできる限り活用します。
ベンダー選定では、複数社の見積もりを比較し、価格だけでなくサポート体制や導入実績も評価しましょう。契約形態によっても初期負担は変わるため、買い切り型・サブスクリプション型のどちらが自社に適しているかを慎重に検討します。初期投資を抑え、ROIの分母を小さくするため、投資回収期間の短縮が期待できるでしょう。
ERPは全社的に使われることで効果を発揮します。部署単位や特定業務のみの活用では、情報の分断や効果の限定化が起こりがちです。そのため、導入時には各部門のキーユーザーを選定し、システムの使い方や目的を共有する研修を実施します。
また、現場からの改善提案を取り入れながら運用ルールを整備すれば、全社的な活用度を高められます。利用率や活用度を定期的にモニタリングし、低下傾向が見られた部門には重点的にフォローすることもROI向上に有効です。全社的な情報共有と業務プロセスの標準化により、組織全体の生産性が底上げされます。
ROIは導入後に一度計算して終わりではなく、定期的に測定し改善していくことも大切です。半年〜1年ごとに効果を測定し、計画との差異を分析します。その結果をもとに、運用フローの見直しや追加機能の活用など改善策を実施します。
また、経営陣や現場へ効果を可視化して共有することで、システム活用の意識向上にもつながるでしょう。こうした継続的な改善サイクルを回していければ、ROIは長期的に安定して向上します。このPDCAサイクルが、ERPを単なるツールから企業の成長を支える戦略資産へと変えるポイントです。
ROIは理論や計算方法だけでなく、実際の企業がどのように改善を実現したのかを知ることで理解が深まります。ここでは、ERP導入や運用改善によってROIを向上させた、以下の国内企業の事例を2つ紹介します。
それぞれの事例では、課題の背景、導入・改善の取り組み内容、そして得られた成果を具体的に紹介しているので、自社の計画や改善活動の参考として活用してください。
鹿島建設株式会社は、全国の工事現場や本社で発生する膨大な書類の管理・共有を効率化するためにERPを導入しました。それまでは紙ベースでのやり取りが多く、情報共有に時間と手間がかかっていましたが、ERPによる文書管理の一元化で年間100万枚以上の紙書類を削減しました。
これにより、印刷費や保管スペースのコスト削減に加え、必要な情報を即座に検索・共有できる環境が整い、業務スピードが向上しています。現場と本社の間での情報のやり取りがリアルタイムになったことで、意思決定が早まり、工事計画の最適化やリスク対応の迅速化も実現できています。こうした効果が積み重なり、導入後のROIは改善していると言えるでしょう。
出典参照:年間100万枚の書類を削減し、ペーパーレス化を実現。 システム研修もWEB会議ツールを活用してフルリモートで実施。|株式会社ワークスアプリケーションズ
株式会社ゼネラルリンクでは、従来の月次決算業務に多くの時間と人的リソースがかかっていました。経理担当者が複数のシステムからデータを集め、手作業で集計・確認を行っていたため、月次締め処理が長期化し、経営層への報告も遅れがちでした。
ERP導入後は、販売・購買・会計データがリアルタイムで統合され、決算処理の自動化が進んでいます。その結果、月次決算の所要日数は従来より約3営業日短縮され、付加価値の高い業務に時間を割けるようになりました。これにより、業務効率化による人件費削減と経営判断の迅速化が同時に実現し、ROIが改善したといえます。
また、リモートワークのように多様な働き方を実現できたのも、ERP導入の効果です。
出典参照:グループ会社管理の効率化を目的にグループ11社で導入。月次決算の早期化にも寄与。|株式会社マネーフォワード
ROIは投資判断や改善施策の優先順位づけに有効な指標ですが、その数値だけを鵜呑みにすると誤った意思決定につながる恐れがあります。ERPのように影響範囲が広いシステムでは、算出方法や評価期間の設定次第で結果が変わるため、正しく運用するための注意点を押さえておきましょう。
特に以下のような点に注意が必要です。
ここでは、特に留意すべき3つのポイントを解説します。
ERP導入直後は、効果の一部しか数値に表れないことがあります。例えば、業務フローの改善やデータの蓄積による分析精度の向上といった効果は、半年から数年かけて徐々に現れるのが一般的です。
短期的なROIだけを見て投資の可否を判断すると、長期的な成長の芽を摘んでしまう可能性があります。評価は中期スパン(3〜5年)で行い、初期はマイナスでも将来的にプラス転換する見込みがあるかを確認することが大切です。
特に、経営判断のスピードアップやリスク管理の強化といった間接的なメリットは、数値化しにくいため見落とされがちです。これらの非財務的な効果も評価に含めることで、投資の真の価値を捉えられます。
ROIの計算に使う経費とリターンは、定義を曖昧にすると比較ができなくなります。例えば、経費に教育コストや外注費を含めるか、リターンに間接的効果を入れるかなど、事前にルールを決めておきましょう。
また、ERPの場合は業務効率化による時間削減がリターンのひとつですが、この時間削減が実際に人件費削減や追加売上に結びつくのかまでを検討すると、より現実的なROI算出が可能になります。
曖昧な定義のまま進めると、プロジェクトの途中で評価基準が変わり、関係者のモチベーション低下を招きかねません。モチベーションが低下してしまうと、ERPのROI向上への意識が薄らいでしまいます。ROI向上のためには、共通認識を持つことが成功の第一歩です。
ROIの信頼性は、元となるデータの精度に依存します。誤ったデータや古い情報に基づいて計算したROIは、意思決定を誤らせる原因となります。ERPはリアルタイムでデータを更新できる強みがありますが、その効果を発揮するには入力ルールの徹底やデータクレンジングの仕組みが不可欠です。
定期的にデータ品質を監査し、システム上で不整合や遅延がないか確認すれば、ROIの算出精度を維持しやすくなります。全従業員がデータ入力の重要性を理解し、正確なデータを継続的に入力する文化の醸成が、精度の高いROI算出とシステム活用の両面で不可欠となります。正確なデータ入力の文化が根付かなければ、ERP導入の効果も十分に発揮されません。

ERP導入の効果を正しく評価するためには、ROI(投資収益率)を活用し、投資額と得られる成果のバランスを客観的に把握することが不可欠です。ROIは単なる数値指標ではなく、業務効率化や意思決定の迅速化、生産性向上といった経営の質を高める取り組みの成果を測るためのツールでもあります。
特にERPは導入範囲が広く、効果が複数部門にまたがるため、短期的なコスト削減だけでなく、中長期的な利益や業務改善を含めて評価する視点が必要です。
ROIの基本概念や計算方法、最大化のためのポイント、実際の改善事例、注意点を踏まえて、導入効果の可視化と継続的な改善サイクルの構築につなげましょう。