バックオフィスDXにセキュリティは必要?基本の対策やステップを解説
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経理DXの推進にERPの活用は欠かせません。本記事ではERP導入がもたらすメリットから、自社に適切な製品の選び方を比較ポイントとともに解説します。プロジェクトを成功に導く5つのステップ、国内企業の成功事例など、経理DXの実践的な情報を紹介します。
「月末月初の残業」「頻繁な法改正への対応」「山積みの紙書類」は多くの企業が抱える経理業務の課題点と言えます。解決しようにも従来のやり方では限界があり、企業の成長を妨げる要因になりかねません。そこで企業の助けとなるのが、ERP(エンタープライズリソースプランニング)を核とした経理DX(デジタルトランスフォーメーション)です。
本記事では、ERPがもたらす業務効率化やコスト削減などのメリットから、データに基づいた迅速な経営判断を実現する方法や失敗しないための導入ステップ・製品選定のポイントまでを網羅的に解説します。国内企業の成功事例も交え、経理業務を変革し、未来の経営基盤を築くための実践的な方法を紹介します。

少子高齢化による人手不足や働き方改革の推進に加え、電子帳簿保存法やインボイス制度などの法改正への対応で、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。このような状況下で、従来のやり方に固執した経理業務は、企業の成長を妨げる要因になりかねません。
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なる業務効率化に留まらず、企業の競争力を高め、持続的な成長を支える経営基盤を構築するために不可欠です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とデジタル化は、しばしば混同されがちですが、その本質は大きく異なります。デジタル化は紙媒体の情報をデータに置き換えるなど既存の業務を部分的に効率化する手段です。これに対しDXは、デジタル技術を前提として業務プロセス全体、さらにはビジネスモデルそのものを根本から変革し新たな価値を創出する取り組みを指します。
例えば請求書をスキャンして保存するのはデジタル化ですが、その後の仕訳入力から承認・振り込み・保管までを一気通貫で自動化し、捻出した時間で経営分析を行うことはDXです。経理DXが目指すのは、単に楽をすることではなく、業務のあり方そのものを再構築して、企業経営へ積極的に貢献する点にあります。
多くの企業では、月末月初の業務集中や手作業による入力ミス、紙の書類を中心とした非効率な業務フローなどの課題を抱えています。また、特定の担当者しか業務内容を把握していない属人化は、業務停滞のリスクを常に抱えている状態です。こうした課題は、日々の業務を圧迫するだけでなく、経営状況の正確な把握を遅らせる原因にもなります。
経理DX(デジタルトランスフォーメーション)は、これらの普遍的な課題に対する有効な解決策です。ERP(エンタープライズリソースプランニング)やRPA(ロボティックプロセスオートメーション)などのツールを活用することで、定型業務の自動化やペーパーレス化を実現し、業務プロセスを標準化できます。
ERP(エンタープライズリソースプランニング)を導入し経理DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進することは、企業に多くの恩恵をもたらします。それは単なる業務の置き換えではなく、経営基盤そのものを強化する変革です。
日々の定型業務を自動化し、従業員が付加価値の高い仕事に集中できる環境を整えます。結果として、コスト削減や生産性向上はもちろんのこと、内部統制の強化や迅速な経営判断にも繋がり、企業の競争力を格段に高めることが可能です。
ERP(エンタープライズリソースプランニング)導入によるメリットは、業務効率の向上です。これまで手作業で行っていた伝票の起票や仕訳入力、複数システムへのデータ転記などの定型業務を自動化できます。これにより経理担当者は単純作業から解放されます。
そして、空いた時間を資金繰りの計画や予算実績の分析、経営層へのレポーティングなど、より戦略的で付加価値の高い業務に充てることが可能です。単に作業時間を短縮するだけでなく、経理部門全体の生産性を高め、企業の収益向上に直接貢献する専門家集団へと進化させることができます。日々の業務に追われる状況から脱却し、攻めの経理を実現します。
経理業務の効率化は、人件費や運用費などの間接コストの削減に直結します。ERP(エンタープライズリソースプランニング)で定型業務を自動化すれば、これまでかかっていた残業時間を削減可能です。また、ペーパーレス化が進むことで紙代や印刷代や書類の保管スペース、郵送費などの物理的なコストも不要になります。
さらに、会計、販売管理、在庫管理など、部門ごとに独立していた複数のシステムをERPに統合することが可能です。これにより、各システムのライセンス費用や保守運用にかかっていたコストを一元化し、全体として大きく圧縮できます。これらのコスト削減効果は、企業の利益率改善に直接的なインパクトを与えます。
人の手による作業には、どうしても入力ミスや計算間違い、二重計上などのヒューマンエラーがつきものです。ERP(エンタープライズリソースプランニング)を導入すると、システムがデータを自動で連携し、入力規則の徹底やチェック機能が働くため、こうした人的ミスを根本から防ぐことが可能になります。これは、内部統制の強化という観点からも重要です。
システム上で厳密な権限を設定したり、承認フローを電子化して記録を残したりすることで、不正行為を未然に防止します。操作ログも全て記録されるため、いつ誰がどのような処理を行ったかが明確になり、業務の透明性が格段に向上します。企業の信頼性を高める上で不可欠な要素です。
特定のベテラン社員しか業務の進め方を知らない「属人化」は、多くの企業で問題となっています。その担当者が退職や休職をした際に業務が滞るリスクを抱えている状態です。ERP(エンタープライズリソースプランニング)の導入は、この属人化を解消する有効な手段となります。システムに沿って業務を行うことで、業務プロセスの標準化により、担当者が変わっても同じ品質で業務を遂行可能です。
これにより、業務の引き継ぎがスムーズになり、組織全体の安定性が向上します。また、業務マニュアルの整備も容易になり、新入社員の教育コストを削減する効果も期待できます。誰もが対応できる体制を築くことは、事業の継続性を確保する上で欠かせません。
ERP(エンタープライズリソースプランニング)は、社内に散在していた会計・販売・購買・在庫などの経営データを一元的に管理します。従来であれば、各部署からデータを集めてExcelなどで加工する必要があり、経営状況の把握に時間がかかっていました。
しかし、ERPを導入すれば、必要な情報をリアルタイムに、かつ正確に把握できます。多くの製品には、データを可視化するダッシュボード機能が搭載されており、経営層はいつでも業績や資金繰りの状況を確認できます。これにより、市場の変化やビジネスチャンスを素早く捉え、データに基づいた的確な経営判断を下すことが可能です。勘や経験だけに頼らない、データドリブンな経営への転換を実現します。
近年、電子帳簿保存法やインボイス制度など、経理業務に関連する法改正が頻繁に行われています。これらの法制度に自力で対応するには、情報収集やシステムの改修に多大な時間とコストがかかるでしょう。
クラウド型のERP(エンタープライズリソースプランニング)を導入すれば、法改正があるたびにシステムがアップデートされるため、企業側は特別な対応をすることなく、自動的に新しい法制度に準拠できます。
これにより、法対応の遅れによる追徴課税などのリスクを回避し、コンプライアンスを遵守した健全な企業経営の維持が可能です。担当者の負担を軽減し、本来の業務に集中できる環境を確保します。

経理DX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させるためには、やみくもにツールを導入するのではなく、計画的かつ段階的にプロジェクトを進めることが不可欠です。
まず自社の課題を正確に把握し、導入目的を明確に定めることから始めます。そして、その目的を達成するための業務範囲を決定し、適切な製品を選び抜かなければなりません。導入後も、効果を測定し改善を続けることで、ERP(エンタープライズリソースプランニング)を真に経営に活かすことが可能です。
ERP(エンタープライズリソースプランニング)導入の初めのステップは、現状の業務プロセスを詳細に分析し、課題を洗い出すことです。経理担当者や関連部署の従業員へヒアリングを行い、「月末月初の残業が多い」「手作業による入力ミスが頻発する」「経営判断に必要なデータがすぐに出てこない」などの具体的な問題点をリストアップします。
次に、それらの課題を解決した先にどのような状態を目指すのか、導入目的を明確に設定することが重要です。例えば「月次決算を5営業日短縮する」や「請求書処理の作業時間を50%削減する」など、具体的で測定可能な目標を立てましょう。この目的がプロジェクト全体の羅針盤となります。
目的が明確になったら、それを達成するためにDX(デジタル・トランスフォーメーション)化する業務の範囲(スコープ)を具体的に決定します。全ての業務を一度に変えようとすると、現場の混乱を招き失敗のリスクが高まります。「請求書発行から入金消込まで」や「経費精算プロセスの電子化」のように、優先順位をつけて対象範囲を絞り込むことが成功のポイントです。
次にその業務範囲で、新しいシステムに求める機能や性能を「要件」として詳細に定義していきます。「電子帳簿保存法のスキャナ保存要件に対応できること」など、具体的な要件をリスト化することで、後の製品選定の客観的な評価基準となります。
作成した要件定義書をもとに、自社に適切なERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)製品と、導入を支援するベンダーを選定します。製品の機能が要件を満たしているかはもちろん、将来の事業拡大にも対応できる拡張性や、他のシステムとの連携のしやすさも比較検討しましょう。また、製品そのものだけでなく、ベンダーの選定も極めて重要です。自社の業界・業種に対する深い知見や、豊富な導入実績があるかを確認します。
そして、導入後のサポート体制が手厚いかどうかも見極めるべきポイントです。複数のベンダーから提案や見積もりを取り、実際の操作感をデモで確認してから、長期的なパートナーとして信頼できる一社を選びましょう。
導入する製品とベンダーが決まったら、実際の導入プロジェクトが始まります。ここで重要なのは、一度に全部門へ展開するのではなく、特定の部署や業務領域から小さく始める「スモールスタート」を心掛けることです。例えば、まずは経理部内の経費精算業務から導入し、その効果と課題を検証した上で会計システム全体へ、そして他部門へと段階的に対象を広げていくアプローチが有効です。
これにより、万が一トラブルが発生した際の影響を軽減できます。また、導入と並行して、従業員向けの操作説明会を丁寧に実施したり、分かりやすいマニュアルを整備したりすることも不可欠です。新しいシステムへの移行をスムーズに進めるための支援が、DX(デジタルトランスフォーメーション)の成否を分けます。
ERP(エンタープライズリソースプランニング)は、システムを導入して稼働させれば完了というわけではありません。むしろ、ここからが本当のスタート地点です。導入前に設定した「残業時間の削減」や「決算の早期化」などの目標が実際にどの程度達成されたのかを定期的に測定し、その効果を客観的に評価することが大切です。もし目標と実績に乖離がある場合は、その原因を分析します。
例えばシステムの特定の機能が十分に活用されていない、あるいは業務プロセス自体にまだ改善の余地がある、などの点を探ります。このような効果測定と分析のサイクルを回し、継続的に業務改善に取り組むことで、DX(デジタルトランスフォーメーション)の効果を向上させることが可能です。
適切なERP(エンタープライズリソースプランニング)を選び抜くことは、経理DX(デジタルトランスフォーメーション)の成否を分ける重要なプロセスです。市場には多種多様な製品が存在し、それぞれに特徴や強みが異なります。
そのため、機能やコストなどの表面的な情報だけで判断するのではなく、提供形態やサポート体制、将来性までを視野に入れた視点での比較検討が不可欠です。自社の課題解決と成長戦略に貢献するパートナーとしてのERPを見極めていきましょう。
ERP(エンタープライズリソースプランニング)の提供形態は、大きくクラウド型とオンプレミス型に分類されます。オンプレミス型は自社内にサーバーを設置してシステムを構築するため、セキュリティポリシーに合わせた柔軟なカスタマイズが可能です。しかし、高額な初期投資と専門知識を持つ保守担当者が必要になります。
一方、クラウド型はベンダーが管理するサーバー上のシステムをインターネット経由で利用する形態です。初期費用を抑えて迅速に導入でき、法改正にも自動で対応してくれる点が魅力です。自社のIT人材や予算や求めるカスタマイズの自由度などを総合的に考慮し、どちらの形態が経営戦略に適しているか慎重に判断する必要があります。
ERP(エンタープライズリソースプランニング)と一括りにしても、製品によって搭載されている機能は千差万別です。まず、自社の経理業務を棚卸しして会計管理や債権債務管理・固定資産管理・経費精算など、どの範囲までをシステムでカバーしたいのかを明確にする必要があります。
その上で、検討している製品の標準機能でどこまで対応できるか、不足する機能はオプションで追加可能かを確認します。特に、業界特有の商習慣に対応できる機能があるかは重要なチェックポイントです。また、現在は必要なくても将来的な事業拡大を見越した拡張性や、給与計算や販売管理などの他システムとの連携がスムーズに行えるかも、長期的な視点で確認しておきましょう。
ERP(エンタープライズリソース・プランニング)の導入を検討する際には、初期費用である導入コストだけでなく、月額利用料や保守費用などのランニングコストまで含めた総費用を把握することが不可欠です。複数の製品から見積もりを取得し、長期的な視点でコストを比較検討しましょう。
ただし、単に価格の安さだけで選ぶべきではありません。重視すべきは、ROI(投資対効果)です。「導入によってどれだけの業務時間が削減され、人件費が抑制できるか」「生産性向上によってどれだけの利益貢献が見込まれるのか」などです。これらのリターンを具体的に試算し、支払うコストに見合う、あるいはそれを上回る価値が得られるかどうか、冷静な評価が重要となります。
ERP(エンタープライズリソースプランニング)は一度導入すれば終わりではなく、長期間にわたって利用する経営基盤です。そのため、提供元であるベンダーのサポート体制は製品の機能以上に重要かもしれません。導入時の手厚い支援はもちろん、稼働後に発生する疑問やトラブルに対して迅速に対応してくれる窓口があるか、法改正に関する情報提供は適切に行われるかなど具体的なサポート内容を事前に確認しておきましょう。
加えて、そのベンダーが自社と同じ業界・業種でどれだけの導入実績を持っているかも、信頼性を測る指標となります。豊富な実績を持つベンダーは業務への理解が深く、的確な提案や質の高いサポートが期待できます。
ERP(エンタープライズリソースプランニング)の導入は、実際に多くの企業で劇的な業務改善を実現しています。ここでは、さまざまな課題を抱えていた国内企業が、クラウド型会計システムなどを活用して経理DX(デジタルトランスフォーメーション)を成し遂げ、具体的な成果を上げた事例を3つ紹介します。
これらの事例から、自社の課題解決に繋がるヒントや、ERP導入がもたらす未来像を具体的にイメージすることが可能です。
決済代行サービスを提供するSMBC GMO PAYMENT株式会社は、紙の請求書や契約書の処理に多くの時間を費やしていました。印刷や押印、ファイリングなどの手作業が業務を圧迫し、リモートワークへの移行も困難な状況でした。そこで同社は、クラウド型会計システムの導入を決断します。
請求書発行や経費精算プロセスを電子化し、ペーパーレス化を強力に推進しました。その結果、これまで数日を要していた請求書発行業務は短縮され、紙の管理にかかっていたコストも削減されました。承認プロセスも全てオンラインで完結できるようになり、場所に縛られない効率的な働き方を実現しています。
出典参照:紙伝票の業務をほぼゼロに。ペーパーレス化と業務効率化を実現。|株式会社マネーフォワード
ランサーズ株式会社では、紙ベースでの稟議や請求書の承認プロセスが課題でした。承認印をもらうためだけに出社が必要な状況は、リモートワークの推進を妨げ、担当者の大きな負担となります。そこで同社は、ワークフロー機能を備えたクラウド型会計システムを導入し、各種申請から承認までの一連のプロセスを電子化しました。
これにより、出社せずともオンラインで承認が完結できるようになり、経理部門全体で月に約30時間の工数削減を達成しました。意思決定のスピードが向上し、ペーパーレス化によって内部統制が強化されるなど、多くの副次的な効果も生み出しています。
出典参照:紙ベースでの業務から脱却。業務効率化とペーパーレス化により、業務時間の30%以上を削減|株式会社マネーフォワード
JPロジスティクスグループでは、会計システムのデータ連携が課題でした。特に、販売管理システムから会計システムへの仕訳データ入力は手作業で行われており、多くの工数と入力ミスのリスクを抱えていました。同社は、API連携機能を持つクラウド型会計システムを導入することで、この課題を解決します。
販売管理システムのデータを自動で取り込み、仕訳を自動生成する仕組みを構築しました。その結果、これまで担当者が手作業で行っていた入力業務がなくなり、月に15時間の工数削減に成功しました。データの正確性も向上し、月次決算の早期化にも大きく貢献するなど、業務品質の向上を実現しています。
出典参照:3か月の短期間で導入。クラウド化によりリモートワークも実現|株式会社マネーフォワード

変化の激しい時代で、経理業務の変革は企業の持続的成長に不可欠です。本記事で解説してきたとおり、ERP(エンタープライズリソースプランニング)は単なる業務効率化ツールではありません。コスト削減や生産性向上、データに基づいた迅速な経営判断を可能にする、まさに経営基盤そのものです。
まずは自社の課題を洗い出し、DX(デジタルトランスフォーメーション)によって何を実現したいのか、その目的を明確にすることから全ては始まります。紹介した導入の進め方や選定ポイント、そして成功事例が、未来の経営を支える強固な土台を築くための一助となれば幸いです。