バックオフィスDXにセキュリティは必要?基本の対策やステップを解説
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総務部門のペーパーレス化は、コスト削減や業務効率化だけでなく、リモートワーク推進やリスク低減に不可欠です。この記事では、総務DXによるペーパーレス化のメリット、成功事例、導入のポイントを解説します。ペーパーレス化に取り組めば多様な働き方が実現可能です。
近年、企業の働き方は大きく変化しており、総務部門にも効率化や生産性向上が強く求められるようになっています。その中で注目を集めているのが総務DXによるペーパーレス化です。
従来の紙中心の業務は、保管コストや管理負担の増加、さらには情報共有の遅れやリモートワークへの非対応など、多くの課題を抱えていました。これらの問題を解決し、業務をスムーズに進めるための手段として、ペーパーレス化の推進が重要です。
この記事では、総務部門が抱える課題とペーパーレス化によるメリット、具体的な導入ステップや事例をわかりやすく解説します。総務部門のDXを検討している場合は、ぜひ参考にしてください。特に、実際の企業事例を知ることで導入後の具体的なイメージがつかめ、社内での検討や社内の理解を得る材料としても役立つでしょう。

総務部門は、企業全体の円滑な運営を支える基盤的な役割を果たしています。備品の管理、契約書の保管、社内申請の受付、制度変更への対応など、その業務は多岐にわたります。
紙を前提とした従来型の業務プロセスを続けていると、効率性や柔軟性に限界が見え始め、現代のビジネス環境への適応が困難になりかねません。
ここでは書類管理にかかる保管や情報共有の遅れなど、総務部門が直面する代表的な4つの課題を詳しく見ていきましょう。
総務部門が抱える最大の課題のひとつが保管コストです。契約書や稟議書、就業規則や各種規程集、労務関連の申請書などはすべて法定保存期間が定められており、一定期間の保存が必要です。特に大企業になると、紙の契約書だけで年間数万件単位の文書が発生し、オフィスのキャビネットや外部倉庫に大量に保管する必要があるでしょう。
この保管スペースの確保にかかる費用は決して小さくありません。例えば、三井倉庫ビジネスパートナーズが提供する「スマート書庫」では、1箱あたり月額100円で文書を保管できます。書類を入れた箱が3,000箱に達すると、年間で約360万円の保管コストが必要になる計算です。このように数千箱規模になると、年間数百万円のコストが発生します。
さらに、保管コストは単に倉庫代だけではなく、文書を探し出すための人件費や輸送コストも含まれます。特定の契約書を取り寄せるのに時間がかかることも珍しくなく、業務スピードを阻害しかねません。
出典参照:出典参照:料金|三井倉庫ビジネスパートナーズ株式会社
情報共有の遅れも深刻です。紙に依存した情報管理では、必要な書類がオフィスにしか存在しないため、他拠点やリモートワーク中の従業員はアクセスできません。その結果、担当者に直接問い合わせなければならず、業務が属人化しやすいでしょう。
例えば、過去の契約条件を確認したい営業担当者がいても、総務部門の担当者が出社してキャビネットを探さない限り情報にアクセスできません。これではスピード感が求められる現代のビジネスに対応できず、意思決定の遅れにつながります。
また、紙ベースではナレッジの蓄積が阻害されます。組織全体で共有されるべき業務知識が、特定の担当者や部署に閉じたままになり、同じ失敗や非効率が繰り返されてしまうでしょう。
制度変更や法令改正に対して迅速に対応できないのも課題です。社会保険制度や税制改正、労務関連の規程は頻繁に更新されますが、紙の資料を前提にすると、その差し替えや配布に時間がかかってしまうでしょう。
例えば、就業規則を改定する場合、全従業員に紙で配布し、古い版を回収する必要があります。このプロセスは多くの工数がかかるうえ、配布が完了する前に従業員が古い規程を参照してしまうリスクも存在します。こうした状況は、誤った手続きや法令違反につながり、企業に不利益をもたらしかねません。
さらに、紙の管理では「最新がどれか」を見分けにくいという問題もあります。改定版が複数存在し、担当者ごとに異なるバージョンを持っていると、業務の整合性が取れづらくなるでしょう。
コロナ禍以降、多くの企業がリモートワークを導入しましたが、総務部門では紙の申請フローが障害となりました。出張申請や稟議承認、備品購入の依頼など、紙の申請書に押印して回覧する仕組みでは、出社しなければ業務が進みません。
そのため、リモートワーク中の従業員は申請のためだけに出社する必要があり、柔軟な働き方を実現しづらいでしょう。承認者が出張や不在の場合、申請が滞って業務全体が遅れることもあります。これでは、せっかくのリモートワーク環境が形骸化してしまい、従業員の不満や離職リスクにもつながりかねません。
また、紙フローは透明性にも欠けます。進捗の把握が困難な結果、業務が属人化し、意思決定のスピードが落ちてしまうでしょう。
総務部門におけるペーパーレス化は、単に紙を減らすための施策ではありません。書類の管理や承認の効率化、コストの最適化、働き方の柔軟性の確保など、企業全体に大きな影響を与える変革です。
総務DXの一環としてペーパーレス化を進めることで、従来はコストや時間、場所に縛られていた業務が解放され、総務部門がより戦略的な役割を担えるようになるでしょう。ここでは、特に大きな効果をもたらす4つのメリットを詳しく見ていきましょう。
紙の書類を保管するには膨大なスペースが必要です。契約書や規程類、稟議や勤怠関係の記録は、法定保存期間に基づき数年から十数年単位で保管しなければならず、キャビネットに収まりきらなくなれば外部倉庫を借りる必要が生じてしまうでしょう。倉庫費用は長期にわたって積み重なり、企業にとって恒常的なコスト負担となります。
ペーパーレス化により文書を電子化すれば、保管スペースは不要になります。クラウドに保存することで、物理的な場所を占有せず、必要に応じて即座にアクセス可能です。これにより、オフィス内のキャビネットや倉庫を削減できるだけでなく、その分の賃料や維持費も削減できるでしょう。さらに、探す手間や人件費といった「隠れコスト」も減少し、総合的なコスト削減が期待できます。
紙の申請フローでは、申請書を印刷して押印し、上司に回覧する必要がありました。そのため、承認者が不在だと手続きが滞り、業務が停滞することも珍しくありません。リモートワーク環境下では、紙のフローはさらに非効率さを増し、在宅勤務中の従業員が申請のために出社せざるを得ないといった矛盾も発生していました。
電子ワークフローを導入すれば、申請から承認までをオンライン上で完結できます。申請者はシステムに入力して送信するだけで、承認者に通知が届き、スマートフォンやPCから承認が可能です。これにより、物理的な場所に縛られず、在宅勤務や出張先でも手続きを進められます。
さらに、承認状況をリアルタイムで確認できるため、申請がどこで止まっているのかを判断しやすいのもメリットです。
紙の書類は、火災・水害・地震といった災害時に弱い媒体です。一度消失すれば復元できず、重要な契約書や社内規程が失われれば、事業継続に深刻な影響を与えます。日本は自然災害が多い国であるため、災害リスクへの対策も欠かせません。
クラウドに文書を保存しておけば、物理的なリスクから解放されます。データセンターは堅牢な設備と冗長化されたシステムを備えており、バックアップも複数拠点で管理されています。そのため、万が一災害が発生しても、迅速にデータを復旧できるでしょう。
さらに、クラウド上の文書はアクセス権限を設定できるため、不正利用や情報漏えいを防ぎつつ、必要な人だけが利用できます。監査ログも自動的に残るため、内部統制の強化にもつながるでしょう。
紙の書類を探すのにかかる時間は、業務効率を圧迫する要因です。キャビネットを開けてファイルを探し、必要なページを見つける作業は、数分から数十分かかることもあります。大量の書類を扱う総務部門では、この積み重ねがロスにつながります。
ペーパーレス化で電子化された文書は、検索機能を使ってすぐに見つけられるでしょう。契約日や取引先名、キーワードなどで抽出でき、担当者が変わっても誰でも同じ条件で検索可能です。属人化が解消され、業務の標準化にもつながります。
さらに、電子化された文書は部署を超えて共有しやすくなります。経理や法務、人事などが同じデータベースにアクセスできることで、部門間の連携が強化され、情報共有もスピーディになるでしょう。
総務部門におけるペーパーレス化は、単にシステムを導入すればすぐに成功するものではありません。現状の業務フローを見直し、明確な目標を設定し、導入後も定着させる仕組みを作る必要があります。特に総務DXの一環として進める場合、単なる効率化にとどまらず、組織全体の変革につながる施策にしましょう。
ここではKPI設定やスケジュール管理など、ペーパーレス化を成功に導くために欠かせない3つのポイントを解説します。
ペーパーレス化の第一歩は、現状の業務フローを徹底的に分析することです。契約書や稟議書、勤怠関連書類など、どの業務でどれだけ紙を使用しているかを可視化し、コストや工数を数値化します。例えば、紙の印刷費用や郵送費、保管コスト、人件費を算出すれば、ペーパーレス化で削減可能なコストが明確になります。
分析結果をもとに、改善の優先順位をつけていきましょう。例えば「契約書管理は更新期限のリスクが大きいので最優先で電子化する」といった例が挙げられます。
次に、目標とKPIを設定します。単に「紙を減らす」ではなく、「印刷費を年間30%削減する」「稟議承認の平均日数を3日から1日に短縮する」など、測定可能な数値設定が目標とKPI設定のポイントです。
目標を定めたら、次は導入計画を策定します。いきなり全社的に導入するのではなく、影響範囲の大きい部門や業務から段階的に進めるのが現実的です。たとえば、まず契約書や稟議フローを電子化し、その後、勤怠管理や備品申請などに拡大するといったステップが考えられます。
導入計画では「誰が」「いつまでに」「どの範囲で」ペーパーレス化を実施するのかを明確にし、ロードマップを作成しましょう。また、予算やシステム選定、ベンダーとの調整も含めてスケジュールを管理する必要があります。無理のないスケジュールを組むことで、現場に負担をかけずに進められるでしょう。
さらに、導入効果を定期的に検証し、必要に応じて計画を修正する柔軟性も備えておくのもポイントです。
システムを導入しただけでは、ペーパーレス化は定着しません。従業員が新しい仕組みを理解し、日常業務の中で使いこなせるようになることが不可欠です。そのためには、導入初期から社内教育を実施しましょう。
教育は単なる操作説明にとどまらず、なぜペーパーレス化を行うのか、その背景や目的を共有することも含まれます。従業員が「コスト削減のためだけ」ではなく「業務効率化や柔軟な働き方実現のため」と理解すれば、積極的に取り組む姿勢につながりやすいでしょう。
教育の方法としては、集合研修やオンライン研修、マニュアルや動画教材の提供などが考えられます。また、現場の質問にすぐ答えられる社内サポート体制を整えることも大切です。

ペーパーレス化を推進するうえで欠かせないのが、適切なシステムの導入です。紙中心の業務をデジタル化し、業務フローを効率的に進めるためには、契約書の電子化や稟議のワークフロー化、請求書処理の自動化などを支援するシステムを活用する必要があります。
ペーパーレス化を実現させるシステムは多種多様であり、自社の課題に合ったものを選ばなければ十分な効果を得られない恐れがあるでしょう。ここでは、総務部門がペーパーレスを実現するうえで特に有効な3つのシステムを紹介します。
X-point Cloudは、ワークフローシステムとして多くの企業で利用されているクラウドサービスです。特徴は紙に近い入力画面で、ユーザーが従来の申請書や稟議書の感覚で直感的に操作できる点です。一般的なワークフローシステムは入力フォームが複雑になる傾向があります。一方、X-point Cloudは実際の紙フォーマットをそのまま再現できるため、導入初期から現場に受け入れられやすいメリットが期待できるでしょう。
また、稟議や申請の承認フローを柔軟に設定でき、承認者にはリアルタイムで通知が届きます。これにより、承認業務の滞留を防ぎ、申請から決裁までのスピード向上が期待できるでしょう。さらに、承認履歴や回覧状況はすべてクラウド上に記録されるため、監査対応や内部統制の強化にも役立ちます。
契約書業務を効率化する代表的なツールが、弁護士ドットコム株式会社が提供する「クラウドサイン」です。契約書をPDFとしてアップロードし、相手方に電子署名を依頼するだけで契約を締結できます。従来のように印刷・押印・郵送・返送といった手間が一切不要となり、契約締結までのリードタイムを短縮できます。
クラウドサインは国内法に準拠しており、電子署名法や電子帳簿保存法にも対応しているシステムです。そのため、法的効力を担保したうえで安心して契約を進められます。さらに、締結後の契約書はクラウド上に自動保存されるため、保管場所の確保や検索の手間も不要になります。
クラウドサインは法務部門や経営層からの問い合わせ対応も効率化でき、ガバナンス強化の観点からも有効なシステムと言えるでしょう。
出典参照:クラウドサイン|弁護士ドットコム株式会社
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社が提供する「DocuWorks® 10」は、紙と電子の文書を一元管理できるドキュメントハンドリングソフトウェアです。特徴的なのは、紙の文書をスキャンして電子化したデータと、元々デジタルで作成されたファイルを同じ操作感で管理できる点です。
画面上には「電子デスク」が用意され、まるで紙の書類を机の上で扱うように直感的に操作できます。文書の閲覧・編集・スタンプ押印・付箋貼付といった作業をデジタル環境で再現でき、紙と同じ感覚で利用できるのが魅力です。
さらに、複数の文書を束ねて管理したり、承認フローに乗せたりできるため、総務部門が扱う稟議書・契約書・マニュアルなどを効率的に整理できます。
出典参照:DocuWorks® 10|富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
総務部門は企業の中枢を支える存在であり、契約管理、稟議、各種申請、勤怠関連、備品管理など、多岐にわたる事務業務を担っています。そのため日々大量の紙書類を扱うことが多く、保管コストや業務効率の面で課題が顕在化しやすい領域です。
近年はDX推進の一環としてペーパーレス化が加速しており、多くの大手企業や中堅企業が取り組みを進めています。ここでは、総務部門における代表的な事例を3つ取り上げ、導入の経緯から得られた効果まで詳しく解説します。
富国生命保険相互会社では、全国の営業拠点から本社に膨大な紙文書が集まるという課題が長年続いていました。契約書や申請書類、報告資料などはすべて紙で作成・郵送されていたうえに、保管スペースの不足や書類紛失のリスクも常に存在し、総務部門にとって負担でした。
このような状況を改善するため、同社は文書管理ソリューションを導入し、紙をデジタル化して保管・検索できる仕組みを整えています。導入にあたっては、従来の紙文化に慣れている社員への配慮も必要であったため、段階的にシステムを展開し、教育やサポートを充実させながら移行を進めたのが特徴です。
結果として、紙文書の量は約75%も削減され、書類管理にかかるコストやスペースの圧縮につながっています。
出典参照:高さ4,000m以上に及ぶ文書を75%削減へ。検索による文書共有と多様なアクセス権への対応で新しい働き方に貢献|株式会社 日立ソリューションズ
株式会社トドケールは、物流・配送を支える事業を展開しており、現場では伝票や報告書といった紙資料が日常的に発生していました。また、紙中心の業務は情報共有の遅れや紛失リスクを引き起こし、出社を前提とした働き方を強いていました。コロナ禍をきっかけに「リモートワークを本格導入したい」というニーズが高まったことから、総務部門を中心にペーパーレス化のプロジェクトを立ち上げています。
同社が採用したのは、スキャナーを活用して紙資料を電子化し、クラウド上で一元管理する仕組みです。導入時には現場スタッフが違和感なく使えるように、スキャナーの操作性やOCR(文字認識)精度にこだわり、入力の手間を軽減しました。
この取り組みにより、リモートワークがスムーズに実現し、社員は自宅からでも業務を問題なく進められるようになっています。
出典参照:総務の働き方を変える「クラウドメール室」でfiシリーズが活躍|株式会社PFU
フリーランス人材を活用するプラットフォームを運営するランサーズ株式会社では、契約書や請求書などの処理が膨大であり、紙ベースのフローは業務の非効率化やリスクの温床となっていました。特に、契約内容の確認や押印のために紙を郵送する作業は時間がかかり、結果として契約締結に遅れが生じることも少なくありませんでした。
同社はこうした課題を解決するため、電子契約サービスを導入しました。その結果、クラウド上で契約書の作成から署名、保管まで完結する仕組みにより、紙や郵送を介さずに取引先と契約を進められるようになりました。
これにより、契約業務のスピードが向上し、平均して従来の半分以下の時間で契約が完了するようになっています。
出典参照:紙ベースでの業務から脱却。業務効率化とペーパーレス化により、業務時間の30%以上を削減|株式会社マネーフォワード

総務部門におけるペーパーレス化は、単なる紙の削減にとどまらず、業務効率化やリモートワーク推進、さらにはコスト削減やリスク低減といった幅広い効果が期待できる取り組みです。実際に企業によっては専用のシステムを導入し、書類量削減や業務改善を実現しています。ペーパーレス化に取り組む際はシステム操作の社内教育が必要です。
総務DXの第一歩として、まずはペーパーレス化を具体的に進めることで、組織全体の生産性向上や持続的な経営基盤の構築へとつながるでしょう。自社の状況やニーズに合ったシステムを導入して、総務領域のペーパーレス化を実現しましょう。