バックオフィスDXにセキュリティは必要?基本の対策やステップを解説
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経理DXで業務効率化を実現しませんか?この記事では、請求書処理や経費精算などの課題を解決する経理DXの進め方を5つのステップで解説。クラウド会計ソフトやRPAなど、課題別のツール選びから成功事例、失敗しないための注意点まで網羅的にご紹介します。
経理の仕事は、もはや単なる「記録係」ではありません。経営の意思決定を支える重要な役割を担っています。
しかし、現実には請求書の山、煩雑な経費精算、迫りくる法改正への対応に追われ、本来やるべき分析業務に時間を割けない…そんなジレンマを抱えている方も多いのではないでしょうか。
「DX」という言葉が飛び交うものの、何から手をつければ良いのか、具体的な一歩が踏み出せないでいる。この記事は、そんな方のために、経理DXによる業務効率化の全貌を解き明かします。
具体的な業務改善のイメージから、失敗しないための導入ステップ、自社に最適なツールの選び方まで、明日から行動に移せる知識を網羅的に解説します。
定型業務から解放され、戦略的な経理部門へと進化するため、ぜひ最後までご覧ください。

経理DXとは、AIやクラウドといった最新のデジタル技術を駆使して、経理業務のプロセスそのものを根底から変革します。そして、生産性の飛躍的な向上を目指す経営戦略です。
ではなぜ今、これほどまでに経理DXが急務とされているのでしょうか。その背景には、避けては通れない複数の社会的な変化が存在します。
まず、2024年1月から完全義務化された電子帳簿保存法をはじめとする法改正への対応です。電子取引データの電子保存が必須となり、企業は否応なく業務のデジタル化を迫られています。
また、経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」です。老朽化した基幹システムを使い続けることによる経済損失や競争力低下を防ぐため、全社的なDXが不可欠なのです。
これらの課題を解決し、変化に対応できる強い経営基盤を築くために、経理DXは不可欠な取り組みと言えるでしょう。
出典参照:電子帳簿等保存制度特設サイト|国税庁
出典参照:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~|経済産業省
経理DXを推進することで、これまで多くの時間と労力を奪っていた反復的な定型業務を劇的に効率化できます。このセクションでは、経理DXによって具体的にどの業務領域がどのように変革され、効率化されるのかを詳しく見ていきましょう。
請求書業務は、経理DXによって最も効果を実感しやすい領域の一つです。従来の紙ベースの請求書発行では、データの入力、印刷、三つ折り、封入、切手貼り、そしてポストへの投函といった、多くの手作業が発生していました。
請求書発行システムを導入することで、これらのプロセスが劇的に変わります。システム上で作成した請求書は、ボタン一つで電子発行でき、取引先の希望に応じて郵送代行も可能です。これにより、作業時間を大幅に削減できるだけでなく、印刷代や郵送費といったコストも削減できます。
一方、受け取る側の請求書処理も同様です。紙やPDFで受け取った請求書をAI-OCR(光学的文字認識)機能を活用して自動でデータ化し、手入力の手間とそれに伴う入力ミスを根絶します。データ化された情報はそのまま会計システムに連携できるため、支払処理までの流れがスムーズになり、請求書処理業務全体の生産性が飛躍的に向上するのです。
従業員の経費精算も、多くの企業で非効率な状態が続いています。
申請者は領収書を申請用紙に糊で貼り付け、上長の承認印をもらうために社内を奔走し、経理担当者は提出された大量の紙を一枚一枚チェックして仕訳入力を行う、といった光景は珍しくありません。
経費精算システムは、この煩雑なプロセスを根本から覆します。従業員はスマートフォンアプリで領収書を撮影するだけで、いつでもどこでも経費申請が可能になります。申請データはそのまま上長に通知され、システム上で承認が完結。経理担当者の元には承認済みのデータが届き、仕訳データも自動で生成されるため、確認と振込処理を行うだけで済みます。
このペーパーレス化は、単に紙をなくすだけでなく、申請から承認までのリードタイムを短縮し、従業員と経理担当者双方の負担を軽減します。さらに、交通系ICカードの履歴連携や法人カード連携といった機能を活用すれば、入力の手間はさらに削減され、業務効率は格段に向上するでしょう。
売掛金の入金を確認し、請求データと照合して債権を消していく入金消込作業は、経理業務の中でも特に神経を使う作業です。振込名義人が会社名ではなく個人名であったり、複数の請求がまとめて入金されたりと、目視での確認には限界があり、ミスが発生しやすい領域でした。
会計システムと法人口座をAPI連携させることで、この課題は解決に向かいます。システムが銀行の入金データを自動で取得し、請求データと照合して、一致するものから自動で消込処理を実行します。
これにより、毎月の煩雑な確認作業から解放され、ヒューマンエラーを未然に防ぐことができます。消込作業が自動化されることで、担当者はイレギュラーな入金の確認や、入金が遅れている取引先への対応といった、より重要度の高い業務に集中できるようになります。これは、債権管理の精度向上とキャッシュフローの安定化に直結し、健全な財務基盤の構築に貢献します。
経理DXの最終的なゴールの一つが、月次決算の早期化です。
迅速な経営判断を下すためには、自社の財務状況をタイムリーに把握することが不可欠ですが、多くの企業で決算の締め作業に時間がかかりすぎていました。
その大きな原因が、手作業による仕訳入力です。請求書システムや経費精算システムなど、各方面から集まってくる取引データを、会計システムに一つひとつ手で転記する作業は、膨大な時間を要するだけでなく、入力ミスの温床にもなっていました。
各種DXツールを導入し、会計ソフトとデータ連携させることで、この状況は一変します。各システムで処理された取引データは、APIを通じて会計ソフトに自動で連携され、あらかじめ設定したルールに基づいて仕訳も自動で生成されます。
これにより、転記作業そのものが不要になり、月次決算にかかる作業時間を劇的に短縮することが可能です。決算が早期化すれば、経営陣はより新鮮なデータに基づいて次の戦略を立てることができ、企業の競争力強化に大きく貢献します。

経理DXを成功に導くためには、思いつきでツールを導入するのではなく、戦略的かつ計画的にプロジェクトを進めることが極めて重要です。経理DXの導入をスムーズに進めるため、具体的な5つのステップを順を追って詳しく解説します。
経理DXの第一歩は、自社の経理部門が抱える課題を徹底的に洗い出し、可視化することから始まります。
現場の担当者にヒアリングを行い、「どの業務に最も時間がかかっているか」「ミスが発生しやすいプロセスはどこか」「特定のスキルを持つ人に依存している業務はないか」といった生の声を集めることが重要です。
これらの課題をリストアップしたら、次に「何を達成するためにDXを行うのか」という目標を具体的に設定します。例えば、「請求書発行にかかる作業時間を月間で50%削減する」「月次決算を5営業日早期化する」といった、誰が見ても達成度が分かる定量的な目標(KPI)を掲げることが成功の鍵です。
この最初のステップで課題とゴールを明確に共有することが、プロジェクト全体の方向性を決定づけ、関係者の意識を統一するために不可欠となります。
課題と目標が明確になったら、次は既存の業務フローそのものにメスを入れます。DXは単にツールを導入することではなく、業務プロセスを変革することに本質的な価値があるからです。
まずは現状の業務フロー(As-Is)を詳細に書き出し、どこに無駄や非効率、属人化の原因が潜んでいるかを分析します。その上で、DXツールを導入した後の理想的な業務フロー(To-Be)を描き出します。このプロセスを通じて、長年の慣習で行われてきた不要な承認プロセスや、重複したチェック作業などを大胆に廃止・簡素化していくことが重要です。
業務フローをシンプルで誰にでも分かりやすい形に「標準化」することで、特定の担当者がいないと業務が回らないという属人化のリスクを解消できます。この業務改革こそが、DXツールの効果を最大限に引き出すための土台となるのです。
見直した新しい業務フローを実現するために、最適なデジタルツールを選定するフェーズに移ります。
世の中には多種多様な経理DXツールが存在しますが、多機能な製品に惑わされることなく、ステップ1で設定した自社の課題を解決できるかという視点で冷静に評価することが肝心です。複数のツールをリストアップし、機能、料金、既存システムとの連携性、サポート体制などを比較検討します。可能であれば無料トライアルを活用し、実際に現場の担当者に操作性を試してもらうと、導入後のミスマッチを防げます。
導入するツールが決定したら、具体的な導入計画を策定します。いつまでに何をやるのかという詳細なスケジュール、必要な予算、プロジェクトの責任者と担当者を明確にし、関係者全員が同じ認識を持ってプロジェクトを推進できる体制を整えます。
どんなに周到な計画を立てても、実際にツールを導入してみると想定外の問題が発生することは少なくありません。そのリスクを最小限に抑えるために有効なのが、特定の部署や業務領域に限定して小さく始める「スモールスタート」という手法です。
例えば、まずは経理部内だけで請求書受領システムを試してみる、あるいは特定の事業部だけで経費精算システムを先行導入するといった形です。このパイロット導入を通じて、操作性や業務への影響を検証し、本格導入に向けた課題を洗い出します。
同時に、ステップ1で設定したKPIを基に効果測定を行い、「作業時間がどれだけ削減されたか」といった具体的な成果をデータで確認します。この小さな成功体験を積み重ね、改善のサイクルを回しながら徐々に範囲を広げていくことが重要です。大規模な失敗を避け、着実にDXを浸透させるための賢明なアプローチと言えます。
スモールスタートで有効性が確認され、運用上の課題もクリアになったら、いよいよ全社展開へと移行します。
この段階で最も重要なのは、新しい業務フローとツールの使い方を組織全体に定着させることです。導入して終わりではなく、ここからが本当のスタートと言っても過言ではありません。
全従業員を対象とした研修会や説明会を丁寧に実施し、変更の目的とメリットを繰り返し伝え、理解を促します。操作方法がいつでも確認できる分かりやすいマニュアルを整備したり、質問にすぐ答えられる社内ヘルプデスクを設置したりすることも有効です。
また、スモールスタートで得られた成功事例を社内報などで積極的に共有し、「自分たちも使ってみたい」という前向きな雰囲気を醸成することも、DXを組織文化として根付かせる上で非常に効果的です。継続的なフォローアップを通じて、全社的な活用を促進していくことが最終的な成功につながります。
経理DXを実現するためのデジタルツールは多岐にわたり、それぞれに特化した機能を持っています。自社の課題や目指すゴールに応じて、これらのツールを適切に組み合わせることが成功の鍵となります。
クラウド会計ソフトは、経理DXを推進する上での中核をなすツールです。従来のインストール型ソフトとは異なり、インターネット環境さえあれば場所やデバイスを問わずにアクセスできるため、テレワークとの親和性が非常に高いのが特徴です。
最大のメリットは、銀行口座やクレジットカード、その他多くのDXツールとAPI連携できる点にあります。これにより、取引明細を自動で取得し、AIが勘定科目を推測して仕訳を提案してくれるため、日々の記帳業務が大幅に効率化されます。
例えば、freee会計ではAIによる仕訳提案や自動同期機能により、仕訳登録作業の約1/2を自動化できるとされています。法改正にも自動対応し、リアルタイムで経営数値を可視化できる点も魅力です。
出典参照:freee会計の機能一覧|株式会社フリー
請求書の発行と受領は、経理部門において最も時間と手間がかかる業務の一つであり、この領域に特化したシステムを導入する効果は絶大です。
請求書発行システムでは、テンプレート入力でインボイス制度対応の請求書を簡単に作成し、電子送付や郵送代行までワンストップで完結できます。例えば「invox」は請求書作成から送付、受領管理までを効率化するツールとして支持されています。
一方、請求書受領システムでは、AI-OCRによる自動読み取りが可能です。「Bill One」では、紙・PDF問わず請求書をデータ化し、受領・確認・保存までをオンライン上で一元管理できます。こうした機能は、2024年から義務化された電子帳簿保存法への対応にも直結します。同時に実現する強力なツールです。
出典参照:invox受取請求書|株式会社invox
出典参照:適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き|国税庁
経費精算システムは、従業員の立替経費の申請から承認、そして経理担当者による精算処理までの一連のフローを電子化し、効率化するためのツールです。
従業員は、スマートフォンのカメラで領収書を撮影するだけで申請が完了します。また上長は、出先からでもスマートフォンで内容を確認し、承認できます。これにより、申請書を手渡しで回覧するといった非効率なプロセスが不要になります。経理担当者にとっては、申請データが承認と同時に会計ソフトに連携され、仕訳が自動で作成される点が大きなメリットです。
また、交通系ICカードの利用履歴を直接取り込んだり、法人カードの利用明細と連携したりすることで、入力の手間とミスを極限まで削減できます。
さらに、システムが会社の経費規定に反する申請を自動で検知・警告してくれるため、内部統制の強化、いわゆるガバナンスの向上にも大きく貢献します。
RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、パソコン上で行われるルール化された定型作業を、ソフトウェアロボットに代行させる技術のことです。
経理業務には、RPAが活躍できる場面が数多く存在します。例えば、「毎朝、特定の銀行サイトにログインして入金明細をダウンロードし、Excelの管理表に転記する」「販売管理システムから売上データを抽出し、会計システムが読み込める形式に加工してアップロードする」といった、複数のシステムをまたがる単純作業です。これまでは人間が手作業で行うしかなかったこれらの業務をRPAに任せることで、24時間365日、ミスなく高速に処理することが可能になります。
RPAは、既存のシステムを改修することなく導入できるため、比較的低コストで始められる点も魅力です。人間はより付加価値の高い分析や判断業務に集中できるようになり、組織全体の生産性を向上させます。
出典参照:マネーフォワードクラウド経費|株式会社マネーフォワード

数あるツールの中から自社に最適なものを選ぶためには、いくつかの重要な視点があります。
まず第一に、自社の課題解決に直結する機能があるかを見極めることです。ツールのパンフレットに並ぶ華やかな機能に目を奪われるのではなく、自社が最も解決したい課題は何かを常に念頭に置き、その課題を解決するための必須機能が備わっているかを冷静に判断しましょう。
第二に、ITに不慣れな担当者でも直感的に使えるかという操作性も極めて重要です。どんなに高機能なツールでも、現場で使われなければ意味がありません。無料トライアル期間などを活用し、実際に業務を担当するメンバーに触ってもらい、使いやすさを評価してもらうプロセスは不可欠です。
最後に、導入後のサポート体制が充実しているかも必ず確認してください。導入初期のつまずきや運用中のトラブルは必ず発生します。そんな時に、電話やチャットですぐに相談できる窓口があるか、親身に対応してくれるかは、ツールを長く活用していく上で決定的な差となります。
成功事例には、自社にも応用できる普遍的なパターンやヒントが隠されています。このセクションでは、よくある課題である「ペーパーレス化」「属人化解消」「手作業の削減」という3つの切り口から、具体的な企業の成功事例を分析し、その成功要因を探っていきます。
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」などを運営する株式会社ZOZOは、経理DXの一環として、受取請求書の自動処理クラウド「sweeep」を導入しました。
その結果、紙の請求書処理が大幅に減少し、月初の締めが従来の7営業日から3.5営業日へと大幅に短縮されました。また、請求書のデータ保管への切り替えによりペーパーレス化が実現し、紙の保存コスト削減やリモート業務推進につながっています。
「sweeep」は、98.5%の読取精度を持つ独自のOCRエンジンとAI技術で請求書を高速自動仕訳し、電子帳簿保存法(スキャナ保存)にも対応しており、紙の証憑を破棄する完全なペーパーレス化を可能にしました。
出典参照:月次決算を3.5日早期化したZOZO導入事例を公開。「sweeep」受取請求書の自動処理クラウド|株式会社ZOZO
機械・工具や建設資材などを取り扱うフルサト・マルカホールディングスは、グループ各社で経理業務が個別に運用され、担当者に依存した属人化や、業務フロー・使用ツールのばらつきといった課題を抱えていました。
これらの課題を解決し、グループ横断での運用統一を目指し、クラウド請求書受領サービス「Bill One」を2024年より導入しました。
特に「複数テナントオプション」を活用することで、一つのログイン画面から他のグループ会社の管理状況を把握できるようになり、グループ間で業務フローやノウハウを共有できる環境を構築。現在、国内6社で月間8500件の請求書をBill Oneで一元管理し、経理業務の標準化を推進しています。
これにより、グループ全体の経理体制の基盤が整備され、今後はさらに多くのグループ会社への導入拡大を目指しています。
出典参照:フルサト・マルカホールディングスが「Bill One」を活用し、属人化していた経理業務をグループで標準化|フルサト・マルカホールディングス株式会社
経理DXは大きな変革をもたらす一方で、その導入プロセスにはいくつかの落とし穴が存在します。最新ツールを導入したにもかかわらず、期待した効果が得られなかったり、現場の混乱を招いてしまったりするケースも少なくありません。
こうした失敗を避け、投資を無駄にしないためには、あらかじめ注意すべきポイントを理解しておくことが不可欠です。
経理DXプロジェクトで最も陥りやすい失敗が、「ツールを導入すること」自体が目的化してしまうことです。
これを防ぐためには、プロジェクトの開始時に「なぜ我々はDXに取り組むのか?」という根本的な目的を、経営層から現場の担当者まで、関係者全員で徹底的に共有し、合意形成を図ることが不可欠です。
例えば、「残業時間を削減して働きやすい環境を作るため」「迅速な経営判断を支援する戦略的な経理部門になるため」といった、具体的で共感を呼ぶ目的を掲げることが重要です。この目的意識が共有されていれば、導入過程で困難に直面した時も、関係者が一丸となって乗り越えることができます。
逆に、目的が曖昧なままでは、現場は「やらされ仕事」と感じてしまい、新しいシステムへの抵抗感を生む原因となってしまいます。
新しいデジタルツールを導入する際に、これまでの業務のやり方を一切変えずに、ツールを無理やり既存のフローに合わせようとする企業が散見されます。しかし、これはDXの本来の効果を著しく損なう、典型的な失敗パターンです。
多くの場合、既存の業務フローは、紙やExcelといった古いツールを前提に構築されており、非効率なプロセスを含んでいます。DXを成功させるには、既存のやり方に固執せず、新しいツールが持つポテンシャルを最大限に引き出せるように、業務フローそのものを見直す勇気が必要です。
例えば、「これまで紙で行っていた上長への回覧を廃止し、システム上の電子承認に一本化する」といった大胆な変革が求められます。変化には痛みが伴いますが、この壁を乗り越えることではじめて、DXによる真の業務効率化が実現できるのです。
経理DXの成否は、最終的にそのツールを日々利用する現場の担当者にかかっています。
経営層や情報システム部門が主導でプロジェクトを進め、現場の意見を聞かずにツールを決定してしまうと、現場の実態に合わない使いにくいシステムが導入され、結局誰にも使われずに放置されるという最悪の事態を招きかねません。
これを避けるためには、プロジェクトの初期段階から現場の担当者を巻き込み、課題の洗い出しやツールの選定プロセスに参加してもらうことが極めて重要です。新しい業務フローへの変更に対して、現場の担当者が不安や抵抗を感じるのは当然のことです。その気持ちに寄り添い、導入によるメリットを丁寧に説明し、十分なトレーニングの機会を提供することで、前向きな協力を引き出すことができます。
現場を「変革の対象」ではなく「変革の主役」として扱う姿勢が、プロジェクト成功の鍵を握ります。
経理DXの推進には、会計ソフトや各種システムの導入費用など、一定の初期投資が必要です。特に体力に限りがある中小企業にとっては、このコストがDX推進の大きな障壁となる場合があります。
しかし、こうした企業のIT化を支援するために、国や地方自治体が提供する様々な公的支援制度が存在することを忘れてはなりません。その代表例が、経済産業省が管轄する「IT導入補助金」です。この補助金は、中小企業が生産性向上のためにITツールを導入する際の経費の一部を補助するもので、多くのクラウド会計ソフトや経費精算システムなどが対象となっています。
公募期間や申請要件などを事前にしっかりと確認し、活用できる制度は積極的に活用することで、コスト負担を大幅に軽減しながらDXを推進することが可能です。
出典参照:IT導入補助金2025|サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局
この記事では、経理DXによる業務効率化の具体的な方法論から、ツールの選び方、成功事例、そして失敗しないための注意点までを網羅的に解説してきました。
経理DXは、もはや一部の先進企業だけのものではなく、人手不足や法改正といった厳しい環境変化を乗り越え、企業が持続的に成長していくための不可欠な経営戦略となっています。
重要なのは、流行りのツールに飛びつくのではなく、まず自社の足元を深く見つめ、「本当に解決すべき課題は何なのか」を徹底的に可視化することです。請求書処理に時間がかかっているのか、それとも属人化がリスクとなっているのか。課題の在り処によって、打つべき最適解は大きく異なります。
この記事をきっかけに、ぜひ一度チームで自社の業務プロセスを洗い出し、どこに改善の余地があるかを話し合ってみてください。