バックオフィスDXにセキュリティは必要?基本の対策やステップを解説
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総務DXでツールを導入し、日々の業務は楽になったものの、それぞれのデータをうまく活用しきれていないとお悩みではありませんか?
総務部門に蓄積された従業員の勤怠、経費、契約データなどは、企業の課題を可視化し経営の改善につながる重要な情報源です。そこでこの記事では、以下の内容を解説していきます。
この記事を読むことで、守りの総務から、データで組織を動かす「戦略総務」へと進化するための、実践的な内容を網羅的に理解できます。総務DXによるデータ活用を進めたいとお考えのご担当者様は、ぜひ最後までご覧ください。

総務DXの真の成功は、業務効率化の先にある「データ活用」によって決まります。
DXツールを導入して日々の作業が楽になるのは、総務DXの第一段階にすぎません。総務DXの本当の価値は、デジタル化によって蓄積された勤怠や経費、備品などのデータを分析し、企業の課題解決や未来の予測に活かすことにあるのです。
総務DXによるデータ活用は、総務部門が日々の定型業務をこなす「守りの総務」から、データをもとに経営課題を解決し未来を創造する「戦略総務」へと進化するための鍵です。
これまでの総務は、社内のルールを守り、滞りなく業務を回す守備的な役割が中心でした。しかし、DXによって得られる客観的なデータを根拠とすると、経営層に対して「残業が多いこの部署には、増員が必要です」といった具体的な改善提案が可能になります。
このように、DXデータは総務部門の役割を大きく変える力を持つのです。
今、総務DXでデータ活用がとくに重要視されるのは、変化の激しい時代において、企業が生き残るために迅速で正確な意思決定が不可欠だからです。
勘や経験だけに頼った旧来の経営判断では、予測不能な社会の変化に対応しきれません。勤怠データから働き方の変化を読み取ったり、経費データから無駄なコストを発見したりと、総務が持つデータには経営判断の質を高めるヒントが満載です。
客観的なデータにもとづく戦略立案を支援するのが、これからの総務部門に強く求められる役割です。

総務DXによるデータ活用が重要な理由は、以下の4つです。
一つずつ解説します。
総務DXによるデータ活用によって、これまで担当者の勘や経験に頼りがちだった業務判断を、誰もが納得できる「データに基づく客観的な意思決定」をもとにおこなえるようになりました。
データを整備することで、「なんとなくこの備品はよく使われている気がする」という曖昧な感覚ではなく、「データを見ると、A部署の備品〇〇の消費量が他部署の3倍です」と具体的な数字で示すのが可能になります。
これにより、説得力のある改善提案がおこなえるようになり、より合理的で無駄のない組織運営が実現するのです。
総務DXによるデータ活用は、問題が発生してから対応する「受け身の総務」を、問題の兆候を事前に察知し先手を打つ「プロアクティブ(能動的)な課題解決」へと転換させます。
たとえば、特定の部署の残業時間が徐々に増加しているのを勤怠データから発見した場合、大きな問題になる前に「業務量に問題はありませんか?」と働きかけることが可能です。このように、データ分析は将来起こりうる問題を予測し、未然に防ぐための強力な武器となり、組織の安定経営に貢献します。
総務DXのデータを活用することで、これまで評価が難しかった総務部門の業務成果を具体的な数字で可視化し、投資対効果(ROI)を証明することが可能です。
たとえば、「新しいワークフローシステムを導入した結果、申請・承認にかかる時間が平均で40%短縮された」といったデータを示せば、DX投資の正当性を経営層に明確に説明できます。成果が数字で見えるようになると、総務部門の貢献度が社内で正しく評価され、次の改善活動に向けた予算も確保しやすくなるでしょう。
総務DXによるデータ活用は、従業員の満足度や働きがいといった「従業員エクスペリエンス」の向上に直接的につながります。
オフィス環境に関するアンケートデータや、福利厚生の利用率データを分析すると、従業員が本当に何を求めているのかが具体的に見えてきます。データという客観的な声にもとづいて、Wi-Fi環境の改善や新しい福利厚生制度の導入など、的確な施策を実行することが可能です。
従業員が働きやすい環境は、生産性の向上や離職率の低下にもつながるでしょう。

総務DXで収集されるデータは、勤怠状況の分析からオフィスの利用率調査まで、企業の労働環境改善やコスト削減に直結する具体的なアクションに活用できます。ここでは、総務DXデータの活用事例として、以下7つのデータに分けてご紹介していきます。
それぞれ見ていきましょう。
勤怠データの活用は、部署別や個人別の残業時間を可視化し、従業員の働きすぎ防止や労働環境の改善に繋がります。
たとえば、千葉県船橋市の株式会社斉藤総業は、勤怠管理クラウド導入による総務DXを推進しました。スマホ打刻で労働時間をリアルタイムに可視化し、残業アラートや月1日の年休取得推奨といった取り組みを徹底しています。その結果、従業員の月平均残業を5時間台まで大幅に削減し、働きやすい環境を実現しました。
出典参照:勤怠管理のDX化と年休取得を推奨月の平均残業5時間台を実現|厚生労働省
このような取り組みの背景には、勤怠管理システムに蓄積されたデータの分析があります。「どの部署で慢性的に残業が発生しているのか」といった問題点が客観的な数字で明らかになるため、業務分担の見直しなど、具体的な改善策を検討できるのです。
経費データを分析すると、社内の経費利用の傾向を把握し、無駄なコストの発見と削減に直接繋げられます。経費精算システムに登録されたデータを部署別・費目別に集計すると、「出張費が突出して多い部署」や「特定の業者への支払いが増加している」といった傾向が一目でわかります。
総合PR会社の共同ピーアールは、クラウドERPを導入したことで、紙帳票の電子化と業務フローの刷新を実現し、経理部門の工数を一人あたり1日1〜2時間削減しました。また、労務費や間接経費を含めた正確な案件損益を全社員がリアルタイムで可視化できるようになり、経営の質を大幅に向上させています。
出典参照:共同ピーアール株式会社(広報/PR業) | 導入事例 | クラウド型ERPパッケージ ZAC
総務DXツールによって経費がかかりすぎている原因を深掘りし、具体的なコスト削減のアクションを起こすための客観的な根拠となるのです。
備品管理データを活用すると、各備品の使用頻度や購買サイクルを正確に把握し、在庫の最適化と発注コストの管理を実現します。
物品管理システム上のデータを見れば、「どの部署でどの備品が最も多く使われているか」「前回の発注から何カ月経っているか」が明確になります。このデータをもとに、需要を予測して一括発注に切り替えて単価を下げたり、逆にあまり使われていない備品については在庫を減らしたりと、無駄な発注や欠品を防ぎ、購買プロセス全体を効率化できるのです。
契約書データを活用すれば、契約の更新漏れや不利な条件での自動更新といったリスクを防ぎ、管理プロセスを大幅に効率化します。
契約管理システムで契約終了日や自動更新の有無を一元管理すると、更新時期が近づいた契約を自動でアラート通知させることが可能です。これにより、担当者が気づかずに不利な条件で契約が自動更新されてしまう事態を防ぎます。
また、過去の契約内容をデータとして分析し、次の契約交渉に活かすといった戦略的な活用もできるようになります。
社用車の予約システムや走行履歴といったデータを分析すると、各車両の稼働率を正確に把握し、保有台数の最適化や効率的な配置を実現できます。
データを集計すると、「週末にしか使われない車」や「特定の部署が長時間利用している」といった実態が明らかになります。この稼働実績をもとに、利用頻度の低い車両を削減したり、複数部署でカーシェアリングを導入したりと、維持費や保険料といった固定費の削減に向けた具体的な検討を進めることが可能になるのです。
オフィスの座席予約システムの利用履歴や入退室管理システムのデータを分析すると、従業員の出社率や特定のエリアの利用頻度を把握し、より快適なオフィス環境(ファシリティ)の改善に繋げられます。
データから「Web会議用の個室ブースが常に満席状態だ」「フリーアドレスの窓際席は人気だが、中央エリアはあまり使われていない」といった傾向が読み取れます。この分析結果をもとに、需要の高い設備を増設したり、レイアウトを変更したりと、従業員満足度を高める投資をおこなえます。
複合機の利用ログデータを活用すると、部署ごとや個人ごとの印刷枚数やカラー印刷の割合を可視化し、具体的な根拠をもとにしたペーパーレス化を推進できます。
多くの複合機には、誰がいつ何枚印刷したかを記録する機能が備わっています。このデータを集計・分析すると、印刷コストがとくに多い部署を特定し、原因をヒアリングしたうえで具体的な削減目標を設定できます。客観的なデータを示すと、従業員のコスト意識を高め、全社的なペーパーレス文化の醸成にも繋がるのです。

総務DXのデータ活用を成功させるために、以下の流れで実行していくようにしてください。
順を追って解説していきます。
総務DXによるデータ活用の第一歩は、「何を知りたいのか」「何を解決したいのか」という目的を明確にすることです。目的が定まっていないと、膨大なデータを前にどこから手をつければいいか分からなくなってしまいます。
「従業員の残業を減らしたい」という目的があれば、「見るべきデータは勤怠データだ」と自然に決まります。「オフィスの電気代を削減したい」のであれば、スマートメーターの電力消費データに着目すべきでしょう。
このように目的を絞り込むと、分析の方向性が明確になるのです。
目的が決まったら、関連するデータを収集し、グラフなどを使って誰もが直感的に理解できる形に「可視化」します。
各DXツールに蓄積されたデータは、CSV形式で出力できる場合がほとんどです。まずは身近なExcelを使って、簡単なグラフを作成してみることから始めましょう。より高度な分析をしたい場合は、複数のデータを組み合わせて分析できるBIツールを活用するのも有効です。
数字の羅列だけでは見えなかった傾向や異常値が、可視化すると一目でわかるようになります。
データを可視化して満足するのではなく、その分析結果から「なぜそうなっているのか」という課題を特定しましょう。そこから具体的な改善アクションに繋げることが、最終的なゴールです。
「A部署の残業時間が突出している」という事実がわかったら、「A部署は人手が足りていないのではないか?」という仮説を立て、ヒアリングなどの調査をおこないます。そして、増員や業務プロセスの見直しといった改善策を実行し、その後のデータ変化を追跡するのです。
このサイクルを回すことこそが、総務DXによる真のデータ活用といえます。

総務DXのデータを収集・整備する際は、以下の5点に注意してください。
それぞれ解説していきます。
データ活用の第一歩は、「何のためにデータを集めるのか」という目的を明確にし、大きな計画を立てすぎず、まずは小さな範囲から始めることです。
「残業を減らしたい」という目的なら勤怠データ、「コストを削減したい」なら経費データというように、目的が定まれば収集すべきデータもおのずと決まります。
最初から全社のデータを集めようとせず、まずは特定の部署のデータ分析から始めるなど、スモールスタートで成功体験を積むのが、プロジェクトを頓挫させないための賢明な進め方です。
精度の高いデータ分析をおこなうためには、部署や担当者によって入力形式がバラバラにならないよう、データの標準化と入力ルールを徹底する必要があります。
たとえば、同じ取引先名が「株式会社A」と「(株)A」で混在していると、コンピューターは別の会社として認識してしまい、正確な集計ができません。「会社名は必ず正式名称で統一する」といったルールを定め、誰が入力しても同じ質のデータが蓄積される仕組みを構築することが、データ活用の基盤となります。
総務が扱うデータには、従業員の個人情報などの機密情報が数多く含まれます。そのため、データ活用を進める際は、セキュリティと個人情報保護への最大限の配慮が不可欠です。
データを収集・分析する際は、個人情報保護法などの法律を遵守し、誰がどのデータにアクセスできるのか、権限を厳格に管理しなくてはいけません。また、従業員に対して、データの利用目的を丁寧に説明し、理解を得ることも重要です。
安心してデータを提供できる信頼関係がなければ、データ活用は成り立たないのです。
データ活用をより高度なレベルでおこなうためには、将来的にシステム間のデータを連携させるのを視野に入れてツールを選ぶことが重要です。
たとえば、勤怠管理システムの残業時間データと、経費精算システムの出張費データを掛け合わせると、「出張が多い従業員ほど、残業時間も長くなる傾向がある」といった、単独のデータでは見えなかった新たなインサイトが得られます。
システム同士が連携できるかを導入時に確認しておくと、分析の幅が大きく広がります。
データは、分析して改善アクションに繋げて初めて価値を生みます。そのため、「データを収集して終わり」にしないよう運用体制を構築するのが何よりも重要です。
データの分析結果を、誰が、いつ、どのようにして確認し、次のアクションを決定するのか、というルールをあらかじめ決めておきましょう。たとえば、月に一度、総務部門内でデータ分析の定例会を開き、見つかった課題と改善策を経営層に報告するといったサイクルを確立します。
データを活用し続ける「文化」を組織に根付かせることが、DX成功の鍵です。

この記事では、総務DXにおけるデータ活用の具体的な手法について解説しました。
これまで経験と勘に頼りがちだった業務改善も、データという客観的な根拠をもとに議論することで、より的確で効果的な施策を打つことが可能になります。
データの活用は、単なる業務効率化の先にある、総務部門の価値を大きく向上させる重要なステップです。まずは「残業時間の部署別比較」や「備品購買費用の推移」といった、身近で扱いやすいデータの分析から始めてみましょう。