DifyとLINEを連携してAIチャットボットを構築する方法を解説
自動化
商談前の情報収集をAIに任せて、営業活動をもっとスマートにしませんか?本記事では「n8n」と「Dify」を連携させ、企業リサーチを自動化してLINEに通知する手順を解説します。移動時間を有効活用し、余裕を持って商談に臨むための、初心者にも優しい業務効率化術を紹介します。
日々の営業活動において、訪問直前の情報収集に追われてしまうことはないでしょうか。移動中の限られた時間で、スマートフォンの小さな画面を操作し、訪問先企業の最新ニュースや事業内容を検索するのは決して効率的とはいえません。
しかし、近年急速に普及しているノーコードツールや生成AIを活用すれば、これらの作業を自動化できる可能性があります。社名を入力するだけで、AIがインターネット上の情報をリサーチして要約し、LINEに通知してくれる仕組みがあれば、事前準備の質を落とすことなく時間を有効に使えるはずです。
本記事では、ワークフロー自動化ツール「n8n」と、AIアプリケーション開発プラットフォーム「Dify」を連携させ、自分だけの「営業リサーチアシスタント」を構築する手順を解説します。プログラミングの専門知識がない方でも実践できるよう、基礎から丁寧に手順をまとめました。
n8nとDifyを組み合わせる理由とメリットは、以下のとおりです。
それぞれのツールが持つ得意分野を理解し、組み合わせることで実現できる自動化の可能性について、まずは全体像を把握していきましょう。
Difyは、大規模言語モデル(LLM)を用いたAIアプリケーションを、比較的簡単に開発できるプラットフォームです。単に文章を生成するだけでなく、RAG(検索拡張生成)と呼ばれる技術を用いて、外部データやWeb検索の結果を回答に反映させる機能に優れています。
通常のChatGPTなどでは、リアルタイムのWeb検索や特定のフォーマットでの出力調整に手間取る場合があります。しかしDifyを活用すれば、「Web検索ツールを使用して最新情報を取得し、指定された形式で要約する」といった高度な指示を、一つのパッケージとして管理できます。
まさに、人間のように思考し、情報を整理する「頭脳」の役割を担うのがDifyであると言えるでしょう。
n8n(エヌエイトエヌ)は、さまざまなWebサービスやアプリケーションを連携させ、業務フローを自動化するツールです。ノードと呼ばれるアイコンを線でつなぐ視覚的な操作により、複雑な処理の流れを構築できます。
Googleスプレッドシート、Slack・LINE・Gmailなど、数多くのサービスと連携が可能であり、特定の条件(トリガー)に基づいて処理を実行する柔軟性を持っています。Difyが思考した結果を、どのタイミングで、どのツールに届けるかを制御する役割を果たします。
情報のとおり道を作り、各器官(アプリケーション)に命令を伝達する「神経」のような存在として機能します。
DifyはAI処理に特化していますが、外部ツールへの通知や複雑なトリガー設定においては、n8nの方が柔軟に対応できるケースがあります。例えば、「Googleカレンダーの予定を検知して実行する」といったきっかけ作りはn8nが得意とする領域です。
一方、n8n単体では、複雑なニュースの要約や文脈を理解した情報抽出は困難です。そこで、思考部分はDifyに任せ、実行と伝達部分はn8nが担うという役割分担を行います。
双方の強みを掛け合わせることで、単独のツールでは実現が難しい、高度で実用的な自動化システムを構築できるでしょう。
事前準備として必要なアカウントとツールの設定は、以下のとおりです。
スムーズに構築作業に入るために、まずは必要なプラットフォームへの登録と基本的な設定を済ませておきましょう。
まずはDifyを利用できる環境を整えます。Difyには、サーバーを自分で用意するオープンソース版(セルフホスト)と、ブラウザ上ですぐに利用できるクラウド版があります。
初心者の方や、まずは試してみたいという場合は、環境構築の手間がかからないクラウド版の利用を検討すると良いでしょう。公式サイトからアカウントを作成すれば、AIアプリの開発画面にアクセスできます。
すでに社内で導入されている場合は、管理者からアクセス権限をもらうなどして、ワークフローを作成できる状態にしておいてください。
次に、n8nのアカウントを用意します。こちらもDifyと同様に、クラウド版とセルフホスト版(デスクトップ版含む)が存在します。
安定して自動化を稼働させたい場合はクラウド版が適していますが、個人のPC内でテスト的に動かすだけであれば、デスクトップ版をインストールする方法もあります。ご自身の利用環境やセキュリティポリシーに合わせて選択してください。
アカウント作成後、新しいワークフローを作成するキャンバス画面が開けることを確認しましょう。
今回のシステムでは、個人のLINEアカウントではなく「LINE公式アカウント」を通じて通知を受け取る仕組みを採用します。LINE Developersサイトにアクセスし、Messaging APIを利用するためのチャネルを作成してください。
チャネル作成後、「チャネルアクセストークン(長期)」の発行と、通知を送る対象となる「あなたのユーザーID」を確認する必要があります。これらの情報は、後ほどn8nの設定で使用するため、メモ帳などに控えておきましょう。
公式アカウントを自分のLINEで友だち追加しておくことも忘れないでください。
実践STEP1として、Difyで「リサーチ担当AI」を作る手順は、以下のとおりです。
まずはシステムの頭脳となるAI部分を構築します。Web検索を行い、必要な情報を抽出して要約する機能をDify上に実装していきましょう。
Difyのダッシュボードから「最初から作成」を選択し、アプリケーションのタイプとして「チャットボット」を選びます。名前は「企業リサーチBot」など、わかりやすいものを付けましょう。

作成画面に入ったら、使用するLLM(AIモデル)を選択します。Web検索などの複雑なタスクを行うため、推論能力の高いモデル(例:GPT-4oやGemini1.5 Proなど)を選ぶと、より精度の高い回答が期待できます。
この設定画面が、AIへの指示や機能を組み込むための司令室となります。
このAIに「Web検索」の能力を持たせるため、「ツール」の項目から「Google Search」や「Tavily Search API」などを追加して有効化します。これにより、AIがインターネット上の最新情報にアクセスできるようになります。

次に、「プロンプト(指示文)」を設定します。例えば、以下のような具体的な指示を入力してください。
あなたは優秀な営業アシスタントです。 入力された企業名についてWeb検索を行い、以下の項目で要約してください。 1.事業概要 2.直近のニュース3件 3.最近の株価動向(上場している場合) |
|---|
出力形式を明確に指定することで、LINEで通知を受け取った際に見やすくなります。
作成したAIアプリをn8nから操作するために、APIアクセスの設定を行います。画面上の「APIアクセス」または「公開する」や「Deploy」メニューから、APIキーを生成してください。

ここで表示される「APIキー」と「APIサーバーのURL(ベースURL)」は、外部からこのAIボットに指令を送るための鍵となります。他人に知られないよう厳重に管理しつつ、次のステップで使用するために控えておきます。
これで、リサーチ担当AIの準備が整いました。
実践STEP2として、n8nで「自動化ワークフロー」を組む手順は、以下のとおりです。
作成したDifyのAIをn8nから呼び出し、その結果をLINEに転送する一連の流れを構築します。ここが自動化の心臓部となります。
n8nのワークフロー画面を開き、処理の開始点となる「Trigger」を設定します。テスト段階では「Manual Trigger(手動実行)」を使用すると確認がスムーズです。将来的にはチャットツールからの入力をトリガーにすることも可能です。

次に、外部サービスと通信するための「HTTP Request」ノードを追加し、Triggerノードと線でつなぎます。このノードを使って、先ほど作成したDifyのAPIに企業名の情報を送信する仕組みを作ります。
ノードをつなぐことでデータの流れが可視化され、処理の順序を直感的に把握できます。
「HTTP Request」ノードの設定画面を開き、メソッドを「POST」に設定します。URL欄には、Difyで確認したAPIのエンドポイント(例:/chat-messages)を入力してください。

認証情報として、ヘッダー(Header)に「Authorization」を追加し、値に「Bearer{あなたのAPIキー}」を入力します。そしてボディ(Body)部分には、JSON形式で検索したい企業名を送る設定を記述します。
この設定により、n8nからDifyへ「この企業について調べて」という依頼が正しく飛ぶようになります。
続いて、Difyから返ってきた要約文章をLINEに送るためのノードを追加します。n8nには「LINE」専用のノードが用意されている場合もありますし、「HTTP Request」ノードを使ってLINEのAPIを叩くことも可能です。
ここでは、LINE Developersで取得したアクセストークンを使用し、メッセージの送信先として自分のユーザーIDを指定します。送信するメッセージ内容には、前のステップ(Difyへのリクエスト)で得られた「answer(回答テキスト)」をそのまま自動で挿入します。

これにより、AIによるリサーチ結果が、あなたのLINE画面に自動的に届くようになります。
実践STEP3として、動作テストと連携の確認を行うポイントは、以下のとおりです。
構築したシステムが意図したとおりに動くかを確認し、実用レベルに仕上げていく重要な工程です。
すべての設定が完了したら、n8nの画面下部にある「Execute Workflow」ボタンをクリックしてテスト実行を行います。入力値として、実在する企業名(例:トヨタ自動車・ソニーなど)を設定し、処理を開始させてみましょう。

画面上のノードが緑色に点灯していれば、処理が正常に進んでいる証拠です。数秒から数十秒後、手元のスマートフォンにLINEの通知が届けば成功です。
AIが検索し、その結果がツールをまたいで転送される様子を実際に体験してください。
もし途中でエラー(赤色点灯)になった場合は、設定を見直す必要があります。よくある原因として、APIキーの入力ミスや、JSONデータの記述形式(カンマやカッコの不足)が挙げられます。

また、Dify側の検索ツールが正しく動作していない可能性や、LINEのアクセストークンの有効期限切れなども考えられます。エラーメッセージには原因の手がかりが含まれているため、落ち着いて内容を確認しましょう。
一つひとつ原因を特定し修正していく過程も、自動化スキルを習得するための貴重な経験となります。
無事に通知が届いたとしても、文字が多すぎて読みにくい場合や、欲しい情報が不足している場合があるかもしれません。その際は、Dify側のプロンプト(指示文)を修正して、箇条書きの数や文字数を制限するように調整します。
「スマホで読むために、300文字以内でまとめて」といった具体的な制約を加えることで、より実用的な通知になります。使いながら微調整を繰り返し、自分にとって最適なアシスタントへと育てていきましょう。
応用編として、さらに便利にするための拡張アイデアは、以下のとおりです。
基本的な仕組みができたら、さらに業務フローに組み込んで高度な自動化を目指してみましょう。ツールの連携次第で、活用の幅はさらに広がります。
現在は手動やチャット入力で企業名を渡していますが、n8nのトリガーを「Googleカレンダー」に変更も可能です。「訪問」や「商談」といったキーワードが含まれる予定を検知し、その予定時刻の1時間前に自動的にリサーチを開始するよう設定できます。
これにより、人間が能動的に操作しなくても、必要なタイミングで勝手に情報が届く「自動化」が実現します。忘れていた情報収集をAIがカバーしてくれるため、精神的な余裕も生まれるでしょう。
カレンダーの情報(場所や説明欄)から社名を抽出する工夫を加えることで、精度はさらに向上します。
Difyの強みである「ナレッジベース」機能を活用し、Web情報だけでなく、過去の商談履歴や社内マニュアルを参照させることも有効です。PDFやExcelなどの社内データをDifyにアップロードしておくことで、Web上のニュースと社内情報を統合した回答を作成できます。
「過去にどのような取引があったか」と「現在の市場の動き」を併せて確認できれば、より深みのある商談トークが可能になるはずです。自分専用のデータベースとしてAIを強化できる点は、大きなメリットといえます。
作成したリサーチ結果の通知先はLINEに限りません。SlackやMicrosoft Teamsなどのビジネスチャットツールにも同時に通知を送るようn8nで設定すれば、チームメンバー全員で情報を共有できます。
訪問前にチーム内で前提知識を揃えたり、上司への報告をスムーズにしたりと、組織全体の情報感度を高める効果も期待できます。n8nの分岐機能を使えば、内容に応じて通知先を変えるといった高度な運用も可能です。
n8nとDifyを組み合わせることで、専門的なプログラミング知識がなくても、実用的な業務自動化システムを構築できることがわかりました。Difyが持つ「高度な情報処理能力」と、n8nが持つ「柔軟な連携力」を掛け合わせるこの手法は、営業リサーチだけでなく日報作成や顧客対応など、さまざまな業務に応用可能です。
最初は設定に戸惑う部分があるかもしれませんが、一度仕組みを作ってしまえば、その後の業務効率は向上するでしょう。また、自分でツールを組み合わせて課題を解決した経験は、これからのAI時代において大きな自信とスキルになるはずです。
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