プロトタイプ開発によってプロダクトが生み出された3つの事例を紹介
開発手法
アジャイル開発の向き不向きを判断する基準を詳しく解説します。要件変更の頻度、チームの自律性、事業フェーズなど、複数の観点から適性を見極める方法を紹介し、向いているプロジェクト例と向いていないプロジェクト例を具体的に説明します。
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開発手法の選択を誤ると、プロジェクトの成否を左右してしまいます。特にアジャイル開発は近年注目される手法ですが、すべてのプロジェクトに適しているわけではありません。要件が固まらないまま進めてしまい混乱を招いたり、逆に柔軟な対応が必要な場面で硬直的な手法を選んでしまったりするケースは珍しくありません。適切な判断基準を持たずに手法を選択すると、開発現場に負担をかけるだけでなく、ビジネス機会の損失にもつながりかねません。
本記事では、アジャイル開発の向き不向きを判断する具体的な基準を解説していきます。どのような状況でアジャイル開発が力を発揮するのか、またどのような条件下では別の手法を検討すべきなのかを理解することで、プロジェクトに最適な開発手法を選択できるようになります。実際のプロジェクト例や専門家の活用方法も紹介するため、自社の状況に照らし合わせながら判断材料としてご一読ください。

アジャイル開発とは、短い期間で計画・開発・検証のサイクルを繰り返しながら、段階的にプロダクトを完成させていく開発手法を指します。従来のウォーターフォール開発が最初にすべての要件を確定させてから開発を進めるのに対し、アジャイル開発では変化に柔軟に対応しながら価値を提供していく点が特徴です。
この手法では、スプリントと呼ばれる短い開発サイクルを設定し、各サイクルの終わりに動作するソフトウェアをリリースしていきます。開発チームは顧客やステークホルダーと頻繁にコミュニケーションを取りながら、フィードバックを次の開発に反映させるため、市場やユーザーのニーズ変化に迅速に対応できる利点があります。
アジャイル開発を導入すべきか判断する際には、プロジェクトの性質や組織の体制など、複数の観点から検討する必要があります。単に流行しているからという理由で採用すると、かえってプロジェクトが混乱しかねません。
ここでは、向き不向きを見極めるための具体的な判断基準を紹介していきます。それぞれの基準を自社のプロジェクトに照らし合わせながら、総合的に評価していきましょう。
プロジェクト開始時に要件がすべて確定しているか、それとも開発を進めながら変更される可能性が高いかは、アジャイル開発の向き不向きを左右する重要な要素となります。市場環境の変化が激しい分野や、ユーザーニーズが不透明な新規サービスでは、開発途中で仕様変更が頻繁に発生するでしょう。
アジャイル開発は、こうした要件変更を前提とした柔軟な開発プロセスを備えているため、変更に強い体制を構築できます。反対に、要件が開始時点で明確に定まっており、変更がほとんど発生しない場合は、アジャイル開発のメリットを十分に活かせません。プロジェクトの性質を見極めて、要件変更の発生頻度を予測しておきましょう。
実際にユーザーに使ってもらいながら、フィードバックを得て改善を重ねていくプロセスが重要なプロジェクトでは、アジャイル開発が適しています。特に新しいサービスやプロダクトを立ち上げる際には、仮説検証を繰り返しながら市場にフィットする形を探っていく必要があります。
アジャイル開発では短いサイクルで動作するバージョンをリリースし、ユーザーの反応を確認しながら次の開発方針を決められます。このアプローチにより、間違った方向に進むリスクを最小限に抑えながら、ユーザーにとって本当に価値あるプロダクトを作り上げられるでしょう。逆に検証や改善が不要なプロジェクトでは、この利点を活かせません。
アジャイル開発を成功させるには、プロダクトの方向性を決定し、優先順位を判断できるプロダクトオーナーの存在が不可欠です。この役割を担う人材は、ビジネス面と技術面の両方を理解し、迅速に意思決定を下せる権限と能力を持っている必要があります。
プロダクトオーナーが不在だったり、意思決定に時間がかかったりする組織では、アジャイル開発のスピード感を活かせません。開発チームが次に何を作るべきか判断に迷ったり、方向性が定まらず手戻りが発生したりする恐れもあります。適切な人材を配置できるかどうかは、アジャイル開発の向き不向きを判断する上で重要な要素の1つです。
アジャイル開発では、開発チームが自ら計画を立て、問題を解決しながら進めていく自律性が求められます。メンバー一人ひとりが責任を持って判断し、チーム全体で協力しながらゴールを目指せる組織文化が整っているかどうかが重要です。
トップダウンの指示待ち文化が根付いている組織や、細かく管理されないと動けないチームでは、アジャイル開発の導入が難しくなります。また、チームメンバー間のコミュニケーションが円滑でない場合も、アジャイル開発の効果を十分に発揮できません。チームの成熟度や組織文化を客観的に評価し、自律的な動きが期待できるかを見極めましょう。
事業やプロダクトが置かれているフェーズによって、求められる開発スタイルは異なってきます。市場投入を急ぎたい立ち上げ期や、競合との差別化を図りたい成長期では、スピーディーに機能を追加し、市場の反応に応じて方向転換できる柔軟性が必要です。
こうしたフェーズにあるプロジェクトでは、アジャイル開発の機動力が大きな武器となります。一方、事業が成熟期に入り、安定運用や品質保証が最優先となる段階では、計画的で予測可能性の高い開発手法のほうが適している場合もあります。事業フェーズと開発目的を照らし合わせて判断していきましょう。
契約や仕様書に記載された成果物を納品することを最優先とするのか、それともユーザーや事業に対する価値提供を重視するのかという視点も、アジャイル開発の向き不向きを分ける要素となります。アジャイルは、当初の計画にこだわらず、より価値の高い機能を優先しながら開発を進めます。
このため、成果物の範囲や仕様が厳密に定められた契約形態では、アジャイル開発のメリットを活かしにくくなります。逆に、価値提供を軸に柔軟に開発内容を調整できる関係性が築けるのであれば、アジャイル開発によって高い成果を得られるでしょう。ステークホルダーとの関係性や契約形態も考慮に入れて判断しましょう。
アジャイル開発のメリットを最大限に活かせるプロジェクトには、いくつかの共通した特徴が見られます。
ここでは、実際にアジャイル開発が効果を発揮しやすいプロジェクトの典型例を紹介していきましょう。自社のプロジェクトがこれらの特徴に当てはまるかを確認することで、アジャイル開発の導入を検討する材料としていただけます。
プロジェクト開始時点では最終的な形が見えておらず、試行錯誤を重ねながら最適解を探っていく必要があるプロジェクトでは、アジャイル開発が力を発揮します。例えば、新しい技術を活用したサービスや、前例のないビジネスモデルを構築する場合などがその一例です。
こうしたプロジェクトでは、仮説を立てて小さく試し、結果を検証してから次のステップに進むサイクルが重要になります。アジャイル開発のイテレーティブなアプローチにより、失敗のリスクを抑えながら、徐々に正解に近づいていけるでしょう。市場の反応を見ながら方向性を修正できる柔軟性も、大きな強みとなります。
新規事業やスタートアップでは、限られたリソースで市場にフィットするプロダクトを見つけ出す必要があります。最初から完璧なプロダクトを目指すのではなく、最小限の機能で素早くリリースし、ユーザーの反応を見ながら改善を重ねていくアプローチが効果的です。
アジャイル開発は、こうしたリーンスタートアップの考え方と親和性が高く、スピーディーな仮説検証を可能にします。市場投入までの時間を短縮できるため、競合に先んじてユーザーを獲得するチャンスも広がるでしょう。また、方向転換が必要になった際にも、柔軟に対応できる利点があります。
ユーザー体験が成否を分けるサービス開発では、実際の利用状況やフィードバックを基に継続的に改善していくプロセスが欠かせません。特にWebサービスやモバイルアプリケーションなど、ユーザーと直接接点を持つプロダクトでは、細かな改善の積み重ねが競争力を左右します。
アジャイル開発により、短いサイクルで新機能をリリースし、データやフィードバックを分析して次の改善につなげられます。ユーザーにとって本当に価値のある機能を優先的に開発できるため、満足度の高いサービスを提供できるでしょう。市場の変化にも迅速に対応し、常に競争力を維持していけます。
最初は限定的な範囲で始めて、徐々に機能や対象ユーザーを拡大していくようなシステム開発にも、アジャイル開発が適しています。初期段階で最小限の機能を実装し、運用しながら課題を洗い出して次の開発に活かせるため、リスクを分散できるでしょう。
段階的な拡張が前提となるプロジェクトでは、各フェーズでの学びを次に活かせる開発手法が望ましいです。アジャイル開発なら、スケールに伴う技術的課題や運用上の問題点を早期に発見し、柔軟に対処していけるでしょう。全体を見通しながらも、目の前の価値提供に集中できる点も魅力となります。
ビジネス側と開発側が物理的にも組織的にも近い距離にあり、日常的にコミュニケーションを取れる体制が整っているプロジェクトでは、アジャイル開発の効果を最大化できます。頻繁に対話しながら優先順位を調整したり、仕様を詳細化したりできるため、手戻りを減らせるでしょう。
こうした環境では、ビジネス要求の背景や意図を開発チームが深く理解でき、技術的な制約や可能性をビジネス側にタイムリーに伝えられます。相互理解が深まることで、より良いプロダクトを協創していけるでしょう。組織の壁を越えた協力体制が、アジャイル開発の成功を後押ししてくれます。
すべてのプロジェクトにアジャイル開発が適しているわけではありません。むしろ、プロジェクトの性質によっては、ウォーターフォール開発など他の手法を選択したほうが良い成果を得られる場合もあります。
ここでは、アジャイル開発が向いていない典型的なプロジェクト例を取り上げていきます。
開発開始前にすべての要件が詳細まで決まっており、変更が原則として許容されないプロジェクトでは、アジャイル開発の柔軟性という強みを活かせません。例えば、既存システムのリプレイスで仕様が明確に定義されている場合や、決まった手順に従って処理を行うシステムなどがその一例です。
こうしたプロジェクトでは、最初に全体の設計を固めてから順序立てて開発を進めるウォーターフォール型のほうが、効率的に進められる場合があります。特に、納期・スコープ・品質のうちスコープ固定を最優先し、計画通りに確実に実装する予測可能性が重視される場合、アジャイル開発のメリットは限定的となるでしょう。
金融システムや医療システムなど、法規制や業界標準への準拠が厳しく求められる分野では、仕様変更の自由度が制限されています。また、契約で成果物の範囲や仕様が詳細に定められており、変更に伴うコスト負担や責任範囲の調整が困難な案件もその一例です。
このような制約がある環境では、柔軟に要件を変更しながら進めるアジャイル開発のアプローチが機能しにくくなります。むしろ、最初に詳細な要件定義と設計を行い、承認を得てから開発に着手する従来型の手法が適している場合が多いです。コンプライアンスや契約上のリスクを最小化する観点からも、慎重な判断が求められます。
プロジェクトの成否が、決められた期日までに定められた機能をすべて実装できるかどうかで判断される場合、アジャイル開発の採用は慎重に検討すべきです。特に、複数のプロジェクトが連動しており、他のプロジェクトへの影響を考慮して厳密なスケジュール管理が必要な場合などが該当します。
アジャイル開発では、優先度の高い機能から順次開発していくため、すべての要件を期日までに完成させる保証が得にくくなります。納期と成果物の範囲を確実に守ることが最優先されるプロジェクトでは、計画的に進められる開発手法のほうが適しているでしょう。リスク管理の観点からも、予測可能性を重視した選択が求められます。
ステークホルダーが多岐にわたり、意思決定のために複数の部門や組織の承認を必要とするような大規模プロジェクトでは、アジャイル開発の機動力を発揮できません。各スプリントで方向性を調整しようとしても、合意形成に時間がかかり、開発サイクルが停滞しかねません。
こうした組織構造の中では、むしろ最初に時間をかけて全体計画を策定し、各関係者の合意を得てから開発を進めるほうが効率的な場合もあります。頻繁な調整が難しい環境では、アジャイル開発のスピード感はかえって混乱を招く要因となってしまうでしょう。組織の意思決定プロセスを考慮した手法選択が重要となります。
自社だけでアジャイル開発の向き不向きを判断するのは難しい場合もあります。客観的な視点や専門的な知見を持つ第三者の意見を参考にすることで、より適切な判断ができるでしょう。経験豊富な専門家であれば、自社では気づきにくい課題やリスクを事前に指摘してくれるため、導入後のトラブルを未然に防げます。また、業界動向や最新のプラクティスにも精通しているため、自社に最適なアプローチを提案してもらえるでしょう。
ここでは、アジャイル開発の導入検討時に相談できる専門家や情報源を紹介していきます。
実際にアジャイル開発で多くのプロジェクトを成功させてきた開発会社は、向き不向きの判断において貴重なアドバイスを提供してくれます。業界や事業規模、技術スタックなど、さまざまな条件下でのプロジェクト経験を持っているため、自社の状況に照らした現実的な助言が期待できるでしょう。
開発会社に相談する際は、自社と似た規模や業界での実績があるかを確認しておきましょう。また、単に受託開発を行うだけでなく、プロジェクトの進め方や体制づくりまで含めて支援してくれるパートナーを選ぶことで、より効果的な導入が実現できます。複数の会社から意見を聞いて比較検討するのも有効な方法です。
プロダクト開発やプロジェクトマネジメントの専門知識を持つコンサルタントは、客観的な立場から向き不向きを評価してくれます。自社の組織文化や既存のプロセス、チーム構成などを分析し、アジャイル開発が機能するかどうかを診断してもらえるでしょう。
コンサルタントの強みは、特定のベンダーに偏らない中立的な視点から助言できる点にあります。また、導入に向けた課題を洗い出し、解決策を提案してくれるため、準備段階から伴走してもらうことも可能です。自社の状況を深く理解してもらうためにも、十分なコミュニケーションを取りながら進めていきましょう。
アジャイル開発の実践を専門的に支援するスクラムマスターやアジャイルコーチは、チームの状況を見極めながら適切なアドバイスを提供してくれます。単に手法を教えるだけでなく、組織やチームがアジャイル開発に適応できるよう、継続的にサポートしてくれる存在となるでしょう。
これらの専門家は、アジャイル開発の導入において起こりやすい課題やつまずきポイントを熟知しています。事前に向き不向きを判断する段階から関わってもらうことで、リスクを事前に把握し、対策を講じられます。導入後の定着支援まで視野に入れて、長期的なパートナーとして関係を築いていくことをお勧めします。
自社と似た業界や規模、課題を抱えている企業の事例を参考にすることで、アジャイル開発の向き不向きを具体的にイメージできます。成功事例だけでなく、失敗事例や苦労した点を知ることで、自社でも同じ過ちを繰り返さないよう備えられるでしょう。
事例を調べる際は、カンファレンスやセミナー、技術ブログなどを活用していきましょう。また、業界団体や勉強会を通じて、実際に取り組んでいる担当者と交流することで、より生の情報を得られます。他社の経験から学び、自社の状況に合わせてアレンジしていく姿勢が重要です。
技術トレンドや業界全体の動きに精通した専門家から情報を得ることで、今後の開発手法の方向性を見据えた判断ができます。アジャイル開発自体も進化を続けており、新しいプラクティスやツールが次々と生まれているため、最新の知見を持つ専門家の意見は貴重です。
こうした専門家は、技術カンファレンスや業界イベントで登壇していたり、専門メディアで執筆していたりするため、情報収集の入り口としてこれらを活用できます。自社の業界や技術領域に特化した専門家を見つけることで、より実践的なアドバイスを得られるでしょう。複数の情報源から多角的に学んでいく姿勢が大切となります。

アジャイル開発の向き不向きは、要件の流動性、チームの自律性、事業フェーズ、意思決定体制など、複数の要素を総合的に判断して決める必要があります。単に流行しているからという理由だけで導入すると、かえってプロジェクトが混乱しかねません。
自社のプロジェクトがアジャイル開発に適しているかを見極めるには、本記事で紹介した判断基準を参考に、客観的な評価を行うことが大切です。また、開発会社やコンサルタント、他社事例など、外部の知見も積極的に活用しながら、最適な開発手法を選択していきましょう。適切な手法選択が、プロジェクトの成功につながっていきます。
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