スクラム開発の導入事例から成功のポイントと基本的な考え方を解説
開発手法
試作と検証の繰り返しでユーザー体験を具体化し、課題を早期発見することで開発リスクを抑えた意思決定が実現します。効果的な手順と注意点を解説し、プロダクト創出に活かせる実践的知識をお届けします。
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※エンジニア数は2026年8月期 第1四半期決算説明資料に基づきます。
新しいプロダクトの開発を進める際、最初から完璧なものを作ろうとして失敗するケースは少なくありません。市場に投入してからユーザーのニーズとのずれに気づいたり、想定していなかった技術的課題に直面したりすることもあるでしょう。
こうしたリスクを避けるためには、早い段階で試作品を作り、検証と改善を繰り返すアプローチが効果的といえます。本記事では、プロトタイプ開発を活用して革新的なプロダクトを生み出した企業の実例を紹介しながら、効果的な開発手順や実践時の注意点について詳しく解説します。
記事を読むことで、プロトタイプ開発がどのように意思決定を支援し、開発リスクを低減させるのか、また自社のプロダクト創出にどう応用できるのかが理解できるでしょう。

プロトタイプ開発とは、本格的な製品開発に入る前に試作品を作成し、コンセプトや機能の妥当性を検証する手法を指します。完成品を目指すのではなく、検証したい要素に焦点を当てた簡易的なモデルを素早く作り上げることが特徴です。
作る、試す、改善するというサイクルを短期間で何度も繰り返しながら、理想的な形を探っていきます。初期段階での失敗を許容し、そこから学びを得て次に活かす柔軟な開発姿勢が求められます。従来の開発手法と比べて、ユーザーや関係者からのフィードバックを早期に取り入れられる点が大きな利点です。
プロトタイプ開発には、従来の開発アプローチでは得られないさまざまな利点があります。試作段階から実際に動くものを作ることで、関係者間の認識を合わせやすくなり、プロジェクト全体の方向性が明確になります。
ここでは、プロトタイプ開発がもたらす具体的なメリットについて、それぞれ詳しく解説します。これらの利点を理解することで、自社のプロダクト開発プロセスにどう組み込むべきかが見えてくるでしょう。
抽象的なアイデアを言葉や図面だけで説明しても、関係者全員が同じイメージを持つことは困難です。プロトタイプ開発では、初期段階から実際に触れられる形でコンセプトを提示できるため、ユーザー体験を具体的に共有できます。
試作品を通じて視覚的・触覚的な要素を確認することで、机上では見えなかった課題や改善点が明らかになります。特に、操作性やデザインが重要な製品では、早期に実物に近い形で検証することが成功への近道です。
ユーザーの反応を直接観察することで、想定していなかった使い方や潜在的なニーズを発見できるケースも少なくありません。こうした気づきを次の改善に活かすことで、より完成度の高いプロダクトへと進化させられます。
開発チーム内や顧客との間で、プロダクトに対する理解が異なっているケースは珍しくありません。プロトタイプという共通の対象物を前にすることで、曖昧だった仕様や機能について具体的な議論を展開できます。
実際に動作するものを見ながら話し合うと、各自が抱いていたイメージの違いが可視化され、早期に調整を図れます。本格的な開発が進んでから認識のずれに気づいた場合、修正には時間もコストもかかってしまいます。
プロトタイプ段階であれば、変更への心理的抵抗も少なく、柔軟な対応が取りやすくなります。共通理解を形成することで、プロジェクト全体の方向性が統一され、無駄な手戻りを防げる効果も期待できるでしょう。建設的な意見交換が促進される環境が整います。
プロトタイプを実際のユーザーや想定顧客に試用してもらうと、開発者が想定していなかったさまざまな問題が浮かび上がってきます。使い勝手の悪さ、想定外の利用方法、技術的な制約など、多岐にわたる課題を本格開発の前に発見できるため、製品化後の大きな手戻りを防げます。
ユーザーの行動を観察することで、表面的なフィードバックだけでは分からない深層的なニーズを理解できるでしょう。例えば、ある機能を全く使わなかったり、開発者が想定していない順序で操作したりする様子から、多くの示唆が得られます。
こうした知見を開発プロセスに反映させることで、市場の要求に合致したプロダクトを生み出せる環境が整っていきます。競合製品との差別化ポイントを明確にできる効果も期待できます。
新規プロダクトの開発には常に不確実性が伴い、投資判断には慎重さが求められます。プロトタイプを活用することで、本格的な資金投入を行う前に、技術的な実現性やユーザーの受容度を確認できます。
小規模な試作を通じて収集したデータやフィードバックは、経営層や投資家に対する説得力のある根拠となります。実証済みのコンセプトに基づいて判断を下せるため、予算配分の際のリスクを大幅に軽減できます。
失敗の兆候が見られるアイデアは早期に見極められるため、限られたリソースを有望なプロジェクトへ集中させることも容易になるでしょう。感覚的な判断ではなく、データに基づいた意思決定により、組織全体の納得感を得やすくなる利点もあります。
プロトタイプ段階で蓄積したデータや検証結果は、本格開発に進むべきかどうかを判断する重要な材料です。ユーザー評価、技術的な課題の洗い出し、コスト見積もりなど、具体的な情報に基づいて次のステップを決定できるため、主観的な判断を避けられます。
検証結果が思わしくない場合は、方向転換やプロジェクト中止の決断を早期に下すことで、無駄なコストの発生を最小限に抑えられます。反対に、高い評価を得られた場合は、確信を持って本開発へ進めるため、チーム全体のモチベーション向上にもつながります。
明確な根拠に裏打ちされた判断プロセスにより、プロジェクトの成功確率を高められる効果が期待できるでしょう。関係者全員が納得できる意思決定が実現します。
開発を進める中で、当初の想定とは異なる市場ニーズや技術的課題が明らかになることは珍しくありません。プロトタイプ開発では、こうした新しい発見に応じて、プロダクトの方向性を柔軟に変更できる余地が残されています。
本格的な開発が進行してからの大幅な仕様変更は困難ですが、プロトタイプ段階であれば比較的容易に軌道修正を図れるでしょう。市場環境の変化や競合他社の動向に合わせて、最適な形へとプロダクトを進化させていける柔軟性は、変化の激しい現代のビジネス環境において強みです。
ユーザーの声を聞きながら段階的に改善を重ねることで、より市場に受け入れられやすいプロダクトへと成長させられる機会が広がるでしょう。
実際の企業では、プロトタイプ開発を通じてどのような革新的プロダクトが誕生してきたのでしょうか。ここでは、試作と検証を繰り返すことで成功を収めた代表的な事例を紹介していきます。
任天堂、ダイソン、デンソーという異なる業界のリーディングカンパニーが、いかにプロトタイプを戦略的に活用して画期的な製品を生み出したのか詳しく解説します。それぞれの企業が直面した開発上の課題と、それを克服するためのアプローチから、自社のプロダクト開発に応用できる実践的なヒントが見つかるでしょう。
任天堂株式会社が開発したNintendo Laboは、段ボールとNintendo Switchを組み合わせた独創的なプロダクトです。開発チームは当初、Joy-Conが持つセンサー機能に着目し、これまでにない遊び方の可能性を模索していました。
プロトタイプ開発において重要だったのは、設計して試作し、すぐに修正してまた試すというサイクルを素早く回せる素材の選定です。さまざまな素材を検討した結果、加工しやすく入手も容易な段ボールが最適と判断されました。
開発過程では数多くの試作品が生まれましたが、中には全く面白くないものもあったといいます。しかし、この作る体験そのものを商品価値として提供できないかという発想の転換により、ユーザー自身が組み立てる過程を楽しむという新しいコンセプトが生まれました。
出典参照:質疑応答(要旨)|任天堂株式会社
ダイソン株式会社の創業者ジェームズ・ダイソン氏は、世界初のサイクロン式掃除機G-Forceを完成させるまでに、膨大な試作開発を行いました。同氏は、特許取得が可能なモデルに到達するまで試作品づくりに没頭しました。
失敗を繰り返しながらも改善を続けることで、最終的に革新的な技術を確立しました。当初、世界中の企業にアピールしても技術を採用してくれるメーカーは現れませんでしたが、日本の商社エイペックスがその価値を認め、製品化が実現しました。
G-Forceとして日本で発売されたこの掃除機は人気商品となり、ライセンス料が後のダイソン社設立の元手となりました。プロトタイプ開発を通じて得られた技術的知見と、諦めずに試作を重ねる姿勢が、画期的なプロダクトを生み出す原動力となった事例です。
出典参照:5000回以上の失敗「楽しむ」 ダイソン創業者の挑戦|株式会社日本経済新聞社
株式会社デンソーは、農研機構および立命館大学と共同で、果実収穫ロボットのプロトタイプを開発しました。日本の果樹生産者の高齢化と担い手不足という深刻な課題に対応するため、収穫作業の省力化に向けたロボット技術の開発が求められていました。
果樹は樹形が立体的で複雑なため、受粉や摘果、収穫などの作業を手作業に頼らざるを得ず、機械化が遅れている状況でした。開発チームは、機械での作業を容易にするV字樹形という新しい栽培方法の開発と並行して、収穫ロボットのプロトタイプ開発を進めました。
立命館大学が果実認識や収穫時期判定のソフトウェア開発を、デンソーがハードウェア開発を担当し、ディープラーニング技術を活用することで、リンゴやナシなどの果実を人とほぼ同じ速度で収穫できるロボットを実現しました。プロトタイプを通じて技術的な実現性を確認しながら、実用化に向けた実証研究を継続している事例です。
出典参照:プレスリリース (研究成果) 果実収穫ロボットのプロトタイプを開発|国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
プロトタイプ開発を効果的に進めるためには、適切な手順を踏まなければなりません。ここでは、より良いプロダクトを生み出すための具体的なステップについて解説していきます。
各段階で何を行うべきか、どのような点に注意すべきかを理解することで、自社のプロダクト開発に応用できる実践的な知識が得られるでしょう。計画的に進めることで、プロトタイプ開発の効果を最大限に引き出し、成功確率を高められます。段階ごとの目的を明確にしながら進めていきましょう。
プロトタイプ開発を始める前に、どのような課題を解決したいのか、そしてどのような方法で解決できると考えているのかを明確にすることが不可欠です。目的が曖昧なまま開発を進めると、検証すべきポイントがぶれてしまい、プロトタイプから得られる学びが限定的になります。
解決したい課題とそれに対する仮説を文書化し、チーム内で共有することで、全員が同じ目標に向かって進めるでしょう。仮説は後から修正しても構いませんが、まずは明確な出発点を設定することが大切です。
例えば、ユーザーのどのような不満を解消したいのか、どのような価値を提供できるのかを具体的に言語化しましょう。課題と仮説が明確であれば、プロトタイプで検証すべき要素もおのずと定まってきます。
プロトタイプを誰に使ってもらうのか、どのような場面で使われることを想定しているのかを明確にします。ターゲットユーザーのペルソナを作成し、年齢層、職業、ライフスタイル、抱えている悩みなどを詳細に設定することで、プロトタイプの設計方針が定まってきます。
また、利用シーンを具体的にイメージすることで、必要な機能や操作性の要件が見えてきます。例えば、以下のような要件によって求められる特性は大きく異なってきます。
利用環境や状況を詳しく設定することで、より現実的で実用性の高いプロトタイプを作成できます。ユーザーの行動パターンや心理状態まで想像することで、細部の設計にも説得力が生まれてきます。
プロトタイプでは、すべての機能を実装する必要はありません。検証したい仮説を確認するために、本当に必要な機能だけに絞って設計することが効率的です。
多くの機能を詰め込みすぎると、開発に時間がかかるだけでなく、どの要素がユーザーの反応に影響を与えたのかが分かりにくくなってしまいます。MVPの考え方を取り入れ、コアとなる価値を提供できる最小限の機能セットを見極めることが大切です。
後から機能を追加することは比較的容易ですが、最初から作り込みすぎると柔軟性が失われてしまうため注意が必要です。検証目的に直結する要素だけに集中することで、開発期間を短縮し、早期にフィードバックを得られる体制が整います。無駄を省いたシンプルな設計を心がけましょう。
プロトタイプが完成したら、できるだけ早く実際のユーザーに使ってもらい、フィードバックを収集します。社内のメンバーだけでなく、想定しているターゲットユーザーに近い人々に試してもらうことで、より実践的な意見が得られるでしょう。
フィードバックを得る際は、単に良かった点や悪かった点を聞くだけでなく、実際の使用場面を観察することも大切です。ユーザーがどこで迷ったのか、どのような使い方をしたのか、期待していた動作と実際の動作にギャップはなかったかなど、行動から読み取れる情報は貴重といえます。
定性的なフィードバックと定量的なデータを組み合わせて分析することで、より深い洞察が得られます。複数のユーザーから意見を集めることで、共通する課題やニーズも見えてくるでしょう。
収集したフィードバックを丁寧に分析し、当初設定した仮説が正しかったのか、どのような改善が必要なのかを評価します。プロトタイプの検証結果が良好であれば、本開発に進む判断材料になります。
一方、ユーザーの反応が芳しくない場合は、コンセプトの見直しや別のアプローチを検討する必要があります。重要なのは、プロトタイプ段階での失敗を恐れず、そこから学びを得ることです。
改善を重ねて再度プロトタイプを作成するか、本開発に進むか、プロジェクトを中止するかを、データに基づいて合理的に判断しましょう。この意思決定プロセスが、プロトタイプ開発の最も価値ある部分といえます。客観的な評価基準を設けることで、感情に流されない冷静な判断が下せるでしょう。
プロトタイプ開発には多くのメリットがある一方で、適切に実施しなければ効果が半減してしまう恐れもあります。ここでは、プロトタイプ開発を採用する際に注意すべき重要なポイントについて解説します。
これらの注意点を理解し、意識的に避けることで、プロトタイプ開発の効果を最大限に引き出せるでしょう。多くの企業が陥りがちな落とし穴を事前に把握しておくことで、無駄な時間やコストの発生を防げます。実践時には常にこれらの点を念頭に置きながら進めていきましょう。
プロトタイプの目的は、アイデアの検証とフィードバックの収集にあります。完璧な品質を目指して作り込みすぎると、時間とコストが膨らみ、プロトタイプ開発の利点が失われかねません。
あくまでも検証用の試作品であることを意識し、必要十分なレベルに留めることが大切です。特に、細部のデザインや完全な機能実装にこだわりすぎると、方向転換が必要になった際の心理的な抵抗も強くなってしまいます。
素早く作って試すことを優先し、フィードバックを得てから改善する姿勢を保ちましょう。プロトタイプは使い捨てになることも想定し、柔軟に対応できる体制を整えることが大切です。完成度よりもスピードを重視する意識を、チーム全体で共有することが成功の鍵です。
プロトタイプ開発を進める中で、さまざまなアイデアや機能を追加したくなることがあります。しかし、当初設定した検証目的から逸れてしまうと、何を確認するためのプロトタイプなのかが不明確になり、得られる学びが薄れてしまいます。
開発の各段階で、現在のプロトタイプが何を検証するためのものなのかを常に意識し、チーム全体で共有することが大切です。新しいアイデアが生まれた場合は、それを次のプロトタイプで検証するという形で、段階的に進めることをお勧めします。
一度に多くのことを詰め込まず、焦点を絞った検証を心がけましょう。検証目的を記載したドキュメントを用意し、定期的に確認する習慣をつけることで、ぶれない開発が実現します。明確な目標管理が成功への道筋です。
プロトタイプを作成してフィードバックを収集しても、それを活用しなければ意味がありません。得られた意見やデータを丁寧に分析し、次のアクションに必ず反映させましょう。
フィードバックを受け取るだけで満足してしまい、実際の改善につながらないケースも少なくありません。特に、自分たちの想定と異なる意見が出た際に、それを無視してしまう傾向には注意が必要です。
ユーザーの声を真摯に受け止め、たとえ当初の計画と異なる方向性が示されたとしても、柔軟に対応する姿勢を持ちましょう。フィードバックに基づいた意思決定プロセスを確立することで、プロトタイプ開発の価値が最大化されます。収集した情報を整理し、優先順位をつけて対応することが効率的な改善につながるでしょう。

プロトタイプ開発は、新しいプロダクトを生み出す際の有効な手法といえます。任天堂のNintendo Labo、ダイソンのG-Force、デンソーの果実収穫ロボットといった事例からも分かるとおり、試作と検証を繰り返すことで、革新的なプロダクトが誕生してきました。
プロトタイプ開発を通じて、ユーザー体験の具体化、認識ズレの解消、課題の早期発見といった効果が得られます。適切な手順で進め、注意点を意識しながら実践することで、より良いプロダクトを創出できる環境が整うでしょう。
自社のプロダクト開発にプロトタイプ開発を取り入れ、市場に受け入れられる価値あるプロダクトを生み出していきましょう。
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