システム開発契約でよくあるトラブル事例と予防策を徹底解説

システム開発契約でよくあるトラブル事例と予防策を徹底解説

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システム開発プロジェクトを進める中で、契約に関するトラブルに直面した経験はないでしょうか。要件のズレや納期の遅れ、予想外の追加費用など、さまざまな問題が発生し、プロジェクトが停滞してしまうケースは少なくありません。

こうしたトラブルの多くは、契約時の準備不足や認識のズレが原因で起こります。本記事では、システム開発契約でよくあるトラブル事例と、その背景にある原因を詳しく解説します。

記事を読むことで、契約リスクを最小限に抑え、スムーズなプロジェクト進行を実現するための知識が身につくでしょう。適切な準備をして、安心してシステム開発を進めていきましょう。

システム開発契約でよくある5つのトラブル事例

システム開発におけるトラブルの画像

システム開発契約におけるトラブルには、いくつかの典型的なパターンがあります。これらを事前に知っておくことで、自社のプロジェクトでも同様の問題を回避しやすくなるでしょう。

ここでは、実際の開発現場で頻繁に発生するトラブル事例を5つ紹介します。それぞれの事例を理解することで、どのような局面でリスクが高まるのかが見えてきます。以下、具体的なトラブル内容を見ていきましょう。

要件定義の曖昧さによる認識のズレ

プロジェクト開始時に要件が明確になっていないと、発注側と開発側で期待する成果物に大きな差が生じます。どのような機能を実装するのか、どこまでの範囲を対応するのか、曖昧なまま進めてしまうケースは珍しくありません。

開発が進んだ段階で、想定していた機能が含まれていないことが判明し、対立が生まれることがあります。発注側は当然含まれていると考えていた機能が、開発側の認識では契約範囲外だったという事態です。

こうした認識のズレは、後から修正しようとしても時間とコストが余分にかかります。要件定義の段階で細部まで詰めきれていないことが、トラブルの根本原因です。双方の理解が一致していないまま進むリスクを軽視してはいけません。

開発の遅延と納期トラブル

システム開発プロジェクトでは、予定していた納期を守れないケースが発生します。技術的な課題が想定以上に複雑だったり、要件変更が頻繁に発生したりすることが原因です。

納期の遅延は、発注側の事業計画に影響を与えます。新サービスのリリース時期がずれ込んだり、既存システムの移行スケジュール遅延が生じたりする恐れがあります。一方、開発側にとっても、追加のリソース投入が必要となり負担が増します。

遅延の責任がどちらにあるのかをめぐって、対立が深刻化することもあります。契約書に遅延時のペナルティが明記されていない場合、交渉が難航するでしょう。納期管理の甘さが、双方に大きな損失をもたらします。

追加費用の請求をめぐる対立

開発途中で仕様変更や機能追加が発生した際、追加費用の扱いが明確でないとトラブルに発展します。発注側は契約範囲内と考えていた作業が、開発側から追加費用を請求されるケースです。

特に、当初の契約書で変更時の費用計算方法が定められていない場合、金額の妥当性を判断する基準がありません。開発側の見積もりが高すぎると感じても、根拠を持って交渉することが困難になるでしょう。

また、小さな変更を繰り返すうちに、総額が当初の予算を大きく超えてしまうこともあります。予算管理が曖昧なまま進めた結果、プロジェクト全体の採算が悪化します。費用の透明性が確保されていないことが、信頼関係を損なう要因です。

成果物の品質が期待値に届かない問題

納品されたシステムの品質が、発注側の期待に届かないケースもトラブルの原因です。動作が不安定だったり、パフォーマンスが遅かったり、使い勝手が悪かったりする状況です。

品質基準が契約書に明記されていない場合、何をもって合格とするのかが曖昧になります。開発側は契約を満たしていると主張し、発注側は実用に耐えないと反論する対立に発展するケースがあります。

テストの範囲や方法についても、事前の取り決めがなければ認識のズレが発生します。発注側が想定していたテストが実施されておらず、本番環境で初めて問題が発覚することも少なくありません。品質に関する合意形成の不足が、深刻な問題を引き起こします。

契約解除や中途解約をめぐる対立

プロジェクトの途中で、継続が困難になり契約解除を検討するケースがあります。開発が予定通り進まなかったり、双方の信頼関係が崩れたりした場合です。

契約解除の条件が明確でないと、どのような状況で解除できるのか、違約金はいくらになるのかが不明瞭です。一方的な解除が認められるのか、それとも双方の合意が必要なのかも争点です。

既に投入した開発費用の扱いや、途中までの成果物の権利についても問題が生じます。解除後の責任範囲が定められていないため、交渉が長期化することも多いです。契約終了時の取り決めが不十分だと、円満な解決が難しくなります。

裁判例から見る開発側の義務と責任

システム開発契約に関する裁判例からは、開発側に求められる義務の範囲が見えてきます。専門家としての責任が明確に示されており、契約内容を理解する上で重要な判断基準です。

平成25年9月26日の東京地裁判決では、開発の危機を回避するために適切な説明や提言を行い、継続が困難な場合には開発の中止をも提言する義務があるとされました。専門家として、プロジェクトの実現可能性を評価し、発注者に誠実に伝える責任が認められています。

平成28年11月30日の東京地裁判決では、ユーザーから提供されたデータが不十分な場合、専門家として自ら問い合わせを行い、技術的に必要な情報を得るよう努める義務があるとされました。受動的な姿勢ではなく、能動的に情報を収集する責任が求められています。

平成28年4月28日の東京地裁判決では、常にプロジェクト全体の進捗を把握し、開発を妨げる要因を自ら発見して適切に対処する義務があるとされました。これらの判例は、開発側の積極的な関与の重要性を示しています。

出典参照:情報システム開発 トラブル事例と対応法|経済産業省

システム開発契約のトラブルが起こる5つの原因

トラブルが発生する背景には、いくつかの共通する原因があります。これらを理解することで、自社のプロジェクトでも同様のリスクを回避できるでしょう。

ここでは、システム開発契約におけるトラブルの根本原因を5つ紹介します。それぞれの原因が絡み合って問題が複雑化することもあるため、総合的な視点で対策を考えることが重要です。

契約書の内容が曖昧で解釈の余地がある

契約書の文言が抽象的で具体性に欠けると、双方が異なる解釈をする余地が生まれます。例えば、成果物の範囲が明確でなかったり、品質基準が曖昧だったりする場合です。

このような曖昧さは、契約時には問題として認識されないことが多いです。しかし、開発が進むにつれて、解釈の違いが表面化します。どちらの解釈が正しいのかを判断する明確な基準がないため、対立が長引きます。

法的な用語を正確に使わず、一般的な表現で記載した結果、専門的な観点から見ると不十分な内容になっていることも多いです。契約書の精度が低いことが、後のトラブルを招く大きな要因です。専門家のレビューを受けずに作成することのリスクは小さくありません。

要件定義の段階で認識をすり合わせていない

要件定義は、プロジェクトの成否を左右する重要なフェーズです。しかし、十分な時間をかけず、表面的な確認だけで進めてしまうケースがあります。

発注側が業務の詳細を開発側に伝えきれていなかったり、開発側が技術的な制約を十分に説明していなかったりすると、認識のズレが生じるでしょう。双方が理解したつもりでも、実際には異なるイメージを持っていることは珍しくありません。

また、要件定義書が作成されても、形式的な承認で終わってしまい、内容の精査が不十分なこともあります。後から見返した際に、重要な要件が抜けていたり、曖昧な表現が残っていたりします。この段階での手抜きが、プロジェクト全体に影響を及ぼしかねません。

責任範囲や成果物の定義が不明確である

どこまでが開発側の責任で、どこからが発注側の責任なのかが明確でないと、トラブルの原因です。特に、データ移行や既存システムとの連携といった領域では、責任の境界が曖昧になりがちです。

成果物の定義も重要です。ソースコードだけなのか、設計書やマニュアルも含むのか、保守・運用サポートはどこまで対応するのか、明確にしておく必要があります。

また、第三者のサービスやライブラリを使用する場合、そのライセンス管理や障害対応の責任がどちらにあるのかも確認すべきでしょう。責任範囲が曖昧なまま進めると、問題が発生した際に、双方が責任を押し付け合う事態になります。契約段階での明確化が不可欠です。

進捗報告やコミュニケーションが不足している

定期的な進捗報告やコミュニケーションが不足していると、問題の早期発見が遅れます。開発側が課題を抱えていても、発注側に伝わらないまま時間が経過するケースです。

発注側も、疑問や懸念があっても遠慮して質問しなかったり、忙しさを理由に確認を怠ったりすることがあります。双方が受け身の姿勢でいると、小さな問題が積み重なって大きなトラブルに発展しかねません。

コミュニケーションの頻度だけでなく、質も重要です。形式的な報告だけで、実質的な議論が行われていない場合、表面的には順調に見えても、深刻な問題が隠れていることがあります。率直な対話の不足が、信頼関係を損ない、トラブルを深刻化させます。

契約形態の特性を理解せずに契約している

請負契約と準委任契約では、責任の範囲や費用の考え方が大きく異なります。しかし、これらの違いを十分に理解せず、自社の状況に合わない契約形態を選択してしまうケースがあります。

請負契約では成果物の完成責任が開発側にありますが、準委任契約では作業の遂行が義務です。この違いを認識していないと、期待する成果が得られないかもしれません。

また、アジャイル開発のように仕様が変化することを前提とした開発手法と、固定的な請負契約の組み合わせは、矛盾を生みやすいです。開発手法と契約形態の不一致が、トラブルの温床です。適切な契約形態の選択が、プロジェクトの成功に直結します。

トラブルを避けるためにシステム開発契約時にチェックすべき7つのポイント

契約時に重要なポイントを押さえておくことで、多くのトラブルは未然に防げます。契約書の内容を精査し、曖昧な部分を明確にすることが大切です。

ここでは、システム開発契約を結ぶ際に必ず確認すべき7つのポイントを紹介します。これらをチェックリストとして活用することで、リスクを減らすことができるでしょう。

業務範囲と成果物の定義は具体的に記載されているか

契約書には、開発の対象となる機能や業務範囲を具体的に記載する必要があります。抽象的な表現ではなく、誰が読んでも同じ理解ができるレベルの詳細さが求められます。

成果物についても、ソースコード、設計書、テスト仕様書、操作マニュアルなど、何が含まれるのかを明示しましょう。ドキュメントの形式や言語、納品方法についても定めておくと安心です。

また、開発環境や使用する技術スタック、対応ブラウザやデバイスの範囲なども明確にします。こうした詳細を契約段階で詰めておくことで、後から追加費用が発生するリスクを抑えられるでしょう。業務範囲と成果物の定義が具体的であるほど、トラブルは減少します。

納期と遅延時のペナルティは明記されているか

プロジェクトの納期は、明確な日付で記載することが基本です。また、複数のフェーズに分かれている場合、それぞれの中間納期も設定しておくと進捗管理がしやすいです。

納期に遅れた場合のペナルティについても、事前に合意しておくことが重要です。遅延日数に応じた違約金の計算方法や上限額を定めることで、双方のリスクが明確になります。

ただし、遅延の原因が発注側の対応遅れや仕様変更にある場合の扱いも考慮する必要があります。どのような場合に納期が延長されるのか、その手続きについても契約書に盛り込むと良いでしょう。納期管理の仕組みが整っていることが、スムーズなプロジェクト進行につながります。

報酬の計算方法と支払い条件は明確か

報酬の総額だけでなく、その内訳や計算根拠も明示されていることが望ましいです。工数単価や人員構成が示されていれば、妥当性を判断しやすくなるでしょう。

支払い条件についても、具体的に定める必要があります。一括払いなのか分割払いなのか、各支払いのタイミングと条件を明確にします。成果物の検収と支払いの関係も整理しておきましょう。

また、消費税の扱いや振込手数料の負担についても記載があると、後の混乱を防げます。請求書の発行タイミングや支払い期限も、双方で認識を合わせておくことが大切です。報酬に関する透明性が高いことが、信頼関係の基盤です。

仕様変更や追加開発の扱いは定められているか

開発途中での仕様変更は避けられないことが多いため、その際の手続きや費用計算方法を事前に定めておくことが重要です。変更管理のプロセスが明確であれば、スムーズに対応できるでしょう。

変更依頼の提出方法、承認プロセス、見積もり提示の期限などを契約書に盛り込みます。また、軽微な変更と重大な変更の線引きについても、ある程度の基準を設けておくと良いです。

追加開発の費用については、工数単価や計算方法を明示しておくことで、後から金額で揉めるリスクを減らせます。変更によって納期が影響を受ける場合の扱いも確認しましょう。柔軟性を保ちながらも、ルールが明確であることが理想的です。

知的財産権の帰属先は明記されているか

開発されたシステムやソースコードの著作権が、どちらに帰属するのかを明確にする必要があります。一般的には発注側に帰属することが多いですが、契約によっては開発側に残るかもしれません。

第三者のライブラリやフレームワークを使用する場合、そのライセンス条件についても確認が必要です。オープンソースソフトウェアの利用には制限がある場合があるため、注意が必要です。

また、開発過程で生まれたノウハウや汎用的なモジュールの扱いについても取り決めておくと良いでしょう。開発側が他のプロジェクトで再利用できるのか、それとも禁止されるのかを明示します。知的財産権の整理が不十分だと、後で大きな争いに発展する恐れがあります。

契約解除の条件と違約金の設定は妥当か

どのような状況で契約を解除できるのか、その条件を明確にしておくことが大切です。重大な契約違反があった場合や、開発が著しく遅延した場合など、具体的な事由を列挙します。

契約解除時の違約金についても、金額や計算方法を定めておくことが大切です。一方的な解除の場合と、双方合意の上での解除とで、違約金の扱いが異なります。

また、解除後の成果物の扱いや、既に支払った費用の返還についても規定が必要です。途中までの開発物を引き渡すのか、データを削除するのかなど、具体的な手続きを決めておきます。万が一の事態に備えた規定が、最悪の状況を回避する助けとなります。

契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)や保証期間は定められているか

納品後に不具合が発見された場合、開発側がどこまで責任を負うのかを明確にする必要があります。契約不適合責任の期間や範囲を定めることで、双方の権利義務が明らかになるでしょう。

保証期間中の無償対応の範囲と、有償となる作業の境界も明示します。軽微なバグ修正は無償でも、仕様変更を伴う修正は有償とするなど、具体的な線引きが重要です。

また、保証期間終了後の保守契約についても、契約時に検討しておくと良いでしょう。月額の保守費用や対応範囲を事前に合意しておくことで、運用フェーズもスムーズに移行できます。責任範囲の明確化が、長期的な関係性の安定につながります。

システム開発契約でトラブルが起きた時の対処法

どれだけ注意しても、トラブルが完全にゼロになることはありません。問題が発生した際に、適切に対処することが被害を最小限に抑えるカギです。

ここでは、実際にトラブルが起きた場合の具体的な対処方法を紹介します。冷静に状況を把握し、段階的に解決策を探っていくことが重要です。

まずは契約書を確認し事実関係を整理する

トラブルが発生したら、感情的になる前に契約書の内容を改めて確認しましょう。問題となっている事項について、契約書にどのように記載されているのかを精査します。

また、メールやチャットのやり取り、議事録などの記録も整理します。いつ、誰が、何を約束したのかを時系列で整理することで、事実関係が明確になるでしょう。

証拠となる資料を集めることは、その後の交渉や法的手続きにおいて重要です。感情的な主張ではなく、客観的な事実に基づいた議論ができるようになります。冷静に状況を把握することが、問題解決の第一歩です。

ベンダーと誠実に話し合い解決を目指す

契約書や記録を確認した後は、開発側と直接話し合いの場を設けます。対立を深めるのではなく、双方にとって最善の解決策を探る姿勢が大切です。

問題の原因や背景を共有し、どのような対応が取れるのかを建設的に議論しましょう。一方的に責任を追及するのではなく、プロジェクトを成功させるために何ができるかを考えます。

場合によっては、第三者の立場から意見を求めることも有効です。技術的な専門家やプロジェクトマネジメントの経験者に相談することで、新たな解決策が見つかることもあります。誠実な対話を通じて、関係を修復しながら前に進むことが理想的です。

必要に応じて弁護士や専門家に相談する

話し合いでの解決が難しい場合や、法的な判断が必要な場合は、専門家への相談を検討します。IT契約に詳しい弁護士に相談することで、自社の権利や取りうる手段が明確になるでしょう。

弁護士は契約書の解釈や法的な責任の所在を判断し、交渉や訴訟の戦略を提案してくれます。早い段階で相談することで、不利な状況を回避できることもあります。

また、業界団体や公的機関が提供する相談窓口を利用することも選択肢の1つです。中立的な立場からアドバイスを受けられるため、冷静な判断の助けとなります。専門家の力を借りることで、適切な解決への道筋が見えてくるでしょう。

まとめ|システム開発契約に関して正しい知識を持ってトラブルを防ごう

システム開発におけるトラブル回避の画像

システム開発契約におけるトラブルは、多くの場合、契約時の準備不足や認識のズレから生じます。要件定義の曖昧さ、責任範囲の不明確さ、コミュニケーション不足などが主な原因です。

トラブルを防ぐためには、契約書の内容を具体的に定め、業務範囲や成果物、費用、納期などを明確にすることが不可欠です。また、仕様変更や契約解除の際の手続きについても、事前に合意しておくことが重要です。

万が一トラブルが発生した場合は、契約書を確認し、誠実な対話を通じて解決を目指します。必要に応じて専門家の力を借りることも検討しましょう。

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