人事DXはERP導入から!成功に導くステップと活用術を解説

「人事DXの進め方がわからない」「ERPとは?」とお悩みの人事担当者様へ。人事DX成功の鍵となるERP導入を5ステップで解説します。現状分析や製品選定、データ活用術まで、プロジェクトを成功させる実践的な知識が得られます。

経営層から人事業務の効率化を指示され、何から手をつけるべきかお困りではありませんか。DX(デジタルトランスフォーメーション)やERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)という言葉は聞くものの、具体的な進め方が分からず、日々の業務に追われている担当者様も多いでしょう。

本記事では、そのような課題を解決し、人事DXを成功に導くための具体的なステップを解説します。人事DXはERP導入から始めることで、業務効率化と全社最適化を同時に実現できます。他社に先駆けた人事戦略を構築する絶好の機会です。この記事を読めば、導入準備から実践的な活用方法までが分かり、自信を持ってプロジェクトを推進できるようになります。

なぜ人事DXの推進にERPが不可欠なのか?

人事DXとは、デジタル技術を活用して人事業務を変革し、企業の競争力を高める取り組みです。その中核を担うのがERPです。

これは単なる業務改善に留まらず、経営基盤を強化する重要な施策です。なぜERPが人事DXの推進に不可欠なのか、その理由を三つの側面から分かりやすく解説します。これらのポイントを理解すれば、導入への確信が深まるはずです。

人事データを一元化し、経営の意思決定を迅速化するため

ERPの特徴は、人事や給与、勤怠などのさまざまな人事データを1つのシステムに統合できる点にあります。データが一元化されることで、経営層はリアルタイムで正確な人材情報を把握し、迅速かつ的確な意思決定が可能です。

全社の情報を横断的に可視化できるため、より精度の高い経営判断につながります。たとえば、事業戦略に基づいた適切な人員配置のシミュレーションや、将来のリーダー候補の育成計画立案などを、客観的なデータに基づいて行うことが可能です。勘や経験だけに頼らない、戦略的な組織運営が実現します。

既存システムやExcelによる管理のボトルネックを解消するため

多くの企業では、部署や業務ごとに異なるシステムやExcelで人事データを管理しており、データの重複入力や不整合、集計作業の煩雑化などの問題が生じています。これらの課題は、担当者の負担を増やすだけでなく、情報の信頼性を損なう原因です。

特に月末の報告書作成業務では、各所からデータを集めて手作業で統合する必要があり、多くの時間と労力を要します。手作業による入力ミスは、給与計算の誤りなど、深刻な問題を引き起こすリスクも抱えています。ERPはこれらの課題を根本から解決することが大切です。

業務効率化の先にある「戦略人事」の実現を後押しするため

ERPによって日々の定型業務から解放された人事部門は、より付加価値の高い業務に注力できるようになります。具体的には、人材育成や組織開発、採用戦略などの戦略人事の領域です。

戦略人事とは、経営戦略と連動した人事施策を立案・実行し、事業の成長に直接的に貢献する役割を指します。たとえば、従業員エンゲージメントの向上施策や、組織文化の醸成など企業の未来を創るための活動に時間を投資することが可能です。これは人事部門の価値を大きく引き上げます。

人事DXを実現するERP導入の5ステップ

人事DXを成功させるためには、計画的なアプローチが不可欠です。やみくもに導入を進めると、現場の混乱を招きかねません。

ここでは、ERPの導入をスムーズに進めるための5つのステップを紹介します。この手順に沿って進めることで、プロジェクトの成功確率を格段に高めることができます。ひとつひとつの段階を丁寧に進めていくことが大切です。

ステップ1:現状分析と課題の洗い出し

まずは、As-Is(アズイズ)分析、つまり現状把握から始めます。現在の人事業務のフローや管理方法を可視化し、どこに課題があるのかを具体的に洗い出しましょう。「誰が」「何を」「どのように」行っているのかを整理し、非効率な点や属人化している業務を特定します。

たとえば、「給与計算に毎月何時間かかっているか」などの点を定量的に把握することが大切です。これにより、導入後の効果を具体的に比較できるようになります。洗い出した課題には優先順位をつけ、どの問題から解決すべきかを明確にしておきましょう。

ステップ2:導入目的の明確化とゴール設定

次に、ERP導入によって「何を達成したいのか」という目的を明確にし、具体的なゴールを設定します。たとえば、「ペーパーレス化によるコストを30%削減する」や「人事評価プロセスにかかる時間を半分にする」など、KGI(キーゴールインジケーター)として具体的かつ測定可能な目標を立てることが重要です。

この目的やゴールは、経営層や関連部署と十分にすり合わせを行い、全社的なコンセンサスを得ることがプロジェクト推進の鍵となります。明確なゴールが関係者の協力を引き出します。

ステップ3:自社に適したERP製品の選定と比較

市場にはさまざまなERP製品が存在するため、自社の規模や業種、課題に合わせて複数の製品を比較検討しましょう。機能の網羅性だけでなく、UI(ユーザーインターフェース)の操作性やサポート体制も重要な選定基準となります。

また、将来的な機能拡張の可能性や、セキュリティ対策が万全であるかも確認すべき項目です。自社と同業種・同規模の企業の導入事例を参考にすると、より具体的な活用イメージが湧きやすくなります。無料トライアルなどを活用して、実際の使用感を確かめることをお勧めします。

ステップ4:導入計画の策定とプロジェクト体制の構築

導入するERPが決まったら、詳細な導入計画を策定します。スケジュールやタスク、担当者を明確にし、プロジェクトを推進するための体制の構築が不可欠です。

既存システムからのデータ移行は計画の重要な部分を占めるため、どのデータを、いつ、どのように移行するのかを詳細に定義しておく必要があります。プロジェクトメンバー間の定期的な進捗会議や、明確なコミュニケーションルールを設定することも、円滑な進行には欠かせません。経営層を巻き込み、全社的な協力体制を築くことが成功の鍵です。

ステップ5:段階的な導入と社内への浸透・定着

いきなり全ての機能を全社展開するのではなく、特定の部署や業務から段階的に導入を進めるのが現実的です。導入後は、操作研修やマニュアルを整備し、従業員がスムーズに新しいシステムを利用できるようサポートします。

各部署に新しいシステムの推進役となるキーユーザーを設けると、現場からの質問対応や活用促進がスムーズに進みます。導入後の一時的な業務負荷の増加も想定し、十分なサポート体制を準備しておくことが大切です。これが従業員の不安を和らげ、浸透・定着を成功させるための重要なポイントになります。

ERPを最大限に活かす!人事DXを成功させるデータ活用術

ERPは単なる業務効率化ツールではありません。システムを導入するだけではDXは実現しません。

蓄積された人事データを活用し、KPI(重要業績評価指標)を正しく設定することで、より戦略的な人事施策を展開できます。データをいかにして経営や組織運営に活かすかが成功の鍵を握っており、ここでは具体的なデータ活用術を4つ紹介します。

活用術1:データに基づいた客観的な人材配置・異動

従業員のスキルや経験、評価などのデータを分析します。これにより、個々の能力を引き出す最適な人材配置が可能になります。勘や経験に頼るのではなく、データに基づいた客観的な判断が、組織全体のパフォーマンス向上や将来の幹部候補となる人材を早期に発見し、計画的な育成につなげるサクセッションプランニングも実現可能です。

上長は客観的なデータを用いて部下との面談に臨めるため、キャリア開発支援の質が向上し、従業員の納得感を高めます。また、プロジェクト単位で必要な人材を迅速にアサインでき、組織の機動力を高めることもできます。

活用術2:従業員のスキルや経験の可視化と育成計画への応用

ERP上に蓄積されたスキルや研修履歴を可視化すると、組織として不足しているスキルや、今後育成すべき人材が明確になります。組織全体のスキルマップを作成することで、事業戦略の実現に不可欠なスキルの保有状況を把握できます。

これにより、将来の事業展開を見据えた戦略的な人員計画の立案が可能です。従業員は自律的なスキルアップを目指しやすくなり、マネージャーは部下の強みや育成課題を客観的に把握し、的確な指導を行えます。さらに、研修投資の効果測定も可能となり、育成体系の改善に役立ちます。

活用術3:エンゲージメント分析と離職率の改善

勤怠データや評価データ、サーベイ結果などを分析し、従業員のエンゲージメントを測定します。エンゲージメントが低下している従業員や部署を早期に発見し、上司による面談などの適切なフォローが可能になります。これにより、優秀な人材の流出を防ぎ、離職率の改善につなげることが可能です。

労働時間や評価との相関を分析すれば、エンゲージメント低下の根本原因を特定しやすくなります。組織の健康状態を定点観測し、職場環境の改善という具体的な施策に活かすことで、従業員が働きやすい環境を構築でき、人事施策の経営貢献度を可視化することにもつながります。

活用術4:採用活動の高度化とミスマッチの防止

過去の採用データや、ハイパフォーマーとして活躍している社員の特性を分析します。これにより、自社にマッチする人材ペルソナの明確化が可能です。感覚的な採用から脱却し、データドリブンな採用戦略を実現することで、採用効率と定着率の向上が期待できます。

採用チャネルごとの入社後パフォーマンスを分析すれば、より費用対効果の高い採用活動が実現可能です。入社後のオンボーディングでも、個々の特性に合わせたフォローアップが可能になり、早期戦力化を促進できます。これは候補者体験の向上にもつなげ、採用競争力を高めます。

【サービス例】人事DXの推進を支援する代表的なERP

ここでは、人事DXの推進を支援する代表的なERPを3つ紹介します。製品選定はプロジェクトの成否を分ける重要なプロセスです。

国内外の多くのベンダーから多様なサービスが提供されており、自社に適切なものを選ぶ必要があります。近年はSaaS形態での提供が主流であり、ここで紹介するサービスはあくまで一例ですが、選定の際の比較軸として参考にしてください。

1.COMPANY|大手法人の複雑な人事業務に対応する統合人事システム

株式会社Works Human Intelligenceが提供するCOMPANYは、大手法人向けの統合人事システムです。人事管理や給与計算、勤怠などの基幹業務からタレントマネジメントまで、人事業務を幅広く網羅します。

大きな特徴は、大企業の複雑な人事制度や勤務形態にも、豊富な標準機能で柔軟に対応できる点です。法改正や機能追加の費用が発生しない定額制で、長期的なコストを固定化できます。日本の大手法人約1,200グループへの導入実績が信頼の証です。金融機関も利用する高いセキュリティで、重要な人事データを安心して管理できます。

出典参照:COMPANY|株式会社Works Human Intelligence

2.SmartHR|労務管理の効率化から戦略的なタレントマネジメントまで実現

株式会社SmartHRが提供するSmartHR(スマートHR)は、労務管理に強いクラウド人事労務ソフトです。入社手続きや年末調整などの労務手続きをペーパーレス化し、人事担当者の負担を削減します。

従業員自身が情報を入力するため、正確なデータ収集が可能です。近年はタレントマネジメント機能も充実させ、収集したデータで人事評価や配置シミュレーションを行えます。直感的な操作性が特徴で、誰でも使いやすい点が評価されており、労務管理を起点に、戦略的な人事施策まで一気通貫で支援します。

出典参照:SmartHR|株式会社SmartHR

3.freee統合型ERP|人事・会計・販売までバックオフィス業務をまるごと統合

freee株式会社が提供するfreee統合型ERPは、人事労務・会計・販売管理を統合できるクラウド型ERPです。大きな特徴は、入力情報が各システム間で自動連携される点です。

たとえば、人事労務で確定した給与データが自動で会計帳簿に仕訳として反映されるなど、部門間の業務がシームレスにつながります。これにより、バックオフィス全体の手間やヒューマンエラーを削減できます。特に中小企業に適しており、経営者は人事から会計までのデータを一気通貫で確認し、迅速な経営判断に役立てることが可能です。

出典参照:freee統合型ERP|freee株式会社

まとめ|ERP導入で、戦略的な人事DXへの第一歩を踏み出そう

人事DXの推進は、もはや待ったなしの経営課題です。ERPを導入して人事データを活用することは、ROI(投資利益率)の観点からも重要な一手となります。

本記事で紹介したステップと活用術を参考に、ぜひ戦略的な人事DXへの第一歩を踏み出してください。変化の激しい時代で、迅速で柔軟な組織運営は不可欠であり、人事DXはそのための強固な基盤を築きます。今日からできる小さな一歩が、数年後の大きな競争優位性につながるでしょう。