インボイス対応の課題は経理DXで解消!システム導入のポイントも解説

インボイス制度の導入は、請求書処理を複雑化させ、経理担当者の負担増につながっています。DXを推進することで、請求書の自動化やデジタル保存を実現し、効率的に法令遵守が可能です。この記事ではインボイス対応のシステム導入のポイントなどを解説します。

インボイス制度の導入により、請求書のチェックや保存方法が以前よりも複雑化し、企業によっては経理担当者の負担が増しているケースがあります。これまで以上に正確性と効率性が求められる中で、注目されているのが経理DXです。

経理DXによるシステム導入はインボイス対応にも効果的で、ヒューマンエラーを防止できる有効な手段として導入が進んでいます。請求書のチェックや保存業務など複雑化する業務を効率的に進められるでしょう。

この記事では、インボイス対応を効率的に進めるうえで有効なシステム導入のポイントをわかりやすく解説し、企業が直面する課題解決のヒントを紹介します。

インボイス対応で経理業務に負担を感じている場合、ぜひ参考にしてください。

インボイス制度開始に伴い増加した経理業務の具体例

インボイス制度の導入により、企業の経理部門には新たな業務負担が発生しています。これまでの請求書処理に加え、インボイス登録番号など、制度に対応するための確認や記録の作業が増えたことで、従来以上に時間と労力を要するようになりました。

特に中小企業では人員やリソースが限られているため、対応が追いつかず経理担当者に過度な負担が集中する傾向にあります。ここでは、具体的に増加した経理業務を見ていきましょう。

出典参照:インボイス制度について|国税庁

1.請求書のチェック項目が増加

インボイス制度においては、請求書に記載されるべき項目が厳密に定められています。取引先の登録番号や適格請求書であるかの確認など、従来不要だったチェック作業が必要になりました。

経理担当者は受領した請求書を一枚ずつ確認し、不備があれば取引先に差し戻す必要があります。これにより、処理のスピードが落ちるだけでなく、担当者の精神的な負担も増加する恐れがあります。さらに、取引先が制度に不慣れで誤記が多発する場合、修正依頼や再発行のやりとりに時間が取られ、経理部門の業務効率を圧迫する要因となっているでしょう。

2.受け取った請求書の管理が複雑

インボイス制度においては、受領した請求書を正しく保管・管理することが求められます。税務調査に備えて、適格請求書として認められる形式で保存しておく必要があるため、従来の紙ベースや単純なPDF保存だけでは不十分です。

適切に分類し、検索や参照が容易な状態で保管しなければならないため、企業によっては管理体制の見直しが不可欠です。これまで紙の書類やExcelで処理していた企業にとっては負担が増してしまい、システムを導入せず手作業を続ければ、管理ミスや紛失のリスクも高まります。こうした背景から、請求書管理システムや経理DXへの取り組みが現場で強く求められているのが現状です。

3.従業員からの問い合わせへの対応増加

インボイス制度に関しては、経理担当者以外の従業員も理解不足で混乱しやすいでしょう。例えば営業部門や購買部門の社員が「この請求書は経費精算できるのか」といった問い合わせを頻繁に行うようになり、経理担当者が対応に追われるケースが増加しかねません。本来であれば経理におけるコア業務に集中すべきところ、社内からの質問対応に多くの時間を割くことになり、全体的な業務効率の低下を招いています。

さらに、制度への理解が不十分なまま誤った処理を行えば、後に修正対応や追加の確認作業が発生し、さらなる負担増へとつながります。

経理DXでインボイス対応の課題を解決する3つの方法

インボイス制度の開始により、従来よりも経理の業務負担が大きくなった企業もあるでしょう。業務負担が増した結果、経理担当者の残業やミスの増加につながるケースも少なくありません。こうした課題を解消するためには、経理DXを推進し、システムの導入で効率化を進めていきましょう。

具体的には以下の3つの方法が有効です。

  • 請求書受領システムの導入
  • 承認プロセスの簡略化
  • 請求書のデジタル保存

以下では、それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

1.請求書受領システムの導入でチェック作業を自動化

インボイス制度においては、適格請求書の要件を満たしているかを確認する必要があり、手作業では負担となるでしょう。

請求書受領システムを導入すれば、取引先の登録番号や必要項目を自動でチェックでき、不備がある場合はアラートで知らせてくれます。これにより、担当者が一枚ずつ目視で確認する必要が減り、業務の正確性とスピードが向上します。

さらに、システムを活用すれば、請求書の電子データ化が進み、後続の工程にもスムーズにつなげられる点もメリットです。結果として、経理担当者の負担軽減と業務効率の改善が実現できます。

2.ワークフローシステムで承認プロセスの簡略化

インボイス対応では、請求書の内容を社内で承認するプロセスも複雑になりがちです。従来の紙やメールでのやり取りでは、承認者が不在の際に処理が滞り、支払い遅延につながることもありました。

ワークフローシステムを導入すれば、請求書が自動的に承認ルートへ回り、関係者はオンライン上で即時に確認や承認が可能になります。これにより、承認のスピードが速まり、どこに滞留しているのかも可視化できるため、業務の透明性も向上します。また、モバイル端末からの承認にも対応でき、リモートワーク環境でもスムーズに処理できる点も利点です。

3.請求書のデジタル保存で管理業務を効率化

インボイス制度では、請求書を適切に保存しておくことが税務上の要件となります。紙のまま保管すると、保管場所や検索の手間が増え、紛失や管理ミスのリスクが高まりかねません。

デジタル保存を導入すれば、請求書をシステム上で一元管理でき、検索や参照が容易になります。さらに、電子帳簿保存法にも対応できるため、法令順守の体制も整いやすくなります。管理コストを削減できるだけでなく、過去データの活用もしやすくなり、経営判断の迅速化にも貢献するでしょう。

このように、請求書のデジタル保存は、インボイス制度対応と経理業務全体の効率化を同時に実現する手段と言えます。

インボイス対応システムを導入する際の3つのポイント

インボイス制度への対応を効率的に行うため、多くの企業がシステム導入を検討しています。しかし、どのようなシステムを選定するかは、その後の業務効率や法令遵守のしやすさを左右する要因です。特に中小企業では限られた人員で対応しなければならないため、導入時には慎重にシステムを選定しましょう。

ここでは、導入時に押さえておくべき3つのポイントを解説します。自社の状況に合った最適なシステムを選び、円滑な制度移行を目指しましょう。

1.既存の会計システムとの連携可否

システムを導入する際にまず確認したいのが、既存の会計ソフトや経費精算システムと連携できるかどうかです。連携が不十分だと、同じデータを何度も入力する二重作業が発生し、むしろ業務効率を下げる可能性があります。スムーズに連携できるシステムであれば、請求書データを自動で取り込み、仕訳や支払い処理まで一貫して行えるため、担当者の負担を軽減できるでしょう。

API連携が可能なシステムであれば、異なるベンダーのサービス間でも自動でデータ連携ができ、手動でのデータ移行や入力作業をなくせます。これにより、業務の標準化とリアルタイムでの情報共有が可能になります。

2.インボイス制度や最新の法令改正に対応できるか

インボイス制度は導入後も運用方法や関連法令の見直しが発生する可能性があり、それに適切に対応できるかどうかも判断基準です。制度変更があった際、迅速にアップデートされないシステムを利用していると、知らない間に法令違反につながるリスクがあります。常に制度変更を反映し、安心して利用できる仕組みを備えているかどうかが、長期的な利用における安心感につながります。

特に、クラウド型のサービスはベンダーが自動でアップデートを行ってくれるため、自社で法改正を常に追いかける必要がなく、法令遵守のコストを削減できるでしょう。

3.導入・運用のサポート体制の確認

どれほど優れた機能を持つシステムでも、導入後に操作が難しかったり、トラブル対応に時間がかかったりすれば意味がありません。そのため、提供企業がどのようなサポート体制を用意しているかの事前確認が大切です。

具体的には、導入時の初期設定をサポートしてくれるか、トラブル発生時に迅速に対応してくれる窓口があるかなどを確認しておくと安心です。特に中小企業の場合は専任のシステム担当者を置けないことも多いため、外部のサポート体制が整っているシステムを選ぶことで、安心して運用を続けられます。

インボイス対応で請求書処理を効率化するシステム5選

インボイス制度の導入によって、経理担当者は請求書の確認や保存管理といった業務に追われるようになりました。特に中小企業では人手が限られており、手作業での対応では時間もコストもかかり過ぎてしまいます。そこで注目されているのが、インボイス制度に対応した経理システムの活用です。システムの導入によって煩雑な業務を効率化し、担当者の負担を軽減できるでしょう。

ここでは、導入実績も多く、安心して利用できる代表的な5つのシステムを紹介します。

1.freee会計|中小企業向けのクラウド会計

freee会計は、中小企業や個人事業主を中心に広く利用されているクラウド会計ソフトです。インボイス制度対応として、請求書の発行や受領時に登録番号を自動でチェックできる機能を備えています。銀行口座やクレジットカードと連携すれば、入出金データを自動で取り込むことが可能です。そのため、仕訳も自動化されるため、経理の専門知識がなくても処理できます。

スマートフォンアプリからの操作も可能で、外出先でも確認できる点がメリットです。導入コストが抑えやすく、初めて経理DXに取り組む企業にも適しているでしょう。

出典参照:freee会計|フリー株式会社

2.マネーフォワードクラウド会計|請求書作成から仕訳まで自動化

マネーフォワードクラウド会計は、請求書の発行から仕訳、さらにはレポート作成まで一連の業務を自動化できるシステムです。インボイス対応では、登録番号の記載や帳票フォーマットへの対応が整っているため、請求書作成に関する不安を減らせます。

また、銀行やクレジットカード、給与計算ソフトとも連携可能で、幅広い業務を一元化できます。さらにAIによる自動仕訳の精度も高く、手作業による入力ミスを防ぎやすい点も魅力です。従業員が多い企業や、複数の部門で経理業務が発生する組織に向いているでしょう。

出典参照:マネーフォワードクラウド会計|株式会社マネーフォワード

3.楽楽明細|電子請求書発行とインボイス制度対応を同時に実現

楽楽明細は、紙の請求書を電子化し、発行から送付までを効率化できるシステムです。インボイス制度に準拠したフォーマットでの発行が可能で、受取側もスムーズに対応できます。郵送業務が不要になるため、印刷や封入にかかるコスト削減効果も期待できるでしょう。

さらに、請求書の送付状況をリアルタイムで確認できる機能があり、取引先からの問い合わせ対応もスピーディーに行えます。電子化によってペーパーレスを進められるため、環境面でのメリットもあります。大量の請求書を扱う企業にとって特に有効なシステムです。

出典参照:楽楽明細|株式会社ラクス

4.Bill One(Sansan)|受領請求書をデジタル化

Bill Oneは、Sansanが提供する受領請求書のデジタル化サービスです。紙やPDFで届いた請求書をスキャンまたはアップロードするだけで、AIとオペレーターが内容をデータ化し、クラウド上で一元管理できます。

インボイス対応として、登録番号の自動抽出や必要項目のチェック機能も搭載されています。これにより、受領した請求書をすぐに検索でき、経理処理のスピードが向上するでしょう。

さらに、複数拠点で受け取る請求書をクラウドに集約できるため、本社と支社の連携がスムーズになります。分散していた請求書管理を統合したい企業に最適です。

出典参照:Bill One|Sansan株式会社

5.弥生会計|インボイス登録番号の管理と帳票作成に対応

弥生会計は、長年にわたり中小企業の会計業務を支えてきた実績のあるソフトです。インボイス対応では、登録番号の管理や帳票作成機能が追加されており、法令に沿った処理を安心して行えます。操作画面が分かりやすく、経理初心者でも扱いやすい設計となっている点が特徴です。

また、会計事務所との連携も容易で、顧問税理士とのやり取りをスムーズに進められるでしょう。オンプレミス型とクラウド型の両方が用意されているため、自社の運用スタイルに合わせて選べる柔軟さもメリットです。サポート体制も充実しており、長期的な利用を考える企業に適しています。

出典参照:弥生会計|弥生株式会社

経理DXとしてインボイス対応のシステムを導入した事例

インボイス制度の導入は、経理部門にとって負担になりかねません。請求書のチェックや保存業務が複雑化し、従来のやり方では処理が追いつかない企業も少なくないでしょう。こうした課題を解決する手段として注目されているのが、経理DXを支えるインボイス対応システムの導入です。

実際に多くの企業がシステムを導入することで業務効率を改善し、法令対応もスムーズに進めています。ここでは代表的な2つの事例を紹介し、導入による効果を具体的に見ていきます。

事例1.三井住友ファイナンス&リース株式会社|電子帳簿保存法へも対応

三井住友ファイナンス&リース株式会社では、インボイス制度に対応するため、電子帳簿保存法にも準拠したシステムを導入しました。従来は請求書を紙で管理していたため、検索や共有に時間がかかり、保存コストも膨らんでいました。

新システムの導入により、請求書を電子データで一元管理できるようになり、法令要件を満たした保存と業務効率化を同時に実現しています。担当者は過去のデータを簡単に検索できるようになり、社内での情報共有もスピーディーに行えるようになっています。これにより、コンプライアンス強化と業務の合理化の両立につながりました。

さらに、経理部門以外の部署ともスムーズに連携できるようになり、請求処理の進捗が可視化されることで内部統制の精度も高まっています。

出典参照:請求・支払業務のデジタルシフトによる働き方改革とコスト削減|ウイングアーク1st株式会社

事例2.株式会社ユニリタ|毎月の請求書保管業務を約40時間も削減

株式会社ユニリタでは、毎月発生する大量の請求書の保管業務に大きな負担を感じていました。紙ベースでの保管では、書類の整理や検索に時間がかかり、担当者の残業が常態化していたためです。インボイス制度を見据えてシステムを導入した結果、請求書は自動的に電子保存され、検索や仕分けも容易になりました。その効果として、月間約40時間もの業務時間を削減できたと報告されています。

さらに、業務の標準化が進んだことで属人化も解消され、誰でも同じ精度で処理できる体制が整いました。経理担当者は本来の分析業務に集中できるようになり、企業全体の生産性向上にもつながっています。

出典参照:請求書保管業務の効率化で毎月約40時間分の業務量を削減。法改正対応を起点に業務DXを一歩先へと前進|株式会社 日立ソリューションズ

まとめ|経理DXによるインボイス対応で法令を遵守しよう

インボイス制度は取引の透明性を高める一方で、経理部門の業務負担を増やす要因となっています。そこでポイントになるのが、経理DXを通じたシステムの活用です。請求書処理の自動化やデジタル保存を取り入れることで、効率的に法令遵守を実現できるでしょう。

特に、電子インボイスの導入は、紙でのやり取りをなくし、保管コストや郵送費の削減に貢献します。システム導入は業務改善だけでなく、将来的な制度変更にも柔軟に対応できる基盤を整える効果があります。自社に合った仕組みを選び、法令遵守と経理業務の持続的な安定を両立させましょう。