経理DXが月次決算を加速させる?早期化の具体的な手順と成功事例

経理DXで月次決算を早期化する方法を解説します。専用システムを導入して月次決算の早期化に取り組めば、データ処理の自動化やペーパーレス化により、業務効率化と正確性を両立可能です。月次決算の早期化によって経営判断の迅速化と、競争力の向上につながります。

経理業務は仕訳や月次決算など、多くの作業に追われやすく、紙やExcelに依存した処理は入力ミスや業務の遅延を招きがちです。特に月次決算が遅れると、経営層が必要な情報を迅速に得られず、意思決定の遅れにもつながります。こうした課題を解消する手段として注目されているのが経理DXです。

なかでも月次決算の早期化は、効率と正確性を同時に高める代表的な取り組みです。会計データを自動で収集・処理できる仕組みを導入すれば、作業時間を短縮できるだけでなく、数値の信頼性も向上します。

この記事では、経理DXによる月次決算の早期化の仕組みや効果をわかりやすく解説し、実務に役立つポイントを紹介します。月次決算の早期化を検討している場合、ぜひ参考にしてください。

月次決算の早期化が求められている3つの理由

月次決算の早期化は、単に業務効率を上げるためだけでなく、企業の競争力や組織全体の健全性を高めるうえで重要な意味を持ちます。

さらに、早期化は経営層だけでなく現場部門にとっても有益です。数値をタイムリーに把握できれば、営業部門は収益性の高い商談へ注力でき、購買部門は在庫の最適化に活用できます。月次決算の早期化は、経理部門を超えた全社的な経営改善を支える仕組みとしても位置づけられるでしょう。

ここでは、代表的な3つの理由を整理して解説します。

1.経営判断の迅速化と競争力の向上

月次決算を早く完了できれば、経営層は常に最新の数値をもとに判断を下せるようになります。売上や利益の変動をいち早く把握できれば、新規投資やコスト削減といった意思決定を迅速に行えるでしょう。例えば、競合が価格を変更した際に、自社の利益率や損益分岐点を即座に確認できれば、スピーディーに対策を講じられます。

逆に決算が遅れると、古いデータに基づいた判断を余儀なくされ、機会損失につながる恐れがあります。市場環境が目まぐるしく変化する現代においては、最新のデータを素早く入手できるかどうかが競争力を高めるポイントです。

2.赤字や資金繰りの課題の早期発見と対策

月次決算を早期化できれば、赤字や資金繰りの問題をいち早く察知できるようになります。資金の流れをリアルタイムに近い形で把握できれば、突発的な支払いに備えたり、資金調達の準備を前倒しで行ったりすることが可能です。

特に中小企業では、資金ショートが経営破綻につながるリスクが高いため、迅速な対応が欠かせません。また、売掛金の回収遅れや在庫過多といった課題も早期に発見できれば、改善策を打ちやすくなるでしょう。これにより、経営の安定性が高まり、長期的な成長につながります。

3.経理部門の業務負担軽減と働き方改革の実現

決算期に経理担当者の残業が増えるのは、多くの企業で見られる課題です。特に月末から翌月にかけては、請求書の処理や仕訳作業が集中し、長時間労働が常態化しやすい状況にあります。

経理DXによって月次決算を早期化すれば、作業を平準化し、担当者の業務負担を軽減できるでしょう。自動仕訳やワークフローのデジタル化によって、確認や承認のスピードも向上し、従業員は余裕を持って業務に取り組めます。これにより、働き方改革の推進にもつながり、人材の定着率やモチベーションの向上にも好影響を与えられるでしょう。

人材の定着率が向上すれば、企業を悩ませる人手不足という課題の解消につながります。

月次決算の早期化を妨げる3つの要因

月次決算を早期化したいと考えても、実際にはさまざまな要因によって処理が遅れてしまうケースもあるでしょう。経理部門だけが努力しても解決できない課題も多く、全社的な取り組みが必要になります。ここでは月次決算の早期化を妨げる以下の代表的な3つの要因を解説します。

  • 紙の請求書や領収書の収集や確認に時間がかかる
  • 非効率な作業とヒューマンエラーの発生リスク
  • 部署間の連携が不十分で、承認プロセスが遅れる

それぞれの課題がどのように早期化を妨げているのかを見ていきましょう。

1.紙の請求書や領収書の収集や確認に時間がかかる

依然として紙ベースの請求書や領収書を利用している企業では、書類の収集や仕分けに多くの時間がかかります。郵送で届く書類を待たなければならないうえ、担当者が手作業で内容を確認し、ファイリングする必要があります。その過程で書類の紛失や記載漏れが発覚してしまうと、差し戻しや再確認によりさらに処理が遅れかねません。

インボイス制度の開始によって記載内容のチェック項目が増えたため、従来よりも確認作業に時間を要してしまう傾向が強まっています。こうした紙文化のままでは、月次決算の早期化は難しいでしょう。

2.非効率な作業とヒューマンエラーの発生リスク

請求書や仕訳を手作業で入力している場合、効率が悪いだけでなくヒューマンエラーのリスクも高まってしまうでしょう。数字の入力ミスや勘定科目の誤りがあれば、後続の承認や決算処理に影響が及び、修正作業に時間を取られてしまいます。

また、担当者ごとに判断基準が異なると、処理にばらつきが生まれ、ブラックボックス化するリスクもあります。インボイス対応のようにルールが細かく定められている場面では、特定の従業員の判断に依存した作業は負担が大きく、早期化を妨げる大きな要因になりかねません。ブラックボックス化が深刻化すると、特定の従業員が休んだ場合や退職した場合に、業務が停滞してしまうでしょう。

3.部署間の連携が不十分で、承認プロセスが遅れる

月次決算の遅延要因として見逃せないのが、社内の承認プロセスにおける連携不足です。経費精算や請求書処理は経理部門だけで進められるわけではありません。営業や購買部門など複数の部署が関わります。

紙やメールでの承認フローでは、担当者が不在の場合に処理が滞ったり、進捗が把握できずに無駄な催促が発生したりします。その結果、決算処理全体が遅れてしまうでしょう。承認がスムーズに進まなければ、いくら経理部門が効率化しても早期化は実現できません。全社的なシステム導入やワークフローの統一が不可欠です。

経理DXで月次決算を早期化する3つの手法

月次決算の早期化は、企業の競争力を高めるために欠かせない取り組みです。しかし、従来のアナログなやり方では、以下のような作業に時間がかかってしまいます。

  • 請求書の処理
  • 仕訳入力
  • 承認フロー

請求書や領収書などのデータを電子化しシステムを活用して業務を自動化すれば、決算に必要な情報がリアルタイムに揃うため、処理スピードを向上させられます。ここでは、月次決算の早期化を実現する3つの具体的な手法を見ていきましょう。

1.請求書・領収書の電子化と自動データ化

経理業務の遅延要因のひとつは、紙の請求書や領収書の収集と確認に時間がかかることです。このような課題を解決するには、電子請求書やAI-OCRを活用したデータ化が有効です。

電子化すれば、書類の到着を待つ時間や手入力の手間が不要になり、すぐにシステムへ取り込めます。さらに、自動で取引先名や金額、インボイス番号を読み取る仕組みを導入すれば、記載内容のチェック精度の向上も期待できるでしょう。これにより入力作業の負担を軽減し、処理の正確性を担保しながらスピーディーに月次決算に反映させることが可能になります。

2.仕訳・経費精算業務の自動化

仕訳や経費精算も決算の早期化を妨げてしまう要因です。従来のように担当者が手作業で入力すれば、時間がかかるだけでなく、入力ミスのリスクも増えます。

一方、クラウド会計ソフトや経費精算システムを活用すれば、銀行口座やクレジットカードと連携して自動仕訳が可能になります。さらに、従業員がスマートフォンから経費を申請すれば、承認後にそのまま会計システムへ反映されるため仕訳処理までを自動化できるでしょう。これにより、月末に集中しがちな作業を平準化でき、決算処理のスピードアップにつながります。

3.ワークフローをデジタル化しペーパーレス化を推進

経理DXを進めるうえで欠かせないのが、社内承認フローのデジタル化です。紙やメールによる承認では、担当者の不在や承認の遅れが発生しやすく、決算業務全体を遅らせる要因となります。ワークフローシステムを導入すれば、申請から承認までがオンラインで完結し、進捗状況もリアルタイムで把握できます。ワークフローシステムとは、企業や組織における申請、承認、決裁などの業務プロセスを電子化・自動化するシステムです。

また、ペーパーレス化によって書類の保管や検索にかかる時間を削減できる点もメリットです。部署間の連携をスムーズにし、全体の業務効率を底上げできれば、月次決算の早期化を推進できるでしょう。

経理DXで月次決算を早期化するための手順

月次決算を早期化するには、単にシステムを導入するだけではなく、業務全体の流れを見直し、課題を解決するための具体的な手順を踏むことが欠かせません。

具体的には以下のような手順で月次決算を早期化しましょう。

  • 経理業務の現状分析と課題特定
  • 課題解消のためのシステム選定と基盤構築
  • 手作業中心だった業務を自動化
  • 電子承認システムによる承認業務の効率化
  • 経理部門以外と連携した運用と継続的改善

ここでは月次決算を早期化する手順を詳しく解説します。

手順1.経理業務の現状分析と課題特定

最初のステップとして、現在の経理業務の流れを可視化し、どこに時間や手間がかかっているかを明らかにしましょう。例えば、以下のように具体的に課題を洗い出します。

  • 請求書処理に時間がかかるのか
  • 仕訳作業が属人化しているのか
  • 承認フローが停滞しているのか

この段階で経理業務の全体像を把握すれば、改善すべきポイントを優先順位づけでき、無駄のない改革が可能になります。

全体像の把握にあたっては、現場担当者へのヒアリングを行い、実務に応じた課題を見つけ出しましょう。さらに、課題を数値化して指標を設定すれば、改善効果を測定しやすくなり、経営層への説明材料としても活用できます。

手順2.課題解消のためのシステム選定と基盤構築

課題を明確にしたら、それを解決できるシステムを選定し、導入基盤を整備します。課題を解決するシステムは、会計ソフトやRPA、経費精算システム、ワークフローシステムなどさまざまです。多様なシステムのなかから、自社の規模や業務フローに合ったものを選びましょう。

また、既存のシステムと連携できるかどうかも検討ポイントです。例えばクラウド型のシステムであれば、法令改正や機能追加にも柔軟に対応でき、長期的に安定した運用が可能になります。導入時にはテスト運用を行い、実際の業務に適しているかを確認することも欠かせません。さらに、導入後の教育研修やマニュアルを整備することで、現場に定着させやすくなり、投資対効果を最大化できます。

手順3.手作業中心だった業務を自動化

経理業務の中でも、仕訳やデータ入力などの定型的な作業は自動化による効果が期待できる領域です。銀行口座やクレジットカードと会計ソフトを連携させることで、取引データを自動で仕訳し、担当者の負担を軽減できます。経費精算システムと連携させれば、従業員が申請したデータを承認後すぐに仕訳へ反映でき、月末に業務が集中するのを防止可能です。

さらに、AI-OCRを活用して紙の請求書を自動でデータ化すれば、入力作業や確認作業の精度が向上するためヒューマンエラーも減らせます。こうした自動化を積み重ねることで、担当者は分析や改善提案といった付加価値の高い業務に時間を割けるようになり、経理部門全体の役割も進化していきます。

手順4.電子承認システムによる承認業務の効率化

承認プロセスが遅れると、経理部門がどれほど効率化を進めても決算全体が滞ってしまいます。そこで有効なのが、電子承認システムの導入です。申請から承認までをオンラインで完結させれば、担当者の不在や紙の回覧による停滞を防げます。

承認状況をリアルタイムで確認できるため、どこで滞っているかを即座に把握し、迅速な対応が可能です。また、承認履歴が自動で残るため、監査対応や内部統制の強化にもつながります。

加えて、スマートフォンやタブレットからも承認できるようにすれば、リモート環境でもスムーズに業務が進み、働き方改革の推進にもつながるでしょう。

手順5.経理部門以外と連携した運用と継続的改善

月次決算を早期化するためには、経理部門だけでなく、営業や購買、人事など他部門との協力が欠かせません。例えば、営業部門が売上計上を遅らせれば、いくら経理が効率化しても決算は遅れてしまいます。経理DXを全社的な取り組みとして位置づけ、各部署と協力しながらデータの提出や処理のルールを徹底しましょう。

また、導入後も業務の改善点を定期的に見直し、システムやフローをアップデートし続けることで、早期化を継続的に実現できます。こうした全社的な取り組みこそが、経理DXの真価を発揮するポイントです。

月次決算の早期化に取り組んだ事例

月次決算は企業の経営判断につながる業務ですが、作業量の多さや手作業による遅延が課題になりやすい領域です。特に仕訳や伝票処理などの繰り返し業務に時間がかかると、迅速な経営分析や戦略策定が難しくなるでしょう。

近年は経理DXの取り組みにより、システムを活用して決算スピードを改善する企業が増えています。ここでは実際に月次決算の早期化を実現した以下の企業事例を紹介します。

  • 株式会社デジタル・メディア・ラボ
  • 株式会社クラシオホールディングス

自社で月次決算の早期化に取り組む際の参考にしましょう。

事例1.株式会社デジタル・メディア・ラボ|ERPで月次の締作業時間を削減

株式会社デジタル・メディア・ラボでは、従来の月次決算において各部署からのデータ収集や仕訳入力に多くの時間がかかっていました。そのため、正確性を保ちながらスピードを向上させるためにERPを導入しました。

導入後は、売上や経費のデータが自動で一元管理され、リアルタイムで会計処理に反映されるようになっています。これにより、手作業での集計や確認作業が不要になり、月次締め作業時間を削減することに成功しました。

また、情報の透明性が高まり、経営層へのレポート提出もスムーズになったことで、迅速な意思決定につながっています。さらに、導入プロセスの中では現場のオペレーション改善も進み、業務フロー全体が効率化されました。

出典参照:精度の高い原価計算を求めてERPを導入。複数部門での二重入力がなくなり劇的な業務効率化を実現!|株式会社 オロ

事例2.株式会社クラシオホールディングス|決算業務削減とペーパーレス化を実現

株式会社クラシオホールディングスでは、決算に関わる伝票処理や承認フローが紙ベースで行われていたため、業務の滞りやミスが頻発していました。この課題を解決するために導入したのが、クラウド型の経費精算システムです。その結果、仕訳や承認が自動化され、紙の回覧が不要となり、決算業務全体の効率化が実現しました。さらに、データがクラウド上に保管されるため、監査対応や内部統制にも効果を発揮しました。

クラウド型の経費精算システムを導入したことで、月次決算のスピードが向上し、経営判断に必要な情報をタイムリーに提供できる体制が整っています。加えて、システム導入により承認フローの可視化も進み、各部門の進捗確認が容易になったことで、部門間の連携強化にもつながりました。

出典参照:月次決算確定の稼働日数を10日から5日に短縮!ワークフロー機能でペーパーレス化も実現!|株式会社ラクス

まとめ|経理DXで月次決算を早期化し経理の負担を軽減しよう

経理DXによる月次決算の早期化は、単なる効率化にとどまりません。正確性や透明性を高める取り組みとして、組織全体の経営基盤を強化します。データを一元管理し自動処理することで、担当者は入力作業から解放され、本来の分析や経営サポートに集中できるでしょう。さらに、決算情報を迅速に経営層へ提供できるため、的確な意思決定を後押しします。業務負担を軽減しつつ、企業の成長を支えるのが経理DXによる月次決算の早期化の意義です。

経理DXの一環として専用システムを導入し、月次決算をスピーディに進め、経理の負担を減らしましょう。