バックオフィスDXにセキュリティは必要?基本の対策やステップを解説
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入退社手続きは、企業が適切に行わなければならない業務です。煩雑な手作業や書類管理は、人事・労務担当者の大きな負担となり、人的ミスや情報漏えいのリスクを伴います。この記事では、入退社管理を効率化する人事労務DXのメリットや、システム導入の注意点を解説します。
企業にとって、入退社手続きは従業員を雇用するために必要な業務です。企業によっては手作業や紙の書類で管理しているため、時間や手間がかかり、ミスが発生しやすくなっています。特に、雇用契約書の作成や社会保険の手続き、退職手続きなど、法的要件を満たすためには慎重な対応が必要です。これらの手続きの効率化とミス削減を実現するために、近年では人事労務DXが注目されています。
DXを推進すれば、従業員情報の一元管理や、ペーパーレス化が進み、業務のスピードと精度が向上します。また、システムを導入すれば、従業員の入退社時に必要な手続きをスムーズに進めることができ、経理や労務担当者の負担を軽減できるでしょう。
さらに、情報漏えいや法的リスクを避けるためにも、デジタル化されたシステムの活用が有効です。この記事では、入退社管理のデジタル化によるメリットや注意点を詳しく解説します。人事労務DX推進の参考にしてみましょう。

入退社の際には、企業が適切に手続きを進めなければならない場面が多くあります。これらの手続きは、法的要件を満たすためや、従業員が円滑に業務を開始・終了できるようにするために欠かせない取り組みです。特に、雇用契約や社会保険の加入・脱退手続き、給与支払いに関する手続きは、企業の法的義務でもあります。これらを適切に管理し、手作業によるミスを減らすためには、デジタル化が有効です。
新しい従業員を迎える際には、まず雇用契約書を交わす必要があります。これには給与や勤務時間、職務内容などが記載されています。また、社会保険への加入手続きも必須です。これらの手続きが適切に行われなければ、法的な問題に発展する可能性があります。
従来は手作業で行われることが多く、確認漏れや時間を要する問題がありました。一方、入社手続きをデジタル化すれば、雇用契約書の作成から社会保険加入手続きまでを自動化でき、ミスを減らしスムーズに進めることができます。
退職時には、離職票の発行や社会保険の資格喪失手続きが求められます。これらは、退職した従業員が次の職を探すために必要な書類であり、適切な手続きが行われなければ、従業員が不利益を被ってしまうでしょう。
退職手続きが手作業で行われる場合、書類の漏れや誤りが発生しやすく、時間もかかることが多いです。そこで、退社手続きをデジタル化すれば、離職票や資格喪失手続きなどが自動化され、正確に迅速に処理できます。これにより、従業員の負担を軽減可能です。
入社や退社に際しては、従業員のアカウント管理も欠かせない作業の一部です。新しく入社する従業員には、業務に必要なシステムやツールのアカウントを発行しなければなりません。逆に、退職時にはそのアカウントの停止やデータ削除が必要です。手作業で行うと、管理漏れやセキュリティの問題につながることがあります。
デジタル化されたアカウント管理システムの使用によって、入退社に伴うアカウントの作成・削除・権限変更を自動化でき、セキュリティリスクを減少できます。
人事労務DXの一環として入退社管理システムを導入すれば、従業員情報の一元管理が可能となり、業務の効率化を進められるというのがメリットのひとつです。さらに、手作業の削減やミスの防止により、迅速なオンボーディングが実現し、業務精度が向上します。デジタル化されたデータは簡単に検索や分析ができ、法的リスクや人的ミスを軽減できます。
また、システムを通じて関係部署との情報共有がスムーズになり、セキュリティも強化可能です。
ここでは人事労務DXで入退社管理システムを活用するメリットを解説します。
入退社手続きのデジタル化によって、従来の手作業で行っていた業務を削減でき、作業時間を短縮可能です。特に、紙ベースでの手続きは、書類の送付や保管、確認作業など、多くの時間がかかる傾向にありました。一方、デジタル化によってこれらをオンラインで完結でき、業務全体の効率化が実現します。
手続きにかかる時間が減ることで、人事担当者はより戦略的な業務に注力可能です。具体的には、従業員がスマートフォンなどから個人情報を直接入力できるようになり、書類回収や入力作業の負担が軽減されます。これにより、迅速なオンボーディングを実現し、新入社員のエンゲージメント向上にもつながるでしょう。
手作業での入力やチェックを減らすことで、誤入力や書類の紛失などのミスを防ぐことができます。また、データの整合性が保たれるため、従業員の情報を一元管理でき、ヒューマンエラーを抑えます。さらに、デジタル化されたデータは検索や分析も簡単にできるため、必要な情報に迅速にアクセスでき、正確な意思決定のサポートも期待できるでしょう。
例えば、入社手続き時に収集した情報が自動的に人事データベースに反映されるため、二重入力の手間や入力ミスがなくなります。給与計算や社会保険手続きにおいても、正確なデータに基づいた処理が可能となり、業務の精度が飛躍的に向上します。
また、人事労務では労働基準法を始めとして、さまざまな法律への理解が必要です。人事労務専用のシステムを活用すれば、法的リスクも回避可能です。
従業員の個人情報を含むデータをデジタル化することで、データ保護が強化されます。セキュリティ対策がしっかりと施されたシステムを使用すれば、情報漏えいや不正アクセスのリスクを減少させられるでしょう。また、アカウント管理を自動化すれば、退職後のアクセス制限を確実に行うことができ、セキュリティリスクを最小限に抑えます。
特にクラウド型の人事システムは、常に最新のセキュリティ対策が適用されており、自社でサーバーを管理するよりも高い安全性が期待できます。また、アクセス権限を細かく設定できるため、不要な部署や担当者による情報閲覧を防ぎ、内部からの情報漏えいリスクの軽減も期待できるでしょう。
人事労務DXの一環として、入退社管理を効率化するためには専用のシステム導入が欠かせません。特に、SmartHRやサイボウズ Officeは、ペーパーレス化や情報共有を強化するために活用されています。
これらのシステムは、従業員情報の管理や手続きをスムーズに進め、時間やコストの削減を実現できるでしょう。さらに、法令対応や組織全体の連携強化にも貢献し、企業の人事業務をサポートします。
ここではDX推進に役立つ入退社管理システムについて詳しく見ていきましょう。
SmartHRは、企業の人事管理業務を効率化するクラウドベースのシステムです。特に入退社手続きに関して、ペーパーレス化を実現しています。従来の紙ベースの書類作成や署名手続きは、手間と時間がかかるだけでなく、人的ミスや紛失のリスクもありました。対して、SmartHRでは、これらの手続きをオンラインで完結できるため、迅速に処理できるようになります。
具体的には、従業員が自身の情報をオンラインで入力し、必要書類をデジタルで提出可能です。また、社会保険や労働保険の手続きも自動化されており、法的な要件を満たした状態で正確に処理されます。これにより、従業員情報の更新や管理がリアルタイムで反映され、全体的な業務効率の向上につながっています。
出典参照:SmartHR|株式会社SmartHR
サイボウズ Officeは、チームワークを促進するグループウェアで、企業のさまざまな業務をデジタル化するためのツールです。特に入退社管理において、円滑な情報共有を実現するために役立ちます。サイボウズ Officeは、複数の部署やチームで情報を迅速に共有するための機能を提供し、例えば新規入社者の情報や退職者の手続きに必要なデータをリアルタイムで確認可能です。
また、サイボウズ Officeでは、日常業務に必要な通知や承認のワークフローを自動化でき、手続きの流れをスムーズに進められるでしょう。例えば、以下のような手続きを一元管理できます。
退職に伴うさまざまな手続きを一元的に管理し、必要な関係者に自動的に通知が届くため、ミスを防ぎながら手続きが効率化されます。

人事労務DXは、企業の入退社手続きを効率化し、業務の負担を軽減するために有効な手段です。デジタル化によって、従業員情報の一元管理やペーパーレス化が進み、情報共有の迅速化や正確性の向上が期待できます。ただし、導入する際にはいくつかの注意点が存在します。これらの点をしっかりと押さえたうえで進めることが、システム導入後の混乱やトラブルを防ぎ、スムーズに業務を進行させるために不可欠です。
ここでは人事労務DXで入退社管理に取り組む際の注意点を解説します。
人事労務DXを導入する際には、いきなり全てをデジタル化するのではなく、段階的に進めていきましょう。まずは入社手続きや退職時の手続きのなかでも時間がかかっていて効率化を期待できる部分からデジタル化を始めます。例えば、従業員情報の管理や給与データの入力、社会保険や年金の手続きをオンラインで行えるシステムに切り替えることから始めると良いでしょう。
段階的にデジタル化を進めることで、従業員や関係部署が新しいシステムに慣れることができ、混乱の回避につながります。また、システムを導入する際に、手作業との並行運用期間を設けることで、データの移行ミスを防ぐことも可能です。このように、システムの導入を徐々に行うことで、負担を軽減しながら効率的にDXを進められるでしょう。
人事労務DXを導入した後には、全従業員がうまく活用できるようにしておきましょう。特に人事部門だけでなく、総務や現場の担当者も含めた全員がシステムを使いこなせるようにすることが、DXの成功に直結します。システムの導入初期には、使い方や操作方法についての研修を実施するのは効果的です。
研修の内容としては、基本的な操作方法や入力手順だけでなく、システムに紐づく法令や規程の変更点、トラブルシューティングの方法なども含めるのが有効です。研修を通じて、全従業員がシステムを理解し、効率的に活用できるようなサポート体制の構築が、業務のスムーズな進行に寄与します。また、研修後も継続的にサポートし、システムの活用度を高めるためにフィードバックを反映させていきましょう。
人事労務DXを進めるうえで、法令遵守は欠かせません。特に、従業員の個人情報を扱うマイナンバー制度や、労働契約に関連する法律については、システムに適切に反映させる必要があります。デジタル化する際に、システムがこれらの法令に準拠しているかを事前に確認し、法令に基づいた管理が行われるような設計が求められます。
例えば、マイナンバーを取り扱う際には、セキュリティを強化し、適切なアクセス権限の設定が欠かせません。また、労働契約関連の情報についても、システムが自動で必要な書類を生成し、法的要件を満たすように設計できます。こうした法令遵守を徹底することで、後々の法的リスクを回避し、安心してシステムを運用可能です。
人事労務DXを進めるうえでシステムを導入した場合、補助金や助成金を活用できるケースがあります。特に中小企業などは、補助金をうまく活用すれば、コストを抑えながらDXを進めることが可能です。なお、補助金には申請期限や対象要件があるため、これらを見落とさないように注意が必要です。
補助金を申請する際には、まず対象となる制度を確認し、要件を満たすかどうかをチェックします。また、申請書類の作成や提出を期限内に行うことが求められます。さらに、補助金を受け取るためには、必要な書類をしっかりと管理し、使途報告を求められるのが一般的です。補助金を活用する際には、申請期限や必要書類を正確に把握し、漏れなく対応しましょう。
近年、人事労務領域でのDXを促進させ、入退社管理の効率化を進めている企業もあります。具体的には、以下の2社が挙げられます。
デジタル化を進めることにより、手続きがスムーズになり、業務負担が軽減されるだけでなく、ペーパーレス化やミスの削減を実現できます。ここでは、実際に人事労務DXを導入し、入退社管理を最適化した企業の事例を2つ見ていきましょう。
株式会社ベルーナでは、従来の紙ベースで行っていた入退社手続きをデジタル化し、ペーパーレス化を実現しました。特に新入社員の入社手続きにおいては、雇用契約書や必要書類の提出をオンライン化しています。これにより、紙を使わずに必要な書類を迅速に整え、書類の管理や共有がスムーズになりました。
従業員がオンライン上で簡単に手続きできるため、企業側の負担も軽減され、手続きのミスや遅れを防ぐことができました。さらに、ペーパーレス化により、書類の保管スペースを削減し、環境にも配慮した取り組みが進められています。
また、退社手続きについても、退職届や離職票の発行、必要書類の提出などをオンラインで完結させ、経理や労務担当者の作業負担を減少させました。
出典参照:グループ18社へのジンジャー導入に成功!一元管理体制の構築とペーパーレス化で年間4,400時間の工数を削減!|jinjer株式会社
株式会社ルックホールディングスでは、入退社手続きを一元管理するために、専用の人事労務管理システムを導入しました。このシステムにより、複雑だった手続きを1人の担当者で効率よく行える体制を構築できています。
以前は、複数の担当者が関わり、手続きに時間を要するうえにミスが生じることもありました。システム導入後はすべてのプロセスが統一され、ペーパーレス化も実現しました。新入社員の雇用契約書や社内申請などをオンラインで一括管理できるようになり、退社時にも必要書類の準備や手続きをデジタルで完結させています。
また、システムは人事部門にとっても有益なツールとなり、社員情報の一元管理や社内申請のトラッキングもできるようになりました。
出典参照:業務を70%削減して約940名の手続きを1人でこなせるように、人材不足の時代に備えた人事・労務DXとは|株式会社エフアンドエム

人事労務DXによる入退社管理のデジタル化は、手続きの迅速化、ペーパーレス化、業務負担の軽減を実現し、企業全体の効率化に貢献します。ベルーナやルックホールディングスの事例のように、デジタルツールを導入すれば、従業員の入退社に関わる一連の業務をスムーズに管理でき、人的ミスや手続きの遅れを減少できるでしょう。また、経理や労務部門の業務負担を減らすことができるため、社員一人一人の生産性向上にもつながります。
さらに、デジタル化により手続きの透明性が高まり、監査対応やコンプライアンス強化にも寄与するでしょう。これらの改革は、企業の競争力を高め、未来の成長を支える土台となります。人事労務DXの導入を検討することで、入退社管理業務を効率化し、企業全体の生産性向上を実現しましょう。