バックオフィスDXにセキュリティは必要?基本の対策やステップを解説
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人事労務DXにおける取り組みとして、勤怠管理ツールを導入するメリットや注意点を解説します。既存システムとの連携確認やセキュリティ対策、現場に合った打刻方法の選定、導入後の研修・サポート体制の整備で、効率的な運用と人事労務DXを実現できるでしょう。
企業の人事部門において、勤怠管理は重要な業務のひとつです。企業に欠かせない業務でありながら、手作業で行う従来の勤怠管理は、労働時間の集計ミスや記録漏れなど、さまざまな問題を引き起こしかねません。特に、近年では働き方改革や労働法の厳格化に伴い、労働基準法の遵守が企業に求められます。
そのため、勤怠管理業務の効率化は、単に作業負担を減らすだけでなく、企業の法令遵守や従業員の満足度向上にも取り組む必要があります。このような状況で注目されているのが人事労務DXです。DXによって勤怠管理ツールを導入することで、勤怠管理業務を効率化し、誤りを減らし、全体の業務品質を向上させることが可能になります。
この記事では、勤怠管理における課題と、それを解決するための勤怠管理ツール導入のメリットについて詳しく解説します。

勤怠管理の誤りは、企業にとってリスクになる要因です。まず、残業時間や労働時間の管理が不十分だと労働基準法違反につながり、罰則や行政指導を受ける可能性が高まります。次に、給与計算の誤りによる人件費の過払い・過少払いが発生し、経営資金の無駄や従業員とのトラブルを引き起こしかねません。
さらに、正確性を欠いた勤怠管理は従業員の不満や不信感を生み、モチベーション低下や離職率の上昇につながる危険があります。
ここでは勤怠管理のミスが企業にもたらすリスクについて、詳しく解説します。
勤怠管理が適切に行われない状態は、労働基準法を遵守していない状態とも言えるでしょう。例えば、適切な休憩時間が確保されていない、残業時間が過剰に計上されるといったミスにつながることがあります。これらは法的に重大な問題であり、企業が監督機関の指摘を受けると、罰則が科される可能性もあります。
さらに、企業の社会的信用が低下し、取引先や顧客からの信頼を失う原因にもなってしまうでしょう。勤怠管理をデジタル化すれば、労働時間の集計や休憩時間の確保が自動的に行われ、法令を遵守しやすくなります。
法令違反は、企業のブランドイメージを大きく損ない、優秀な人材の獲得も困難にするでしょう。デジタル化は、健全な企業運営の基盤を築く上で欠かせません。
勤怠管理が不正確だと、給与計算にも誤りにつながる可能性があります。例えば、残業時間や休日出勤の管理が手作業で行われている場合、以下のようなミスにつながりかねません。
このようなミスが積み重なると、企業の経営に大きな影響を及ぼすことがあります。人事労務DXにおいて勤怠管理ツールを活用すれば、勤怠データはリアルタイムで集計され、給与計算が正確に行われるため、こうしたリスクを減少させることができます。
正確な給与計算は、企業の財務健全性を保つうえで不可欠です。また、過剰な人件費支出を防ぎ、利益の確保にもつながります。
勤怠管理におけるミスが従業員に対して不満を引き起こし、結果として離職率の増加につながりかねません。例えば、以下のようなミスによって従業員の不満が溜まり、モチベーションの低下や最終的に退職につながることがあります。
このように、従業員の不満を放置すると、企業全体の生産性低下を招く恐れがあるでしょう。
勤怠管理の効率化によって、こうしたトラブルを減らし、従業員が納得する給与支払いや勤務体系の実現が可能になります。また、システム化された勤怠管理は、従業員が自分の勤務状況をいつでも確認できるため、透明性が高まり、信頼関係の構築にも貢献します。

人事労務DXで勤怠管理ツールを導入すれば、以下のようにさまざまなメリットが期待できるでしょう。
従来の手作業で行われていた勤怠管理ではミスや漏れが生じやすく、労働基準法違反や不正確な給与支払いといった問題につながることがありました。一方、DXによるデジタル化により、これらの問題を未然に防ぎ、効率的かつ正確な管理が実現します。
人事労務DXとして勤怠管理ツールを導入すれば、従業員の労働時間がリアルタイムで可視化され、長時間労働を防ぐことができます。
従来の手作業では、一般的に時間外労働や残業時間が適切に管理されていないことがありました。デジタル化により、労働時間の過剰な集計や漏れを防ぎ、適切な勤務時間が確保されるため、働きすぎを未然に防ぐことが可能になります。
また、長時間労働を防ぐためのアラート機能が働き、企業内での労働環境が改善されます。これにより、企業のコンプライアンス遵守につながり、従業員の健康に配慮した職場を整備可能です。過度な労働によるストレスや健康問題を防ぎ、生産性の維持にもつながるでしょう。
人事労務領域のDXに取り組むメリットのひとつが、リモートワークやフレックスタイムなど、多様な働き方を柔軟に管理できるという点です。従業員がライフスタイルに合わせて勤務時間を調整できるため、ワークライフバランスが向上し、従業員満足度が高まります。
さらに、育児や介護など、家庭の事情に合わせた勤務体制の柔軟な対応が可能となり、従業員が安心して働ける環境を整備できます。これにより、企業へのロイヤルティやモチベーションが向上し、結果として従業員の定着率の向上にもつながるでしょう。
多様な働き方への対応は、優秀な人材確保のきっかけでもあります。従業員が自分らしく働ける環境を提供することは、企業の競争力を高めることにもつながるでしょう。
人事労務DXとして勤怠管理システムを活用すれば、勤怠データの集計や分析が自動化され、手作業のコストを削減できるでしょう。これにより、残業代や過剰な人件費が削減され、より効率的な人件費管理が可能になります。
特に、過剰な残業を防ぐためのアラート機能が活用されることで、無駄な残業を減らし、従業員の負担も軽減できるでしょう。アラート機能は早めに出されるため、早期に長時間労働を是正できます。
これにより、企業のコスト削減につながるだけでなく、従業員の働き方にも好影響を与えられるでしょう。正確な勤怠データに基づく人件費管理は、企業の財務健全性を保つうえで不可欠です。無駄なコストを削減し、経営資源をより戦略的に活用できます。
DXによって集積された勤怠データを活用すれば、企業は従業員の働き方やパフォーマンスをデータに基づいて分析できます。このデータをもとに、将来的な人事戦略を立案し、必要な人材の配置や育成、給与体系の見直しを行うことが可能です。
さらに、労務データを活用することで、従業員のキャリアパスやスキルアップのための戦略的な取り組みが可能になり、組織全体のパフォーマンス向上につながります。例えば、特定の部署で残業が多い場合、人員配置の見直しや業務フローの改善を検討できます。データに基づく客観的な評価は、公平性を高め、従業員の納得感も得られるでしょう。これにより、より効果的な人材育成や配置が可能になります。
人事労務DXを推進するためには、効率的で高精度な勤怠管理ツールの活用が不可欠です。従来の手作業やアナログ管理では、ミスや漏れが生じやすく、時間外労働や人件費の過剰支払いなど、企業にとって大きなリスクを伴います。
一方、デジタル化された勤怠管理ツールを導入すれば、これらの問題を解消し、より効率的な運用が可能です。ここでは、企業が選ぶべき勤怠管理ツール4つを紹介します。自社の規模や課題に応じた勤怠管理ツールを導入しましょう。
ジョブカン勤怠管理は、クラウド型の勤怠管理システムで、導入実績が豊富なツールです。出勤・退勤の打刻や休暇管理、残業時間の集計などを一元管理でき、管理者はリアルタイムで従業員の勤怠状況を確認できます。また、スマートフォンアプリを活用した打刻機能や、給与計算ソフトとの連携など、多機能性が特徴です。
クラウド型なので、インターネット環境さえあれば、場所を選ばず利用できる点もメリットです。さらに、シフト勤務やフレックスタイム制にも対応しており、柔軟な働き方にも対応した労務管理を実現できるでしょう。使い方もシンプルなため、企業規模を問わず導入しやすいでしょう。
ツールの操作性は職場への定着に影響します。難解な操作性のツールは定着しない恐れがあるものの、ジョブカン勤怠管理は操作性も高く、直感的なUIによって従業員が扱いやすいというメリットもあります。
出典参照:ジョブカン勤怠管理|株式会社DONUTS
KING OF TIMEは、リアルタイムで勤怠状況を集計できるシステムです。特に、シフト勤務やフレックスタイムなど、柔軟な働き方にも対応しており、労働時間や休暇の管理が自動で行われます。打刻から勤怠集計、残業管理まで、システムが自動的に計算してくれるため、従業員一人ひとりの勤務時間を正確に把握できます。
また、管理者は情報が一元管理されるダッシュボードでデータを把握し、リアルタイムで勤務状況を判断できるため、早期に問題を発見し対処することも可能です。システムの柔軟性により、部署や業務形態に応じたカスタマイズが可能で、業務の効率化に役立つでしょう。
KING OF TIMEには、多言語対応もあり、海外拠点を持つ企業にも有効です。さらに、ICカードや指紋認証など多様な打刻方法を選べる点も特徴と言えます。
出典参照:KING OF TIME|株式会社ヒューマンテクノロジーズ
freee人事労務は、勤怠管理だけでなく、給与計算や社会保険の手続きなど、人事労務全般を一括で管理できるツールです。特に、中小企業向けに特化しており、使いやすいインターフェースで誰でも簡単に操作できます。クラウド型であるため、データは常に最新の状態に保たれ、リアルタイムでの情報共有が可能です。
給与計算との連携もスムーズに行え、従業員の勤怠情報をもとに自動で給与計算が行われるため、業務効率化が進みます。さらに、タブレットやスマートフォンから簡単にアクセスできるため、モバイルワークにも対応可能で、業務のフレキシビリティを高められるでしょう。このように、人事全体を一元管理でき、全体的な業務負担を減らすことができます。電子申請との連携も強みで、手続きの迅速化が可能です。加えて、労務管理の透明性が高まるため、内部統制の強化にもつながります。
出典参照:freee人事労務|フリー株式会社
勤革時は、モバイル打刻に対応した勤怠管理システムです。特に外回りの多い営業職や、フレックス勤務などの多様な働き方に対応しているのが特徴です。スマートフォンやタブレットを使って、どこからでも簡単に勤怠打刻ができます。
ツールに蓄積されたデータはリアルタイムでクラウドに反映され、管理者はどこからでもアクセスでき、効率的に勤怠管理が可能です。加えて、シフト管理や労働時間の集計も自動化されており、企業全体の業務負担を軽減します。
勤革時は、多拠点で働く従業員にも対応できるため、全国規模で業務を展開している企業にも最適です。利用規模に合わせた拡張性も備えています。
ICカードや生体認証にも対応しており、不正打刻防止にも効果を発揮します。直感的に使える操作性が高く、現場でもスムーズに浸透しやすい点も魅力でしょう。
出典参照:勤革時|日本電気株式会社
勤怠管理ツールを導入すれば、企業は業務効率化やコスト削減を実現し、従来の手作業で発生していた問題を解消できます。例えば、従業員の労働時間を正確に把握でき、残業時間や休暇管理が自動化されることで、人事部門の業務負担を軽減できるでしょう。
さらに、労務管理の透明性が向上し、企業全体の生産性や信頼性も高まり、長期的な成長も期待できます。ここでは、勤怠管理ツールを導入した企業の事例を解説するので、自社の人事労務DXの参考にしてください。
リゾーツ琉球株式会社では、勤怠管理ツールを導入し、年間1,800時間に及ぶ作業時間を削減することに成功しました。以前は、従業員ごとの勤務時間の集計や残業時間の確認が手作業で行われており、業務負担が大きく、ミスも頻発していました。
一方、ツール導入後は、リアルタイムでの勤怠状況の把握が可能になります。その結果、集計作業の自動化や、シフト管理が効率化できました。効率化により、作業時間の削減を達成し、業務全体の生産性向上にもつながっています。
さらに、勤怠データの正確性が向上し、従業員とのトラブルも減少し、組織の働きやすさが向上しました。これにより、従業員の業務効率も向上し、サービスの質が改善されました。加えて、管理部門の負担も軽くなり、他の戦略的業務へリソースを振り分けられるようになっています。
出典参照:人員を増やさずDX推進。年1,800時間の削減に。|株式会社ヒューマンテクノロジーズ
株式会社ニシムタは、勤怠管理ツールを導入し、勤怠集計作業の時間を5割削減しました。
従来の手作業では、膨大なデータの集計や給与計算のミスが問題となっていましたが、ツールにより勤怠データの自動集計や、給与計算との連携がスムーズに行えるようになっています。これにより、作業時間が短縮され、従業員の労働時間に関する情報を正確に把握できるようになり、業務の透明性と信頼性が向上しました。
さらに、データの自動更新により、リアルタイムでの情報共有が可能となり、部門間の連携がより円滑に行われるようになりました。結果として、人事部門の生産性が向上し、経営判断にも活用できるデータ基盤の整備につながっています。
出典参照:28店舗・3,500名の勤怠管理を6ヶ月間で切り替え。集計作業を5割削減すると共に、労務領域の法対応も実現。|株式会社ビズリーチ
勤怠管理ツールの導入は、業務効率化やコスト削減に貢献しますが、注意点もあります。具体的な注意点は以下のとおりです。
ここでは、ツール導入時に考慮すべき4つのポイントを解説します。注意点を押さえておくことで、勤怠管理ツールによる効果をより引き出せるでしょう。
勤怠管理ツールを導入する際には、既存のシステムとの連携が可能かどうかを確認しておきましょう。特に、給与計算や人事管理システムとの連携が取れるかどうかは、導入後の運用効率に影響します。既存システムとスムーズにデータをやり取りできるかを確認し、必要に応じてAPI連携やデータインポート機能を活用しましょう。
さらに、事前にテスト導入を行うことで、データ整合性やエラーの有無を確認し、実運用にスムーズに移行できる体制を整えておくのもポイントです。既存システムとの連携が不十分だと、結局手作業が残り、二度手間や入力ミスの発生リスクがあります。シームレスなデータ連携は、業務効率を最大化し、管理コストを削減するために不可欠な要素です。
勤怠管理ツールは、従業員の個人情報や労働時間のデータを扱うため、セキュリティ対策が欠かせません。特に、アクセス権限の設定やデータの暗号化、ログイン管理などを徹底する必要があります。管理者と一般従業員、または部門ごとのアクセスレベルを明確に分けることで、情報漏えいや不正アクセスを防止可能です。そのため、ツール選定時には、セキュリティ面も十分に考慮しましょう。
また、定期的な監査ログの確認や多要素認証を導入すれば、より高度なセキュリティ体制を構築でき、法令遵守や個人情報保護の観点からも安心です。万が一、情報漏えいが発生した場合、企業の社会的信用を失い、法的な責任を問われることにもなりかねません。強固なセキュリティ体制を整えて、従業員や会社の財産を守りましょう。
現場の働き方に合った打刻方法を選ぶことは、勤怠管理ツール導入におけるポイントのひとつです。例えば、営業職や外勤が多い職場では、モバイル打刻機能やGPS機能付きの打刻方法が求められます。反対に、オフィス勤務がメインの企業では、パソコンからの打刻や、従業員証を利用した打刻などが適しているでしょう。
現場の実情に応じた打刻方法を選ぶことで、従業員の負担を減らし、正確な勤怠データの収集が可能になります。さらに、打刻環境を複数用意しておくことで、トラブル発生時でも柔軟に対応でき、業務が滞らない仕組みを構築可能です。打刻方法が従業員の働き方に合っていないと、打刻漏れや不正打刻の原因となり、正確なデータ管理が難しくなります。
勤怠管理ツールを効果的に運用するためには、導入後の研修やサポート体制を整備しておきましょう。特に、ツールに不慣れな従業員が多い場合、使い方の理解が不十分だと運用に支障をきたすことがあります。初期導入時に、従業員向けの研修を実施し、ツールの基本操作やよくあるトラブルの対応方法を説明することが大切です。また、導入後もサポート体制を充実させ、困った際に迅速に対応できる環境を整えることで、スムーズな運用が可能になります。
優れたツールであっても、従業員が使いこなせなければ定着しづらいでしょう。従業員が安心してシステムを利用できる環境の整備は、定着につながるきっかけです。システムの活用が組織に浸透し、その効果を最大限に引き出すことができます。

勤怠管理ツールの導入は、人事労務DXを促進するためのステップのひとつです。業務効率化やコスト削減を実現するために、ツール選定だけでなく、導入前の準備と導入後の運用体制の整備も心がけましょう。
ツールを導入しても企業のニーズに合わず、適切に活用されなければ、労働時間の正確な管理や法令遵守にはつながりません。そのため、ツールは慎重に選定し、適切に運用することで、長期的な成功を収めることができるでしょう。また、ツールに蓄積されたデータ活用により人事戦略の高度化も可能となり、組織の競争力強化にもつながります。