経理DXツール比較!中小企業の課題を解決する選び方

経理DXを進めたいが、何から手をつけるべきかお悩みですか?本記事では、会計ソフトや請求書システム等のツールを種類別に解説。自社の課題に合ったツールの選び方から、導入で失敗しないための3つのポイント、具体的な成功事例までを網羅しました。貴社の業務効率化を実現するヒントが満載です。

日々の請求書処理や経費精算、月次決算の締め作業に追われ、経理部門の業務負担が限界に達していないでしょうか。中小企業にとって、人手不足や相次ぐ法改正への対応は喫緊の課題です。

こうした状況を打破する鍵こそが「経理DX」です。しかし、「何から手をつければいいのか分からない」「自社に合うツールがどれか判断できない」と感じている方も多いはずです。

この記事では、経理DXの基礎知識から、具体的なツールの種類、導入で失敗しないための選定ポイント、そして成功事例までを徹底的に解説します。単なるツール紹介に留まらず、貴社の課題を根本から解決し、生産性を飛躍させるための具体的な道筋を示します。この記事を読めば、自社に最適な経理DXツールを見つけ、自信を持って第一歩を踏み出せるようになるでしょう。

そもそも経理DXとは?

経理DXとは、単に最新の会計ソフトを導入するといった部分的なデジタル化を指す言葉ではありません。これは、デジタル技術を駆使して、経理業務のプロセスそのもの、さらには組織の文化や働き方までを根本から変革し、企業全体の競争力を向上させるための経営戦略です。

英語の「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略であるDXが示す通り、その本質は「変革」にあります。具体的には、これまで人の手と紙に依存してきた請求書の発行・受領、経費の申請・承認、仕訳の入力、決算書の作成といった一連の業務フローを、クラウドサービスやAIといったテクノロジーの力で自動化・最適化していく取り組みを意味します。

この変革を通じて、経理部門を単なる「コストセンター(費用を計上する部門)」から、データを活用して経営戦略に貢献する「プロフィットセンター(利益を生み出す部門)」へと昇華させることが、経理DXの最終的なゴールと言えるでしょう。中小企業が直面する慢性的な人手不足や、複雑化する法制度への対応といった課題を乗り越え、持続的な成長を遂げるための不可欠な一手なのです。

なぜ今、経理DXが必要なのか

「DX」という言葉が広く浸透する中、なぜ特に「経理」部門のDXが、多くの中小企業にとって待ったなしの経営課題となっているのでしょうか。その背景には、避けては通れない複数の外部環境の変化と、企業内部に根深く存在する構造的な問題が複雑に絡み合っています。

最大の外的要因は、相次ぐ法改正への対応です。2023年10月から本格的にスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、請求書のフォーマットや記載要件を厳格に定めており、手作業での対応は確認漏れやミスを誘発しやすく、経理担当者に計り知れない負担を強いています。

さらに、2024年1月からは電子取引データの電子保存が完全義務化された改正電子帳簿保存法が施行され、紙に出力して保存する従来の運用が認められなくなりました。電子帳簿保存法が守れない場合には、青色申告の取り消し、追徴課税、100万円以下の過料といった罰則を受ける可能性があります。これらの法制度に準拠し、かつ正確な税務処理を行うためには、デジタルツールを活用した効率的な業務フローの構築が、もはや選択肢ではなく必須条件となっているのです。

加えて、深刻化する人手不足と働き方改革の流れも、経理DXを後押ししています。少子高齢化により労働人口が減少する中で、専門知識を要する経理人材の確保はますます困難になっています。属人化しがちな経理業務を標準化し、限られた人員で生産性を最大化する必要性に迫られているのです。

出典参照:電子帳簿等保存制度特設サイト|国税庁

経理DXで実現できること

経理DXを推進することは、法改正への対応や人手不足の解消といった守りの側面だけでなく、企業の成長を加速させる攻めの経営にも繋がる、計り知れない可能性を秘めています。

業務の自動化や効率化はあくまで入り口に過ぎません。その先には、組織全体の生産性向上や、経営基盤の強化といった、より大きな果実が待っています。ここでは、経理DXがもたらす代表的な3つの変革について、その具体的な内容と企業に与えるインパクトを深く掘り下げて解説します。

属人化の解消と業務標準化

経理業務は、その専門性の高さから、特定の担当者が長年の経験と勘に頼って業務を遂行する「属人化」という課題を抱えがちです。

「この処理は〇〇さんしか分からない」といった状況は、多くの中小企業で見られる光景ではないでしょうか。この状態は、その担当者が休んだり、退職したりした場合に業務が完全に停止してしまうという、事業継続における極めて重大なリスクを内包しています。

経理DXツールを導入するプロセスは、まず既存の業務フローを徹底的に見直し、可視化することから始まります。その過程で、各担当者が独自に行っていた作業や、非効率な手順が浮き彫りになります。そして、ツールという共通のプラットフォーム上で業務を行うことで、誰が担当しても同じ品質で作業を遂行できる、統一された業務フローが強制的に構築されます。

これにより、業務の引き継ぎは格段にスムーズになり、担当者の急な不在にも慌てることなく対応できる、強固で安定した業務体制が実現します。これは単なるリスク管理に留まらず、組織全体の知識やノウハウを形式知として蓄積し、会社全体の財産とすることに繋がるのです。

ペーパーレス化によるコスト削減

請求書、領収書、納品書、契約書、各種申請書類。経理部門のオフィスを見渡せば、今なお大量の紙が業務の中心に存在している企業は少なくありません。ペーパーレス化は、経理DXがもたらす効果の中でも、最も直接的で分かりやすいメリットの一つです。

まず、紙そのものの購入費用、印刷するためのインク代やトナー代、そして取引先へ郵送するための切手代や封筒代といった、目に見える直接的なコストが劇的に削減されます。しかし、ペーパーレス化の真の価値は、目に見えない間接的なコストの削減にこそあります。

例えば、過去の書類を探すために費やしていた時間はどうでしょうか。ファイリングされた膨大な書類の中から、目的の一枚を探し出す作業は、従業員の貴重な時間を奪う非生産的な活動です。また、これらの書類を保管するために必要なキャビネットや書庫、場合によっては外部の倉庫といった物理的なスペースコストも無視できません。

これらの時間的・空間的コストを解放することで、従業員はより創造的で付加価値の高い業務に集中できるようになり、オフィススペースも有効活用できます。さらに、書類の電子化は、災害時の紛失リスクや情報漏洩リスクの低減にも繋がり、企業のBCP(事業継続計画)対策としても極めて有効です。

ヒューマンエラーの防止と正確性の向上

どれほど注意深い担当者であっても、人間が手作業で行う以上、ミスを完全になくすことは不可能です。特に、月末月初の繁忙期や、複雑な計算が求められる場面では、単純な入力ミス、転記ミス、計算間違いといったヒューマンエラーが発生する確率は高まります。

こうした小さなミスが、後工程で大きな手戻りを生んだり、最悪の場合、誤った経営判断や税務申告に繋がったりするリスクを常に孕んでいます。経理DXツール、特に近年のクラウド型会計ソフトや経費精算システムは、こうしたヒューマンエラーを根本から撲滅するための強力な機能を備えています。

例えば、銀行の入出金明細やクレジットカードの利用履歴をAPI連携によって自動で取得し、AIが勘定科目を推測して仕訳候補を提示する機能は、手入力作業そのものを不要にします。これにより、入力ミスや転記ミスが発生する余地がなくなります。

また、経費精算システムでは、設定した社内規定から逸脱した申請(例えば、上限金額を超えた日当など)に対して自動でアラートを出す機能もあり、承認者のチェック漏れを防ぎます。データの正確性が担保されることで、月次決算の信頼性が向上し、経営者は常にリアルタイムで正確な財務状況を把握できるようになるのです。

経理DXツールの主な種類

経理DXを成功させるためには、自社が抱える課題の核心を突き止め、それを解決するために最適な機能を持つツールを選び抜くことが不可欠です。経理DXツールと一括りに言っても、その機能や目的は多岐にわたります。

ここでは、経理業務の主要な領域をカバーする代表的な4種類のツールを取り上げ、それぞれの役割、特徴、そしてどのような課題解決に貢献するのかを具体的に解説していきます。これらのツールの特性を理解することが、最適なツール選定への第一歩となります。

会計ソフト

会計ソフトは、経理DXを推進する上でのまさに「心臓部」と言える中核的な存在です。日々の取引の記録から、試算表の作成、そして最終的なゴールである決算書の作成まで、企業の会計業務全般を網羅的にサポートします。

かつてはパソコンにインストールして使用するオンプレミス型が主流でしたが、現在はインターネット経由で利用するクラウド型会計ソフトが圧倒的な支持を集めています。その最大の理由は、銀行口座やクレジットカード会社、その他多くの外部サービスとAPI連携できる点にあります。

この連携により、取引データが自動で会計ソフトに取り込まれ、AIによる勘定科目の自動推測機能と組み合わせることで、これまで経理担当者が最も時間を費やしてきた仕訳入力作業を劇的に削減します。

代表的なツールである「freee会計」や「マネーフォワード クラウド会計」は、こうした自動化機能に加え、インボイス制度や電子帳簿保存法といった最新の法制度にも迅速に対応しており、法改正へのコンプライアンスを確保する上でも不可欠なツールとなっています。

請求書発行システム

請求書の作成、上長への押印申請、印刷、三つ折り、封入、そして郵送。この一連の請求書発行業務は、毎月決まった時期に発生する、時間と手間のかかる定型作業の代表格です。請求書発行システムは、この煩雑なプロセス全体をデジタル化し、クラウド上で完結させることで、経理部門を単純作業から解放します。

システム上で請求書のテンプレートを作成し、取引データを入力またはインポートするだけで、インボイス制度に対応した適格請求書を簡単に作成できます。作成された請求書は、ボタン一つで取引先にメール送付(電子発行)することが可能です。さらに、多くのシステムでは郵送代行サービスも提供しており、紙での受け取りを希望する取引先にも柔軟に対応できます。

また、発行した請求書のステータス(送付済み、開封済み、入金済みなど)を一元管理できるため、入金消込作業の効率化や、支払い遅延の早期発見にも繋がります。これにより、請求業務の効率化はもちろんのこと、企業のキャッシュフロー改善にも大きく貢献するのです。「楽楽明細」や「MakeLeaps」といったツールが市場をリードしています。

経費精算システム

従業員による経費の立替申請から、上長による承認、そして経理担当者による最終チェックと支払い処理という一連のフローは、関わる全ての人間にとって大きな負担となっています。

申請者は領収書を糊付けし、申請書を手書きで作成。承認者は出社しなければ承認印を押せず、経理担当者は提出された書類の不備を一つひとつチェックし、差し戻す。経費精算システムは、この古風で非効率な業務フローを根本から刷新します。

従業員は、スマートフォンのカメラで領収書を撮影するだけで、OCR機能が日付や金額を自動で読み取り、データ化します。交通費も、SuicaやPASMOといった交通系ICカードの利用履歴を読み込むだけで簡単に申請が完了します。申請・承認は全てシステム上で完結するため、テレワークや出張中でも業務が滞ることはありません。

経理担当者は、承認済みのデータを元に会計ソフト連携用の仕訳データや、銀行振込用のFBデータを自動で作成できるため、手作業による入力やチェック作業から解放され、月次決算の早期化に大きく貢献します。

債権管理・債務管理システム

企業の血液とも言えるキャッシュフローを健全に保つためには、売掛金(債権)の回収と買掛金(債務)の支払いを正確に管理することが不可欠です。特に取引件数が増えるほど、これらの管理業務は複雑化し、担当者の負担は増大します。

債権管理システムは、請求データと銀行の入金データを自動で照合し、売掛金の消込作業を自動化することに特化したツールです。同名義の複数請求や振込手数料が差し引かれた入金など、手作業では時間のかかる複雑な照合も、システムのロジックによって瞬時に処理します。

これにより、入金確認の漏れや遅れを防ぎ、迅速な督促対応を可能にします。一方、債務管理システムは、取引先から受け取った請求書の管理を効率化します。紙やPDFで受け取った請求書をデータ化し、支払予定日や金額を管理。支払漏れを防ぐとともに、承認フローをシステム化し、ガバナンスを強化します。

これらのシステムは、会計ソフトの周辺領域を補完し、より高度な財務管理を実現するために重要な役割を果たします。

【課題別】おすすめ経理DXツール

経理DXのツール選定で最も重要なのは、「流行っているから」ではなく、「自社の課題を解決できるか」という視点です。中小企業が抱える課題は、「請求書処理に時間がかかりすぎる」「経費精算が煩雑で従業員の不満が大きい」「月次決算が遅れがちで経営判断に活かせない」など、多岐にわたります。

ここでは、これらの具体的な課題感を出発点として、それぞれの解決に直結するツールのジャンルと、その特徴を文章形式で詳しく解説していきます。ツールの機能を羅列するのではなく、なぜそのツールがその課題に有効なのか、そのロジックを理解することで、より納得感のあるツール選定が可能になります。

請求書処理を自動化するツール

クラウド型請求管理システム「請求管理ロボ」は、毎月の請求業務を約80%削減することで、経理DXを強力に推進するツールです。

このシステムは、取引先と請求内容を一度登録するだけで、請求書の発行・送付(メール・郵送)を自動化し、前月の未入金を含めて請求書を自動作成する機能も備わっています。サブスクリプションビジネスのような継続的な請求に強く、固定月額だけでなく、スポット売上や従量課金、アップセルなど、不定期に発生する多様な課金体系にも柔軟に対応し、対象期間の設定や前払い・後払いの設定も自由に行えます。

また、年間一括払いだが毎月計上したいケースでは、按分計上や前受金取り崩しを自動処理でき、面倒な手計算の手間を省きます。銀行振込、口座振替、カード決済、コンビニ決済といった多様な決済手段に対応し、入金消込の自動化や迅速な催促により、未収対策と回収率向上にも貢献します。

さらに、Salesforce®やkintoneなどのSFA/CRMシステムや、PCA会計、勘定奉行、弥生会計、マネーフォワード クラウド会計といった主要な会計ソフトとの連携も可能です。インボイス制度や電子帳簿保存法といった法改正にも定期的なアップデートで対応し、常に最新の法令に準拠した請求管理を実現します。900社以上の導入実績があり、小口債権管理を得意とする中小企業にも継続的に利用されており、IT導入補助金の活用サポートも提供されています。

出典参照:請求管理システムなら「請求管理ロボ」|株式会社ROBOT PAYMENT

経費精算の手間を削減するツール

経費精算の手間を削減するツールとして、クラウド型経費精算システム「Spendia」が挙げられます。このシステムは、日本大手企業特有の複雑な経費規定や承認プロセスにも柔軟に対応できる特長を持ち、あらゆる業種・業態の特殊要件にフィットして、従業員が経費精算にかける時間を付加価値業務へシフトさせることを目指しています。スマートフォンから直感的に操作できるため、いつでもどこからでも申請や承認が可能となり、社員の操作に関する問い合わせを最小限に抑え、申請・承認作業の効率を向上させます。SaaSでありながら、お客様固有の要件に合わせてレイアウトやワークフローを自由に設定できる高い柔軟性を備え、規定違反や申請不備の自動チェック機能により、経理担当者の確認作業負荷を軽減します。さらに、インボイス制度や電子帳簿保存法など、日本特有の法制度にも対応しており、法改正に伴うシステム改修の負担を減らすことができます。経理担当者向けには、電帳法に必要な証明書や未申請のコーポレートカード利用者への自動督促機能、振替伝票作成と証憑の一括比較チェック機能により、業務負荷が軽減されます。法人カードと組み合わせることで、社員に立替経費申請の手間をかけないシステムへの刷新も実現可能です。

出典参照:クラウド型経費精算システム Spendia|TIS株式会社

月次決算を高速化する会計ソフト

月次決算を高速化する会計ソフトとして、マネーフォワード クラウド会計が非常に有効です。このクラウド会計ソフトは、日々の経理業務を効率化することで経営状況の見える化をリアルタイムで実現し、月次決算の迅速化を支援します。

2,300以上の金融関連サービスから取引明細を自動取得し、AIが勘定科目を提案して仕訳候補を自動作成するため、手入力の手間を大幅に削減します。これにより、月次決算に必要な情報が常に最新の状態で準備されます。日々の仕訳データを基に、ワンクリックで決算書(貸借対照表や損益計算書など)を自動作成できるため、手作業での集計や資料作成にかかる時間を劇的に短縮し、業務負担を軽減します。

キャッシュフローレポートなどの経営レポートも自動生成されることで、リアルタイムで会社の経営状況を多角的に確認し、迅速な意思決定をサポートします。実際に、利用する税理士からは経理業務の時間を最大で90%削減できると評価されており、月次決算の高速化に大きく貢献します。

インボイス制度や電子帳簿保存法などの法令改正にも自動でアップデート対応するため、常に最新の法制度に準拠した状態で利用でき、決算時の法対応の負担も軽減されます。

出典参照:無料で試せるクラウド会計ソフト|マネーフォワード クラウド会計

ツール導入で失敗しないための3つのポイント

経理DXツールは、導入すれば自動的に業務が効率化される「魔法の杖」ではありません。自社の業務フローや組織文化に合わないツールを選んでしまったり、導入の目的が曖昧なまま進めてしまったりすると、かえって現場が混乱し、投資が無駄になってしまうという失敗事例も少なくありません。

高価なツールを導入したにもかかわらず、一部の機能しか使われずに放置されてしまう、といった事態は絶対に避けたいものです。ここでは、そうした失敗のリスクを最小限に抑え、経理DXを成功に導くために、ツール選定の段階で必ず押さえておくべき3つの重要なポイントを、具体的なアクションと共に詳しく解説します。

導入目的を明確にする

ツール導入の検討を始める前に、まず立ち止まって自問すべき最も重要なのは、「何のためにツールを導入するのか?」という点です。この「導入目的の明確化」こそが、プロジェクト全体の成否を分けるポイントとなります。

「競合他社が導入しているから」「なんとなく業務が楽になりそうだから」といった漠然とした動機では、数あるツールの中から自社に最適な一つを選び抜くことはできません。目的を明確にするためには、まず現状の業務を棚卸しし、課題を具体的に洗い出す作業が必要です。

「請求書の発行に、毎月一人の担当者が3日間もかかっている」「経費精算の差し戻しが月平均50件発生している」といったように、課題を定量的に把握することが重要です。その上で、「請求書発行にかかる作業時間を月20時間削減する」「ペーパーレス化を実現し、年間10万円の印刷・郵送コストを削減する」といった、具体的で測定可能な目標(KPI)を設定します。

この明確な目的と目標があるからこそ、ツールの機能を比較検討する際に、「この機能は我々の目標達成に必要か?」という明確な判断基準を持つことができるのです。

既存システムとの連携を確認する

多くの中小企業では、会計ソフト以外にも、販売管理システム、顧客管理(CRM)システム、給与計算ソフトなど、既に何らかの業務システムが稼働しているはずです。新たに導入する経理DXツールが、これらの既存システムと円滑にデータを連携できるかどうかは、導入後の業務効率を大きく左右する極めて重要な確認事項です。

例えば、販売管理システムで管理している売上データを、手作業で会計ソフトに再入力しているとしたら、それは二度手間でしかなく、入力ミスの温床にもなります。理想的なのは、API(Application Programming Interface)連携によって、システム間でデータが自動的に同期されることです。

API連携ができない場合でも、せめてCSVファイル形式でのデータのエクスポート・インポート機能に対応しているかは最低限確認すべきです。このデータ連携の可否を見落とすと、システムが部署ごとに分断された「サイロ化」状態に陥り、DXによって目指していたはずの「全体最適」とは程遠い、非効率な運用を強いられることになります。

各ツールベンダーのウェブサイトで連携可能なサービスを確認したり、問い合わせて具体的な連携方法を確認したりする手間を惜しまないでください。

サポート体制の充実度を比較する

特にITツールの導入に慣れていない企業にとって、導入後のサポート体制の質は、ツールの機能そのものと同じくらい、あるいはそれ以上に重要です。

高機能なツールを導入しても、使い方が分からなければ宝の持ち腐れになってしまいます。ツール選定の際には、料金や機能だけでなく、どのようなサポートが提供されるのかを徹底的に比較検討する必要があります。

確認すべきポイントは多岐にわたります。導入時の初期設定を代行または支援してくれるサービスはあるか。操作方法で不明点があった際に、電話、メール、チャットなど、どのような手段で問い合わせができるか。その対応時間は自社の業務時間に合っているか。よくある質問をまとめたFAQページや、操作方法を解説するオンラインマニュアル、動画コンテンツは充実しているか、などです。

多くのツールには、1ヶ月程度の無料トライアル期間が設けられています。この期間は、単に機能や操作性を試すだけでなく、実際にサポートデスクに問い合わせてみて、その回答の速さや的確さ、対応の丁寧さといった「サポートの品質」を体感する絶好の機会です。安心して長く使い続けられるパートナーとして信頼できるかどうかを、この期間に見極めましょう。

経理DXツールの導入事例

理論や機能を知ることも重要ですが、実際にツールを導入した企業が、どのような課題を抱え、いかにしてそれを乗り越え、どのような成果を手にしたのか、その具体的なストーリーを知ることは、自社の取り組みをイメージする上で非常に有益です。

ここでは、経理DXツールを導入して劇的な業務改善を実現した、中小企業の成功事例を2つご紹介します。これらの事例から、ツールがもたらす定量的な効果と、従業員の働きがいといった定性的な変化の両面を感じ取ってください。

請求書発行業務を2日未満に短縮

ウォーターサーバー大手のプレミアムウォーター株式会社は、法人向け請求書発行業務における煩雑化と属人化に課題を抱えていました。毎月約700件の請求書を手作業で作成し、約6.5日もの工数を要していたためです。

この課題を解決するため、同社は請求・債権管理システム「請求管理ロボ」を導入。その結果、請求書発行にかかる時間を2日未満にまで短縮できる見込みとなり、複数契約の自動合算や属人化の解消、社内問い合わせ対応のスムーズ化も実現しました。

出典参照:6.5日必要だった請求書発行業務を、2日未満に短縮したプレミアムウォーター株式会社の導入事例を公開|株式会社ROBOT PAYMENT

クラウド型経費精算システムで業務効率が大幅に改善

クラウド型経費精算システム「Spendia」の導入により、千代田化工建設では業務効率が大幅に改善されました。

経理業務の負担が大幅に軽減され、紙の領収書や電子領収書、コーポレートカード明細の紐付けが同一画面で可能になりました。また、直感的な操作性により社員からの問い合わせが減少し、場所や時間を選ばずに経費精算ができる利便性が向上しました。

複数プロジェクトへの経費按分が自動化され、社員の申請負荷も軽減。クラウド移行によりインボイス制度などの法改正対応が容易になり、海外からの利用においてもセキュリティが強化されたことも大きなメリットです。これにより、グループ全体の紙に依存した経費業務からの脱却が支援されました。

出典参照:TIS、千代田化工建設にクラウド型経費精算システム「Spendia」を導入|TIS株式会社

経理DXをツール導入で加速しよう

本記事を通じて、経理DXが単なるIT化ではなく、企業の競争力を根底から支える重要な経営戦略であることをご理解いただけたかと思います。その基本概念から、法改正という待ったなしの必要性、そして業務の自動化がもたらす具体的なメリット、さらには多種多様なツールの特徴と、導入を成功に導くためのポイントまで、網羅的に解説してきました。

経理DXは、もはや一部の先進的な大企業だけが取り組むべきテーマではありません。むしろ、慢性的な人手不足や激しい環境変化に晒されている中小企業こそ、その恩恵を最大限に享受できると言えるでしょう。

経理DX成功への道のりは、まず自社を見つめ直すことから始まります。最も時間がかかっている作業や、最もミスが発生しやすいプロセスはどこかなど、問題点を一つひとつ書き出し、今ある課題を可視化し、優先順位をつけます。それが、最適なツール選定に向けた最も確実で、最も重要な第一歩です。

この記事で紹介したツールの種類や事例を参考にしながら、自社の課題解決に直結するツールはどれかを検討してみてください。多くのツールが提供している無料トライアルを賢く活用し、ぜひ自社に革命をもたらす最高のパートナーを見つけ出してください。