バックオフィスDXにセキュリティは必要?基本の対策やステップを解説
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人事DXの進め方が分からずお困りですか?本記事では、人事DXの目的やメリットから、失敗しないための具体的な5ステップまでを専門家が徹底解説。現状分析、計画策定、ツール選定のポイントを押さえ、戦略人事の実現と生産性向上を目指しましょう。
「全社的なDX推進の号令のもと、人事領域から変革を求められているものの、何から手をつければ良いのか分からない」といった悩みを抱える人事責任者や担当者の方は多いのではないでしょうか。
採用難や煩雑な事務作業といった従来の課題に加え、データに基づいた戦略的な人材活用、いわゆる「戦略人事」への期待は高まるばかりです。
本記事では、人事DXを成功に導くための具体的な進め方を、失敗しないための5つのステップに沿って徹底的に解説します。各ステップでやるべきことはもちろん、導入によるメリット、陥りがちな失敗の注意点、そして役立つツールの種類まで網羅的にご紹介します。
この記事を読めば、自社の人事DXを力強く推進するための、明確なロードマップが手に入ります。
人事DXとは、これまで紙やExcelに頼っていた人事業務をデジタル化し、データを活用して戦略的な人材マネジメントを実現する取り組みです。背景には、少子高齢化や人材不足といった社会的課題に加え、企業競争力の低下を防ぐためのデジタル化推進が急務であるという現実があります。
経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」では、老朽化した基幹システムの維持に膨大なコストがかかり、デジタル人材の不足も重なって企業経営そのものが危機に直面するとされています。
こうした状況を打破するために、人事業務もDXによって効率化と高度化が求められています。人材データを活用できる体制を整えることは、企業の持続的な成長に欠かせない第一歩です。
出典参照:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~|経済産業省

人事DXは、単に日々の業務を楽にするだけではありません。定型業務を自動化することで生まれた時間を、データに基づいた人材配置や育成といった戦略的な業務に振り向けることが可能になります。
さらに、従業員一人ひとりの満足度を高める施策を通じて、組織全体の活力を生み出し、持続的な成長を支える基盤を築くことができるのです。
このセクションでは、人事DXがもたらす代表的な3つのメリットをより具体的に掘り下げていきましょう。
勤怠集計や給与計算、各種申請の処理など、定型的な業務は人事担当者の大きな負担となります。人事DXでは、これらをクラウドシステムで自動化することで、処理時間を短縮しミスを減らすことが可能です。
例えば、勤怠データと給与計算を自動連携させれば、入力作業が削減され、本来注力すべき戦略人事や従業員サポートに時間を振り向けられます。また、テレワークやフレックスタイム制といった多様な働き方にも柔軟に対応できる点も魅力です。
さらに、国税庁が定める「電子帳簿保存法」に対応したシステムを導入すれば、法令遵守を担保しながら効率化を実現できます。これにより、人事部門はコスト削減と同時に付加価値の高い業務へシフトできるのです。
出典参照:電子帳簿等保存制度特設サイト|国税庁
人事DXの真価は、これまで個別に管理され、活用しきれていなかった人材データを一元化し、戦略的な意思決定に活かせる点にあります。
従業員のスキルや経歴、評価、研修履歴、キャリア志向といったデータを統合的に分析することで、組織の状態を客観的に把握し、勘や経験だけに頼らない科学的な人事を実行できるようになるのです。例えば、高い成果を上げている従業員(ハイパフォーマー)の行動特性やスキルを分析し、その結果を採用基準や育成プログラムに反映させることで、組織全体のパフォーマンス底上げが期待できます。
また、将来の経営幹部候補を早期に発見し、計画的に育成する「サクセッションプラン」の精度を高めたり、従業員のエンゲージメントデータを分析して離職の予兆を察知し、適切なフォローアップを行うリテンション施策に繋げたりすることも可能です。
このように、戦略人事とは、経営目標を達成するために人材の側面から能動的に働きかけることであり、人事DXはその実現を強力に後押しするエンジンとなります。
DXの活用は従業員体験の改善にも直結します。例えば、勤怠申請や福利厚生の利用をスマホで完結できる仕組みを整えれば、社員の利便性は大幅に向上します。
また、評価プロセスをデジタル化して透明性を高めることは、公平性の担保に繋がり、従業員の信頼感を醸成します。さらに、キャリア形成や学習機会をサポートするツールを導入すれば、社員は自身の成長を実感しやすくなります。こうした積み重ねがエンゲージメントを高め、離職防止や定着率の改善にも寄与します。
個人情報を扱う際は「個人情報保護法」を遵守し、安心して利用できる環境を提供することも不可欠です。制度とツールの両面で社員を支えることが、満足度向上のカギとなります。

人事DXの推進は、闇雲にツールを導入するだけでは成功しません。自社の現状を正確に把握し、明確な目的を設定した上で、計画的に実行していくことが不可欠です。思いつきの施策で失敗しないためには、しっかりとしたロードマップを描く必要があります。
このセクションでは、多くの企業が実践し、成果を上げている王道の進め方を5つのステップに分解して、一つひとつ丁寧に解説していきます。この手順に沿って進めることで、着実に人事DXを実現し、失敗のリスクを最小限に抑えることができるでしょう。
人事DXの第一歩は、自社の人事業務の現状を正確に把握し、どこに課題があるのかを徹底的に洗い出すことから始まります。
まずは採用、労務、評価、人材育成といった各業務領域のフローを一つひとつ可視化し、誰が、何を、どのように行っているのかを棚卸しします。その上で、各業務にかかる工数を測定したり、担当者へヒアリングを行ったりして、「給与計算に毎月50時間もかかっている」といった定量的な課題と、「評価制度に対する納得感が低い」「部署間の情報連携がスムーズでない」といった定性的な課題の両面から問題を特定していきます。
このとき、人事部門だけの視点で進めるのではなく、実際に各種申請を行う現場の従業員や、部下の評価を行う管理職など、様々な立場の人からアンケートやインタビューを通じて意見を収集することが極めて重要です。
これにより、思いもよらなかったボトルネックや、潜在的なニーズが明らかになり、より実態に即した課題設定が可能になります。
現状分析によって課題が明らかになったら、次に「何のためにDXを行うのか」という目的を明確に定義します。
この目的設定が、今後の全ての活動の拠り所となります。例えば、「採用業務の非効率性を解消し、優秀な人材の獲得競争に勝ち抜く」「分散した人材データを一元化し、データに基づいた適材適所の配置を実現する」といったように、具体的で分かりやすい言葉で設定することが重要です。
目的が定まったら、それを達成するための具体的な目標(KPI)を設定します。例えば、目的が「採用業務の効率化」であれば、KPIは「応募から内定までの期間を30%短縮する」「採用担当者一人あたりの工数を20%削減する」といった測定可能な指標を置きます。
目的とKPIが明確になったら、それを達成するための具体的なスケジュール、推進体制、必要な予算、想定されるリスクなどを盛り込んだ詳細な実行計画を策定します。この計画が、プロジェクトを成功に導くための羅針盤となります。
策定した計画に基づき、設定した目的を達成するために最適なツールやシステムを選定します。
人事領域のツールは非常に多岐にわたるため、選定時にはいくつかの重要な観点から比較検討する必要があります。自社の課題を解決できる機能が十分に備わっているかはもちろんのこと、従業員が直感的に使える操作性の高さ(UI/UX)、導入後のサポート体制の充実度、そして最も重要なセキュリティが強固であるかを確認します。
また、現在利用している給与システムや会計システムとスムーズに連携できるか、将来的な事業拡大にも対応できる拡張性があるかも見極めるべきポイントです。複数のベンダーから提案を受け、可能であれば無料トライアルなどを活用して実際の使用感を試してみることをお勧めします。
同時に、DXを円滑に推進するための社内体制を構築することも不可欠です。人事部門、情報システム部門、そして経営層を巻き込み、それぞれの役割を明確にした上で、全社的な協力体制を築くことが成功の鍵を握ります。
壮大な計画を立てたとしても、最初から全社一斉に大規模なシステムを導入するのは得策ではありません。 失敗のリスクを最小限に抑え、着実に成果を上げていくためには、特定の部門や限定的な業務範囲から小さく始める「スモールスタート」が極めて有効です。
例えば、まずは勤怠管理システムだけを一つの部署で試行的に導入してみる、あるいは採用管理システムを採用部門だけで使ってみるといった形です。スモールスタートには、初期投資を抑えられる、万が一問題が発生しても影響範囲を限定できる、そして短期間で成功体験を積みやすいといった多くのメリットがあります。
導入後は、事前に設定したKPIを基に効果を定期的に測定し、計画通りの成果が出ているかを客観的に検証します。そして、利用者からのフィードバックを収集し、課題が見つかれば迅速に改善策を講じるという、PDCAサイクルを回し続けることが重要です。この小さな成功と改善の積み重ねが、全社展開に向けた大きな推進力となります。
スモールスタートで得られた成功体験と運用のノウハウを基に、いよいよ対象範囲をシステム導入の対象範囲を全社へと拡大していきます。 このフェーズで最も重要なのは、新しいシステムや業務フローが単なる「導入されたもの」で終わらず、従業員の日常業務として「定着」することです。
そのためには、全従業員を対象とした丁寧な説明会や操作研修の実施、いつでも参照できる分かりやすいマニュアルの整備、そして導入後の疑問やトラブルに対応するヘルプデスクの設置といった、手厚いサポート体制が不可欠です。
また、新しいツールの活用を促すために、利用率が高い部署を表彰したり、活用事例を社内報で共有したりといったポジティブな働きかけも効果的です。人事DXは、システムを導入すれば終わりというわけではありません。定期的に従業員満足度調査を行ったり、現場からの改善要望を収集したりしながら、継続的にシステムと運用をアップデートしていくことが重要です。
人事DXを成功させるには、単なるシステム導入にとどまらず、組織の目的や課題と結びつけることが不可欠です。よくある失敗例は、明確な導入目的がないままツールだけを導入し、現場に混乱を招くケースです。
また、既存システムとの連携やデータ移行を軽視すると、情報が分断され効率化どころか負担が増してしまいます。さらに、従業員が不安や反発を抱えたまま進めてしまうと、定着にも時間がかかります。
このセクションでは、人事DX導入における注意点について見ていきましょう。
人事DXで最も陥りやすい失敗は、システムを導入すること自体が目的化してしまう「手段の目的化」です。 経営層から「とにかくDXを推進せよ」という指示が出たり、「競合他社が導入しているから自社も」といった焦りから、自社の課題を深く分析することなくツール選定に走ってしまうケースが後を絶ちません。
目的が曖昧なままでは、多機能だが自社の課題解決には繋がらない高価なシステムを導入してしまったり、現場の業務フローに合わずに結局使われなくなってしまったりするリスクが非常に高くなります。
こうした落とし穴を避けるために参考となるのが、経産省が公開する「DX実践手引書」です。現状把握から目的設定、スモールスタート、全社展開に至るまでの流れが整理されており、企業がDXを計画的に推進するための実践的なガイドラインとして活用できます。
出典参照:DX実践手引書|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
多くの企業では、給与計算や会計、販売管理など、既に何らかの業務システムが稼働しています。
新しい人事システムを導入する際には、これらの既存システムとデータがスムーズに連携できるかを事前に必ず確認しなければなりません。もし連携がうまくいかない場合、システム間で従業員情報を二重に登録する手間が発生したり、データが分断されてしまい分析に活用できない「データのサイロ化」に陥ったりと、かえって業務が非効率になってしまう恐れがあります。
また、見落とされがちですが非常に重要なのが、過去のデータを新しいシステムへ移行する作業です。紙やExcelでバラバラに管理されてきた膨大な人事データの表記ゆれを統一したり(データクレンジング)、新しいシステムのフォーマットに合わせて変換したりする作業は、想像以上に時間と労力を要します。
事前の綿密なデータ移行計画と、本番移行前のリハーサルを怠ると、プロジェクトの遅延やデータの欠損といった深刻なトラブルを引き起こす原因となります。
人事DXを成功させるには、人事業務の知識とITリテラシーの両方を兼ね備えた人材が不可欠ですが、多くの企業でこのような人材は不足しています。
プロジェクトを主導するリーダーが不在のままでは、ベンダーの言いなりになってしまったり、部門間の調整がうまくいかなかったりと、プロジェクトが迷走する原因となります。社内に適任者が見つからない場合は、外部のコンサルタントの支援を仰いだり、計画的に社内人材の育成に取り組んだりする必要があります。
さらに、大きな壁となるのが、新しい変化に対する従業員の心理的な抵抗、いわゆる「チェンジ・レジスタンス」です。特に長年慣れ親しんだ業務フローが変わることに対して、「新しい操作を覚えるのが面倒」「かえって仕事が増えるのではないか」といった反発が起こることは少なくありません。
こうした反発を乗り越えるためには、導入の目的やメリットを繰り返し丁寧に説明し、従業員一人ひとりにとっての利点を具体的に示すとともに、十分な研修やサポート体制を整え、全社的な理解と協力を得ていく地道な努力が求められます。

人事DXを具体的に進める上で、自社の課題や目的に合ったツールを選ぶことは極めて重要です。人事領域の課題は多岐にわたるため、それを解決するためのツールも様々な種類が存在します。
全てを一度に導入する必要はなく、自社の優先順位に応じて必要なものから選んでいくのが賢明です。
このセクションでは、多くの企業で導入されている代表的な人事関連システムを3つのカテゴリーに分けてご紹介します。それぞれのシステムがどのような役割を担い、どのような課題を解決できるのかを理解することで、自社に最適なツール選定のヒントになるはずです。
勤怠管理・給与計算システムは、人事DXの入り口として多くの企業が最初に導入を検討するツールの一つです。
このシステムは、従業員の出退勤時刻の打刻、労働時間の自動集計、残業や休暇の管理、そして毎月の給与計算から給与明細の発行までの一連の業務を自動化します。PCやスマートフォン、ICカードなど多様な打刻方法に対応し、フレックスタイム制や裁量労働制、テレワークといった複雑な勤務形態にも柔軟に対応できる製品が増えています。時間外労働が一定時間を超えそうな従業員やその上司に自動でアラートを出す機能は、長時間労働の是正とコンプライアンス遵守に役立ちます。
手作業による集計や計算がなくなることで、担当者の業務負荷を大幅に軽減します。ミスをなくすだけでなく、頻繁に行われる法改正にもシステム側が自動でアップデート対応してくれるため、常に最新の法令に準拠した労務管理が可能になるという大きなメリットがあります。
人事評価・タレントマネジメントシステムは、従業員のパフォーマンスを最大化し、戦略的な人材活用を実現するための中核となるツールです。
このシステムは、目標設定(MBOやOKR)のプロセスを電子化し、評価シートの配布から回収、フィードバックの記録までをオンラインで完結させ、評価業務の効率化と透明化を図ります。
しかし、その真価は「タレントマネジメント」機能にあります。従業員一人ひとりのスキル、経歴、資格、研修履歴、キャリア志向といった人材情報を一元的にデータベース化し、組織全体の人材を可視化します。これにより、特定のスキルを持つ人材を検索したり、部署ごとの人員構成を分析したりすることが容易になります。
データに基づいた客観的な評価や、個々の能力に応じた育成プランの策定、そして将来のリーダー候補を選抜するサクセッションプランニングなど、これまで属人的な判断に頼りがちだった業務を、データドリブンで高度化することが可能になります。
採用管理システム(ATS:Applicant Tracking System)は、複雑化する採用業務を一元管理し、効率化するための専門ツールです。
複数の求人媒体からの応募者情報を自動で取り込み、候補者情報を一元管理することで、応募対応の漏れや重複を防ぎます。求人票の作成から、書類選考、面接日程の調整、選考結果の連絡、内定者とのコミュニケーションまで、採用活動における一連のプロセスをシステム上で管理し、進捗状況を可視化します。
面接官はシステム上で候補者の履歴書や評価コメントを簡単に共有できるため、選考の精度向上にも繋がります。また、どの求人媒体から何人の応募があり、選考通過率がどうだったかといったデータを自動で集計・分析する機能も備わっており、その結果を基に採用戦略を見直し、より効果的な母集団形成に繋げることができます。
採用担当者の煩雑な事務作業を削減し、候補者とのコミュニケーションといった本来注力すべき業務に集中できる環境を整えることで、採用競争力の強化に大きく貢献します。
この記事では、人事DXの基本的な概念から、導入によって得られる具体的なメリット、そして失敗しないための5つのステップと注意点について、網羅的に解説してきました。
重要なのは、人事DXが単なるツールの導入プロジェクトではなく、企業の競争力を高めるための重要な経営戦略であると認識することです。 テクノロジーの力で定型業務を効率化し、そこで生まれた時間と、これまで活用しきれなかった人材データを最大限に活用することで、従業員一人ひとりの潜在能力を引き出し、組織全体の成長を加速させることができます。
もし、「何から手をつければ良いのか」と迷っているなら、まずは本記事で紹介した「ステップ1. 現状分析と課題の特定」から始めてみてください。自社の人事部門が抱える課題を一つひとつ書き出し、関係者と議論すること。それが、成功への確かな第一歩となります。
この記事が、あなたの会社の人事DXを力強く推進するための、信頼できるロードマップとなることを願っています。