バックオフィスDXにセキュリティは必要?基本の対策やステップを解説
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人事DXが進まない7つの課題とは?経営層の無理解や人材不足、データの散在といった壁を乗り越える具体的な解決策と、失敗しないための進め方をステップで解説。成功事例やツール選定のポイントも紹介し、貴社のDX推進をサポートします。
企業の持続的成長において、人材戦略の重要性はかつてないほど高まっています。その中核を担うのが、デジタル技術を駆使して組織と人材のポテンシャルを最大限に引き出す「人事DX」です。
経営層からの号令一下、多くの企業が推進に乗り出しているものの、その道のりは決して平坦ではありません。「何から手をつければいいのか」「導入したシステムが形骸化している」といった声に象徴されるように、多くの担当者が目に見えない壁に直面しています。
この記事では、そうした人事DXの推進を阻む本質的な課題を7つに分類し、その原因を深掘りします。さらに、課題を乗り越えるための具体的な解決策から、失敗しないための導入ステップ、他社の成功事例までを網羅的に解説し、貴社が確かな一歩を踏み出すための道筋を示します。
人事DXの推進を検討する上で、まず「DX」と「IT化」の違いを明確に理解しておく必要があります。この二つは混同されがちですが、その目的とスコープは根本的に異なります。
IT化とは、既存の業務プロセスを維持したまま、デジタルツールを導入して業務の効率化や自動化を図る取り組みを指します。例えば、紙のタイムカードを勤怠管理システムに置き換えたり、給与計算をソフトウェアで行ったりすることがこれに該当します。主な目的は、コスト削減や時間短縮といった「業務改善」です。
一方で、人事DXはデジタル技術を前提として、人事業務のプロセスそのもの、ひいては組織のあり方や人材戦略を抜本的に変革し、新たな価値を創造することを目指します。単なる効率化に留まらず、蓄積された人事データを分析・活用することで、科学的根拠に基づいた人材配置や育成、エンゲージメント向上策などを立案し、企業の競争力強化という経営目標に直接的に貢献することがゴールです。
IT化が「手段」であるのに対し、DXは経営戦略と一体となった「目的」そのものであると言えるでしょう。

多くの企業が人事DXの重要性を認識しながらも、その推進には様々な障壁が立ちはだかります。これらの課題は個別の問題に見えて、実は相互に関連し合っていることも少なくありません。
このセクションでは、多くの企業が共通して直面する7つの代表的な課題を深掘りし、なぜ人事DXが計画通りに進まないのか、その根本的な原因を明らかにしていきます。自社の状況と照らし合わせながら、どの課題が最も当てはまるかを確認してみてください。
人事DXが失敗する最大の要因の一つが、経営層の理解不足です。DXを単なるITツール導入によるコスト削減策と捉え、短期的な投資対効果ばかりを求めてしまうケースが後を絶ちません。
本来、人事DXは組織文化の変革や人材育成といった長期的な視点が必要な経営戦略です。経済産業省が定めた「デジタルガバナンス・コード3.0」でも、経営者自らがDX推進の旗振り役となり、全社的なビジョンと体制を整備することの重要性が強調されています。
経営トップの強いコミットメントと、各部門を横断する強力な推進体制の構築が、すべての土台となります。
人事DXを成功に導くためには、人事領域の専門知識と、ITやデータサイエンスのスキルを併せ持つハイブリッドな人材が不可欠です。
しかし、このようなスキルセットを持つ人材は労働市場全体で極めて希少であり、採用競争は激化しています。多くの企業が外部からの採用に苦戦しているのが実情です。
では、社内で育成すれば良いかというと、それもまた容易ではありません。体系的な育成プログラムが整備されておらず、OJT(On-the-Job Training)頼りになってしまうケースがほとんどです。通常業務と兼任しながら、独学で最新のデジタル技術やデータ分析手法を習得するには限界があります。
結果として、「人事のことは分かるがITは苦手」「ITは分かるが人事の課題が理解できないという人材ばかりになり、両者の橋渡し役が不在のまま、プロジェクトが停滞してしまうのです。
「何のために人事DXを行うのか」という根源的な目的が曖昧なままプロジェクトがスタートしてしまうことも、典型的な失敗パターンです。
競合他社が導入しているから、あるいは世の中のトレンドだからといった理由で、目的意識が希薄なまま高機能な人事システムを導入してしまうケースが散見されます。その結果、システムを導入すること自体がゴールとなり、本来解決すべきであったはずの経営課題や人事課題が置き去りにされてしまいます。
現場の業務フローや課題に合わないシステムは、従業員に使われることなく放置され、「DX疲れ」や無駄な投資に終わることも少なくありません。人事DXはあくまで手段であり、その先にある「従業員エンゲージメントの向上」「次世代リーダーの育成」といった明確な目的を達成するためのものです。この目的と手段を取り違えた瞬間に、プロジェクトは迷走を始めるのです。
多くの企業では、勤怠、給与、評価、スキル、採用といった人事に関するデータが、それぞれの業務システムやExcelファイルなどに分散して管理されています。このような「データのサイロ化」は、人事DXを阻む深刻な壁となります。
データが統合されていないため、例えば「ハイパフォーマーに共通する行動特性は何か」「どの部署で離職の兆候が見られるか」といった横断的な分析ができません。これでは、経験や勘に頼った旧来の人事から脱却できず、データに基づいた戦略的な意思決定は不可能です。
データを一元化しようにも、各システムで管理されているデータの形式や粒度がバラバラで、統合には多大な時間とコストがかかります。また、データの所有意識から、部門間の協力が得られにくいといった組織的な問題も絡み合います。宝の山であるはずの人事データが、活用されることなく眠り続けているのが現状です。
人事DXへの投資は、その効果がすぐには見えにくいという特性があります。
採用コストの削減や給与計算業務の効率化といった定量的な効果は比較的測定しやすいものの、従業員エンゲージメントの向上、組織文化の変革、イノベーションの促進といった定性的な効果は、短期的に金額換算することが困難です。
そのため、投資対効果(ROI)を明確に算出するのが難しく、経営層に対して投資の必要性を合理的に説明するのに苦労するケースが多くあります。特に、多額の初期投資が必要となる大規模なシステム導入では、その効果が不透明なままでは承認を得ることはできません。「その投資で、具体的にいくら儲かるのか」という問いに明確に答えられないことが、人事DXの推進を躊躇させる大きな要因となっているのです。
短期的なコストとしてではなく、未来への戦略的投資として理解を得るための工夫が求められます。
新しいシステムの導入や業務プロセスの変更は、現場の従業員に少なからず変化を強いることになります。人間は本能的に変化を嫌う傾向(現状維持バイアス)があり、慣れ親しんだやり方を変えることに対して、心理的な抵抗感が生まれるのは自然なことです。
特に、導入されるシステムのメリットや目的が十分に説明されないままトップダウンで話が進むと、「なぜ忙しいのに新しいことを覚えなければならないのか」「仕事が増えるだけではないか」といった不満や反発を招きかねません。
従業員の協力が得られなければ、せっかく導入したシステムも思うように利用されず、データが入力されない、あるいは形骸化してしまうといった事態に陥ります。
DXの成否は、最終的に現場で働く従業員一人ひとりの行動変容にかかっています。 技術的な問題だけでなく、こうした人間的な側面への配慮を欠いたままでは、どんなに優れたシステムも宝の持ち腐れとなってしまうでしょう。
人事データは、氏名、住所、評価、病歴など、極めて重要な個人情報の宝庫です。これらのデータをクラウド環境などで一元管理する際には、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクに備え、万全のセキュリティ対策を講じる必要があります。
個人情報保護法をはじめとする関連法規を遵守することはもちろん、従業員のプライバシーへの配慮も欠かせません。データの利用目的を明確にし、従業員からの同意を得るプロセスも重要になります。万が一、情報漏洩などのインシデントが発生すれば、金銭的な損害だけでなく、企業の社会的信用を大きく損なうことになりかねません。
「守りのIT」が不十分なまま「攻めのDX」を進めることは、大きなリスクを伴います。 このセキュリティという壁を乗り越えるための専門知識や体制が整っていないことが、データ活用へのアクセルを踏み切れない一因となっています。
これまで見てきたように、人事DXの道のりには多くの壁が待ち受けています。しかし、これらの課題は決して乗り越えられないものではありません。
このセクションでは、前述の課題を克服し、人事DXを成功に導くための具体的な4つの解決策を提案します。
経営層の理解を得るためには、壮大な計画を語るよりも、目に見える小さな成功を示すことが最も効果的です。全社一斉の大きな変革を目指すのではなく、まずは特定の部署や限定的な業務範囲でDXを試験的に導入し、具体的な成果を出す「スモールサクセス」を狙いましょう。
例えば、採用管理システムを導入して採用業務にかかる工数を30%削減した、あるいは一部の部署でエンゲージメントサーベイを実施して離職率の低下に繋がった、といった具体的な成功事例を作ります。こうした定量的・定性的な成果は、人事DXの価値を客観的に証明する何よりの証拠となります。
成功体験は、懐疑的だった経営層や他部署の意識を変え、「うちの部署でもやってみたい」という前向きな機運を醸成します。この小さな成功を積み重ね、社内に協力者を増やしていくことが、最終的に全社的なDX推進の大きなうねりを生み出すのです。
DX推進に必要な人材が不足しているからといって、諦める必要はありません。
まずは自社の人事DXのゴール達成のために、どのようなスキルや役割を持つ人材がいつまでに、何人必要なのかという「人材要件」を具体的に定義することから始めます。
その上で、外部からの採用、社内人材の育成、外部パートナーとの連携という3つの選択肢を組み合わせた、長期的な人材戦略を策定します。高度なデータ分析スキルを持つ専門家など、社内での育成が難しい人材は外部から採用する一方で、既存の人事部員に対しては、データリテラシー向上のための研修プログラムを提供し、スキルアップを支援します。
また、自社だけですべてを賄おうとせず、専門的な知見を持つコンサルティング会社やITベンダーといった外部パートナーの力を借りることも有効な手段です。自社の強みと弱みを冷静に分析し、最適な人材確保のポートフォリオを組むことが重要です。
「システム導入がゴール化する」という罠を避けるためには、プロジェクトの初期段階で「人事DXを通じて、どのような経営課題を解決し、どのような状態を目指すのか」という目的を徹底的に議論し、明確に言語化することが不可欠です。
この目的は、必ず経営戦略や事業目標と連動している必要があります。例えば、「多様な人材が活躍できる組織を作り、イノベーションを促進する」といった目的を設定します。
次に、その目的の達成度を客観的に測定するための**重要業績評価指標(KPI)を定めます。先の例で言えば、「女性管理職比率」「従業員エンゲージメントスコア」「新規事業提案数」などがKPIとなり得ます。明確なKPIを設定することで、関係者の目線が揃い、施策の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて軌道修正することが可能になります。
目的とKPIは、プロジェクトを正しい方向に導くための羅針盤の役割を果たすのです。
散在する人事データを戦略的に活用するためには、まずそれらの情報を一元的に収集・管理し、分析できる「データ活用基盤」を構築する必要があります。
タレントマネジメントシステムなどのITツールを導入し、これまで各部署やシステムにバラバラに存在していた従業員の経歴、スキル、評価、勤怠といったデータを一つのプラットフォームに統合します。この基盤を整備することで、初めて従業員一人ひとりの情報を多角的に可視化し、分析することが可能になります。
例えば、優秀な成績を収めている従業員のキャリアパスを分析し、次世代リーダーの育成計画に活かしたり、エンゲージメントサーベイの結果と勤怠データを組み合わせて離職の予兆を早期に発見したりといった、データに基づいた科学的な人事施策が打てるようになります。
データ基盤の構築は、経験と勘に頼る従来の人事から脱却し、戦略人事へと進化するための必須条件と言えるでしょう。

人事DXは、思いつきや勢いだけで進めると、ほぼ間違いなく失敗に終わります。成功のためには、明確なビジョンに基づき、計画的かつ段階的にプロジェクトを推進していく体系的なアプローチが不可欠です。
すべての始まりは、人事DXの目的(Why)とゴール(What)を明確に定義することです。なぜ今、人事DXに取り組む必要があるのか。それは、自社のどのような経営課題の解決に繋がるのかを徹底的に議論します。
例えば、「グローバル競争に勝つために、次世代の経営層を計画的に育成する必要がある」といった経営課題に対し、「データに基づいた後継者育成プログラムを構築し、3年後までに候補者プールを50%拡大する」といった具体的なゴールを設定します。このとき重要なのは、現状(As-Is)と理想の姿(To-Be)のギャップを明確に意識することです。このギャップこそが、人事DXで解決すべき課題そのものになります。
この最初のステップで、経営層を含むすべての関係者が目的とゴールについて共通認識を持つことが、プロジェクトの成否を大きく左右します。
目的とゴールが定まったら、次に現状(As-Is)を正確に把握し、課題を具体的に可視化します。まずは、採用、育成、評価、配置といった人事関連の業務プロセスを一つひとつ洗い出し、どこに非効率な点や問題点があるのかをマッピングします。
同時に、従業員へのアンケート調査や、各部門のマネージャーや担当者へのヒアリングを実施し、現場が抱えているリアルな悩みやニーズを収集します。例えば、「評価シートの回収と集計に毎期100時間以上かかっている」「若手社員のキャリアパスが見えず、モチベーションが低下している」といった具体的な課題が明らかになるでしょう。
こうした定量的データと定性的な意見の両面から課題を多角的に分析することで、取り組むべき優先順位が明確になり、より実効性の高い施策の立案に繋がります。
可視化された課題の中から、目的達成へのインパクトが大きく、かつ実現可能性の高いものから優先順位をつけ、具体的な実行計画(ロードマップ)を策定します。
このロードマップには、「いつまでに」「どの部署が」「どのツールを使って」「何を」実行するのかといった詳細なアクションプランと、それぞれの達成目標となる中間指標(マイルストーン)を盛り込みます。
計画と同時に、プロジェクトを円滑に推進するための体制を構築することも極めて重要です。プロジェクト全体の責任者(オーナー)を明確にし、人事、IT、経営企画、そして現場の各事業部門からキーパーソンを集めた、部門横断型のチームを組成します。
それぞれのメンバーの役割と責任範囲を明確に定義することで、当事者意識が生まれ、部門間の連携もスムーズに進むようになります。
策定した計画に基づき、いよいよ施策を実行に移します。ただし、最初から全社規模で一斉に導入するのはリスクが高いため、まずは特定の部署や領域に限定して試験的に導入する「スモールスタート」が賢明です。
この試行期間(PoC:概念実証)を通じて、導入したツールや新しい業務プロセスの有効性を検証し、課題点や改善点を洗い出します。そして、ステップ1で設定したKPIを定期的にモニタリングし、施策の効果を客観的に評価します。計画通りに進んでいるか、想定外の問題は起きていないかを確認し、その結果を次のアクションにフィードバックしていくPDCAサイクルを回すことが重要です。
効果検証の結果に基づき、計画を柔軟に見直しながら、成功モデルを徐々に他部署へと展開していくことで、リスクを最小限に抑えながら着実に成果を拡大していくことができます。
理論や進め方を理解することも重要ですが、実際に他の企業がどのように課題を乗り越え、人事DXを成功させたのかを知ることは、自社の取り組みを進める上で大きなヒントになります。
このセクションでは、それぞれのアプローチでDXを推進し、具体的な成果を上げた3つの事例を紹介します。
株式会社ベルーナでは、バックオフィス領域に8つのシステムが乱立し、人事データが散在。特に、毎月100名以上の入退社処理や、各システムへの社員情報登録・更新に多大な時間を要することが大きな課題となっていました。
このような課題を解決するため、勤怠や給与を含む複数の人事データを一元管理できる「ジンジャー」を導入しました。
導入後は、人事データの一元管理が実現し、これまで都度発生していたデータ連携作業がゼロになりました。具体的には、勤怠集計から給与計算までの時間が3分の1に短縮され、入退社手続きでは数千枚のペーパーレス化と月次対応工数の大幅削減(2営業日から半日へ)年間約4,400時間の業務時間と約765万円の人件費・紙/郵送費の削減に成功しました。
出典参照:株式会社ベルーナ、ジンジャーの導入を機に一元管理の体制構築と数千枚のペーパーレス化を推進し、年間約4,400時間を削減|jinjer株式会社
全国でセレクトショップを展開する株式会社ハピネス・アンド・ディでは、SmartHRとは別に利用していた人事評価システムの運用に課題を抱えていました。パソコン操作に不慣れな従業員には操作のハードルが高く、人事担当者にとってもSmartHRとの二重管理がメンテナンスの負担となっていました。人事評価システムは利用頻度が低いため、パスワードの問い合わせも頻繁に発生していました。
これらの課題を解決するため、人事システムをSmartHRに一本化。結果として、以前併用していた人事評価システムを解約し、SmartHRに一本化したことで、年間160万円の経費削減に成功しました。この一本化により、労務からタレントマネジメントまでSmartHRで一元管理できるようになり、さらなる活用が進んでいます。
出典参照:人事システムをSmartHRに1本化。蓄積したデータを活かし、従業員の自走を促す環境へ|株式会社SmartHR
「人的資本の価値向上」を重点テーマとする大和ハウス工業株式会社は、約48,000人の従業員の人財データ活用のため、「COMPANY Talent Management」シリーズを導入。導入の決め手は、人財データの一元化・可視化プラットフォームの必要性、直感的に操作できるUI、そして伴走型サポート体制でした。
今後は、まず人財データの一元化と基盤整備を進め、将来的には収集したデータを従業員の複線的な成長機会の提供や最適な異動配置に活用する計画です。これにより、次世代リーダー育成を含む人的資本の価値向上を加速させ、持続的な企業成長を目指しています。
出典参照:【導入事例】大和ハウス工業株式会社が「COMPANY Talent Management」シリーズを導入|株式会社サイダス

人事DXを推進する上で、自社の課題や目的に合致したITツールを選定し、活用することは、成功への重要な鍵となります。
このセクションでは、多くの企業が人事DXの過程で導入している代表的な3種類のシステムについて、それぞれの役割と導入によって得られるメリットを解説します。
勤怠管理・給与計算システムは、従業員の労働時間を正確に把握し、それに基づいて給与を計算するという、人事労務の最も基本的な業務を支援するツールです。
PCやスマートフォンからの打刻、ICカード連携など多様な方法で出退勤時刻を記録し、残業時間や休暇取得状況などを自動で集計します。これにより、手作業による集計ミスや法令違反のリスクを大幅に低減できます。
また、頻繁に行われる法改正にもシステム側が自動でアップデート対応するため、常にコンプライアンスを遵守した労務管理が可能になります。さらに、蓄積された勤怠データは、従業員の働き方の実態を可視化するための貴重な情報源となります。
長時間労働の是正や、柔軟な働き方の導入検討など、従業員のウェルビーイング向上に繋がる施策を立案するための基礎データとして活用することができるのです。
採用管理システム(ATS:Applicant Tracking System)は、求人情報の公開から応募者の受付、選考プロセスの管理、内定者のフォローアップまで、採用活動に関わる一連の業務を一元的に管理し、効率化するためのシステムです。
複数の求人媒体や自社の採用サイトからの応募者情報を自動で取り込み、候補者データベースを構築します。面接官との日程調整や、合否連絡といったコミュニケーションもシステム上で完結できるため、採用担当者の事務的な負担を大きく削減します。これにより、候補者一人ひとりへの丁寧な対応が可能になり、候補者体験(CX)の向上に繋がります。
また、選考プロセス全体の進捗状況が可視化されるため、どこにボトルネックがあるのかを特定し、改善することも容易になります。過去の採用データを分析し、効果的な採用チャネルを見極めるなど、データに基づいた採用戦略の立案にも貢献します。
タレントマネジメントシステムは、従業員の能力やスキル、経験、評価、キャリア志向といった人材情報を一元管理し、それらを戦略的な人材配置、育成、評価、リテンション(定着)に活用するためのプラットフォームです。
このシステムを導入することで、これまで人事担当者の頭の中にしかなかった情報や、Excelで個別に管理されていた情報が全社で可視化・共有されます。これにより、経営層やマネージャーは、データに基づいて客観的な人事判断を下すことが可能になります。
例えば、新しいプロジェクトに最適なスキルを持つ人材を全社から検索したり、ハイパフォーマーの特性を分析して育成プログラムに反映させたり、従業員のエンゲージメントを定期的に測定して離職の予兆を早期に察知したりといった活用が可能です。
企業の最も重要な資産である「人」の価値を最大化し、戦略人事の実現を強力に後押しするツールです。
本記事を通じて、人事DXの推進を阻む7つの具体的な課題と、それらを乗り越えるための解決策、そして失敗しないための体系的な進め方について解説してきました。
人事DXは、単に新しいITツールを導入するだけのプロジェクトではありません。デジタル技術を触媒として、旧来の業務プロセスや組織文化そのものを変革し、企業の競争力を根幹から支える人材戦略を再構築する、極めて重要な経営課題です。
成功への道のりは決して平坦ではありませんが、その先には、従業員一人ひとりが持つ可能性を最大限に引き出し、組織全体が活性化する未来が待っています。
最も重要な第一歩は、自社の現状を冷静に分析し、どこに本質的な課題があるのかを正確に可視化することです。今回ご紹介した内容が、貴社の人事領域における課題を洗い出し、DX推進の具体的なアクションプランを策定するための一助となれば幸いです。まずは小さな一歩から、着実に未来への変革を進めていきましょう。