プロトタイプ開発によってプロダクトが生み出された3つの事例を紹介
開発手法
スクラム開発でよくある失敗パターンと原因、改善策を解説します。プロダクトオーナーの意思決定遅延、バックログの整理不足、イベントの形骸化など、開発現場で頻繁に見られる課題への対処法を紹介し、スクラム開発を成功に導くためのポイントを分かりやすく説明します。
・6万名以上のエンジニアネットワークを活用して課題を解決※
・貴社のDX戦略立案から実行・開発までワンストップで支援可能
※エンジニア数は2026年8月期 第1四半期決算説明資料に基づきます。
アジャイル開発手法としてスクラム開発を導入したものの、期待した成果が得られず苦戦している開発チームは少なくありません。スプリントを回しているのに進捗が遅い、チームの自律性が育たない、結局ウォーターフォール的な進め方に戻ってしまうといった悩みを抱えていませんか。
こうした問題の多くは、スクラムの基本原則を正しく理解しないまま形だけ真似ている状態から生じています。本記事では、スクラム開発における代表的な失敗パターンを紹介し、それぞれの原因と具体的な改善策を解説していきます。記事を読み進めることで、自社のスクラム開発における課題がどこにあるのかを見極め、適切な対処法を見つけられるでしょう。

スクラム開発とは、アジャイルソフトウェア開発手法のひとつであり、短い期間で区切りながら反復的に開発を進めていく手法です。従来のウォーターフォール型開発では要件定義から設計、実装、テストまでを順番に進めていくのに対し、スクラムでは短期間のイテレーションを繰り返しながら段階的にプロダクトを完成させていきます。
この手法では、開発期間を一定の短い期間に区切ったスプリントと呼ばれる単位で作業を進めます。各スプリントの終了時には動作するソフトウェアを完成させ、顧客やステークホルダーからフィードバックを得ることで、市場の変化や要求の変更に柔軟に対応していきます。またチームの自己組織化を重視しており、メンバー自身が計画を立て、進捗を管理し、問題を解決していく点が特徴です。開発チームは定期的に振り返りを行い、プロセスやチームワークを継続的に改善していく文化を育てます。
スクラム開発は、プロダクトバックログの作成から始まり、スプリント計画、実行、レビュー、振り返りというサイクルを繰り返して進めていきます。それぞれの段階で適切なイベントを実施し、チーム全体で進捗を確認しながら開発を進めることが大切です。
ここでは、スクラム開発における基本的な流れを段階ごとに見ていきましょう。
プロダクトバックログとは、開発するプロダクトに必要な機能や要件をリスト化したものです。プロダクトオーナーが中心となって作成し、ビジネス価値の高い項目から順に優先順位を付けていきます。
バックログの各項目には、ユーザーストーリーと呼ばれる形式で要件を記述するケースが一般的です。誰がどのような目的で何を必要としているのかを明確にすることで、開発チームは実装すべき内容を正しく理解できるようになります。プロダクトオーナーは市場の変化や顧客のフィードバックに応じて、バックログの内容や優先順位を継続的に見直していきます。
スプリント計画では、次のスプリントで達成すべきゴールと具体的な作業内容を決定します。プロダクトオーナーがバックログの上位項目を提示し、開発チームがスプリント期間内に完了できる分量を選択していきます。
チーム全員で各項目の内容を確認し、実装に必要な作業を洗い出します。このとき、技術的な実現方法や作業の見積もりについて議論を重ね、チームメンバー間で認識を合わせておくことが必要です。スプリントゴールは抽象的すぎず具体的すぎない適切なレベルで設定し、チーム全体が目指す方向性を共有します。計画段階で十分に議論しておくことで、スプリント中の手戻りや認識のずれを防げるでしょう。
スプリントが始まると、開発チームは計画した作業を実行していきます。毎日決まった時間にデイリースクラムと呼ばれる短時間のミーティングを開催し、各メンバーが前日の成果、当日の予定、障害となっている課題を共有します。
デイリースクラムでは長時間の議論は行わず、問題の早期発見と迅速な対応に焦点を当てます。メンバー同士が進捗状況を把握し合うことで、協力が必要な場面や方向性のずれにすぐ気づけるようになります。スクラムマスターは、チームが効率よく作業を進められるよう障害を取り除き、必要に応じてサポートを提供していきます。透明性の高いコミュニケーションを維持することで、チーム全体の生産性が向上するでしょう。
スプリントの終わりには、スプリントレビューとレトロスペクティブという振り返りの機会を設けます。スプリントレビューでは、完成した成果物をステークホルダーに実演し、フィードバックを受け取ります。
レビューで得られた意見は次のスプリントのバックログに反映させ、プロダクトの方向性を調整していきます。その後のレトロスペクティブでは、チーム内でスプリントの進め方やコミュニケーション、技術的な課題などを振り返り、改善策を話し合います。良かった点は継続し、問題があった点は次のスプリントで改善する具体的なアクションを決めることが大切です。この継続的な振り返りと改善のサイクルが、チームの成長とプロダクトの品質向上につながっていくでしょう。
スクラム開発を導入しても、理想的な運用ができず失敗に終わってしまうケースは珍しくありません。多くの失敗には共通したパターンがあり、それを理解しておくことで自社の開発プロセスを見直す手がかりが得られます。
ここでは、実際の開発現場でよく見られる代表的な失敗パターンを紹介していきましょう。
プロダクトオーナーが意思決定を迅速に行えず、開発チームが待機状態になってしまうケースは頻繁に見られます。バックログの優先順位が定まらない、仕様に関する質問への回答が遅い、ステークホルダーとの調整に時間がかかるといった状況が続くと、スプリントの進行が滞ってしまいます。
プロダクトオーナーが他の業務と兼任していたり、十分な権限を持っていなかったりする場合、こうした問題が発生しやいです。開発チームは作業を進められず、スプリントゴールの達成が困難になります。また、待機時間が発生することでチームのモチベーションも低下し、開発効率が著しく悪化していきます。プロダクトオーナーの役割を担う人材には、十分な時間と権限を与え、迅速な意思決定ができる体制を整えることが不可欠です。
プロダクトバックログが整理されておらず、優先順位がスプリントごとに大きく変わってしまう失敗パターンも多く見られます。バックログに項目が追加され続けるだけで整理されない、ステークホルダーの要望に振り回されて方針が定まらない、といった状態では、チームは何を優先すべきか判断できなくなります。
優先順位が頻繁に変わると、進行中の作業を中断して別の項目に取り組まなければならず、完成する機能が減ってしまいます。チームメンバーは計画を信頼できなくなり、作業への集中力も失われていくでしょう。さらに、中途半端な実装が増えることで技術的負債が蓄積し、後の開発に悪影響を及ぼします。プロダクトビジョンを明確にし、バックログを定期的に見直して優先順位を安定させることが大切です。
デイリースクラムやレトロスペクティブといったスクラムイベントを実施しているものの、単なる報告会になってしまい、実質的な改善につながらないケースもよくあります。デイリースクラムで前日の作業内容を報告するだけ、レトロスペクティブで課題を挙げるだけで終わってしまう状態では、スクラムの本来の価値は得られません。
イベントが形骸化する背景には、目的や意義が理解されていない、議論する時間が十分に確保されていない、改善策を実行に移す仕組みがないといった問題があります。メンバーは義務的に参加するだけになり、イベント自体が無駄な時間と感じられるようになるでしょう。各イベントの本来の目的を再確認し、実践的な議論と行動につながる運用へと改善していくことが求められます。スクラムマスターがファシリテーションを工夫することで、有意義なイベントへと変えていけるでしょう。
各スプリントで何を完成させるべきかが明確でなく、スプリント終了時に動作するソフトウェアが提供できないパターンも見られます。完成の定義が曖昧なまま開発を進めてしまい、レビュー時になって不足部分が判明するといった状況に陥ります。
スプリントゴールが抽象的すぎる、完成の基準がチーム内で共有されていない、テストや品質確認が後回しにされているといった問題が原因です。結果として、スプリントを重ねても完成した機能が積み上がらず、リリースできる状態にならない事態が続きます。顧客やステークホルダーに実演できる成果物がないため、フィードバックを得る機会も失われるでしょう。各スプリントの開始時に完成の定義を明確にし、品質基準を満たした状態で終えられるよう計画することが必要です。
チームメンバー間のスキルレベルに大きな差があり、特定のメンバーに作業が集中してしまう失敗パターンもあります。経験豊富なメンバーが多くのタスクを抱え込み、他のメンバーは簡単な作業しか任されないといった状況では、チーム全体の生産性は上がりません。
スキルの偏りがあると、知識の属人化が進み、特定のメンバーが不在になった際に開発が止まってしまうリスクも生じます。また、スキルが低いメンバーは成長の機会を得られず、チームの自律性も育ちません。スクラム開発では、チームメンバー全員が協力し合い、互いに学び合いながら成長していくことが期待されています。ペアプログラミングやコードレビューを通じてスキルを共有し、メンバー全員が幅広い作業を担当できるよう育成していく取り組みが大切です。
スクラム開発を導入したはずが、いつの間にかウォーターフォール型の進め方に戻ってしまうケースもよく見られます。スプリントの初めに詳細な設計書を作成し、承認プロセスを経てから実装を始めるといった、従来の手法を引きずった運用になってしまいます。
こうした状況は、組織の文化や上層部の理解不足が原因となっている場合が多いです。管理職が詳細な進捗報告や計画書の提出を求めたり、変更管理のプロセスが厳格だったりすると、アジャイルの柔軟性が失われていきます。また、チームメンバー自身がウォーターフォール型の進め方に慣れており、新しい手法への移行に抵抗感を持っているケースもあります。組織全体でアジャイルの価値観を理解し、従来の管理手法を見直していくことが必要です。スクラムの原則に立ち返り、本質的な価値を再確認することが求められます。
スクラム開発の失敗には、根本的な原因が存在しています。表面的な問題への対処だけでは、同じような失敗を繰り返しかねません。多くの場合、失敗の背景には組織の文化や体制、チームメンバーの理解度、コミュニケーションの仕組みといった構造的な課題が隠れています。これらの根本原因を特定し、本質的な改善に取り組まなければ、スクラムの価値を十分に引き出せません。
ここでは、失敗の根本原因を探りながら、それぞれに対する具体的な改善策を紹介していきます。自社の開発プロセスを見直し、持続的な改善につなげていきましょう。
スクラムにおけるプロダクトオーナー、スクラムマスター、開発チームという三つの役割が明確に定義されておらず、誰が何に責任を持つのか曖昧なまま運用されているケースがあります。役割が重複していたり、逆に誰も担当していない領域があったりすると、意思決定が遅れたり問題が放置されたりする原因となります。
プロダクトオーナーが製品の方向性を決める責任を持ち、スクラムマスターがチームの支援とプロセスの改善を担い、開発チームが実装に集中するという明確な分担が必要です。それぞれの役割に適切な人材を配置し、必要な権限と時間を与えることが改善の第一歩となります。定期的に役割の理解度を確認し、期待される行動が取れているか見直すことも大切です。役割ごとの研修を実施したり、経験者からコーチングを受けたりすることで、各メンバーが自分の役割を正しく理解し遂行できるようになります。
開発チームがなぜそのプロダクトを作るのか、どのような価値を顧客に提供するのかという目的やビジョンを共有できていないケースも多く見られます。単に与えられたタスクをこなすだけになってしまい、メンバーの主体性やモチベーションが育ちません。
プロダクトビジョンを明文化し、チーム全員が理解し共感できる状態を作ることが大切です。プロダクトオーナーは定期的にビジョンを説明し、各機能がどのようにビジョンの実現に貢献するのかを伝えていく必要があります。
また、ユーザーの声や市場の反応をチームと共有することで、自分たちの仕事が誰のどのような課題を解決しているのか実感できるでしょう。ビジョンが明確になれば、メンバーは自律的に判断し行動できるようになり、より良いプロダクトを生み出せるようになります。
各スプリントで達成すべきゴールが曖昧なまま開発を進めてしまい、何のために作業しているのか分からなくなるケースがあります。ゴールが単なる機能リストになっていたり、測定できない抽象的な表現だったりすると、チームは達成感を得られません。
スプリントゴールは、そのスプリントで実現したい価値や解決したい課題を具体的に表現する必要があります。例えば、どのようなユーザー体験を提供するのか、どの業務プロセスを改善するのかといった観点で設定すると良いです。ゴールが明確になることで、チームは優先順位を判断しやすくなり、スプリント中に方向性を見失うリスクも減ります。また、スプリントレビューでの成果の説明も明確になり、ステークホルダーから有益なフィードバックを得やすくなるでしょう。
レトロスペクティブで多くの課題や改善案が出されるものの、次のスプリントで実際に改善されず同じ問題が繰り返されるパターンもあります。改善策を決めただけで満足してしまい、実行に移す仕組みがないことが原因です。
改善策は具体的なアクションアイテムに落とし込み、担当者と期限を明確にする必要があります。次のスプリント計画に改善作業を組み込み、デイリースクラムでも進捗を確認するようにしましょう。また、前回のレトロスペクティブで決めた改善が実行できたか確認する時間を設けることも大切です。改善のサイクルが回り始めると、チームは継続的に成長し、問題を自ら解決できる力が育っていきます。小さな改善でも確実に実行し成功体験を積み重ねることで、チームの改善文化が定着していくでしょう。
チームメンバーやステークホルダーがスクラムについて十分に理解しておらず、表面的な手法だけを真似ている状態では、期待した成果は得られません。なぜその手法を取るのか、どのような価値があるのかを理解していないと、形骸化したり誤った運用になったりします。
スクラムの原則や価値観を学ぶ機会を設け、チーム全体で理解を深めることが必要です。書籍やオンライン教材で学習したり、認定資格の取得を目指したりすることも有効です。また、他社の成功事例や失敗事例を共有し、自社の状況と照らし合わせて考える時間を持つことも必要です。理解が深まれば、自分たちの状況に合わせてスクラムを適切にカスタマイズしていけるようになります。定期的に勉強会を開催し、メンバー同士で学び合う文化を育てることも効果的です。
社内だけでスクラムを始めようとして行き詰まり、誤った方向に進んでしまうケースもあります。経験者がいない状態で試行錯誤を続けても、根本的な改善には至りにくいです。
外部のアジャイルコーチやスクラムマスターの支援を受けることで、客観的な視点から問題を発見し、適切な改善策を見出せます。特に導入初期は、経験豊富なコーチに伴走してもらいながら進めることが効果的です。また、レトロスペクティブなどのイベントで外部ファシリテーターを活用することで、より深い議論や気づきが得られるでしょう。投資に対する効果は高く、短期間でチームの成熟度を上げられます。支援を受けながら徐々にチーム内で自律的に運用できる力を育て、最終的には外部支援なしで継続的に改善していける体制を目指すと良いでしょう。

スクラム開発における失敗パターンを理解することで、自社の開発プロセスにおける課題を客観的に把握できるようになります。プロダクトオーナーの意思決定の遅れ、バックログの整理不足、イベントの形骸化、成果物の不明確さ、スキル差による属人化、ウォーターフォールへの逆戻りといった典型的な失敗には、いずれも明確な原因と改善策が存在しています。
役割と責任を明確化し、プロダクトビジョンを共有し、スプリントゴールを具体的に設定することから始めましょう。振り返りで挙げられた改善策を確実に実行し、スクラムへの理解を深め、必要に応じて外部支援を活用することも大切です。失敗パターンから学び、自社の状況に合わせた改善を継続的に行っていくことで、スクラム開発は真の価値を発揮していくでしょう。
株式会社TWOSTONE&Sonsグループでは
60,000人を超える
人材にご登録いただいており、
ITコンサルタント、エンジニア、マーケターを中心に幅広いご支援が可能です。
豊富な人材データベースと創業から培ってきた豊富な実績で貴社のIT/DX関連の課題を解決いたします。
幅広い支援が可能ですので、
ぜひお気軽にご相談ください!