スクラム開発の導入事例から成功のポイントと基本的な考え方を解説

スクラム開発 導入事例スクラム開発の導入事例から成功のポイントと基本的な考え方を解説

スクラム開発の基本的な考え方から実際の導入事例まで詳しく解説します。リクルートや日本ピュアシステムの取り組みを参考に、プロダクトバックログの作成やスプリント計画など具体的な進め方を紹介し、成功のための6つのポイントをお伝えします。

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ソフトウェア開発の現場では、変化する要求に柔軟に対応しながら価値を生み出すことが求められます。しかし、従来の開発手法では計画の硬直性や手戻りの発生によって、開発スピードが思うように上がらない課題を抱えている企業も少なくありません。こうした課題に対応するため、多くの企業がスクラム開発を導入し、開発プロセスの改善に取り組んでいます。

スクラム開発は、短い期間で開発とフィードバックを繰り返し、継続的に改善を重ねることで高い成果を実現する手法です。本記事では、実際にスクラム開発を導入して成果を上げた企業の事例を紹介しながら、スクラム開発の基本的な考え方と成功のポイントを解説します。

記事を読むことで、スクラム開発の具体的な進め方や導入時の注意点、チームで成功するための要素が理解できるようになるでしょう。自社でスクラム開発の導入を検討している方や、現在の開発プロセスを見直したい方にとって、実践的な知見が得られる内容です。

スクラム開発の基本的な考え方

スクラム開発の基本的な考え方を表すイメージ

スクラム開発では、決められた期間内に価値の高い機能を実装し、動くソフトウェアとして届けることを重視しています。開発の全体を小さな単位に分割し、それぞれの単位で計画・実装・検証のサイクルを回すことで、変化への対応力を高めるという考え方です。

従来の開発手法では、最初に全体の計画を詳細に決めてから順番に進める方式が一般的でした。この方式では途中で要件が変わった際の対応が難しく、計画の見直しに時間がかかってしまいます。一方でスクラム開発では、短い期間で完成させられる範囲の機能に絞って開発を進めるため、変化に素早く適応できるという特徴があります。

プロダクトバックログを作成し価値の高い作業を整理する

プロダクトバックログは、開発すべき機能や改善項目をリスト化したものであり、スクラム開発における作業の起点です。このリストには、ユーザーにとって価値のある機能が優先度順に並べられており、開発チームはこのリストを基に何を作るかを判断していきます。

プロダクトバックログを作成する際には、単に機能を列挙するだけではなく、それぞれの項目がどのような価値を生むのかを明確にすることが大切です。ビジネス上の効果や利用者への影響を考慮しながら優先度を決めることで、限られた時間の中で最も効果的な開発が実現できます。

チーム全体でプロダクトバックログの内容を理解し、共通認識を持つことも大切です。開発者が各項目の背景や目的を把握することで、実装時の判断がスムーズになり、手戻りを防ぐことができます。プロダクトオーナーと開発チームが対話を重ねながらバックログを磨き上げていくプロセスそのものが、チームの成長につながっていきます。

スプリント計画で短期間の目標と作業内容を決定する

スプリント計画は、これから始まるスプリント期間で何を達成するかをチーム全体で決める重要な活動です。プロダクトバックログの中から優先度の高い項目を選び出し、その期間内で完成させられる範囲を見極めて計画を立てていきます。

計画を立てる際には、まずスプリント全体で達成したい目標を明確にします。この目標はチームメンバー全員が共有し、スプリント期間中の判断基準として機能するものです。目標が定まったら、それを実現するために必要な作業を具体的なタスクに分解し、各メンバーが取り組む内容を決めていきます。タスクの見積もりでは、過去の経験を参考にしながら現実的な作業量を設定することで、無理のない計画が可能になるでしょう。

チーム全員が計画の議論に参加することで、作業内容への理解が深まり、当事者意識も高まります。誰かが一方的に指示を出すのではなく、メンバー同士が対話しながら最適な進め方を見つけていくプロセス自体が、チームの協力関係を強化していきます。

スプリント期間中に設計・実装・テストを一体で進める

スプリント期間中は、選択した機能を完成させるために設計から実装、テストまでを一貫して進めていきます。従来の開発では工程ごとに担当者が分かれていることが多いですが、スクラム開発ではチーム全体で協力しながら機能を仕上げていく点が特徴です。

開発を進める際には、毎日短時間のミーティングを開いて進捗状況や課題を共有します。この日々のコミュニケーションによって、問題が発生した際にも早期に発見でき、チーム全体でサポートし合いながら解決に向かうことができます。また、作業の進み具合を可視化することで、スプリント終了までに完成させられるかどうかを常に確認しながら調整していくことが可能です。

設計・実装・テストを一体で進めることには、品質を早い段階から確保できるという利点もあります。実装が終わってからテストを始めるのではなく、実装と並行してテストも行うことで、問題の早期発見と修正が実現できます。

スプリントレビューで成果物を確認しフィードバックを得る

スプリントレビューは、開発した機能を関係者に見せてフィードバックをもらう場です。実際に動作するソフトウェアを示すことで、関係者は具体的なイメージを持って意見を伝えられるようになります。

レビューでは、開発チームが作成した機能のデモンストレーションを行い、当初の目標が達成できたかを確認します。関係者からは機能の使い勝手や改善点についての意見が出されることもあり、それらを次のスプリントに反映させていくことで、より良いプロダクトへと進化させられるでしょう。このフィードバックループが、ユーザーにとって本当に価値のあるものを作り出す原動力です。

また、レビューの場は開発チームにとっても学びの機会です。実際のユーザー視点での評価を聞くことで、自分たちの作ったものがどのように受け止められるかを知ることができます。

振り返りによって開発プロセスの改善点を洗い出す

スプリントの最後には、チーム全体で振り返りを行い、開発プロセスそのものを見直す時間を設けます。この振り返りでは、スプリント期間中にうまくいったことと改善が必要なことを率直に話し合い、次のスプリントでどのように変えていくかを決めていきます。

振り返りの場では、技術的な課題だけでなく、チーム内のコミュニケーションや作業の進め方についても議論の対象です。例えば、タスクの見積もりが甘かった原因を分析したり、情報共有の方法を改善したりと、開発を取り巻くあらゆる要素が改善の対象です。重要なのは、問題を誰かのせいにするのではなく、チーム全体の課題として捉え、建設的に解決策を考える姿勢です。

定期的な振り返りを続けることで、チームは少しずつ成長していきます。最初は小さな改善でも、それを積み重ねることで開発プロセスが洗練され、より効率的に価値を生み出せる組織へと変化していきます。

改善内容を次のスプリントに反映し継続的に最適化する

振り返りで決めた改善内容は、次のスプリントで実際に試していきます。改善策を実践してみることで、その効果を確認でき、さらなる調整が必要かどうかも判断できるようになります。

改善を継続していくためには、小さな変化から始めることが効果的です。一度に多くのことを変えようとすると混乱が生じやすく、何が効果をもたらしたのかも分かりにくくなります。1つの改善策を試して効果を測定し、必要に応じて修正を加えながら定着させていくアプローチが、着実な成長を支えます。

このサイクルを繰り返すことで、チームは自分たちに最適な開発プロセスを作り上げていくことができるでしょう。他の組織の成功事例を参考にしつつも、自分たちのチームに合った方法を見つけることが大切です。継続的な最適化によって、チームの生産性と成果物の品質は着実に向上していきます。

スクラム開発の導入事例

実際にスクラム開発を導入した企業の事例を見ることで、具体的な進め方や成果のイメージがつかめます。導入時の課題や工夫したポイント、得られた効果などを知ることで、自社での導入計画を立てる際の参考になるでしょう。また、業種や組織規模が異なる企業でも共通して実践できる要素を理解することで、自社の状況に合わせた応用が可能になります。

ここでは、スクラム開発の導入によって開発プロセスを改善し、生産性向上やチーム体制の強化といった成果を実現した企業の取り組みを紹介します。

株式会社リクルート|スクラム開発導入による開発生産性向上

株式会社リクルートのHOT PEPPER Beauty 美容クリニックチームでは、他組織を巻き込みながらスクラム開発を導入し、開発生産性の向上を実現しました。このチームでは、案件の特性に応じて開発手法を選択できる体制を整えたことが特徴です。

作るべきものが明確で計画重視の案件では従来のウォーターフォール開発を継続し、速さや柔軟性が求められる案件ではスクラム開発を適用するという使い分けを行いました。この柔軟なアプローチによって、それぞれの案件に最適な開発手法を選べるようになり、全体としての効率が向上したといいます。

スクラム開発の導入によって、作りすぎのムダも改善されました。毎週案件の優先度を見直し、優先度が高い機能を小刻みにリリースしていくことで、より使われる機能をユーザーに届けられるようになりました。

出典参照:スクラム開発導入による他組織を巻き込んだ開発生産性向上の取り組み|ファインディ株式会社

株式会社日本ピュアシステム|社内でスクラム開発についての研修を実施

株式会社日本ピュアシステムでは、スクラム開発の知見がないチームに対して社内研修を実施し、約半年かけて導入を軌道に乗せました。このチームは、チームの拡大や再編成に伴って各チームが自律して動けるようにする必要があったことが、スクラム開発導入のきっかけです。

導入前のチームでは、要件がふわふわしたまま開発が始まってしまい、実装の終盤になって大きな手戻りが発生するという課題を抱えていました。また、タスクの優先度についてチーム内で共通認識がなく、メンバーがバラバラのタスクを進めていたため、開発が非効率になっていました。こうした状況を改善するため、まずはスクラム開発について学ぶ会を開催することから始めています。

1時間程度の勉強会を半月の間に数回実施し、チームメンバー全員がスクラムの基本的な考え方や進め方を理解できるようにしました。勉強会では、スクラムの原則や実践方法について学び、ジュニアエンジニアからの質問にも丁寧に答える場を設けています。

出典参照:スクラム開発を導入して軌道に乗せるまで #アジャイル|Qiita株式会社

スクラム開発における6つの成功ポイント

スクラム開発を成功させるためには、単に手法を導入するだけでなく、チームや組織の体制を整えることが大切です。形だけスクラムのイベントを実施しても、本質的な価値を引き出せなければ期待する成果は得られません。成功している組織では、スクラムの考え方を深く理解し、チーム文化や組織構造にまで浸透させることで、持続的な改善と価値創出を実現しています。

ここでは、実際に成果を上げているチームに共通する成功のポイントを紹介します。これらの要素を自社に取り入れることで、スクラム開発の効果を最大化できるでしょう。

プロダクトオーナーが意思決定責任を明確に担っている

スクラム開発では、プロダクトオーナーが何を作るべきかの最終決定権を持ち、その責任を明確に担うことが求められます。プロダクトオーナーが迷いなく優先順位を決められる環境があることで、開発チームは安心して作業に集中できるようになります。

意思決定が曖昧だと、チームメンバーは判断に迷う時間が増え、開発スピードが落ちかねません。プロダクトオーナーが責任を持って方向性を示すことで、チーム全体が同じゴールに向かって進めるようになり、無駄な議論や手戻りを減らせます。また、プロダクトオーナー自身がビジネス側とのコミュニケーションを取りながら、現場の状況を把握していることも大切です。

プロダクトオーナーが責任を果たすためには、組織全体からのサポートも必要です。プロダクトオーナーに十分な権限を与え、意思決定をバックアップする体制を整えることで、スクラム開発はより効果的に機能します。

スプリントゴールが常に共有されている

スプリントゴールは、そのスプリントで達成すべき目標を示すものであり、チーム全員がこれを理解し共有していることが成功のカギです。ゴールが明確に共有されていると、メンバーは自分の作業がどのように全体に貢献するかを理解でき、主体的に動けるようになります。

ゴールの共有が不十分だと、メンバーは目の前のタスクをこなすことだけに集中してしまい、本来の目的を見失いかねません。スプリントゴールを常に意識することで、優先順位の判断や作業の調整がスムーズになり、チーム全体として一貫性のある開発が実現できます。

ゴールを共有するためには、スプリント計画の段階で十分に議論し、全員が納得できる表現で言語化することが大切です。また、スプリント期間中も定期的にゴールを振り返る機会を設けることで、メンバーの意識を維持できます。

チーム内外のコミュニケーション頻度が高い

スクラム開発では、チームメンバー同士だけでなく、関係者とのコミュニケーションを密に取ることが成功につながります。頻繁なコミュニケーションによって、問題の早期発見や迅速な対応が可能になり、開発の停滞を防げるでしょう。

チーム内では毎日の短時間ミーティングを通じて、進捗状況や困っていることを共有します。この日々の対話が、メンバー間の協力を促し、課題を一人で抱え込まない文化を育てていきます。また、チーム外の関係者とも定期的に情報交換を行うことで、開発の方向性がビジネスの要求とずれるといったことはなくなるでしょう。

コミュニケーションの質を高めるためには、対話しやすい雰囲気作りも大切です。誰もが気軽に意見を言える環境があることで、多様な視点が集まり、より良い解決策が見つかりやすくなります。

完成度よりも価値提供を優先している

スクラム開発では、完璧なものを作ることよりも、ユーザーにとって価値のあるものを素早く届けることを優先します。最初から完成度を求めすぎると、リリースまでに時間がかかり、フィードバックを得る機会を逃してしまうためです。

まずは動作する最小限の機能をリリースし、ユーザーの反応を見ながら改善を重ねていくアプローチが効果的です。実際に使ってもらうことで、想定していなかった課題や新たなニーズが見えてくることもあります。こうした学びを次の開発に活かすことで、結果的により良いプロダクトが完成していきます。

価値提供を優先する姿勢は、チームの意識改革にもつながるでしょう。作ること自体が目的ではなく、ユーザーに価値を届けることが目的であるという認識を持つことで、本当に必要な機能に集中できるようになります。

振り返りを形式化せず改善に活かしている

振り返りは、形式的に行うだけでは意味がありません。本当に改善につなげるためには、率直に意見を交わし、具体的なアクションを決めることが大切です。

形式だけの振り返りでは、表面的な話に終始してしまい、根本的な課題に踏み込めないことがあります。チームメンバーが心理的安全性を感じられる環境の中で、本音で話し合える場を作ることが大切です。また、振り返りで決めた改善策は、次のスプリントで実際に試してみることで、その効果を確認しながら定着させていきます。

振り返りを改善に活かすためには、過去の振り返り内容を記録し、継続的に見直すことも有効です。どのような改善を試みて、どのような結果が得られたかを振り返ることで、チームの成長の軌跡が見えるようになります。

組織としてスクラムを支援する体制がある

スクラム開発を成功させるためには、チームだけでなく組織全体がその価値を理解し、サポートする体制が必要です。組織のサポートがあることで、チームは自律的に動きながらも、必要な時には支援を受けられる環境が整います。

組織の支援には、スクラム開発に必要なツールや環境の整備、研修機会の提供、他部門との調整などが含まれます。また、経営層がスクラム開発の考え方を理解し、短期的な成果だけでなく長期的な価値創出を評価する姿勢も大切です。こうした組織レベルの理解と支援があることで、チームは安心して新しいことに挑戦できるようになります。

組織全体でスクラムを支援する文化を育てるためには、成功事例を共有し、他のチームにも展開していく取り組みも効果的です。ひとつのチームの成功が組織全体の変革につながっていくような仕組みを作ることで、持続的な改善ができるでしょう。

まとめ|スクラム開発の導入事例を参考に自社にあった運用方法を設計しよう

導入事例を参考に自社に合ったスクラム開発を目指すイメージ

スクラム開発は、短い期間で価値を届けながら継続的に改善を重ねていく開発手法であり、多くの企業が導入によって成果を上げています。プロダクトバックログの作成から始まり、スプリント計画、開発、レビュー、振り返りというサイクルを回すことで、変化に強く効率的な開発が実現できます。

成功のポイントとしては、プロダクトオーナーの明確な意思決定、スプリントゴールの共有、高頻度なコミュニケーション、価値提供の優先、実効性のある振り返り、組織的なサポートが挙げられます。これらの要素を意識しながら導入を進めることで、スクラム開発の効果を最大限に引き出せるでしょう。

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