Notionの情報一元管理を自動化!方法や活用術を解説
全般
DX人材に必要なセキュリティスキルを解説します。ゼロトラストやリスク評価、クラウドの安全な使い方など、7つのスキルと育成方法、企業の事例も紹介しています。社内セキュリティ研修カリキュラムなどで自社のDX人材を育成して適切なセキュリティ対策を講じましょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるほど、セキュリティ戦略の重要性は増していきます。クラウドや生成AIの利用が拡大するにつれて、攻撃の入り口も管理の手間も広がってしまうからです。
このようなDX推進に伴うセキュリティリスクに対応するためには、課題や対処法を理解した人材の育成が欠かせません。
セキュリティ対策が後手に回ると、情報漏えいや業務停止、法令違反といったリスクが一気に高まります。情報漏えいや法令違反などは企業にとって大きな影響を及ぼし、事業の継続も困難になってしまうでしょう。
この記事では、なぜ今セキュリティの重要性が高まっているのかを整理し、企業が陥りがちな代表的な課題と、その解決策を実務目線で解説します。

デジタル化が進むことで、業務はこれまでの「社内ネットワーク」という閉じた空間の外へと広がっていきます。外部のクラウドサービス利用が日常になり、これまでのような社内の境界だけで守る発想では対応しきれません。
さらに、顧客体験を向上させるためにデータ活用が加速し、データの保存場所や共有先が多様化しています。これにより、攻撃対象者となるポイントが増え、一度セキュリティ事故が起きると、ビジネスに深刻な影響を与えるリスクが高まりました。
こうした状況に対応するため、早い段階でセキュリティの方針を整えておかなければ、ビジネスチャンスを逃すことにつながります。
現場が動きやすい環境を整えるほど、セキュリティ対策は後回しになりがちです。特に以下のような状況は、セキュリティ事故の温床となります。
上記のような状態を放置したことでセキュリティ事故が発生すると、企業の信頼が低下しかねません。
ここでは、DXの現場で発生しやすい4つの課題を取り上げ、その背景と対処法を解説します。
部署ごとにクラウドツールの導入が進むと、誰が何にアクセスできるかの設計が後回しになりがちです。その結果、退職者や外部委託先のアカウントが残り続けたり、必要以上に広い権限が付与されたりするケースが発生します。
これは情報漏えいや不正利用に直結する大きなリスクです。対策として、まずは最小限の権限という原則を徹底し、役割ごとの権限テンプレートを作成して、申請と承認の流れを標準化します。また、多要素認証やシングルサインオン(SSO)を基本とし、使われていない権限を検知して自動で削除する仕組みを整えることも効果的です。
新旧システムが並行して稼働する期間は、接続のための中継設定や例外的な設定が増え、攻撃の入り口が広がります。古いシステムは更新が難しく、既知の脆弱性が残ったまま長期間使われることも少なくありません。これは、攻撃者にとって格好のターゲットです。
まずは、重要度と外部への露出度でシステム資産を分類し、外部とつながる部分から優先的に防御を強化します。ネットワークを細かく分割したり、不要な通信を遮断したりすることで、被害が拡大するのを防ぐことができます。将来のシステム刷新を見据え、現状の構成図と移行計画を常に最新の状態に保つ習慣も効果的です。
データを活用しやすくするために基盤を構築しても、ルールが曖昧で利用者によって登録方法が異なると、データ品質のバラつきや、無断での持ち出しが発生するリスクがあります。対策として、用途別に「公開」「社内限定」「秘匿」などの分類を定め、データ登録時に自動で分類される仕組みを用意しましょう。
利用記録を自動で残し、検索やダウンロードには承認プロセスを設けることで、データの過剰な拡散を防ぐことができます。個人情報や機密情報は、必要な項目だけを扱う「最小化」を徹底し、匿名化やマスキングの標準化も有効です。
システム導入直後は安全でも、設定のズレや従業員の行動の変化によって、時間の経過とともにセキュリティホールは生まれてしまいます。異常の兆候を早期に発見し、被害を拡大させないためには、継続的な監視と行動の傾向分析が欠かせません。
まずは、重大なイベントの通知基準を定め、誰がいつ対応するかを明確にしましょう。また、失敗事例を共有し、対応手順を定期的に見直す学習の場を持つことで、現場の対応力は着実に向上します。監視記録やログの保存期間も、万が一の調査に必要な期間を踏まえ、余裕を持たせることで安心です。

DXを推進する人材には、単に技術的な知識だけでなく、ビジネス全体を見渡しながら以下のようなリスクを管理するスキルが求められます。
ここでは、DX人材が身につけるべき7つのセキュリティスキルについて解説します。
DXプロジェクトでは、新しい技術やサービスを導入するたびに、情報漏えいや不正アクセスなどさまざまなセキュリティリスクが発生しかねません。DX人材には、これらのリスクを早期に発見し、ビジネスへの影響度を評価して、どのリスクから対処すべきかを判断する力が求められます。
すべてのリスクを一度に解決することは難しいため、会社の経営目標やプロジェクトの重要度に応じて、優先順位をつけながら現実的な対策を講じる能力が必要です。このスキルは、限られたリソースを最大限に活かし、効率的にセキュリティを強化するために不可欠です。
これまでのセキュリティ対策は「社内は安全、社外は危険」という境界防御の考え方が一般的でした。しかし、在宅勤務やクラウド利用が広がるDX時代では、この考え方は通用しない傾向にあります。「ゼロトラスト」とは、ネットワークの内外を問わず、すべてのアクセスを信頼せずに検証するという考え方です。
DX人材は、このゼロトラストの考え方を理解し、アクセスごとに本人確認やデバイスの健全性をチェックする仕組みを設計するスキルが必要です。これにより、どこからでも安全に業務を行える環境を構築できます。多様な働き方の実現は従業員の満足度にもつながるでしょう。
システムやソフトウェアには、常に脆弱性と呼ばれるセキュリティ上の弱点が存在します。これを放置しておくと、攻撃者による不正アクセスや情報漏えいの原因となりかねません。DX人材には、新しいツールやサービスを導入する際に、その脆弱性を事前にチェックする習慣が求められます。
定期的に脆弱性診断ツールを活用したり、セキュリティに関する情報を常にキャッチアップしたりすることで、リスクを未然に防ぐことができます。これは、自社のサービスや顧客のデータを守るうえで欠かせないスキルです。情報漏えいが発生すると、自社の信頼が大きく低下しかねません。
DXの推進に伴い、利用するサービスやシステムが増えるほど、アカウントやパスワードの管理は複雑になります。DX人材には、パスワードの使い回しを防ぎ、強固なパスワードを設定するルールを徹底する力が求められます。
さらに、多要素認証(MFA)の導入を推進したり、退職者のアカウントを速やかに削除する仕組みを整えたりすることもポイントです。退職者のアカウントを残していると、社外からの不正アクセスにつながりかねません。
これらの対策の徹底によって、アカウントの不正利用による情報漏えいリスクを減らすことができます。
社外からもアクセスできるクラウドサービスの利用はDXに不可欠ですが、その安全な使い方を理解していないとリスクにつながります。例えば、従業員全員が機密情報にアクセスできると、漏えいにつながりかねません。DX人材は、クラウドの設定ミスが原因で情報が公開状態になるリスクを理解し、適切な設定を行うスキルが必要です。
具体的には、アクセス権限を最小限にしたり、データの暗号化を徹底したり、クラウドサービスが提供するセキュリティ機能を最大限に活用したりすることが求められます。これにより、クラウドの利便性を活かしながら、セキュリティを確保できます。
どれだけ対策を講じても、セキュリティトラブルがゼロになるわけではありません。万が一の事態が発生した際に、被害を最小限に抑えるための初動対応力もDX人材には求められる能力です。トラブル発生時の初動対応力は、経済産業省『サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 3.0』でも言及されている能力です。
DX人材は、トラブル発生時に冷静に状況を把握し、関係部署への報告、被害範囲の特定、そして応急処置を迅速に行うスキルが求められます。
出典参照:サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 3.0|経済産業省
セキュリティは一部の専門家だけが担うものではなく、会社全体で取り組むべき課題です。実際にツールを操作する従業員のセキュリティ意識が低いと、トラブルにつながりかねません。DX人材には、全従業員のセキュリティ意識を高めるための仕組みを作る能力が求められます。
例えば、以下のような能力が挙げられます。
このような取り組みによって、従業員一人ひとりがセキュリティを自分ごととして捉える文化を醸成し、組織全体のセキュリティレベルを底上げできるでしょう。
DX人材に求められるセキュリティスキルは多岐にわたりますが、以下のような効果的な育成方法の実践によって、組織全体のセキュリティレベル向上が期待できるでしょう。
ここでは、具体的な育成方法を3つ紹介します。これらの方法を通じて、従業員一人ひとりがセキュリティを自分ごととして捉える文化を醸成可能です。
DX人材の育成には、実践的な社内研修カリキュラムを設けることが効果的です。このカリキュラムでは、セキュリティの基礎知識から、自社のビジネスに特化したセキュリティリスク、最新のサイバー攻撃事例などを盛り込みます。
例えば、クラウドの安全な設定方法や、フィッシング詐欺メールの見分け方など、具体的な実践方法を学ぶ機会を提供可能です。また、座学だけでなく、実際に手を動かす演習を取り入れることで、知識を定着させることができます。定期的に研修を行うことで、従業員のセキュリティ意識を継続的に高めていくことが可能です。
社内だけではカバーしきれない専門的な知識を習得するためには、外部の力を借りることも検討しましょう。セキュリティに関する専門的な資格取得を奨励し、その費用を補助する制度を設けることは、従業員の学習意欲を高めます。
また、外部の専門機関が提供する実践的な講座やワークショップに従業員を参加させることで、最新の知見や技術を学ぶ機会を提供できるのもメリットです。特に、自社の課題に合わせたカスタマイズ可能な講座を選ぶと、より高い学習効果が期待できます。外部の視点を取り入れることで、社内の常識にとらわれない新しい発想や対策を学習できるでしょう。
セキュリティスキルを身につけるうえで効果的なのは、実際の業務を通じて学ぶことです。OJT(On-the-Job Training)の一環で、セキュリティ専門家がメンターとして指導すれば実践的な知識とスキルを習得させることができます。また、社内でセキュリティに関する知見を共有するコミュニティや勉強会を立ち上げることも有効です。異なる部署の従業員が自由に意見交換できれば、組織全体でセキュリティ文化を醸成できます。
こうした取り組みを通じて、従業員一人ひとりが「セキュリティは自分たちの責任」という意識を持つようになってくれるでしょう。
DX推進におけるセキュリティ課題をどのように解決しているのか、具体的な企業の事例をご紹介します。多くの企業が直面する課題は共通しているため、他社の成功事例から学ぶことで、自社に最適な解決策を見つけるヒントが得られるでしょう。
ここでは、DXを加速させながらセキュリティリスクを管理するための実践的な取り組みに焦点を当てて解説します。各社の事例から、DX人材育成と組織文化の変革がいかに有効かを読み解いていきましょう。
富士通株式会社は、DXプロジェクトの推進に伴うセキュリティリスクに対応するため、「セキュリティマイスター」という専門人材を各プロジェクトに配置する取り組みを行っています。セキュリティマイスターは、サイバーセキュリティに関する専門知識を持つ人材で、プロジェクトの企画段階から参画し、セキュリティリスクの評価や対策を助言します。
この取り組みにより、プロジェクトが進行するにつれてセキュリティ対策が後手に回るという課題を解決し、業務の効率化にもつながりました。この結果、富士通はビジネスを加速させながら、セキュリティリスクを効果的に管理できる体制を構築しています。
トヨタ自動車株式会社は、自動車のデジタル化が加速する中で、セキュリティガバナンス(統治)と人材育成を両立させる取り組みを進めている企業です。トヨタ自動車株式会社は、サイバーセキュリティの専門部署を設置し、全社のセキュリティ戦略を策定するとともに、各部署のDX推進をサポートしています。
また、社内の従業員向けに、安全なコードの書き方などセキュリティに関する教育プログラムを体系的に提供しています。
さらに、部門横断的なコミュニケーションを促進することで、組織全体でセキュリティリスクに対応できる体制を構築しました。
出典参照:アバナードがトヨタ自動車の、社内DX推進の柱の1つ「市民開発拡大」のための人材育成を支援|トヨタ自動車株式会社

DXを成功させるには、セキュリティ対策が不可欠です。これまで一部の専門家が担っていたセキュリティは、DX時代において、全従業員が自分ごととして捉えるべきテーマとなりました。特に、DXの推進を担うリーダーや担当者には、技術とビジネスの両方の視点からリスクを評価し、適切な対策を講じる能力が求められます。
具体的には、社内研修や専門人材の配置、そしてトップダウンのガバナンスを組み合わせることで、組織全体のセキュリティ意識を高められます。DXを加速させる一方で、セキュリティリスクへの備えを怠らないことが、企業の持続的な成長が期待できるでしょう。