自社に合うERPの選び方は?7つの方法やよくある失敗も解説!

本記事ではERPの選び方を詳しく解説し、企業が自社に最適なシステムを見極めるためのポイントや失敗しないための注意点を紹介します。ERPを正しく選んで業務効率化や経営改善につなげるヒントが得られる内容です。

自社の業務効率化や情報管理の最適化を目指す中で、ERPの導入を検討する企業は少なくありません。しかし、ERPには多様な製品が存在し、導入の背景や目的に応じて適したシステムを選ばなければ期待していた効果が得られません。特に中小企業ではリソースが限られているため導入に失敗した場合の影響が大きく、慎重な判断が求められます。

本記事では、自社に合うERPを選ぶための視点として理想的なERPに共通する4つの特徴を取り上げ、それぞれのポイントを詳しく解説します。ERP選定の基準が曖昧なままだと製品比較やベンダー選びにも支障をきたすため、導入前に必要な基礎知識として理解しておきたい内容です。また、記事を読み進めることで、自社にとってどのようなERPが最適かを判断するヒントが得られます。

理想的なERPに共通する4つのポイント

ERPには多様な種類やベンダーが存在しますが、導入時に選ぶべき理想的な製品にはいくつか共通した特長が備わっています。これらの特長を事前に理解しておくとシステム選定時に自社の業務内容や経営方針との整合性を見極めやすくなり、導入後のトラブルやギャップを防ぐことにもつながります。また、導入効果を最大化するためには自社の現場ニーズとERPの特性を照らし合わせることが不可欠です。

ここでは、ERP製品に共通する4つの重要な視点について詳しく解説していきます。

①柔軟なカスタマイズ性と拡張性を備えている

ERPは多機能である反面、導入企業の業務内容や規模に応じた調整が必要になるケースも少なくありません。業種や業務フローに合わないまま使い続けると現場での使い勝手が悪くなり、結果的に定着しないリスクが生じます。そこで重要になるのが、カスタマイズ性と拡張性の高さです。

柔軟なカスタマイズ性があるERPであれば、自社の商習慣や業務プロセスに応じて必要な機能を追加したり既存機能の動作を変更したりできます。特に、受発注や在庫管理、会計処理など、企業ごとに微妙に異なる業務に対して個別の対応が求められる場合には有効です。また、拡張性にも優れていれば事業の成長や組織再編、海外展開といった将来的な変化にも柔軟に対応できます。

ERPを長期的に運用することを見据えると、短期間での機能追加や外部システムとの連携に対応しやすい構造であるかどうかが選定時の大切な判断材料となります。

②直感的で使いやすいユーザーインターフェース

ERPは業務の中枢を担うシステムであり、日常的に多くの社員が利用するシステムです。そのため、操作のしやすさや画面の見やすさといったユーザーインターフェースの品質が導入後の活用度を左右する大切な要素になります。

直感的に操作できるインターフェースであれば業務効率が向上するだけでなく、習熟までの時間も短縮され、教育コストの削減にもつながります。シンプルで整理された設計、業務に応じた画面のカスタマイズ性、エラーメッセージの明瞭さなども評価ポイントです。

また、モバイル端末からの操作に対応しているかどうかも重要な観点です。外出先やリモートワーク環境でも利用しやすいUIが整っていれば、働き方の多様化にも柔軟に対応できる可能性が高まります。さらに、音声入力やチャットボットによる操作補助など先進的な機能を取り入れることで、ユーザー体験の質を一層向上させられるでしょう。

③全社の業務プロセスを統合・標準化できる機能

ERPの主要な役割の1つに、全社に点在する業務や情報を一元的に管理することが挙げられます。販売管理や在庫管理、会計、人事など異なる部門で分断されがちな業務プロセスをERPに統合することで、組織全体の連携が強化され、無駄や重複を削減できます。

このような統合機能を備えたERPでは業務データがリアルタイムで共有され、部署をまたいだ確認作業や意思決定の迅速化に寄与するのもポイントです。また、業務フローが標準化されることで担当者ごとの差異が減少し、属人化のリスクも抑えやすくなります。

業務統合を実現するためには、ERPが多機能であるだけでなく各機能間の連携がスムーズでなければなりません。業務の効率化と透明化の実現には、こうした構造的な整合性が欠かせません。さらに、外部システムとのAPI連携やクラウドサービスとの統合も重要であり、サプライチェーン全体の最適化や顧客体験の向上にも直結します。

④高度なリアルタイム分析とレポーティング機能

業務に関する膨大なデータが蓄積されるERPでは、それらを分析し意思決定に活用する仕組みが備わっているかも選定基準の1つです。特に、リアルタイムでの可視化や柔軟なレポート作成が行えるERPは、経営層やマネジメント層にとって有効なツールとなります。

リアルタイム分析の機能があれば、売上状況や在庫変動、顧客動向などをタイムリーに把握できます。これにより、変化する市場環境に応じた迅速な対応や、将来予測に基づいた戦略立案ができるのはメリットです。

また、BI(ビジネスインテリジェンス)機能を内包するERPではグラフやダッシュボードによって視覚的に情報を整理でき、専門知識がなくてもデータの傾向を掴みやすくなります。こうした機能は、経営の透明性向上や組織全体の意思疎通にも寄与しやすい点が評価されています。

自社に合うERPの7つの選び方

ERPは企業の業務効率化や情報管理の中核を担うシステムですが、選定にあたっては自社の状況に合ったものを選ぶことが大切です。導入後の効果を左右する要素は多岐にわたり、単に機能の多さだけで判断するのはリスクを伴います。

ここでは、自社に適したERPを見極めるための7つのポイントについて詳しく解説します。これらの視点を押さえることで、長期的に活用しやすいシステム選びに役立てていきましょう。

自社業務への適合性

ERP選びの最初のポイントは、自社の業務プロセスや業種特性にどれだけ適合しているかという点です。業種によって必要な機能や運用スタイルは異なり、標準機能だけでは対応しきれないケースも多くあります。

例えば製造業なら生産管理や在庫管理の精度が重視される一方、サービス業では顧客管理や請求処理の利便性が重要になる場合が少なくありません。さらに、業務フローの複雑さや規模の大小によっても必要なシステム要件は変わってきます。

適合性を見極めるには現状の業務を詳細に分析し、ERPの機能がどの範囲までカバーできるのかを具体的に比較することが必要です。カスタマイズの必要性や運用方法の違いも加味しながら、使いやすく効率的な運用を見据えた選択が望まれます。その際、将来的な事業拡大や海外展開を見越した多言語対応・多通貨処理などの機能の有無も、重要な判断材料となります。

導入・運用コストの妥当性

ERPは導入時だけでなく、その後の運用・保守にかかるコストも含めて総合的に検討する必要があります。初期費用を抑えられても、カスタマイズや追加機能の開発、サポート体制の強化により長期的には高額になることも珍しくありません。

また、クラウド型かオンプレミス型かによってもコスト構造が異なります。運用コストにはライセンス料や保守費用、人件費も含まれ、特に教育や定着化にかかる費用は見落とされがちです。

費用対効果を正しく把握するためには、現状の予算感だけでなく導入後に発生する可能性のある費用を幅広く想定しておくことが必要です。総合的にバランスが取れたプランでなければ、導入後に予算オーバーや運用の停滞を招くリスクがあります。さらに、投資回収期間(ROI)の見積もりを行い、どのタイミングで効果が現れるかを明確にすることも大切です。

システムの使いやすさ(UI/UX)

ERPは日常的に多くの社員が利用するシステムのため、ユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)の質が運用成功のカギを握ります。複雑すぎる操作やわかりにくい画面構成は利用者のストレスや操作ミスを招き、業務効率の低下につながる恐れがあるので注意しましょう。

直感的に操作できるデザインやメニュー構成は習熟時間を短縮し、教育コストの削減にも役立ちます。特にITリテラシーにばらつきがある企業では、使いやすさの評価が必要です。加えて、モバイル端末からの操作に対応しているかどうかも検討ポイントとなります。

リモートワークや外出先での利用を想定する場合、場所や時間を選ばずスムーズにアクセスできるUIの整備が求められます。

カスタマイズや拡張性の柔軟さ

ERPは導入時点の業務に適合していても、将来的な事業展開や組織変更に伴い変化が求められます。そのため、システムのカスタマイズ性や拡張性がどの程度備わっているかが大切です。

カスタマイズ性が高ければ自社の独自ルールや特殊な業務プロセスに対応しやすく、運用上の課題を改善しながら活用できる可能性が高まります。一方で、カスタマイズが過度に複雑化すると保守性が低下し、アップデートやバージョンアップ時の負担が増す場合もあるためバランスの取れた柔軟性が望まれます。

また、外部システムとの連携機能が拡張しやすい設計であれば、段階的なシステム強化や新たな業務ニーズにも対応しやすくなるのがポイントです。将来の成長を見据え、拡張可能なERPを選ぶことが長期的なコスト抑制や効率向上に役立ちます。

他システムとの連携可能性

ERPは単独で全ての業務をカバーするわけではなく、顧客管理システム(CRM)や販売管理システム、会計ソフトなどと連携するケースが一般的です。そのため、既存のシステムや今後導入予定のツールとどの程度連携できるかを事前に検証しておくことが大切です。

API対応やデータ連携の仕組みが整っているERPは情報の一元管理がスムーズになり、業務の効率化やヒューマンエラーの減少に寄与します。逆に連携が難しいシステムを選ぶと手作業によるデータ移行が増え、かえって業務負担が増しかねません。

また、業界特有のシステムやクラウドサービスとの親和性もチェックポイントです。複数システムを統合し、連携体制を強化できるERPは組織全体の情報活用度を向上させる助けとなるでしょう。

セキュリティと安定稼働の実績

企業の重要な業務データを扱うERPでは、セキュリティの強度とシステムの安定性が不可欠です。情報漏えいや不正アクセスのリスクを低減するために、アクセス権限管理やログ管理、暗号化といったセキュリティ機能が充実しているかを確認しておく必要があります。

さらに、障害時の復旧体制やバックアップの仕組みが整備されていることも選定時のポイントです。これらの安全対策が十分でなければ、業務停止や信用低下のリスクが高まるので注意しましょう。

また、実績のあるベンダー製品であれば、稼働率やユーザー評価の面で安心感を持ちやすい傾向にあります。長期運用を視野に入れ、信頼性の高いERPを選ぶことは経営のリスク管理にもつながる大切な判断材料です。

クラウド対応やモバイル対応など最新技術への対応

近年ではクラウドベースのERPが増加し、従来のオンプレミス型と比べて初期コストの軽減やスピーディな導入が注目されています。クラウド対応のERPはスケーラビリティに優れ、事業拡大や変動に合わせてリソースを調整しやすい点がメリットです。

また、セキュリティ対策やメンテナンスはベンダー側で管理されるため、自社の負担が減るケースもあります。一方で、通信環境の依存度やデータの所在管理に注意が必要です。さらに、モバイル対応が進んでいるERPは外出先やリモートワーク環境でも業務を継続しやすく、働き方の多様化に貢献します。

こうした最新技術への対応状況は、今後のビジネス環境の変化に柔軟に適応する上で大切な要素といえるでしょう。

自社に合うERPを適切に選択している企業事例

ERP選定は自社の業務や経営戦略に沿ったシステムを選ぶことが大切です。実際の企業事例を通じてどのようにERPが業務基盤を支え、経営の効率化やグローバル展開を支援しているのかを理解すると、自社に適した選択のヒントが得られます。

ここでは、大手企業がERPを活用し、具体的な課題解決や体制強化に繋げた事例を紹介します。これらの事例は、システム選定のポイントや運用面での工夫にも触れ、導入成功の参考になる内容です。

事例①三菱地所株式会社|ITインフラ基盤をERPで構築

三菱地所株式会社ではITインフラの基盤整備にERPを活用し、業務の標準化と効率化を進めています。複数のシステムが分散していた状態から一元管理が可能なERP環境へ移行したことで、情報の共有や業務プロセスの統合が進みました。

これにより重複した業務やデータの不整合が減少し、社内の意思決定を迅速化できた点が評価されています。また、拡張性の高いシステム設計を取り入れたため、将来的な業務変化にも対応しやすくなっています。

社内のIT部門と業務部門が密に連携し、運用ルールの策定や教育体制を充実させたことでERPの活用度も向上しました。こうした総合的な取り組みが業務効率と経営基盤の強化に寄与している事例です。

出典参照:グループ経営の推進を目的に ITインフラ基盤を奉行V ERPで構築 グループ40社のクラウドERPへの移行が早期に実現できた理由とは?|株式会社オービックビジネスコンサルタント

事例②日産自動車株式会社|グループの会計基盤として利用するSAP ERPを選定

日産自動車株式会社ではグループ全体の会計管理を一元化するためにSAP ERPを採用し、システムの統合を図っています。国内外に広がるグループ企業間で異なっていた会計プロセスを標準化し、データの透明性と正確性を高めることに成功しました。

リアルタイムでの財務データの把握が可能になったことで、経営層の迅速な意思決定を支える体制が整備されています。さらに、多言語・多通貨対応の機能が活かされ、グローバル展開に伴う複雑な会計処理にも対応しています。

システム導入に際しては段階的な展開計画と徹底したユーザー教育を実施し、運用定着を図ったことも特徴です。これらの施策によって、日産グループの財務基盤が強化される結果につながっています。

出典参照:「NISSAN NEXT」を支える複数の SAP システムをオンプレミス環境から AWS にマイグレーション パフォーマンスの強化により月次処理時間を 74% 短縮|アマゾンジャパン合同会社

事例③サントリービジネスエキスパート株式会社|海外拠点でのERP導入に成功

サントリービジネスエキスパート株式会社はアジア地域の複数の現地法人に対しERPを導入し、業務の統合と効率化を進めています。これまで各拠点で異なっていた会計・販売・在庫管理のシステムを統一することで、情報の一元管理を実現しました。

特に、多様な業務慣習や言語、法規制への対応が求められるなか、柔軟なカスタマイズや多言語対応に優れたERPが選択されています。現地スタッフの運用負担軽減やトレーニングも重視し、段階的に導入を進めながら定着を図りました。

これによりグループ全体の経営情報の共有が促進され、経営管理の精度向上に寄与しています。海外拠点の統制強化と業務プロセスの透明化を両立させた成功例として注目されています。

出典参照:NEC、サントリーグループのアジア新設3拠点にクラウド型ERPサービスSAP®Business ByDesign®」を導入|日本電気株式会社

ERP選定時によくある失敗例

ERPの選定は企業の業務効率や経営基盤に影響を与えますが、選定段階でのミスが導入後のトラブルや期待外れにつながるケースも多く見受けられます。具体的な失敗例を知ることで同じ過ちを避けるポイントを理解し、より適切な選び方を検討する助けになるでしょう。

ここでは、現場で起こりがちな失敗を取り上げ、その背景と防止策についても触れます。ERPの特性や企業の状況を踏まえ、慎重な選定プロセスを重視したい方に役立つ内容です。

現状業務の分析不足で合わないシステムを選んでしまう

ERP選定の段階で自社の現状業務を十分に分析しないと、必要な機能や運用フローに合わないシステムを選ぶリスクが高まります。業務内容やプロセスの実態を把握せずに進めると、導入後に「使いにくい」「必要な機能が足りない」といった問題が表面化するので注意しましょう。

特に、部門ごとの業務の違いや特有の手順を軽視すると現場の抵抗感が強まり、活用が進まない原因になることもあります。適切な現状分析には、関係部署へのヒアリングや業務フローの可視化、課題の整理が欠かせません。これらを踏まえてERPの要件を明確化すれば、導入後のギャップを減らし、システムと業務の整合性を高められます。現場の実情をしっかりと理解することが、ERP活用の成功に直結するといえるでしょう。

導入コストや運用コストを過小評価している

ERPの選定時に、初期費用だけでなく運用や保守にかかるコストを過小評価することもよくある失敗です。システム購入費用に加え、カスタマイズ費用、教育コスト、サポート契約、さらにはハードウェアやネットワーク環境の整備費用が加わるケースも少なくありません。

これらを総合的に把握せずに決定すると、導入後に予算不足に直面したり計画通りに運用が進まなかったりするリスクがあります。費用面の見積もりは慎重に行い、長期的な視点でランニングコストも考慮することが大切です。透明性のある見積もりと複数ベンダーの比較が、後悔しない選択につながります。

ユーザビリティを軽視し現場での利用が進まない

ERPの効果を最大化するには、利用者にとってストレスなく使えることが不可欠ですが、ユーザビリティの重要性が見過ごされがちです。操作が複雑だったり画面の設計がわかりにくかったりすると従業員がシステムの利用を敬遠し、結果的に業務効率の改善が妨げられやすいです。

特にITに慣れていない社員も多い企業では、直感的な操作性や視認性の高いインターフェースが求められます。また、モバイル対応やクラウド型の利用環境も働き方の多様化を支える要素として評価される傾向にあります。導入前に現場の担当者を交えたユーザーテストやトライアル運用を行い、使用感をチェックすることが望ましいです。

さらに、操作方法の教育やマニュアルの整備も導入成功の重要なポイントとなります。

カスタマイズ過多でシステムが複雑化・維持困難になった

自社に最適化しようとERPを過度にカスタマイズしすぎるとシステムの複雑化が進み、運用や保守が難しくなりかねません。導入時の要件を過剰に盛り込むとバージョンアップ時の適用が困難になり、トラブルのリスクが高まってしまいます。

さらに、独自のカスタマイズが多いと後々担当者が不在になった際の引き継ぎやトラブル対応も難しくなり、企業運営に悪影響が出る場合もあります。そのため、カスタマイズは必要最小限に抑え、業務プロセスの見直しやERP標準機能の活用で対応できる範囲を広げるほうが望ましいです。

システムの安定稼働と将来的な拡張性を考慮した設計を心がけ、ベンダーとの連携も強化しながら無理のないカスタマイズを進めることが重要となります。

まとめ|理想に近いERPの選び方を学んで導入後のミスマッチを予防しよう

ERPの選び方は、現状業務の正確な把握と現場のニーズを踏まえた適合性の検討が必要です。コストの全体像やユーザビリティ、カスタマイズのバランスを見極めながら慎重に選定することで、導入後のミスマッチを防ぎやすくなります。

本記事で紹介したポイントや失敗例は自社に合ったERP選びの参考になり、システム活用による業務効率の改善につながるでしょう。継続的に評価・改善を重ねながら、理想に近いERPの運用を目指すための基盤を築いていきましょう。