金融機関の与信審査にAIを活用する方法|法規制・注意点を徹底解説
金融
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※エンジニア数は2026年8月期 第1四半期決算説明資料に基づきます。
近年、デジタル化の波が金融業界にも押し寄せ、業務効率化やサービスの高度化が進む一方で、サイバー攻撃による情報漏えいやシステム障害のリスクが増大しています。
「業務をデジタル化したいけれど、セキュリティが心配」
「どのように守りと攻めのバランスを取ればよいのかわからない」
と悩んでいる担当者も多いのではないでしょうか。
この記事では、金融DXの基本からサイバーセキュリティとの関係性までを解説し、金融機関が直面する課題にどう向き合うべきかを解説します。本記事を読めば、デジタル化を推進しながらも安全性を確保するための考え方や戦略を整理でき、組織として何に注力すべきかを見極められるでしょう。
金融DX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なるITの導入を超えて組織の構造や業務プロセス、さらには顧客体験までも変革する取り組みです。多くの金融機関が時代のニーズに応じたサービス提供を目指し、既存のアナログな業務を見直しています。こうした動きは、利便性の向上だけでなくコスト削減や競争力強化にもつながるでしょう。
とはいえ、金融DXを推進するうえでは、単に最新のシステムを導入するだけでは不十分です。顧客の情報を預かるという業界特有の責任がある以上、セキュリティとの両立を考えることが欠かせません。
サイバーセキュリティとは、ネットワークやシステム、データを不正アクセスや攻撃から守るための総合的な取り組みのことです。これは単に技術的な対策を講じるだけでなく、組織全体で情報リテラシーを高めて継続的な監視や教育を行うことが求められます。
ここからは、サイバーセキュリティの基本的な概念と、金融業界における課題について説明します。
サイバーセキュリティにおいては、「機密性」「完全性」「可用性」の3要素が基本的な考え方とされています。機密性は情報が第三者に漏れないこと、完全性は情報が改ざんされないように保つこと、そして可用性は必要なときに必要な情報にアクセスできることです。この3つの要素をバランス良く保つことが、安定したシステム運用に不可欠です。
加えて、ゼロトラストと呼ばれる新しいセキュリティモデルも注目されています。これは「すべてを信頼しないこと」を前提に、ユーザーやデバイスの認証を強化するアプローチであり、クラウドベースのサービスが増える中で重要性を増しています。
金融業界は顧客の資産や個人情報を扱うため、他業界と比較しても高いレベルのセキュリティ対策が求められます。しかし現実には、古い基幹システムが足かせとなり最新のセキュリティ技術を導入しづらいという課題も残っています。また、外部委託先とのデータ連携や、クラウド利用による新たなリスクも無視できません。
さらに、人的リスクも見逃せないポイントです。社員の不注意による情報漏えいや不正アクセスへの対応遅れなど、技術面だけでなく運用面の見直しも重要です。こうした複合的なリスクに対応するには、専門的な知識を持つ外部パートナーと連携することが現実的な解決策の1つとして考えられるでしょう。

金融DXの推進によってクラウドの活用やデジタルチャネルの拡大が進むほど、サイバー攻撃の対象となる領域は広がります。DXとセキュリティは相反する課題ではなく、デジタル技術を活用することでセキュリティ対策そのものを高度化できるという関係です。DXとセキュリティを一体で設計することが、金融機関の競争力と信頼性の両立につながります。
サイバー攻撃が日々巧妙化する中で、金融機関が主体的にセキュリティ水準を高めていく姿勢が求められています。金融庁の方針に基づいた取り組みを進める一方で、各機関が自らの役割と責任を認識し現実に即した施策を講じていく必要があります。
ここでは、金融機関が実行可能な対策を5つの視点から整理していきましょう。
まず、効果的な対策を実施するには現状を正しく捉えることが重要です。多くの金融機関では、既に何らかのセキュリティ対策が講じられているものの、攻撃の手法や脅威の性質が変化する中で過去の対策だけでは不十分になる可能性があります。こうした背景から、自社のセキュリティ体制を定期的に点検し、強化すべきポイントを明確にする取り組みが必要でしょう。
自己点検にあたっては、ISO/IEC 27001などの国際的な情報セキュリティ管理基準を活用し、自社の取り組みを客観的に評価することが推奨されます。また、第三者機関によるアセスメントを受けることで、自社では気づきにくい脆弱性を可視化しやすくなると考えられます。
セキュリティ対策は、単独での対応に限界があります。近年では、サイバー攻撃の被害を受けた企業が他機関と情報を共有することにより、被害の拡大を防いだ事例も増えてきました。このような実績を踏まえ、同業他社との情報連携体制を構築する必要があるのです。
具体的には、ISAC(Information Sharing and Analysis Center)と呼ばれる枠組みの活用が考えられます。これは、同一業界内の企業がサイバー脅威に関する情報を安全に共有するための仕組みであり、攻撃の兆候や発生後の対応策についてスピーディに把握できる環境を整えることが目的です。
こうした情報共有は単なる防御力の強化にとどまらず、業界全体のリスクマネジメント力を底上げする役割も果たすことになるでしょう。
技術的な対策を講じてもそれを運用する人材が不足していれば十分な効果は期待できません。特に金融業界では、サイバーセキュリティに精通した専門人材の確保が課題となっています。このような状況を打破するには、外部からの人材採用だけでなく社員に対して継続的な教育を行い、セキュリティ意識を高めることが必要になるでしょう。
育成の手段としては、実践型の研修プログラムの導入やサイバー攻撃を模した訓練の実施が効果的です。加えて、経営層を含む全社員がセキュリティの重要性を理解し、日常業務において意識を持てるような社内風土の形成が求められます。
このように多層的な人材戦略を講じることで、組織としてのセキュリティ耐性を高めていくことが現実的なアプローチといえるでしょう。
業務の一部を外部のITベンダーやクラウドサービスに委託している場合、委託先のセキュリティ対策もまた重要な検討事項となります。実際に、外部ベンダーの管理体制が甘く、そこを起点にサイバー攻撃を受けたという事例も報告されています。このため、ベンダーとの契約を見直し、情報セキュリティに関する管理基準の明確化やモニタリング体制の強化が求められるでしょう。
また、定期的な監査やチェックリストに基づく評価を行うことで外部委託先のリスクを早期に把握しやすくなります。加えて、委託契約の段階で情報漏えいや事故発生時の責任分担を明確に定めておくことも、リスク管理の観点から有効です。
こうした対応を通じて、金融機関とベンダーの間に明確な役割分担と責任範囲を確保することが重要になるでしょう。
最後に、金融システム自体の設計・開発段階からセキュリティを意識した対応を組み込むことが必要です。これを「セキュリティ・バイ・デザイン(Security by Design)」と呼び、近年では国際的にも重要視されています。この考え方に基づき開発初期から脆弱性対策を意識することで、後の対応コストを抑えられるでしょう。
例えば、アクセス制御の厳格化・通信の暗号化・ログの記録と監視体制の整備などを開発段階から組み込むことが求められます。また、開発後にも継続的に脆弱性診断やペネトレーションテスト(侵入試験)を実施し、問題の早期発見と対応に努めることが重要です。
こうしたセキュリティ設計は、システムの可用性や信頼性を支える基盤となるものであり、結果として利用者の安心感にもつながっていくでしょう。

デジタル技術の進展とともに、金融業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性は急速に高まっています。業務の効率化や新たな顧客体験の創出だけでなく、サイバーセキュリティの強化にも大きく寄与している点が注目されているからです。
ここでは、金融DXを推進することで実現可能となる6つの具体的なサイバーセキュリティ対策について詳しく見ていきましょう。
DXの推進によってクラウド基盤とSIEMを活用したリアルタイムの脅威検知基盤を整えることで、従来の事後対応から事前対応へのセキュリティ体制の転換が実現します。大量のログやネットワークトラフィックをリアルタイムで分析することで、不審な動作や攻撃の兆候を早期に検知し、インシデントの影響が広がる前に対処可能です。
24時間365日体制のSOCと組み合わせることで、検知から初動対応までの時間を短縮することができます。人手では対処が困難な大量のアラートをシステムが自動で優先度付けすることで、セキュリティ担当者が高度な判断が必要なケースに集中できる体制が整います。
金融機関では多数のシステムと多様な利用者が存在するため、IDとアクセス権限の管理が複雑になりがちです。IAMを統合管理する仕組みをDXと一体で整備することで、誰がどのシステムにアクセスできるかを一元的に管理し、過剰な権限の付与を防ぐことができます。
多要素認証の標準化・シングルサインオンの導入・権限の定期的な棚卸しをシステムで自動化することで、管理工数を削減しながらアクセス制御の精度を高めることができます。職務分掌に基づいた権限設計をIAMに反映させることで、内部不正や誤操作のリスクを構造的に低減させることが可能です。
金融機関全体でセキュリティポリシーを一貫して適用するためには、ポリシーの自動適用と運用の標準化が重要な取り組みです。手作業によるポリシー管理では設定ミスや適用漏れが生じやすく、特定の担当者に依存した属人的な運用が継続するリスクがあります。
DXによってポリシー管理をシステム化することで、エンドポイント・クラウド・ネットワーク全体にわたるセキュリティ設定を一元的に配布・更新することが可能です。法改正や新たな脅威への対応を迅速にポリシーへ反映させる仕組みを持つことで、規制対応の工数を削減しながらセキュリティ水準の継続的な維持が実現します。
従来の境界防御モデルは、社内ネットワーク内は安全という前提に基づいていましたが、クラウドの活用やリモートワークの普及によってこの前提が成り立たない環境へと変化しています。ゼロトラストはすべてのアクセスを信頼しないという原則のもと、場所やデバイスにかかわらず常に認証と検証を行うアーキテクチャです。
SASEやマイクロセグメンテーションなどのDX技術を活用してゼロトラストを実装することで、社内外を問わずあらゆるアクセスに対して適切な検証が行われるセキュリティ環境が実現します。クラウドサービスの活用を妨げることなく高いセキュリティを維持できるため、金融DXとセキュリティの両立を図るうえで有効なアーキテクチャとして採用が広がっています。
AIと機械学習を活用した不正検知は、従来のルールベースのシステムでは対応が難しかった新種の攻撃パターンや異常な取引行動の検出を可能にします。大量の取引データや行動ログをAIがリアルタイムで分析することで、通常とは異なる動作を高精度で識別し、不正の疑いがある操作を即座に検知することができます。
フィッシング詐欺・なりすまし・マネーロンダリングなど金融機関が直面するリスクは多様化しており、AIが過去のインシデントデータから学習して検知精度を継続的に高める仕組みを持つことが、高度化するサイバー脅威への対応力を維持するうえで重要な取り組みです。
金融機関のセキュリティリスクは外部からの攻撃だけでなく、内部からの不正アクセスや情報漏えいも重大な脅威です。ユーザーの操作ログ・ファイルアクセス履歴・システム変更記録などを収集・分析する仕組みを整えることで、通常とは異なる行動パターンを早期に検知することができます。
ログの収集から分析・可視化までをシステムで自動化することで、担当者の確認工数を抑えながら内部不正のリスクを継続的に監視できる体制が整います。監査への対応においても、ログが適切に保管・管理されていることを示せるようになるため、コンプライアンス対応の基盤としても重要な機能です。
サイバー攻撃の手口は年々巧妙化しており、企業にとってセキュリティ対策は避けて通れない課題となっています。しかし、対策を進める際に注意すべきポイントを見落とすと、十分な効果が得られません。セキュリティ対策は単にツールを導入すれば済むものではなく、運用体制や緊急時の対応まで含めた総合的な取り組みが必要です。
ここでは、サイバーセキュリティ対策を効果的に進めるための4つの注意点を解説していきます。これらのポイントを押さえることで、実効性の高いセキュリティ体制を構築できるでしょう。
システムの刷新やクラウド移行を進める際には、新たなセキュリティリスクが生まれる点に注意が必要です。従来のオンプレミス環境とは異なる脅威が発生する場合があります。例えば、クラウドサービスでは、アクセス権限の設定ミスによるデータ漏えいのリスクが高まります。
また、複数のシステムを連携させる際には、接続ポイントが増えることで攻撃の入口も増加するでしょう。新しいシステムを導入する前に、どのような脅威が想定されるかを洗い出しておく必要があります。リスク評価を行い、優先的に対策すべき領域を明確にしましょう。
移行計画にセキュリティ対策の工程を組み込み、各段階でのリスクを最小限に抑える工夫が必要です。システム刷新はビジネスの効率化につながる一方で、セキュリティ面での注意を怠らない姿勢が求められます。
セキュリティ対策を強化しすぎると、業務の利便性が損なわれる恐れがあります。厳格な認証手順や細かなアクセス制限は、従業員の作業効率を低下させかねません。反対に、利便性を優先しすぎれば、セキュリティリスクが高まってしまいます。両者のバランスを取ることが、実効性のある対策には欠かせません。
また、アクセス制限を設ける場合には、業務に必要な範囲は柔軟に許可し、不要なアクセスのみを制限する方針が現実的でしょう。現場の声を聞きながら、実務に即した対策を設計することが重要です。セキュリティポリシーを策定する際には、厳しすぎるルールで運用が形骸化しないよう配慮しましょう。
従業員が守れるレベルの規則を設け、継続的に実行できる体制を整えることが求められます。利便性とセキュリティは対立するものではなく、適切な設計によって両立できるという視点を持つことが大切です。
自社のセキュリティ対策を強化しても、委託先や利用しているクラウドサービスに脆弱性があれば、そこから情報漏えいが発生する可能性があります。サプライチェーン全体でのセキュリティ管理が必要です。
まず、委託先や取引先のセキュリティ水準を確認しましょう。契約時にセキュリティ基準を明示し、定期的な監査やチェックを行う仕組みを設けることが重要です。クラウドサービスを利用する際には、事業者のセキュリティ認証や対策内容を確認します。データの保管場所や暗号化の方法、バックアップ体制なども把握しておく必要があります。
また、責任範囲を明確にすることも欠かせません。クラウド事業者が担保する領域と、利用者側が管理すべき領域を理解し、適切な対策を講じましょう。
どれだけ対策を講じても、サイバー攻撃や情報漏えいのリスクをゼロにすることはできません。万が一インシデントが発生した際に、迅速かつ適切に対応できる体制を整えておくことが重要です。対応手順を事前に文書化し、関係者に周知しておきましょう。インシデント発生時には、誰が判断し、誰に報告し、どのような手順で対処するのかを明確にします。初動対応の遅れが被害の拡大につながるため、迷わず行動できる仕組みが必要です。
また、外部の専門家や関係機関への連絡先もリスト化しておくと安心です。定期的な訓練やシミュレーションを実施し、実際に手順が機能するかを確認することも大切です。訓練を通じて見つかった課題は、手順の見直しに反映させましょう。
H2:サイバーセキュリティ対策に有効なツール
金融機関がサイバーセキュリティ対策を強化するためには、信頼性の高いツールの導入が効果的です。ここでは、Microsoft社の「Microsoft Defender for Endpoint」とPalo Alto Networks社の「Prisma Cloud」について解説します。
Microsoft Defender for Endpointは、エンドポイントのセキュリティを強化するための包括的なソリューションです。Windows・macOS・Linux・Android・iOSなどさまざまなプラットフォームに対応しており、企業の多様なデバイス環境を保護します。
主な特徴として、以下の点が挙げられます。
これらの機能により、企業はサイバー攻撃に対する防御力を高め、迅速な対応が可能となるでしょう。
Prisma Cloudは、クラウド環境におけるセキュリティを包括的に提供するプラットフォームです。AWS・Azure・Google Cloud・Alibaba Cloudなど主要なクラウドサービスに対応しており、企業のクラウドセキュリティを強化します。
主な機能として、以下が挙げられます。
Prisma Cloudの導入により、企業はクラウド環境全体のセキュリティを可視化しリスクを最小限に抑えられるでしょう。
金融業界には、金融DXの推進と並行してサイバーセキュリティへの対策強化が求められています。その中で、金融庁は具体的な方針を打ち出し、金融機関が組織として適切な防御体制を整えるための枠組みを明示しています。これらの方針は単なるリスク回避のためではなく、顧客と組織の信頼関係を守るための基盤です。
ここからは、金融庁が重視する4つの柱について詳しく紹介します。
参考:金融庁|金融分野におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組方針(概要)
金融庁は、金融機関のサイバーセキュリティ対策の実態を把握するため、建設的な対話と情報の一斉把握を実施しています。この取り組みは、単なる監督ではなく現場の実情を理解しながら支援する姿勢に基づいているのです。
例えば、金融庁は年に一度、金融機関全体に対してサイバーセキュリティに関するアンケート調査を行い、その結果をもとに改善の方向性を共に検討しています。こうしたプロセスにより金融庁と金融機関との間で透明性の高い対話が実現され、現場の課題が可視化されやすくなります。
このような連携体制を維持することで、サイバー攻撃への対策がより実効性のあるものとなり、組織全体での対応力を高められるでしょう。
サイバー攻撃は単独の企業にとどまらず、業界全体へ波及するリスクがあります。そのため、金融庁は金融機関同士の情報共有の枠組み強化を推奨しています。情報共有はインシデントの早期発見や対応の迅速化に寄与する手段として重要視されているのです。
例えば、ISAC(Information Sharing and Analysis Center)のような組織を通じて、攻撃の兆候や被害状況、対応策などがリアルタイムで共有されるようになってきました。このような枠組みは各機関の孤立を防ぎ、被害の最小化に役立っています。
情報の共有を円滑に進めるためには、セキュリティポリシーの統一や技術基盤の整備も必要となるでしょう。その実効性を高めることで金融業界全体のセキュリティレベルを底上げすることが可能になります。
実際のサイバー攻撃は予期せぬタイミングで発生します。そのため、事前の訓練が重要です。金融庁は、業界全体での横断的なサイバーセキュリティ演習の実施を奨励し実務レベルでの対応力強化を行うよう提示しています。
演習では、実際の攻撃シナリオを想定した対応プロセスの検証・改善が求められ、こうした訓練により、各部署の連携体制や判断スピードが向上し、有事の際の混乱を最小限に抑えられるでしょう。
また、演習の内容を定期的にアップデートすることで、新たな攻撃手法に対する知識と対応力も蓄積されていきます。継続的な取り組みが長期的な安全性の確保につながるでしょう。
テクノロジーの進化とともにサイバー攻撃の手口も日々複雑化しています。そのため、金融庁は人材育成を柱の1つに掲げ、専門的な知見を持つ人材の確保と育成に注力しています。
現場で求められるのは単なるITスキルにとどまらず、金融特有の業務知識を理解したうえでリスクを評価・対処できる能力です。そのため、金融庁では、大学や専門機関と連携した教育プログラムの充実化を図り、実務に活かせる研修機会の提供を促しています。
さらに、社内でのローテーション制度やOJTを通じて若手人材が継続的にスキルを高められる仕組みづくりも推進されています。人材の質を高めることが、結果として組織全体のサイバーセキュリティ耐性を強化することにつながるでしょう。
金融DXの推進と並行してサイバーセキュリティの強化を実現した金融機関の事例を紹介します。ゼロトラストの導入・クラウド型メールセキュリティの採用・フィッシングメール対策という異なるアプローチで成果を出した3社の取り組みから、自社への応用可能性を探ってみましょう。
七十七銀行は従来の境界防御モデルにおいて、外部クラウドサービスが使いにくい・大容量データを扱うとPCの動作が重くなるという課題を抱えていました。始業時のアクセス集中によるログイン遅延や巧妙化するサイバー攻撃への対応にも限界を感じており、銀行グループ全体でセキュリティレベルを統一してガバナンスを強化することが急務となっていました。
NTTドコモビジネスのSASEソリューションを活用して、従来の境界防御を維持しながらゼロトラストの概念を取り入れたハイブリッド型のセキュリティ体制を構築しました。ヘビーユーザー向けにセキュアFAT端末を導入することでPC環境の操作性が改善され、EDRと24時間365日のSOC体制によって即時検知と隔離が可能な監視環境が整っています。第三者機関によるセキュリティ診断で推奨事項までカバーする高い評価を獲得しており、生成AIなどの新技術を安心して活用できるインフラが整備されたことでDXの加速にもつながっています。
出典参照:DXの実現に向けて、ゼロトラストを導入した行内OAシステムの構築銀行ビジネスのデジタル改革推進・セキュリティ対策の強化に挑む|NTTドコモビジネス株式会社
北國銀行はDXを推進するためにMicrosoft AzureおよびMicrosoft 365への移行を決定しましたが、移行にあたってMicrosoft 365の標準機能だけでは日本企業のニーズに即したメールセキュリティ要件を満たすことが難しいという課題がありました。旧来のオンプレミス環境ではメールボックスの容量不足やリモート環境でのレスポンスの遅さが業務の妨げとなっており、コロナ禍でメールのやり取りが急増したことでより強固な基盤の必要性が高まっていました。
IIJセキュアMXサービスを採用し、メールの全文保管・監査・多層フィルタなど日本のビジネス慣習に即した機能を手頃なコストで導入することができました。正式申し込みから1か月少々という短期間で本番稼働を実現しており、管理コンソールから原因を即座に切り分けられるようになったことでメール不達への問い合わせ対応の工数が大幅に軽減されています。セキュリティ対策を専門ベンダーに委託することで組織的な安心感が向上しており、今後はWAFの導入などさらなるセキュリティ強化とDXの推進を進めていく方針です。
出典参照:Microsoft 365への移行を機にメールセキュリティは安心して任せられる「IIJセキュアMXサービス」を導入|株式会社インターネットイニシアティブ
みずほフィナンシャルグループは、自社を装ったフィッシングメールの増加に対して、従来の電子署名や偽サイトの閉鎖という事後対応では不十分という課題を認識し、顧客が被害に遭う前に銀行側から能動的に偽メールを排除する攻めのセキュリティへの転換を図りました。導入による正規メールへの影響を懸念する社内の声への対応も重要な課題として取り組まれました。
金融機関での豊富な導入実績を評価してProofpoint EFDを採用し、NRIセキュアの専門的な支援を受けながらプロジェクトを推進しました。最初は監視のみの設定から始め、メール不達のリスクがないことを確認しながら段階的になりすましをブロックする厳しい設定へと移行するアプローチを取っています。
出典参照:金融機関に求められる重要なセキュリティ要件、DMARCの導入とポリシー強化を実現|NRIセキュアテクノロジーズ株式会社

金融業界におけるサイバーセキュリティ対策は、企業の信頼性を高めて競争力を維持するために不可欠です。
Microsoft Defender for EndpointやPrisma Cloudなどの先進的なツールを活用することで、セキュリティ体制を強化できます。また、専門的な知見を有する外部パートナーの支援を活用することで、金融DXとサイバーセキュリティの両立を効果的に進めることが可能です。
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