金融DXで顧客満足度を向上!メリットや取り組みポイントを解説

金融DXを進めることで顧客の利便性向上や手続きの簡素化などによって、顧客満足度の向上が期待できます。本記事では、金融DXが顧客満足度を高める理由やメリット、ポイント、DXに用いる技術などを解説します。

金融機関におけるDXは、単に技術的な改善に留まらず、顧客満足度向上に直結する重要な要素です。

例えば利便性の向上や手続きの簡素化、スピーディーなトラブル対応を実現できれば、顧客の期待に応えられるでしょう。

そのためには、デジタル技術を活用して、顧客がいつでも、どこでもサービスを利用できる環境を整える必要があります。

この記事では、金融DXが顧客満足度を高める理由や役立つ技術などを解説します。

顧客満足度が金融業界で重要視される背景

金融業界で顧客満足度が重要視されるのは次のような背景があるためです。

  • サービスの差別化が困難な業界であるため
  • 継続利用や取引の基盤となるため
  • 信頼がブランドの根幹を成しているため
  • 口コミや紹介による新規顧客の獲得が期待できるため

金融業界は顧客の氏名だけでなく勤務先や収入などより詳細な個人情報を取り扱うため、顧客からの信頼が欠かせません。

ここでは、顧客満足度が重要視される背景を詳しく解説します。

サービスの差別化が困難な業界であるため

金融業界では、提供サービスの多くが似通っており、顧客が選ぶ基準は価格や利便性、サービスの信頼性に依存する傾向にあります。

例えば、銀行の預金金利や投資信託の手数料などは、ほぼ横並びの傾向です。

このような状況で差別化を図るためには、顧客サービスの質が非常に重要となります。

差別化の1つとして挙げられるのが顧客満足度の向上です。

継続利用や取引の基盤となるため

顧客満足度の向上は、金融機関にとって顧客の継続利用を促進する基盤となります。

特に、顧客が定期的に金融商品を利用する、長期的に投資信託やローンを組むといった場合、サービスに対する顧客満足度は重要な要素となります。

顧客が満足していれば、サービスの更新や契約延長を行う確率が高くなるからです。

サービスや金融機関に対しての満足度の低さが原因で顧客が離れてしまうと、再度取り戻すのは非常に困難でしょう。

金融業界においては、顧客が一度離れた後、他の競合企業に移行する可能性が高いため、顧客満足度を重視し、維持することが経営の安定に寄与します。

また、顧客の継続的な取引は、金融機関にとって安定した収益源として欠かせません。

顧客が長期的にサービスに満足できれば、関係も長期的に築かれ、金融商品を利用する頻度や取引額が増加するでしょう。

信頼がブランドの根幹を成しているため

金融業界では、顧客との信頼関係を築くことが何よりも重要です。

どれほど便利で効率的なサービスを提供しても、信頼がなければ顧客が継続的に利用してくれる可能性は低いでしょう。

特に近年では、サイバーセキュリティやプライバシー保護が顧客の信頼性に直結する要素となっています。

個人情報や資産の管理において、顧客のプライバシー保護や安全な取引が保証できれば顧客満足度が高まり、金融機関のブランド価値の向上が期待できます。

口コミや紹介による新規顧客の獲得が期待できるため

顧客満足度が高い場合、家族や友人に利用している金融機関やサービスを紹介する可能性が高くなるでしょう。

既存顧客による口コミや紹介は、新規顧客獲得において有力です。

一般的に新規の顧客は金融機関を利用する際、信頼できる金融機関であるかどうかを判断します。

その際、既に金融機関を利用している家族や友人からポジティブな口コミを聞いていれば、「信頼できる」と判断する可能性が高まるでしょう。

このように、口コミや紹介は新規顧客を効率的に拡大できるため、顧客獲得にかけていた人件費や広告費の削減が期待できます。

顧客満足度を高めるには金融DXの推進が効果的

金融業界において顧客満足度の向上は、競争力の強化にも効果的です。

そのためには、金融DXの推進が効果的であり、業界の成長に欠かせない要素となっています。

例えば、金融DXの推進により、データの統合と分析を強化すれば、顧客それぞれの状況に応じたサービスが提供できるようになります。

顧客は自分の状況に合った提案を受けることで、価値を感じやすくなり、満足度が向上するでしょう。

また、顧客の意見をリアルタイムで反映できる体制を整えれば、サービスの改善が迅速に行えるようになります。

金融DXが顧客満足度を高める3つの理由

金融DXに取り組むことで顧客満足度を高められる理由は次のとおりです。

  • オンラインバンキングなどで顧客の利便性が高まるため
  • 煩雑な手続きが簡素化されるため
  • トラブル対応の待機時間を削減できるため

金融DXが顧客満足度向上にもたらす理由を把握すれば、自社の金融DX促進につながるでしょう。

1. オンラインバンキングなどで顧客の利便性が高まるため

金融DXへの取り組みが顧客満足度を高める理由の1つが、顧客の利便性向上です。

従来、金融機関のサービスは対面での手続きが中心で、顧客は営業時間内に支店を訪れる必要がありました。

そのため、仕事の合間での来店が難しいと感じていた顧客も少なくありません。

金融DXの一環としてデジタル技術を活用すれば、顧客は自宅やオフィスなど、どこからでも金融サービスを利用可能です。

例えばオンラインバンキングやモバイルアプリの導入により、顧客は24時間いつでも口座の管理や送金、振込などの手続きが可能になっています。

顧客はどこからでも金融サービスを利用できるため、従来よりも利便性が高まるでしょう。

2. 煩雑な手続きが簡素化されるため

金融サービスを利用する際、手続きの複雑さは顧客にとって負担になりかねません。

従来は、窓口での手続きに加えて、書類の提出や確認、署名などが求められ、時間も労力もかかっていました。

しかし、金融DXに取り組めば煩雑な手続きを簡素化できるでしょう。

例えば、オンラインで必要な書類をアップロードする、電子署名を利用するといった技術によって手続きをスムーズに進めることができます。

無駄な時間を削減し、必要な手続きがスピーディーに完了するため、顧客は煩雑な手続きから解放されるでしょう。

AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した業務の自動化により、手続きのミスが減少し、顧客に対してより高い精度のサービスの提供が可能になっています。

3. トラブル対応の待機時間を削減できるため

金融サービスにおいて、トラブルが発生した際に迅速に対応できることは、顧客満足度を左右します。

金融DXを実現すれば、顧客からトラブルの報告があった際に、すぐに対応できる体制を整えられるでしょう。

例えば、チャットボットや自動応答システムを導入すれば、顧客からの問い合わせに即座に対応できます。

顧客は待機時間なしで問題を解決できる可能性が高くなり、トラブルへの不安感が軽減できます。

また、データ解析技術を活用すれば、問題の兆候を事前に把握し、迅速な対応も可能です。トラブルを未然に防止できれば、顧客の信頼向上が期待でき、企業にとってもメリットになるでしょう。

金融機関が顧客満足度を高めることで期待できる4つの効果

金融機関がDXによって顧客満足度を高めるメリットは次のとおりです。

  • 顧客からの信頼性が高まる
  • 業績の向上につながる
  • 新規顧客を獲得しやすくなる
  • ブランドイメージが向上する

それぞれのメリットを解説します。

顧客からの信頼性が高まる

金融機関がDXによって顧客満足度を高めれば、顧客の信頼向上につながるでしょう。

例えば、デジタル技術を使ってサービスの透明性が高まれば、顧客は取引内容や資産状況を容易に確認できるようになります。

その結果、顧客は金融機関に対して高い信頼感を抱くことができ、信頼関係が強化できます。

また、セキュリティ対策を強化して顧客の個人情報を保護すれば、顧客は安心してサービスを利用できるでしょう。

信頼の確立は、金融機関が長期的な顧客関係を築くために不可欠な要素であり、DXはその強化に貢献する取り組みです。

業績の向上につながる

金融DXによって顧客満足度が向上すれば、業績への好影響を与えることも期待できます。

例えば、デジタル化により、取引の効率が高まり、業務精度の向上にもつながります。

さらに、データ解析やAI技術を活用して顧客ニーズを正確に把握し、ターゲットを絞ったマーケティング戦略の展開が可能です。

その結果、売上の向上が期待できるだけでなく、新たなサービスやプロダクトの提供といった事業拡大にもつながるでしょう。

このように金融機関は、DXによってデジタル技術を駆使すれば、効率的な業務運営と市場における競争力の維持が期待できるでしょう。

新規顧客を獲得しやすくなる

金融DXによる顧客満足度向上は新規顧客の獲得にも寄与します。

満足度の高い顧客による口コミやレビューがSNSやインターネットなどで発信すれば新たな顧客を惹きつける効果が期待できるでしょう。

新規顧客の獲得は、顧客獲得のためのコスト削減にもつながります。

口コミやレビューなどで新たな顧客を獲得できれば、それまでかかっていた顧客獲得のためのコストを削減可能です。

削減したコストを他プロジェクトに充てることで、さらなる事業成長につながります。

ブランドイメージが向上する

金融DXによって顧客満足度を高めれば、ブランドイメージも向上します。

例えば先進的な技術を取り入れることにより、金融機関はイノベーティブであるという印象を与え、顧客に魅力的なブランドとしてイメージを与えられるでしょう。

ブランドイメージが向上すれば従来発生していた広告費を削減しつつ、他社との差別化を図れます。

ブランドイメージ向上は新規顧客の獲得につながり、その結果、全体の事業拡大への寄与も期待できます。

金融DXで顧客満足度を高める際の注意点

金融DXの推進により、顧客により効率的で便利なサービスの提供が可能です。

しかし、金融DXによって顧客満足度を高めるためには、次のような注意点を抑えておく必要があります。

  • サイバーセキュリティ対策に取り組み安全性を確保する
  • 法令を遵守する体制を構築する

安全性の確保や法令を遵守して、顧客の信頼を維持することが重要です。

それぞれの注意点を解説します。

サイバーセキュリティ対策に取り組み安全性を確保する

金融機関において、サイバーセキュリティ対策は顧客満足度を高める要素の1つです。

DXを進めるなかで、新たな技術の導入が原因で、サイバー攻撃や情報漏えいのリスクも増加する恐れがあります。

これらのリスクを抑えるためには、最新のセキュリティ技術を駆使し、常に監視体制を強化することが必要です。

具体的にはデータの暗号化、二要素認証、侵入検知システムなどを導入すれば、顧客情報や取引データを保護できます。

また、従業員に対するセキュリティ教育を定期的に実施し、サイバー攻撃に対する意識の引き上げもポイントです。

サイバーセキュリティ対策が脆弱では個人情報が流出するなど、顧客の信頼が低下する恐れがあります。

顧客の信頼低下は満足度に影響を与える可能性があるため、適切にサイバーセキュリティ対策を講じましょう。

法令を遵守する体制を構築する

金融業界は厳格な規制や法令が存在するため、金融機関には遵守が求められます。

DXを進めるにあたっても、規制に対応するように技術を活用しなければなりません。

例えば、データ保護法や金融機関に対する監督規制に従い、個人情報を適切に管理しなければなりません。

グローバルな規制にも対応する必要があり、国際的なルールや基準の遵守も求められます。

そのため、DXを進める際には、常に最新の規制に対応するための体制整備が重要です。

法律や規制の変更に迅速に対応できるよう、コンプライアンスチームを強化し、内部監査を定期的に実施することが求められます。

コンプライアンス違反や顧客からの信頼低下や株価の下落などにつながるため、法令を遵守したうえでDXを推進させましょう。

参考:個人情報保護委員会|金融分野における個人情報保護に関するガイドライン

顧客満足度を高めるために活用できるデジタル技術

金融DXに取り組む際に用いられる主な技術は次のとおりです。

  • クラウド
  • RPA
  • AI
  • IoT
  • eKYC(電子的本人確認)
  • API連携(オープンAPI)

それぞれにメリット、デメリットがあるため自社の目的に応じた技術の導入を検討しましょう。

1. クラウド

クラウドは、インターネットを通じてデータやアプリケーションを提供する技術で、自社運用のITインフラとは異なり、リソースを外部のサーバーが提供します。

データは、クラウドで保存していればインターネットを通じてどこからでも情報にアクセス可能です。

そのため、テレワークや情報のバックアップ先として活用できます。

クラウドのメリット、デメリットは次のとおりです。

メリット

・コストを抑えられる

・スピーディーに導入できる

・フレキシブルなサービスが多い

デメリット

・トラブルで利用できないタイミングがある

・セキュリティリスクがある

デメリットにあるとおり、クラウドサービスは悪意ある第三者からの攻撃に晒されかねないため、金融庁が掲げるガイドラインに沿って、利用するサービスを選択しましょう。

ガイドラインで提示されたクラウドサービス利用時の対策は次のとおりです。

  • 利用するクラウドサービスの仕様を確認しておく
  • 責任範囲などをクラウド事業者と明確に定めておく
  • 情報公開等の設定にミスがないかを必要に応じて専門家を交えて確認する
  • クラウドサービス利用終了時におけるクラウドサービス上のデータ取扱いを確認する

情報漏えいのようなセキュリティリスクは、発生すると自社の信頼を損ないかねません。信頼を低下させるだけでなく、個人情報保護法違反による罰則や損害賠償のリスクすらあるため、慎重に利用サービスを選択しましょう。

参考:金融庁|金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン

2. RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、定型的で反復的な業務を自動化する技術です。

金融機関では、データ入力・レポート作成・書類の確認など、時間がかかる業務が多くあります。

RPAを活用すれば、上記のような業務を自動化できます。

金融DX推進にあたりRPAを導入するメリットとデメリットは次のとおりです。

メリット

・人的ミスを削減できる

・24時間365日の稼働できる

・従業員のコア業務への注力

デメリット

・システム障害が発生するリスク

・業務の属人化

RPAを特定の従業員だけが操作できる属人化が深刻化すると、特定の従業員に負担がかかってしまいます。

属人化によって特定の従業員にばかり負担がかかると、モチベーション低下や退職につながりかねません。

特定の従業員に負担が集中しないように、導入にあたっては研修の実施やマニュアルの完備を心がけましょう。

3. AI(人工知能)

AIは人工知能とも呼ばれ、人間の知能を模倣する能力を持ったコンピュータが自己学習・問題解決・意思決定などを行う技術です。

金融業界では、膨大なデータを迅速に分析し、パターンを識別して意思決定をサポートする役割を担っています。

AIを活用すれば、機械学習や深層学習などを活用し、顧客行動の予測やリスク分析を行えるため、従来の手法よりも高精度で効率的なサービス提供が可能です。

AIには次のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

・業務効率の向上

・意思決定のスピードや質向上

・顧客満足度の向上

デメリット

・最新情報に対応できない可能性がある

・個人情報が流出する恐れがある

AIは与えられた情報をベースに学習するため、個人情報や機密情報を入力すると、生成データに流用する恐れがあります。

同様に、学習した情報が古いと最新の情報や法令に対応しきれない可能性もあります。

そのため、データを匿名化する技術の導入や厳格なアクセス制限を設定する、定期的なチューニングを心がけるなどの対策を講じましょう。

4. IoT(モノのインターネット)

IoTはInternet of Thingsの略で日本語ではモノのインターネットと訳されます。

インターネットを介して物理的なデバイスや機器を接続し、データを収集・交換する技術です。

金融業界では、IoTを活用することで、ATM、支店内の設備などさまざまな物理的な機器の状態をリアルタイムで監視できます。

また、IoTはリアルタイムでのデータ収集と解析を可能にし、顧客の行動や業務の効率化にもつながります。

IoTのメリット・デメリットは次のとおりです。

メリット

・生産性向上

・新規ビジネスの創造

デメリット

・システム障害のリスク

・プライバシーの侵害

IoTで収集するデータには個人情報が含まれているため、データの暗号化やアクセス制御などで適切に管理しましょう。

また、顧客に対してデータ収集の目的や使用方法を明示し、同意を得れば、透明性を確保したうえでの信頼構築が可能です。

5. eKYC(電子的本人確認)

eKYCはelectronic Know Your Customerの略で、電子的本人確認と訳されます。

金融機関が顧客の本人確認をオンラインで行うための技術であり、特にオンラインバンキングや証券取引にて活用されています。

eKYCのメリット・デメリットは次のとおりです。

メリット

・迅速な本人確認が可能

・顧客の利便性の向上

デメリット

・サイバー攻撃へのリスク

・ITが苦手な人からの抵抗感

eKYCを導入すれば、顧客は自宅にいながらにして各種の申請を送信できるため、利便性が高まります。

一方、ITが苦手な人から敬遠されないようにチュートリアル動画を用意するなどの工夫を凝らしましょう。

6. API連携(オープンAPI)

API連携(オープンAPI)は、異なるシステム同士を効率的に接続し、データのやり取りを可能にする技術です。

例えば他の金融機関と連携し、顧客に幅広い金融サービスを提供する際に使用されます。

API連携のメリット、デメリットは以下のとおりです。

メリット

・新しいサービスを創造して金融サービスの進化を促進

・複数のサービスを一元管理できるため顧客の利用効率が向上する

デメリット

・外部システムと接続することで、不正アクセスやデータ漏えいのリスクが増加する

・外部APIの障害が自社のサービスに影響を与える可能性がある

API連携によるデータ漏えいリスクを回避するためには、定期的なセキュリティ状態のチェックやデータの暗号化などの対策を徹底しましょう。

金融業界におけるDX化の具体的な事例5選

金融業界では、次のとおりさまざまな企業がDX化に取り組んでいます。

  • 事例1:住宅ローン契約の電子化
  • 事例2:窓口業務へのタブレット導入
  • 事例3:顔認証や生体認証による本人確認の導入
  • 事例4:ブロックチェーンを活用した送金・決済サービス
  • 事例5:オンライン相談・リモート営業の実施

それぞれの事例について解説します。

事例1:住宅ローン契約の電子化

三井住友フィナンシャルグループは弁護士ドットコムとの合弁会社として、SMBCクラウドサイン株式会社を設立しました。

同社は電子契約サービス「SMBCクラウドサイン」を提供していて、SMBCグループ内での利用が進んでいます。

2021年9月からは大手銀行初となる住宅ローンの契約に対応しました。

従来は紙に押印して送付、保管といったやり取りを数週間かけてしていたものの、「SMBCクラウドサイン」によって早ければ数分での手続き完了が可能になりました。

さらに、電子契約は法律上印紙の貼り付けが不要なため、印紙代の節約にもつながっています。

参考:SMBCグループ|国内大手銀行初となる住宅ローン電子契約を実現。利用率9割超の「SMBCクラウドサイン」活用による住宅ローン

事例2:窓口業務へのタブレット導入

七十七銀行は窓口業務にタブレット端末を導入し、業務効率化を実現しました。

従来の窓口業務では、書類を手で記入し、確認する作業が必要でした。

タブレットを活用することで、顧客の情報を即座に入力・確認でき、従業員の作業時間短縮に成功しています。

また、顧客のキャッシュカードの暗証番号確認機能によって、本人確認が印鑑不要で進められるようになっています。

窓口での手続きを簡素化したことで、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。

参考:株式会社七十七銀行 | 「店頭タブレット」の全店稼働について

事例3:顔認証や生体認証による本人確認の導入

佐賀銀行では、eKYCを活用する新しいシステムを導入しています。

このシステムにより口座開設や顧客情報照会・変更、振込限度額の引き上げがアプリから申請できるようになりました。

各種手続きがアプリか申請できることで、顧客の利便性が向上しています。

佐賀銀行が導入しているシステムはAI審査機能を搭載しているため、従業員の負担も軽減できました。

参考:株式会社佐賀銀行|「さぎんアプリ」における本人確認方法の追加について

事例4:ブロックチェーンを活用した送金・決済サービス

一般社団法人全国銀行協会は富士通株式会社と協力し、ブロックチェーン技術を活用した、新たな銀行間決済の実証実験を行いました。

ブロックチェーンとは取引履歴を暗号技術で鎖のようにつなぎ、改ざんが困難な状態で正確な記録を維持できる仕組みです。

今回の実証実験では、金融機関間同士の資金取引を1件ずつリアルタイムで決済する、RTGSの有用性が検証されました。

その結果、小口取引におけるRTGSに対して、ブロックチェーン技術が有効であることが確認できました。

参考:富士通株式会社|ブロックチェーン技術を活用した新たな銀行間決済の実証実験を実施

事例5:オンライン相談・リモート営業の実施

北国銀行では、顧客との接点を増やし、より柔軟で迅速なサービス提供を実現するために、オンライン相談やリモート営業を取り入れています。

これにより、顧客は自宅からでも銀行のサポートを受けることができ、時間や場所に縛られずに金融サービスを利用できるようになりました。

同取り組みは、窓口担当者だけでなく、専門の知識を持つ行員が対応するのがポイントです。

専門知識を持つ行員も対応できるため、離れた場所にいる顧客へも金融商品提案が可能になっています。

参考:北國銀行にて「bellFace(ベルフェイス)」を導入、より便利でスムーズなオンライン相談窓口を開設 | ベルフェイス株式会社

金融DXを進める際の5つのポイント

金融DXによって顧客満足度を高めるためには、以下の5つのポイントを押さえておきましょう。

  • DX人材の確保と育成
  • コスト管理
  • 自社の企業風土改善
  • DXに取り組む目的の明確化
  • PDCAサイクルを回して計画をブラッシュアップさせる

それぞれのポイントを詳しく解説します。

DX人材の確保と育成

DXを推進するには、専門的なスキルを持つ人材を確保し、育成することが不可欠です。

具体的には、IT技術者やデータサイエンティストだけでなく、ビジネス部門でもデジタル技術に精通した人材が必要です。

特に、データ解析、AI、RPA、IoTなどの技術に対する理解が求められます。

人材育成にあたっては、従業員に対して積極的なスキルアップの機会を提供しましょう。

研修やオンラインコースを通じて、最新の技術やツールに関する知識を深めてもらうとともに、実務での実績も求められます。

コスト管理

金融機関がDXを進めるには、一定の投資が必要です。

無駄なコストを避け、効率的にDXを推進するためには、コスト管理も意識しましょう。

まず、DX推進のために必要なリソースを適切に予測し、必要な投資額を見積もることが求められます。

具体的にはITインフラの整備や新たなソフトウェアの導入、データセンターの管理費用などが含まれます。

必要な投資額の見積もりをしたうえでコスト削減のための戦略を立てましょう。

例えば、クラウドサービスを利用すれば、オンプレミスのシステム運用にかかるコストを削減でき、必要に応じてリソースを拡張・縮小する柔軟性を持たせられます。

AIやRPAを導入すれば、業務を自動化し、人的リソースを効率の良い配分が可能です。

その結果、業務のスピードが向上し、長期的に見てコストの削減が期待できます。

自社の企業風土改善

企業文化や風土の改善は、DX成功の基盤となります。

金融機関がDXを進めるには、社内での協力体制やオープンなコミュニケーションもポイントです。

従来の業務プロセスや仕事の進め方を変えるとなると、従業員にとって心理的な負担になるでしょう。

そのため、従業員がデジタル化に対して抵抗を感じないよう、社内文化を変革していく必要があります。

具体的には、部門間の壁を越えて情報を共有し、協力して問題解決を行う風土を醸成していきましょう。

従業員のアイデアや意見を尊重し、イノベーションを促進する環境の整備も必要です。

例えば、社内でのイノベーションワークショップ開催や、デジタル技術に関する学びの場を提供すれば、従業員の意識改革を進められるでしょう。

DXに取り組む目的の明確化

金融機関がDXに取り組む前に、目的を明確にしておきましょう。

金融DXが進められる背景には、業務効率の向上・コスト削減・顧客体験の改善、さらには新しいビジネスモデルの創出といった複数の目的があります。

DXを進める際には、どの目標を優先にするのかを明確にし、その方向性に沿った施策を実行しましょう。

目的が不明確だと、各施策がバラバラになり、効果的に進行しない可能性があります。

PDCAサイクルを回して計画をブラッシュアップさせる

DXを進めるためには、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回して、計画を継続的に改善していくことが不可欠です。

PDCAサイクルは、計画を立て、実行し、その結果を評価して、次に生かすというプロセスを繰り返す方法です。

立案した計画を実行し、結果を評価するという流れを繰り返せば、DX推進のための施策をブラッシュアップできます。

金融DXを推進するなら『株式会社 TWOSTONE&Sons』に相談

金融DXの推進は、企業にとって重要です。

デジタル技術を活用することで、業務の効率化、顧客満足度の向上、そして新たなビジネスモデルの創出が可能になります。

『株式会社 TWOSTONE&Sons』はITソリューションやITコンサルティング、IT研修サービスなど、金融DX実現に向けてさまざまなサポートを提供しています。金融DXの推進を検討している金融機関の方は、ぜひご連絡ください。

まとめ|金融DXを推進させて顧客満足度を高めよう

金融DXに取り組めば、手続きの簡素化やスピーディーなトラブル対応を可能にし、顧客満足度向上が期待できます。

金融DXによって顧客満足度を高めたい場合、クラウドやRPA、AI、IoTなどの技術を把握しておきましょう。

また、DX人材の確保と育成や自社の企業風土改善、コンプライアンスへの対応などのポイントを押さえることも大切です。

必要に応じて外部のサポートも得ながら、金融DXを推進させて顧客満足度を高めましょう。