医療DXにおける5G活用のメリットと具体的な現場の変化

医療の現場では、限られた人員で多様なニーズに応えなければならず、「もっと効率的に診療や治療ができれば」という声が絶えません。患者にとっても、遠方の専門医に診てもらえない不安や、救急搬送時に十分な準備が整わない状況に不満を感じる人は少なくありません。

こうした課題に対して、5Gの導入は大きな可能性があります。通信速度の速さや遅延の少なさ、安定した接続環境は、医療DXを加速させ、診療の質や効率を根本から変えていく力を持っています。

この記事では、「医療DXにおける5G活用のメリット」と「実際の現場でどのような変化が起きているのか」を具体例とともに紹介します。遠隔手術や救急医療の高度化、院内ネットワークの強化、AIやロボットの活用など、多角的な変化を分かりやすくまとめています。

記事を読むことで、5Gが医療にもたらす変化を理解し、未来の医療現場がどのように進化していくのかをイメージできるようになります。特に、医療従事者、医療機関の経営層、そして医療分野のDX推進に関心を持つ方々には、必ず役立つ内容になっています。

5Gとは

5Gとは、第5世代の移動通信規格で、従来の4Gを大きく上回る性能を備えています。

超高速通信や大容量データのやり取り、安定した接続が可能になり、社会の幅広い分野で活用が進んでいます。

正式名称は「5th Generation Mobile Communication System」で、スマートフォンなどのモバイル端末を支える最新技術です。4Gと比べて速度や安定性が格段に向上しており、医療DXにおいても欠かせない通信基盤となっています。

5Gの特徴

5Gは「通信速度の速さ」「遅延の短縮」「同時接続できる端末数の増加」という3つの特徴があります。これらの特性が、医療や産業の高度化を後押ししています。

通信速度が速い

5Gは理論上で最大20Gbpsの通信速度を誇り、4Gと比べて大幅に速くなっています。映画や高精細な映像をわずかな時間でダウンロードできるほか、CTやMRIといった医療画像の共有もスムーズです。

VRやARを活用したリハビリや手術支援など、大容量のデータを必要とする医療分野でも活躍が期待されています。

タイムラグを短縮できる

通信の遅延はおよそ1ミリ秒程度まで抑えられるとされ、ほぼリアルタイムに近い情報伝達が可能です。

遠隔地からロボットを操作する手術や、救急現場でのリアルタイム診断といった場面でも正確な対応ができます。自動運転やオンライン競技と同じように、遅延が問題になる医療分野でも安心して活用できる技術です。

接続可能端末数が増える

1つの基地局で同時に接続できる端末数は4Gの約10倍に増えています。病院内のモニタリング機器やウェアラブルデバイスを多数接続しても安定した通信が維持でき、患者の健康状態を継続的に管理する仕組みづくりに役立ちます。

スマートシティやスマート病院の基盤として、多くの機器を同時に稼働させる環境を支えています。

医療DXにおける5Gの活用のメリット

5Gの導入は医療DXを大きく前進させ、診断や治療、院内業務の効率化に幅広く役立ちます。通信速度や遅延の面で優れているため、従来では難しかった取り組みも可能になり、患者と医療従事者の双方に恩恵があります。

  • 高精細の映像がリアルタイムで共有ができる
  • 医療データを迅速に共有できる
  • 電子カルテのクラウド化が促進される
  • 遠隔手術が可能になる
  • 遠隔地から機器制御ができる
  • IoT機器で常時モニタリングできる
  • 院内のネットワークが安定する

高精細の映像がリアルタイムで共有ができる

5Gの高速大容量通信を活用すれば、4Kや8Kといった超高精細映像をリアルタイムで共有できます。映像に遅延や乱れが生じにくいため、遠隔地にいる専門医が患者の患部を鮮明に確認することが可能になります。

特にがんや心疾患のように精緻な観察が求められる診断では、細部まで確認できることが診断の精度を高める決め手となります。

さらに、手術室の映像を共有することで、現場にいない医師が手術の進行状況を即座に把握でき、教育現場では研修医が高度な手技を学ぶ機会も拡大します。緊急医療の分野でも迅速な判断が可能となり、医療全体の質の向上につながります。

医療データを迅速に共有できる

CTやMRI、心エコーといった大容量データを瞬時にやり取りできる点は大きな利点です。救急搬送中の救急車から病院にデータを送信し、医師が事前に診断や治療準備を行うことで、到着後すぐに処置を始められます。

遠隔診療でも心拍数や血圧、超音波画像などをリアルタイムで送ることが可能になり、離れた場所にいる患者でも専門医の診察を受けやすくなります。また、複数の医療機関が同じ患者データを即座に共有できるため、治療方針の決定やセカンドオピニオンも迅速に進みます。

これまで時間がかかっていたデータ転送の課題を解決し、効率的で質の高い医療連携を実現します。

電子カルテのクラウド化が促進する

電子カルテをクラウド上で活用する動きは加速しており、5Gの導入によってさらに利便性が高まります。高速かつ安定した通信環境を活用すれば、病院内のどこからでも患者情報にアクセスでき、タブレット端末を使って診療や記録入力をスムーズに行えます。

紙のカルテに依存する必要がなくなり、業務効率が大幅に向上します。また、クラウド化によって複数の医療機関が同じデータを活用できるため、地域医療の連携が強化され、患者が転院する場合でも診療情報を引き継ぎやすくなります。

データのバックアップやセキュリティ対策も強化され、災害時やシステム障害が発生した場合でも迅速な復旧が可能です。

遠隔手術が可能になる

5Gの低遅延性は、遠隔手術の実現に大きな役割を果たします。遠隔地にいる熟練外科医がロボットを操作する際、わずかな遅延が手術の成否に直結しますが、5Gであればほぼリアルタイムに操作が反映されます。

触覚フィードバック技術を組み合わせることで、術者は切開や縫合の感覚を実際に近い感覚で感じ取る手術を進められるため、従来よりも安全性が高まります。

地方や離島など高度医療を受けにくい地域でも、高度な外科手術が可能となり、地域格差の是正にもつながります。災害や感染症の拡大時にも有効で、遠隔から安全に医療支援を行う手段として注目されています。

遠隔地から機器制御ができる

手術支援ロボットや院内搬送ロボットを遅延なく制御できる環境が整うことで、より正確で効率的な医療体制が築かれます。ロボットを使った医療機器の搬送や院内物流がスムーズに行えるようになり、スタッフの負担が軽減します。

また、感染症対策の観点から、人の接触を減らしながら業務を進められる点も重要です。遠隔地にいる技術者が機器をメンテナンスしたり設定を変更したりできるため、専門人材が不足している現場でも安定した運用が可能になります。

患者への直接対応により多くの時間を割けるようになり、医療従事者の働き方改革にもつながります。

IoT機器で常時モニタリングできる

心拍計や血圧計、血糖測定器などのIoT機器をネットワークに常時接続し、患者の状態をリアルタイムに監視できます。

5Gは多数の端末を同時に接続しても通信が安定しているため、数百人規模の患者を一括でモニタリングすることも可能です。容態の急変を早期に検知し、アラートを発することで、救急対応が迅速になります。

慢性疾患の患者にとっても、日常生活の中で常にデータが記録されることで、定期的な診察や治療方針の見直しに役立ちます。在宅医療の領域でも有効で、高齢者や持病を持つ人の安全な生活を支える基盤になります。

院内のネットワークが安定する

多数の端末や医療機器が同時に接続されても速度低下が少なく、院内の通信環境を安定的に維持できます。電子カルテや画像データ、各種システムが同時に稼働していても処理が滞りにくく、業務の停滞やシステム障害のリスクが減少します。

診療記録の入力や画像診断の共有が遅れることなく行えるため、患者対応の質も高まります。さらに、ネットワークの安定性は災害時や停電時の復旧にも強く、病院全体のリスク管理にもつながります。

バックアップシステムとの併用によって、安全性の高いインフラが構築でき、長期的に安心して医療を提供できる環境が整います。

5Gが医療DXにもたらす具体的な変化

5Gは医療の在り方を大きく変える通信基盤であり、診断や治療の質を高めると同時に、医療現場の負担を軽減します。

高速通信や低遅延、大量の端末接続といった特徴を活かすことで、これまで困難だった取り組みを可能にし、患者と医療従事者双方に大きな利点をもたらします。

  • 遠隔手術が可能になる
  • 遠隔コンサルテーションが可能になる
  • 遠隔で診断や治療方針を決定できる
  • AI診断によって精度の高い診断支援が可能になる
  • ウェアラブルデバイスによるモニタリングができる
  • 自律走行ロボットを導入できる
  • AIによる文書作成ができる

遠隔手術が可能になる

5Gの低遅延性を活用すれば、遠隔地からロボットを操作して手術を行うことが可能です。わずかな操作の遅れが命に関わる外科手術でも、ほぼリアルタイムの反応が得られるため、安全性が向上します。

専門医が不足している地域に高度な外科手術を届けられる点は大きな意義があります。さらに触覚フィードバック技術と組み合わせることで、術者が手応えを感じながら操作でき、精度の高い外科治療が可能になります。

遠隔コンサルテーションが可能になる

高精細な画像や動画を瞬時に共有できるため、遠隔地にいる専門医に意見を求めるコンサルテーションが円滑に進みます。

患者の画像データや処置の映像をリアルタイムで確認してもらえるので、診断の確度が高まり、治療方針の決定も迅速になります。大学病院や専門機関と地域病院が容易に連携できるため、地域格差の解消や質の高い医療の普及にもつながります。

遠隔で診断や治療方針を決定できる

救急現場で撮影された患者の映像や検査データを病院に送信し、専門医がリアルタイムで診断や治療方針を指示することが可能です。

搬送中から処置の準備を進められるため、到着後に即座に治療に移行できます。心疾患や脳卒中など一刻を争う症例で特に有効で、救命率の向上に直結します。

AI診断によって精度の高い診断支援が可能になる

5Gを活用することで、医療機器から取得したデータをリアルタイムに統合し、AIによる解析をスムーズに行えます。

膨大な検査データを短時間で処理できるため、見落としのリスクが減り、精度の高い診断支援が可能です。特に画像診断の分野ではAIが異常を早期に検出し、医師の判断を補うことで診断効率と正確性が向上します。

ウェアラブルデバイスによるモニタリングができる

心拍数や血圧、血糖値などを測定するウェアラブルデバイスからの情報を5Gでリアルタイムに送信し、常時モニタリングが可能です。

急変の兆候を早期に把握でき、重症化を防ぐ対策につながります。在宅医療の患者や高齢者に対しても有効で、日常生活の中で得られるデータを医師が確認し、診療に役立てることができます。

自律走行ロボットを導入できる

5G環境を利用すれば、院内で自律走行ロボットを安全かつ効率的に運用できます。薬品や検体の搬送、患者の移動サポートを自動化でき、スタッフの負担軽減に直結します。

遠隔監視も可能なため、広い病院内でも安定した業務が行えます。感染症対策の面でも人の接触を減らし、安全性を高める効果が期待されます。

AIによる文書作成ができる

AIを活用した診療記録や報告書の自動作成が進み、医療従事者の事務作業が効率化されます。大量のカルテ入力や診断結果の整理といった業務に費やす時間を減らし、医師や看護師が患者に向き合う時間を確保できます。

さらに、書式の統一や誤記防止にも役立ち、医療記録の質も向上します。

医療DXにおける5Gの活用例

5Gは医療DXを推進する大きな力となり、地域医療の格差是正や救急医療の高度化、医師の働き方改革などに役立ちます。

高速通信や低遅延、安定したネットワーク環境を活かすことで、患者と医療従事者双方にメリットがあります。

  • 病院間の連携|徳島県立海部病院と徳島県立中央病院
  • 救急医療の高度化
  • 遠隔手術の支援・指導
  • ローカル5Gによる院内ネットワーク構築
  • AIカメラやロボットの活用

病院間の連携|徳島県立海部病院と徳島県立中央病院

5Gを活用した病院間の連携によって、専門医が不足している地域でも質の高い診療が受けられるようになりました。徳島県立海部病院と中央病院を5Gで結び、中央病院の専門医が海部病院の患者に対して遠隔診療を行う仕組みが構築されています。

4K映像を用いた診療で糖尿病外来や形成外科外来が可能になり、応援医師が出向く必要が減りました。患者は遠方へ通院する負担が軽減され、地域に住みながら高度な診療を受けられるようになった点が大きな成果です。

出典参照:5Gを活用した遠隔医療|徳島県病院局

救急医療の高度化

5Gを導入することで救急医療の質が高まり、救命率の向上につながります。救急車に搭載された4Kカメラや救急救命士のウェアラブルカメラから送られる映像を、病院の医師がリアルタイムで確認できます。

搬送中に患者の状態を詳細に把握できるため、病院側は受け入れ態勢を整えながら準備を進められます。心筋梗塞や脳卒中といった時間との闘いになる症例では、事前に正確な情報が共有されることが処置の迅速化につながり、救急医療の精度を高めています。

遠隔手術の支援・指導

5Gの低遅延通信を活かし、遠隔地から手術を支援する取り組みが進められています。手術室の高精細映像を遠隔地の熟練医がリアルタイムで確認し、若手医師に指導を行うことで技術継承を促進できます。

また、手術支援ロボットを遠隔操作する実証実験も行われており、離れた場所にいる外科医が安全に指導や支援を行える環境が整いつつあります。これにより、地域に関わらず高い水準の医療を患者に届けられ、医療の質向上と人材育成の両立が期待されています。

ローカル5Gによる院内ネットワーク構築

院内で安定した通信環境を維持するために、ローカル5Gの導入が進んでいます。病院はX線防護壁や特殊な構造が多く、従来のWi-Fiでは電波が届きにくい場所が課題となっていました。

ローカル5Gを用いることで、専用の通信環境を院内に構築し、電波干渉を避けながら安定したネットワークを確保できます。

医師がスマートグラスを装着して映像を共有したり、患者のバイタルデータを病院内のどこからでも確認したりできるため、業務効率や医療の安全性が大きく向上しています。

AIカメラやロボットの活用

AIカメラやロボットを導入することで、医療従事者の負担軽減と患者の安全性向上が同時に進んでいます。病室にAIカメラを設置すれば、患者の転倒や体調変化を自動で検知し、医療スタッフに即座に通知できます。

加えて、薬剤や検体の搬送、病室の清掃や殺菌を担うロボットを5Gで遠隔制御する取り組みも広がっています。スタッフはルーチン業務から解放され、より多くの時間を患者ケアに充てることができ、医療の質と効率が高まります。

医療DXにおける5G活用の課題と対策

5Gの導入は医療を大きく進歩させる可能性を持っていますが、同時に多くの課題も抱えています。設備やコスト、セキュリティ、人材育成、法律面の整備など、一つひとつを丁寧に対応していく必要があります。

  • 高額な設備投資が必要になる
  • ランニングコストがかかる
  • 投資対効果が見えにくい
  • 機密性の高い医療データの取り扱い
  • サイバー攻撃のリスクがある
  • ローカル5Gのセキュリティの構築
  • 安定した通信エリアを確保すること
  • 地方や山間部の通信環境を整える
  • 医療従事者のデジタルリテラシー
  • 既存の医療機器との連携が必要になる
  • 法整備が追いついていない

高額な設備投資が必要になる

5Gを導入するには、病院内に基地局やアンテナ、専用のネットワーク設備を整備する必要があり、その初期費用は非常に高額になります。

大規模な病院ほど設置すべき機器が増えるため、費用負担はさらに大きくなります。特に地方の中小規模病院では、この投資が大きなハードルになることが少なくありません。

対策としては、段階的に導入して優先度の高い部署から利用を始める方法や、国や自治体の補助金制度を活用することが考えられます。さらに複数の病院が連携して共同で整備する仕組みをつくることも有効です。

ランニングコストがかかる

5Gは導入して終わりではなく、その後の維持費も大きな課題です。通信料のほかに、システムの保守や機器の点検、セキュリティ対策にかかる費用も継続的に発生します。また、専門知識を持った人材を確保する必要があるため、人件費も加わります。

こうしたコストが長期的に病院経営を圧迫する可能性があります。対策としては、外部業者のサービスを活用して効率的に管理することや、機器の導入規模を見直してコストを抑える工夫が求められます。

投資対効果が見えにくい

高額な投資を行っても、その効果をすぐに数字で測ることは難しい場合があります。例えば遠隔診療が普及すれば患者の利便性は高まりますが、すぐに病院の収益増加につながるとは限りません。

このように投資と成果のバランスが見えにくいため、導入に慎重になる病院も多いです。解決策としては、小規模な実証実験を行って効果を確かめ、その結果を基に本格導入へ進める方法があります。

さらに、患者満足度や医療従事者の業務効率化といった数値化しにくい効果も含めて評価することが大切です。

機密性の高い医療データの取り扱い

医療データは非常に機密性が高く、厳格な管理が求められます。診療記録や検査画像、個人情報などは外部に漏洩すれば大きな問題となります。

5Gを通じてやり取りする場合も、安全性を確保するための仕組みが欠かせません。具体的には、データを暗号化して通信することや、アクセスできる人を厳しく制限する仕組みを整えることが必要です。

さらに、医療従事者に対しても情報管理の重要性を教育し、誤操作や不注意による情報流出を防ぐことが求められます。

サイバー攻撃のリスクがある

医療機関はサイバー攻撃の標的になりやすい分野のひとつです。ランサムウェアによってデータが使えなくなったり、患者情報が外部に流出したりする事件が報告されています。

5Gで接続される機器が増えるほど、攻撃される可能性が高まります。そのため、強固なセキュリティ対策を行い、異常があった場合にはすぐに対応できる仕組みを作ることが欠かせません。定期的なセキュリティ診断や、職員向けの訓練を実施することも有効です。

ローカル5Gのセキュリティの構築

病院内で独自に構築する「ローカル5G」は、安全性の高いネットワークとして期待されています。しかし、完全に安心できるわけではなく、不正アクセスや内部からの情報漏洩に備える必要があります。

適切な権限管理や監視体制を整え、誰がどのデータにアクセスしているのかを常に確認できる仕組みを導入することが重要です。外部専門家による定期的な点検も、セキュリティを維持するために欠かせません。

安定した通信エリアを確保すること

5Gの電波は直進性が強く、障害物に弱いという特徴があります。病院のように壁が厚い建物や特殊な設備が多い場所では、通信が不安定になる恐れがあります。

通信が途切れれば医療に支障をきたすため、安定したエリアを確保することが課題です。解決策としては、アンテナを複数配置して死角をなくすことや、建物の構造を踏まえた設計を行うことが考えられます。継続的に通信環境を点検し、改善していく体制も必要です。

地方や山間部の通信環境を整える

遠隔医療に期待が高まる中で、地方や山間部では5Gの通信環境が整っていない場所が多くあります。通信インフラがなければ、遠隔診療やリアルタイムの映像共有といったサービスが利用できません。この地域格差は医療の平等性に関わる大きな問題です。

対策としては、国や自治体が通信インフラ整備を支援することや、衛星通信や他の無線技術を組み合わせて補うことが考えられます。

医療従事者のデジタルリテラシー

どれほど高度なシステムを導入しても、使いこなせなければ効果は限定的です。医療従事者のデジタルスキルには差があり、新しい技術に不安を感じる人も少なくありません。

導入を成功させるには、研修やマニュアル整備を通じて誰もが安心して利用できる環境をつくる必要があります。さらに、現場からの声を取り入れて使いやすい仕組みに改善していくことも大切です。

既存の医療機器との連携が必要になる

現在稼働している医療機器の中には、5Gに対応していないものも多くあります。新しいシステムと古い機器をどのように組み合わせて使うかが課題となります。

すべてを一度に入れ替えるのは非現実的なため、段階的に更新を進めたり、接続を補助する仕組みを導入したりする方法が考えられます。こうした工夫により、コスト負担を抑えつつスムーズに移行できます。

法整備が追いついていない

遠隔診療やデータ共有のルールが十分に整っていないことも大きな課題です。誰が責任を持つのか、どのように情報を扱うのかが明確でないと、医療現場での活用が進みにくくなります。

制度面の遅れは患者に安心感を与えられない要因にもなります。今後は法律やガイドラインの整備を急ぎ、安心して技術を導入できる環境を整えることが必要です。

【まとめ】5Gを活用して効率的に医療サービスを提供しよう

5Gは、医療DXを推進するうえで欠かせない技術です。高速かつ安定した通信、遅延の少なさ、多数の機器を同時に接続できる特性は、遠隔手術や救急医療、病院間の連携、AIやロボットの活用など、医療の質と効率を大きく変えつつあります。

患者にとっては安心で身近な医療が広がり、医療従事者にとっては業務負担の軽減や診断の精度向上につながることが期待されます。

一方で、高額な設備投資やランニングコスト、セキュリティ確保、法制度の整備など、解決すべき課題も少なくありません。段階的な導入やインフラ整備、人材教育といった現実的な対策を講じることが、持続的な運用のためには欠かせない要素です。

5Gを軸とした医療DXは、ただ技術を導入するだけではなく、医療のあり方そのものを変える大きな挑戦です。今後は、地域や規模を問わず誰もが恩恵を受けられる仕組みづくりが求められています。