総務DXのメリットとは?業務効率化とコスト削減のポイント
医療
高齢化の進行や医療現場の人手不足を背景に、「もっと効率的に患者の状態を把握できないか」と悩んでいる医療関係者も多いのではないでしょうか。リモートモニタリングは、そんな現場の声に応える形で注目を集めている手法のひとつです。
ただし、導入すればすぐに効果が出るわけではありません。セキュリティや費用、情報連携など、乗り越えるべき課題も存在します。それでも、医療DXの流れの中でリモートモニタリングが果たす役割は、今後ますます大きくなっていくでしょう。
この記事では、リモートモニタリングによって期待できるメリットと、導入・運用に際して注意すべき課題の両面からわかりやすく解説します。仕組みの理解だけでなく、現場での活用イメージまで掴みたい方にとって、導入判断のヒントが得られる内容です。
特に、病院やクリニックの経営層、在宅医療を担う医師・看護師、DX推進を担当する方に読んでいただきたい内容となっています。

リモートモニタリングは、自宅で生活している患者の健康状態を、医療機関が遠隔でリアルタイムに確認できる仕組みです。この仕組みは、医療DXの一環として注目されており、医療資源の有効活用や患者対応の迅速化につながっています。
リモートモニタリングでは、血圧計・心電計・血糖値測定器といった家庭用の医療機器や、腕時計型のウェアラブルデバイスなどが使われます。これらの機器で測定された血圧・心拍数・血糖値などのバイタルデータは、クラウドや専用アプリを通じて医療機関へ送信されます。
医師や看護師は、送られてきたデータをもとに患者の状態を確認し、異常が見られた場合にはすぐに介入できます。これにより重症化を防ぎ、入院や通院の頻度を抑えることが可能になります。
また、患者自身が頻繁に病院に行く必要がなくなることで、精神的・身体的な負担も軽減されます。医療従事者にとっても、患者の状態を効率よく把握できるため、業務の質とスピードの両立が図りやすくなります。特に慢性疾患のある高齢者や、通院が困難な患者にとっては、有効性の高い取り組みといえるでしょう。

医療DXの推進により、リモートモニタリングは医療現場において重要な技術のひとつとなっています。ここでは、患者と医療機関の双方にとって得られる具体的な利点についてご紹介します。
リモートモニタリングの活用は、患者の生活の質や医療への関わり方を大きく変える可能性があります。
バイタルサインをはじめとした健康データを自宅から送信できるため、医療機関への訪問頻度を大幅に削減できます。体力に不安がある高齢者や交通手段が限られる地域在住者には、通院に伴う心身の負担が軽減されます。
交通費や時間の節約が可能なことで、仕事や家庭との両立がしやすくなる点も大きな利点です。忙しい世代や子育て中の方にも相性のよい医療形態です。
さらに、ICTとバイタル測定機器を活用したネットワークシステムによって、家庭で測定されたデータが医療機関に蓄積され、医療関係者が継続的にモニタリングすることが可能となっています。このような仕組みにより、病状の変化を客観的に把握できるようになり、経過予測や早期の対応が可能になった例があります。通院の回数を減らしながらも、迅速な介入を可能とする効果が報告されています。
出典参照:当法人における ICT を活用した在宅療養支援の経緯と展望|医療法人芙蓉会筑紫南ヶ丘病院
日常的に測定されるデータがスマートフォンやアプリ上で可視化されることで、患者自身が自分の体調や数値の変化を意識しやすくなります。
これまで医療機関任せだった健康管理が、自分で確認・行動できるものへと変わり、生活習慣を見直すきっかけにもなります。医師の説明に対する理解も深まりやすく、治療方針への納得感や継続意欲が高まる点も見逃せません。
継続的にデータを取得・送信することで、普段の診察では気づきにくいような体調の変化を、早期に察知できるようになります。
例えば心拍数の乱れや血圧の急激な上昇などがリアルタイムで確認されれば、症状が表れる前に医師からアドバイスを受けたり、受診の必要性を判断してもらうことが可能になります。これにより、緊急搬送や入院などのリスクを下げ、安心して在宅生活を送れる環境づくりに役立ちます。
リモートモニタリングの導入は、診療の質向上だけでなく、働き方や業務効率の見直しにもつながっています。
患者の健康データが自動で記録・集約されることで、カルテ記入やヒアリングにかかる時間を削減できます。
また、診察前に患者の状態を把握できるため、症状の説明にかかる時間を短縮し、診療内容を充実させることができます。慢性疾患を抱える患者など、状態に大きな変化がないケースでは、遠隔でのフォローアップをおこなうことも可能です。これにより、外来や病棟での混雑緩和にもつながります。
リモートモニタリングによって得られるリアルタイムのデータは、診療の根拠として非常に有用です。
客観的な数値をもとに判断できるため、症状の見落としや判断ミスのリスクが減少します。また、患者ごとの傾向や生活リズムを継続的に把握できることで、より個別性の高い治療計画が立てやすくなります。
これまで以上に的確で継続的な診療をおこなうことができ、患者の信頼獲得にもつながります。
遠隔での情報収集や患者対応が可能になることで、夜間や休日の緊急出勤、長時間勤務の必要性が減少します。
また、在宅勤務の一部導入やシフト調整の柔軟化といった働き方の見直しがしやすくなります。医療現場では慢性的な人手不足が課題となっていますが、リモートモニタリングの導入によって、限られた人員でより多くの患者に対応できる環境が整いやすくなります。
これらの変化は、医療従事者のモチベーション維持や職場定着率の向上にもつながります。

リモートモニタリングは、患者の健康状態をリアルタイムで把握し、医療機関とつなぐ役割を担っています。以下に代表的な取り組みを紹介します。
遠隔患者モニタリングシステム(RPM)は、自宅など医療機関外にいる患者の生体情報をリアルタイムで収集・送信できる仕組みです。
患者の居住環境に設置した血圧計、心拍モニター、体温計、血糖測定器などの機器から得られたデータは、クラウド経由で医療機関に自動送信されます。
心拍数の異常や血糖値の急激な上昇といった異変があった場合は、システムが警告を発し、医師や看護師が即時に対応できる体制が整います。通院が困難な高齢者や慢性疾患のある患者の健康管理において、特に有効な手段とされています。
ウェアラブルデバイスの活用は、リモートモニタリングの精度と範囲を広げる役割を果たしています。
スマートウォッチや活動量計、パルスオキシメーターなどを装着することで、日常生活の中で常に心拍数、呼吸数、血中酸素濃度、睡眠の質、活動量などを自動測定できます。
このように取得されたデータは、専用アプリを通じて医療機関に送られ、生活リズムや体調の変化を把握する材料として活用されます。患者の自己管理にも役立ち、医師との情報共有もスムーズになります。
リモートモニタリングで取得した情報をもとに、オンライン診療と連動することで、よりタイムリーかつ適切な診療が可能になります。
患者のバイタル情報や体調の変化が事前に把握できているため、診察時には医師が的確な判断をしやすくなり、無駄のない対応が期待できます。
必要に応じて処方や治療方針の変更もすぐにおこなえるため、在宅療養中の患者でも継続的な治療が受けやすい環境が整います。慢性疾患の管理や急な体調変化への対応を迅速化できる点も大きな特徴です。
病院内で稼働している各種医療機器の稼働状況を遠隔で監視する体制も、医療DXの一部として重要な役割を担っています。
人工呼吸器、生体モニター、輸液ポンプなど、生命維持に関わる機器の状態をリアルタイムで確認できれば、異常停止や不具合に即座に対応できます。
これにより、機器の故障による診療中断やトラブルの発生を未然に防ぐことができ、医療の安全性が高まります。保守作業や点検の効率化にもつながり、院内の技術管理体制の強化に貢献します。

リモートモニタリングは、特定の疾患や療養形態に応じて柔軟に活用されています。ここでは、代表的な活用ケースを3つ紹介します。
慢性疾患のある患者には、リモートモニタリングの導入が症状悪化の予防に有効です。
糖尿病や高血圧、慢性呼吸器疾患など、継続的な観察が必要な疾患では、患者が日々記録する血圧や血糖値、体温、呼吸数といったデータを、医療機関が遠隔で受信できます。
これにより、わずかな数値の変動にも早い段階で気づくことができ、診療のタイミングを調整しやすくなります。通院の間隔を保ちつつも、医療者とつながっている安心感が得られ、患者自身の健康意識も高まります。
在宅医療や訪問看護において、遠隔から患者の状態を把握できることは、効率的な対応に直結します。
バイタル情報や活動量、呼吸の安定性などがリアルタイムで確認できるため、訪問予定の調整や緊急対応の判断を速やかにおこなえます。
特に多くの患者を担当している訪問看護師にとっては、訪問の優先順位を判断する材料になり、無駄な移動や重複した対応を減らす効果も期待できます。患者にとっても、常に見守られているという安心感につながります。
心疾患の患者に対しては、リモートモニタリングが再発予防や重症化の抑制に役立ちます。
植込み型の心臓デバイス(ペースメーカーやICDなど)から得られる心電図データや不整脈の兆候を、医療機関が常時監視することで、異常の早期発見が可能になります。
さらに、患者は定期検診のための通院頻度を減らせるため、身体的負担の軽減にもつながります。心臓病患者にとっては、突然の発作リスクを下げながら、安定した日常生活を送るための支えとなります。

リモートモニタリングを効果的に活用するためには、いくつかの課題に対応していく必要があります。以下に主な課題とその対策についてご紹介します。
リモートモニタリングでは、患者の健康情報が継続的にネットワーク経由で送受信されるため、高度なセキュリティ対策が求められます。
データが第三者に漏洩したり、不正に改ざんされたりすれば、患者の信頼を損ねるだけでなく、医療機関にとっても重大な責任問題となります。
通信の暗号化やアクセス権限の厳格な管理、定期的なシステム監査の導入など、万全な体制を整える必要があります。また、外部ベンダーとの連携時には、取り扱うデータ範囲や管理責任の所在を明確にしておくことも重要です。
医療DXの推進には、さまざまな機器やシステム間での情報の連携が不可欠です。
電子カルテ、モニタリング機器、クラウド型データベースなどが個別に存在していても、相互にデータが共有できなければスムーズな診療や対応が難しくなります。
患者情報を正確かつタイムリーに医師や看護師が把握するためには、インターフェースの統一やデータ形式の標準化が求められます。システムごとに仕様が異なる場合は、連携ツールやAPIの活用も必要になります。
リモートモニタリングの導入には初期費用と継続的な運用コストが発生するため、経済的な判断が慎重におこなわれます。
医療機関としては、導入によってどれほど診療の質が向上し、業務負担が軽減されるのかを具体的に把握する必要があります。
一方で、導入直後は患者数や使用頻度にバラつきがあることも多く、短期的な収益効果は見えにくい傾向があります。こうした状況をふまえ、段階的な導入や自治体の補助制度の活用を視野に入れた計画が求められます。
個人の健康情報を常時取得するリモートモニタリングでは、プライバシーの確保が欠かせません。
患者の同意を得たうえでデータを取り扱うのはもちろん、情報をどう管理し、どこまで共有するのかという運用ルールを明確にすることが重要です。
特に、家族との情報共有や介護スタッフとの連携が必要な場面では、本人の意向を尊重した対応が求められます。運用方針やプライバシーポリシーを周知することにより、安心して利用できる環境づくりが進みます。
リモートモニタリングの導入には、医療従事者のITに対する理解と操作スキルが求められます。
新しいツールやシステムを導入しても、使いこなせなければ現場の混乱を招く可能性があります。医師や看護師がシステムの操作やデータの確認を円滑におこなえるよう、研修やマニュアル整備が必要です。
また、現場の意見を取り入れてシステムを改善していくプロセスも重要です。技術と医療の両面からサポート体制を整えることが、円滑な運用につながります。

リモートモニタリングは、今後さらに進化し、医療の質と効率を高める手段として期待されています。ここでは主な展望を3つご紹介します。
リモートモニタリングとAI・ビッグデータを組み合わせることで、疾患の兆候や悪化の予測精度がさらに向上します。
収集された膨大な健康データをAIが解析することで、患者一人ひとりに最適なタイミングで注意喚起や治療提案をおこなうことが可能になります。
これまで経験や勘に頼っていた判断が、数値的根拠に基づいて行われるようになるため、診療の信頼性が増します。また、異常の早期発見にもつながり、未然にトラブルを防ぐ体制の構築にも貢献します。
リモートモニタリングの情報を活用して、患者の生活習慣改善をサポートする取り組みが進んでいます。
取得したデータに基づき、日々の活動状況や体調の傾向をわかりやすくフィードバックすることで、患者自身の気づきを促すことができます。
アプリや通知機能を通じて生活習慣の改善ポイントを提示したり、必要な行動を具体的にアドバイスしたりすることで、自発的な行動が生まれやすくなります。結果として、医師の指導と患者の努力がかみ合った、継続的な健康管理が実現しやすくなります。
リモートモニタリングは、在宅医療や地域全体の医療ネットワークの中核を担う存在として注目されています。
高齢化が進む中で、地域における医療資源の効率的な活用が求められています。リモートモニタリングを活用することで、病院・クリニック・訪問看護・介護施設などが患者の情報をリアルタイムで共有し、連携した対応が可能になります。
在宅患者の状況を把握したうえで医師が遠隔で指示を出したり、訪問スタッフが適切なタイミングで介入したりすることで、地域全体で支える医療の形が整っていきます。

リモートモニタリングは、医療現場の効率化と患者の生活の質向上の両面で注目されている仕組みです。慢性疾患管理や在宅医療への活用が進む一方で、情報セキュリティや費用対効果、医療従事者のIT対応など、解決すべき課題も存在します。
今後はAIやビッグデータの活用、地域医療との連携強化などを通じて、より高度で持続可能な医療の形が求められるでしょう。導入を検討する際は、メリットと課題の両面を理解し、現場に合った運用方法を見極めることが大切です。