総務DXのメリットとは?業務効率化とコスト削減のポイント
医療
「医療DXにかかる初期費用やランニングコストを把握したい」
「医療DX導入後に期待できる業務効率や利益改善を数値で知りたい」
「医療DXツール・システムを導入するかどうか、費用対効果の観点から判断材料が欲しい」
医療DXの推進において、上記のような費用対効果の見えにくさにお悩みの方もいるのではないでしょうか。
医療DXの費用対効果には、事務コストの削減や医療の質向上にともなう患者さんの満足度向上などが挙げられます。この記事では、医療の費用対効果が見えにくい理由や実際の効果、導入事例を解説します。
費用対効果を最大化する医療DXの導入ステップもご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

医療DXの費用対効果(ROI)とは、導入投資に対して、業務効率化や収益改善といった効果がどれだけ得られたかを示す指標です。初期費用と維持費を合わせた総コストに対し、人件費の削減や患者満足度の向上といったリターンを数値で評価します。
たとえば、電子カルテ導入による待ち時間短縮の効果を金額に換算するのも1つの方法です。初期費用は高くても、長期的に見てコスト以上の価値を生み出せるかが、医療DXを成功させるポイントです。

医療DXで費用対効果が重視される背景は、以下の3つです。
1つずつ見ていきましょう。
医療DXで費用対効果が重視される背景には、国が「医療DX令和ビジョン2030」を掲げ、デジタル化を強力に推進している状況があります。医療DX令和ビジョン2030の計画のもと、各医療機関は電子カルテの導入をはじめとする、国の方針に沿ったシステム整備が求められています。
国も補助金で導入を後押ししていますが、医療DXツール・システムの導入といった投資が必要になるため、費用に見合う効果が得られるかを医療機関は慎重に判断するのが大切です。
出典参照:「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム|厚生労働省
医療機関を取り巻く経営コストの上昇と、深刻な人手不足が、費用対効果の高い医療DX化を求める要因の1つです。高齢化や物価高騰を背景に医療経営は厳しさを増しています。加えて、医療従事者の確保も困難で、限られた人員で業務をこなさなければなりません。
少ない投資で業務を効率化し、人件費削減やスタッフの負担軽減といった効果を生む医療DXが、これまで以上に重要になります。
出典参照:社会保障を支える人材を取り巻く状況 図表1-1-3医療・福祉の就業者数の推移|厚生労働省
患者さんの価値観が変わり、医療機関同士の競争が激しくなっているのも、費用対効果を意識した医療DXが必要な背景です。そのため、医療DXの推進で新たな価値を提供できないと、患者さんの足が遠のくリスクがあります。
最近の患者さんは、Web予約やオンライン診療といった利便性の高さを、病院選びの基準の1つにします。費用をかけて導入したシステムが、新規患者の獲得にどれだけつながるかといった視点が医院経営には重要です。

医療DX導入前の課題や費用対効果が見えにくい理由は、以下の4つです。
1つずつ解説します。
医療現場のIT人材不足と、職員のデジタルスキル格差が、費用対効果を見えにくくする一因です。高機能なシステムを導入しても、使いこなせる人材がいない場合、本来の効果を発揮できません。
また、一部の職員しか新しいツールを使えない状況では、院内全体の業務効率化にはつながりにくいです。
IT人材の不足やスキル格差は、投資した費用に対して十分な成果が得られず、医療DXツール・システムを導入したものの「高いだけで意味がなかった」と感じる原因になります。
医療DXは、導入時の初期費用と、その後の維持費(ランニングコスト)の両方が高額になるため、費用対効果が見えにくいです。医療DXツール・システムを導入する際、初期費用以外のコストは長期にわたって発生するため、短期的な業務改善効果だけでは、投資額を上回るリターンを実感しにくい背景があります。
医療DXツール・システムの導入には、システムの購入費や設定費に加え、月々の保守契約やライセンス料、スタッフの研修費も必要になります。総額でいくらかかるのか、事前に把握するのが大切です。
経営層のDXへの理解不足や、部署ごとにバラバラなツール導入をおこなうと、組織全体の費用対効果が見えにくくなります。医療DXツール・システムを導入する際は、医院全体の視点で持たないと、部分的な効率化にとどまり、投資に見合った効果が得られません。
たとえば、受付部門と診療部門で連携できないシステムを導入した場合、かえって情報の二重入力といった手間が増えます。全院的な医療DX戦略の欠如が、効果を限定的にする原因の1つです。
導入した医療DXツール・システムが既存の業務フローに合わないと、かえって現場の手間が増え、費用対効果を実感しにくくなります。例として、新しい電子カルテと古い検査機器が連携できず、手作業で結果を転記する必要があり、業務効率の改善にはつながりません。
既存業務との連携が困難な医療DXツール・システムでは、投資した意味があったのかと現場から不満が出るリスクもあります。

医療DXの費用対効果・メリットは、以下の3つです。
それぞれご紹介します。
医療DXは、事務作業の自動化とペーパーレス化を進め、人件費や消耗品費といったコストを削減できます。たとえば、電子カルテを導入した場合、紙カルテの保管スペースや印刷代が不要です。
また、予約システムやWeb問診は受付スタッフの電話対応や入力作業を減らし、より少人数で効率的に運営できます。医療DXの促進によるコスト削減効果は、DX投資を回収するうえで分かりやすいメリットです。
医療DXは、医療の質と患者満足度の向上を通じ、クリニックの収益アップにつながります。デジタルツールで院内の情報共有がスムーズになると、診断の精度が高まり、より安全な医療提供が可能です。
また、予約システムによる待ち時間の短縮や、分かりやすい説明は、患者さんの満足度向上にも結び付きます。満足度の高い体験は、リピート受診や良い口コミにつながるのもメリットです。
医療DXは、スタッフの働きがいを高め、人材の定着につながるといった費用対効果も生み出せます。カルテの入力やレセプト作業といった単純作業が自動化されると、医療従事者はほかの専門的な業務に集中できます。
医療DXツール・システムによって業務負担が減るのは、スタッフのストレスを和らげ、働きやすい職場環境づくりに効果的です。魅力的な職場は離職率を下げ、新たな人材確保においても良い影響をもたらす場合があります。

医療DX導入のデメリットと費用対効果を損なうリスクは、以下の2つです。
1つずつ見ていきましょう。
医療DXを進めるうえで注意点は、サイバー攻撃や人為的ミスによる情報漏洩のセキュリティリスクです。患者さんのカルテ情報が電子化されると、外部からの不正アクセスやウイルス感染の危険に晒されます。
万が一、個人情報が漏洩すると、多額の損害賠償や社会的な信用の失墜は避けられません。費用対効果を追求する以前に、経営の根幹を揺るがす事態にもなりかねないため、万全の対策が必要です。
医療DXの費用対効果を考える際は、補助金の対象外となる継続的な維持費(ランニングコスト)を見過ごしてはいけません。導入時の初期費用ばかりに目を向けていると、このランニングコストが想定以上にかさみ、長期的に見て費用倒れになるリスクがあります。
システムの保守費用やソフトウェアの年間ライセンス料は、導入後も毎年発生するため、投資効果を正しく評価するには、数年単位でかかる総費用を把握するのが重要です。

費用対効果が高い医療DXの具体例は、以下の3つです。
1つずつ詳しく見ていきましょう。
電子カルテやWeb問診を導入すると、紙の印刷代や保管費、人件費といったコストを削減でき、費用対効果を実感しやすいです。これまで当たり前だったカルテの印刷やファイリング、膨大な書類の保管スペースが不要になります。また、患者さん自身が事前にWebで問診に回答する仕組みは、受付スタッフの入力作業を減らすのに効果的です。
電子カルテやWeb問診の導入は、目に見えるコスト削減と、作業時間短縮の両面で効果を実感しやすいです。
オンライン予約やオンライン診療を導入すると、電話対応や会計業務が効率化され、人件費を抑えられる効果があります。例として、24時間自動で予約を受け付けるシステムは、スタッフの電話応対の時間を削減できます。
また、オンライン診療後の自動精算機によるキャッシュレス決済は、会計待ちの行列解消に効果的です。オンライン予約やオンライン診療はもちろん、自動精算機によって、少人数でもスムーズに受付業務を回せるようになり、スタッフがより専門的な業務に集中できる環境につながります。
院内の情報共有にチャットツールを導入すると、スタッフ間の連携がスムーズになり時間コストの削減につながります。院内チャットツールによって、これまで口頭や内線電話でおこなっていた業務連絡や確認作業を、テキストで確実かつ瞬時に共有可能です。
結果的に、伝達ミスやすれ違いが減り、スタッフが無駄に院内を移動する手間も省けるため、業務効率化や患者さんの待ち時間短縮にもつながります。

医療DXの費用対効果を最大化した成功事例は、以下の3つです。
それぞれご紹介します。
あんず薬局は、電子薬歴システムを導入し、業務効率の改善と働き方改革といった高い費用対効果を実現しています。紙の薬歴簿の保管や検索にかかっていた時間を削減し、その分を患者さんへの丁寧な服薬指導に充てられるようになりました。
また、自宅からでも薬歴を確認できるため、薬剤師のテレワークを可能にしました。コスト削減だけでなく、医療サービスの質向上とスタッフの働きがいにもつながった事例です。
出典参照:あんず薬局 入善店 | 導入事例「保険薬局編」| メディコム | ウィーメックス株式会社(旧PHC株式会社)
九段下駅前ココクリニックは、オンライン診療の活用で、遠方へ転居した患者さんの診療を継続し、費用対効果を高めています。本来、失ってしまうはずだった患者さんとの関係を維持できるのは、クリニック経営においてメリットです。患者さんにとっても、慣れ親しんだ医師の診察を受け続けられる安心感を得られます。
オンライン診療で患者さんの離脱を防ぎ、安定した収益を確保した好事例です。
出典参照:オンライン診療その他の遠隔医療に関する事例集|厚生労働省
武田病院グループは、仮想化技術と電子カルテを組み合わせ、IT管理の時間と人件費を削減しています。グループ全体のIT基盤をデータセンターに集約し、各病院からは仮想デスクトップでアクセスする仕組みです。
その結果、IT担当者が各施設を回る必要がなくなり、少人数での効率的な運用が可能になりました。仮想技術と電子カルテの活用により、セキュリティ強化と業務標準化を実現した成功事例です。

以下は、医療DX導入にかかる費用の相場とコストを抑える補助金制度の3つです。
それぞれ解説します。
医療DXの費用は、導入するシステムの種類や提供形態で変わります。院内にサーバーを設置するオンプレミス型は初期費用が高く、インターネット経由で利用するクラウド型は月額費用がかかるのが一般的です。
以下は、オンプレミス型とクラウド型の電子カルテにおける初期費用と月額料金の相場です。
初期費用の相場 | 月額利用料の相場 | |
|---|---|---|
オンプレミス型 | 約300万円〜500万円 | 約2万円~3万円 |
クラウド型 | 約10万円~100万円 | 約1万円~5万円 |
医療DXツール・システムの導入にかかる費用負担を軽くするために、国や自治体の補助金制度が用意されています。
出典参照:電子カルテ導入費用の相場と費用を抑える方法|クラウド型・オンプレ型の比較や補助金情報も|株式会社ヘンリー
IT導入補助金は、中小規模の医療機関が業務効率化を図る際に活用したい補助金です。電子カルテや予約システムといった、医療DXツールの導入費用の半分から4分の3程度が補助されます。
ただし、補助の対象となるのは、事務局に登録されたITツールに限られるため注意が必要です。自院が導入したい製品がIT導入補助金の対象に含まれているか、事前に公式サイトで確認しましょう。
出典参照:サービス等生産性向上IT導入支援事業『IT導入補助金2025』の概要|経済産業省
医療情報化支援基金は、国が定める医療DXの基盤づくりを目的に絞った補助金です。IT導入補助金と違い、オンライン資格確認や電子処方箋対応といった、国の計画に必須のシステム導入が主な対象となります。
医療情報化支援基金は、地域医療の情報連携を強化するための設備投資を国が支援する仕組みです。国の政策と連動するため、内容は随時更新される場合があります。
国の制度のほかに、都道府県や市区町村が独自におこなう補助金の活用も重要です。地域医療の充実や、遠隔医療の推進といった特定の課題解決を目的としている場合があります。
自治体独自の支援制度の情報は、自治体の公式Webサイトのほか、地域の医師会や商工会議所から発信されるケースが多いです。自院が所在する地域の支援策を一度調べてみると、意外な補助金が見つかる場合もあるため、しっかりチェックしましょう。
出典参照:自治体DXの推進|都道府県と市町村の連携によるDX推進体制|総務省

費用対効果を最大化する医療DXの導入ステップは、以下の4つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
費用対効果の高い医療DXを導入する際、院内の課題を洗い出し、「何のためにデジタル化するのか」といった目的を明確にするのが最初のステップです。「患者さんの待ち時間を減らしたい」「スタッフの残業をなくしたい」など具体的な目標を設定しましょう。目的がはっきりしていると、導入するツールが絞り込めるだけでなく、導入後の効果測定もしやすいです。
医療DXツール・システムの費用対効果を最大化させるには、関係者全員で目的を共有するのが、成功のポイントです。
目的が決まったら、導入コストと削減できる人件費などを具体的に試算し、費用対効果の高いツールを選定します。多機能で高価なシステムが、必ずしも自院に合っているとは限りません。まずは課題解決に必要な最小限の機能を持つツールを選ぶのがポイントです。
また、補助金の対象になるかや導入後のサポート体制、将来的な拡張性といった視点も持って、総合的に判断しましょう。
いきなり大規模に導入するのではなく、まず一部の部門や業務から試験的に始める「スモールスタート」で、費用対効果のリスクを抑えましょう。Web予約システムだけを先に導入し、受付業務がどれだけ効率化されたかを数値で測定するのも方法の1つです。
小さな成功体験を院内で積み重ね、その効果を共有していくと、職員の理解も得られやすくなります。効果を確認しながら段階的に範囲を広げるのが、医療DXツール・システムの費用対効果を最大化させる着実な進め方です。
導入したツール・システムを最大限活用するには、全職員への周知と、新しい仕組みに合わせた業務の見直しが欠かせません。研修会で導入したツール・システムの使い方を丁寧に説明する、マニュアルを整備するなど、職員全員がスムーズにツール・システムを使える体制を整えましょう。
また、医療DXの促進でデジタル化を図る際に、従来の非効率な業務の流れそのものを見直すのも重要です。導入するツール・システムの使用方法の周知と業務の見直しは、費用対効果を最大化させるうえで重要です。

費用対効果を意識した医療DXは、将来にわたって安定した経営を目指すための重要な経営戦略です。初期費用はかかりますが、計画的に導入した場合、人件費削減や患者満足度向上といったコスト以上の価値を生み出せます。
大切なのは、自院の課題を明確にし、目的意識をもって段階的に進める姿勢です。補助金を上手に活用し、未来の医療に対応できる体制づくりを始めましょう。