医療DXにおけるPHRとは?EHR・EMRとの違いも解説

医療DXのPHR活用事例|カルテコやお薬手帳など4選と導入法

医療DXにおけるPHRの活用は、患者さん自身が健康管理に参加し、病気を予防するうえで便利な仕組みです。この記事では、PHRの基礎知識はもちろん、PHRが活用されているサービスやアプリの具体例も解説します。PHRにおける知識を深め、医療DX推進におけるPHRの活用で役立てましょう。

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「健康情報や診療データをまとめて管理し、必要なときにすぐ確認できるようにしたい」「医療機関や介護施設との情報連携をより円滑に進めたい」「通院履歴や検査結果、薬剤情報をスマートフォンやパソコンで手軽に確認したい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

医療DXの推進においてPHRを活用することは、日々の健康管理をしやすくするだけでなく、医療の質の向上や現場業務の効率化にもつながります。本人が必要な情報を把握しやすくなることで、適切な受診や継続的な健康管理を支える点も大きなメリットです。

本記事では、PHRの基本的な仕組みをはじめ、代表的なPHRサービス・アプリの具体例をわかりやすく解説します。あわせて、医療DXにおけるPHRサービス・アプリの選び方や導入の進め方、活用時に押さえておきたい注意点についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

医療DXとPHRの概要

医療DXとPHRは、これからの医療のあり方を大きく変える重要な概念です。特にPHRは、個人が自身の健康・医療情報を主体的に管理・活用するための基盤として注目されています。従来の医療は医療機関主導で情報が管理されてきましたが、医療DXの進展により、患者自身がデータを持ち、必要に応じて共有する時代へと変化しています。

本章では、PHRの位置づけを整理しながら、医療DXとの関係性を解説します。

医療DXとは

医療DXとは、デジタル技術を活用して医療現場の仕組みや業務の流れを見直し、より質の高い医療提供を目指す取り組みです。代表例としては、電子カルテの導入、オンライン診療の普及、医療情報の共有基盤の整備などが挙げられます。単に紙をデジタルに置き換えるだけではなく、診療情報や業務データを有効活用し、医療の質向上や業務効率化、地域医療連携の強化を図る点が特徴です。

さらに、患者が必要な医療をより適切に受けられる環境づくりにもつながるため、患者中心の医療を実現する基盤として重要性が高まっています。

PHR(Personal Health Record:個人の健康・医療情報)の定義

PHRとは、個人が自分の健康情報や医療情報を主体的に記録・管理・活用する仕組みを指します。具体的には、健康診断の結果、通院履歴、服薬情報、予防接種歴、血圧や体重、睡眠、歩数といった日常の健康データなどが含まれます。これらの情報をスマートフォンやパソコン、クラウド上で一元的に管理できるため、必要なときにすぐ確認しやすい点が特徴です。

医療機関が管理する情報を見るだけでなく、本人が自ら健康状態を把握し、予防やセルフケア、受診時の情報共有に役立てられることから、近年注目が高まっています。

PHRとEMR・EHRの違い

PHR、EMR、EHRはいずれも医療情報を扱う仕組みですが、情報の管理主体と活用範囲に違いがあります。EMRは電子カルテを指し、医療機関ごとに管理される診療情報で、主に院内での診療や事務処理に活用されます。EHRは複数の医療機関や地域で共有される医療情報であり、継続的な診療や地域連携を支える仕組みです。

一方、PHRは患者本人が主体となって自身の健康・医療情報を管理し、必要に応じて活用する点が特徴です。つまり、EMRやEHRが医療機関中心の情報管理であるのに対し、PHRは患者中心の情報活用を担う存在といえます。

医療DXにおけるPHRの位置づけと役割

医療DXにおいてPHRは、患者と医療機関をつなぐ重要な情報基盤として位置づけられています。日常生活の健康データと医療機関が保有する診療情報を結びつけることで、より的確な診断や継続的な健康管理がしやすくなります。また、患者自身が自分の情報を確認・管理できるため、生活習慣の見直しや予防医療への意識向上にもつながります。

さらに、必要な情報を他の医療機関や介護施設と共有しやすくなることで、地域連携の強化や重複検査の防止にも役立ちます。このようにPHRは、医療の質向上と業務効率化の両面を支える重要な役割を担っています。

医療DXでPHR活用が必要な理由

医療DXにおいてPHRの活用が求められる背景には、医療のあり方が「治療中心」から「予防・健康管理重視」へと変化している点があります。日常的な健康データを蓄積・活用することで、病気の予兆を早期に把握し、重症化を防ぐことが可能になります。医療機関との情報共有を円滑にし、継続的なケアを実現する基盤として、その重要性はさらに高まっています。

医療DXでPHR活用が必要な理由は、以下の3つです。1つずつ解説します。

「治療」から「予防」へ医療のあり方が変わりつつある

医療DX推進でPHRが重要視される背景には、医療が病気を治すだけでなく防ぐことを重視するようになった時代の変化が理由です。個人の日々の健康データをPHRに記録・蓄積すると、AIが分析して病気の予兆を早期に発見しやすくなります。血圧のわずかな変化から、将来の心疾患リスクを予測する働きも期待されています。

医療DXにおけるPHRは、健康寿命を延ばすための予防医療に欠かせないツールです。

患者が主体的に健康管理に参加する時代になっている

医療DXのPHRは、患者さん自身が主体的に健康管理に参加する意識の高まりに応えるために必要です。自分の健康データをスマートフォンで見える化すると、日々の生活習慣を見直すきっかけになります。たとえば、食事の記録をつけて食生活を改善したり、運動の目標を立てたりしやすくなります。

医療DXにおけるPHRの活用は、医師の指示を待つだけでなく、自ら積極的に健康維持に取り組むためのツールです。

高齢化社会における生活習慣病の重症化を防ぐ

医療DXでのPHRの活用は、高齢化が進む日本において、糖尿病や高血圧といった生活習慣病の重症化を防ぐうえで重要です。患者さんが毎日の血糖値をPHRに記録し、そのデータを医師と共有すると、医師は日々の細かな変化を把握でき、重症化する前に治療方針を見直すといった早期の対応が可能になります。

医療DXでのPHRの活用は、日常的な健康管理で患者さんと医療者をつなぐ便利なツールです。

医療DXでPHRを活用する3つのメリット

PHRの活用は、患者・医療機関・社会それぞれにメリットをもたらします。患者は自身の健康情報を一元管理でき、生活習慣の改善や予防意識の向上につながります。医療機関にとっては、診療前から詳細なデータを把握できるため、診断精度の向上や業務効率化が可能です。さらに社会全体では、病気の早期発見・予防が進むことで医療費の抑制にも寄与します。PHRは医療の質向上と持続可能な医療体制の両立を支える重要な仕組みです。

患者・医療機関・社会へのメリットをそれぞれご紹介します。

【患者のメリット】自分の健康管理に主体的に関われる

医療DXにおけるPHRは、患者さんが自身の健康情報をいつでも確認でき、主体的に健康管理へ関われるのがメリットです。スマートフォンで日々の血圧や服薬状況を記録すると、自分の健康状態が見える化されるため、生活習慣を改善する意欲が湧きやすくなります。

医療DXにおけるPHRは、医師任せにせず、自ら積極的に病気の予防に参加する意識を高めるのに心強いツールです。

【医療機関のメリット】医療の質向上と業務の効率化につながる

医療機関にとってPHRは、患者さんの日々の健康データを診療に活かし、医療の質と業務効率を同時に高められるのがメリットです。来院前に患者さんの状態を詳しく把握できるため、より的確な診断や重複検査の削減につながります。

また、診察時の問診にかかる時間を短縮できるため、スタッフの負担軽減にもつながります。医療DX推進によるPHRは、より安全で質の高い医療を、効率的に提供するための基盤です。

【社会のメリット】病気の予防を進めて医療費を抑える

医療DX推進でPHRが社会に普及すると、国民1人ひとりの健康意識が高まり、国全体の医療費を抑えるきっかけにつながります。医療DXにおけるPHRの普及によって、病気になる人を減らす予防医療が社会の基本となった場合、増え続ける医療費の伸びを緩やかにするきっかけになります。

PHRによる日々の健康管理は、生活習慣病の早期発見や重症化予防に効果的な取り組みです。PHRによる健康管理や早期発見は、持続可能な社会保障制度を未来へつなぐための重要な仕組みといえます。

医療DXにおけるPHRと連携する関連技術

PHRの価値を最大化するためには、さまざまなデジタル技術との連携が不可欠です。ウェアラブル端末によるバイタルデータの自動取得や、PHRアプリによる情報の一元管理、マイナンバーカードを活用した本人認証などが代表例です。

これらの技術を組み合わせることで、日常生活から医療機関までシームレスなデータ活用が可能になります。リアルタイム性と正確性の高いデータ連携は、医療の質向上だけでなく、業務効率化や安全性の確保にも大きく貢献します。 1つずつ見ていきましょう。

【ウェアラブル端末】日々の健康を記録する

スマートウォッチのウェアラブル端末は、身につけるだけで心拍数といった健康データを自動記録し、PHRと連携する技術です。ウェアラブル端末は、これまで自己申告だった生活習慣を、客観的なデータとして蓄積できるため、医師はより正確な情報をもとに、適切な助言をおこなえるようになります。

ウェアラブル端末による継続的なデータは、病気の予兆を早期に発見するのにも役立ちます。

【PHRアプリ】スマートフォンで健康管理する

PHRアプリは、スマートフォン上で健康診断の結果や服薬履歴、日々の体調を手軽に記録・確認できる便利なツールです。複数の病院の受診歴や薬の情報も、1つのアプリでまとめて管理できます。

紙のお薬手帳を持ち歩く必要がなくなり、いつでもどこでも自分の健康情報を正確に把握可能です。PHRアプリを診察時に医師に見せるだけで、スムーズな情報共有の実現につながります。

【マイナンバーカード】本人確認に役立つ

マイナンバーカードは、PHRに記録された大切な医療情報に、本人だけが安全にアクセスするためのツールです。政府が運営するマイナポータルでは、すでにマイナンバーカードを使って自分の薬剤情報や健診結果を閲覧可能です。

今後、さまざまなPHRアプリがこの仕組みと連携すると、確実な本人確認のもとで、より安全なデータ活用が実現可能です。

医療DXで活用されるPHRサービス・アプリの具体例

医療DXで活用されるPHRサービス・アプリの具体例は、以下の4つです。

  • 【電子版お薬手帳】自分のお薬をスマートフォンで管理する
  • 【カルテコ】病院のカルテ情報を閲覧できる
  • 【マイホスピタル】医療機関との連携を助ける
  • 【NOBORI】検査画像をスマートフォンで確認できる

それぞれご紹介します。

【電子版お薬手帳】処方薬情報をスマートフォンで一元管理する

電子版お薬手帳は、薬局でもらう薬の情報をスマートフォンで管理できるPHRアプリです。薬局で受け取る明細書のQRコードを読み込むだけで、薬の名前や飲む量、回数などを自動で記録できます。

紙の手帳のように忘れたり紛失したりする心配がなく、いつでも正確な服薬情報を確認できるのがメリットです。電子版お薬手帳の場合、災害時や旅先での急な体調不良の際にも、医師や薬剤師に正しい情報を伝えられます。

出典参照:電子版お薬手帳 |厚生労働省

【カルテコ】病院のカルテ情報を閲覧できる

カルテコは、提携病院の電子カルテに記録された自分自身の診療情報を、スマートフォンで閲覧できるPHRサービスです。血液検査の結果やCTなどの検査画像、処方された薬の履歴を、いつでもどこでも確認できます。

カルテコは、自分の健康状態を正確に把握し、治療への理解を深めるのに役立ちます。家族との情報共有や、セカンドオピニオンでの活用も可能です。

出典参照:カルテコ|メディカル・データ・ビジョン株式会社

【マイホスピタル】医療機関との情報連携を支援する

マイホスピタルは、スマートフォンのアプリが病院の診察券代わりとなり、予約や会計などを一括管理できるサービスです。アプリで次回の予約の確認や、病院からの呼び出し通知を受け取れます。

また、クレジットカードを登録しておくと、会計を待たずに帰宅できる後払い会計機能も利用可能です。マイホスピタルは、患者さんの通院にかかる手間や待ち時間を減らし、医療機関との連携を円滑にするのが目的のサービスです。

出典参照:マイホスピタル|株式会社プラスメディ

【NOBORI】検査画像をスマートフォンで確認できる

NOBORI(ノボリ)は、病院で撮影したCTやMRIといった専門的な検査画像を、患者さん自身がスマートフォンで閲覧できるクラウドサービスです。これまでCD-ROMで渡されていた画像データを、Web上で安全に確認できます。自分の体の状態を画像で直接見られると、病気への理解を深められるのがメリットです。

また、NOBORIを活用すると、家族への説明や、セカンドオピニオンでほかの医師に見せる際にも簡単に共有できます。

出典参照:NOBORI|テクマトリックス株式会社

医療DXにおけるPHRサービス・アプリの選び方

PHRサービス・アプリを選ぶ際は、目的に合った機能があるか、セキュリティ対策が十分かどうかを確認することが重要です。また、自分がかかりつけの医療機関や既存システムと連携できるかも、活用の幅を左右する大切なポイントです。日々継続して使うものだからこそ、操作のしやすさや使い続けやすさも重視して選びましょう。

  • 1:自分の目的に合った機能があるか
  • 2:信頼できる運営元か、セキュリティは万全か
  • 3:医療機関や既存システムと連携できるか
  • 4:操作が簡単で、継続して使いやすいか

それぞれのポイントを詳しく解説します。

選び方1:自分の目的に合った機能があるか

医療DX推進でPHRアプリを選ぶ際は、まず「何のために使いたいのか」といった目的を明確にし、必要な機能があるかを確認しましょう。日々の健康管理が目的なら血圧や歩数を記録できる機能、服薬管理ならお薬手帳機能が必須です。

目的によって選択するPHRアプリは異なります。自分のニーズに合わない多機能なアプリは、かえって使いにくい場合もあるため注意しましょう。

選び方2:信頼できる運営元か、セキュリティは万全か

医療DXにおけるPHRは大切な個人情報を預けるため、運営会社が信頼できるか、セキュリティ対策が万全かを確認するのが重要です。医療機関や公的機関と連携しているサービスは、信頼性の1つの目安になります。

また、データが暗号化されているか、プライバシーポリシーが明確かなどもチェックしましょう。安心して自分の健康情報を任せられるサービスを選ぶのが、PHR活用の大前提となります。

選び方3:医療機関や既存システムと連携できるか

PHRの価値を最大化するには、自分が通う病院の電子カルテとデータを連携できるかどうかが重要なポイントです。手入力だけでなく、病院の検査結果や処方された薬の情報を自動でアプリに取り込むと、手間が省け、記録の正確性も高まります。そのため、連携できる医療機関が多いアプリほど、活用の幅も広いケースが多いです。

医療DX推進でPHRの導入前に、かかりつけの病院が対応しているかを確認するのがおすすめです。

選び方4:操作が簡単で、継続して使いやすいか

医療DXにおけるPHRは継続して使うのが重要なため、誰にとっても操作が簡単で、分かりやすいデザインであるかを確認しましょう。文字の大きさやボタンの配置など、直感的に使えるアプリは、日々の記録を続けるモチベーションになります。

また、操作方法が分からないときに、すぐに調べられるヘルプ機能や問い合わせ窓口があると安心です。活用するPHRを選ぶ際は、長く付き合える自分にとって使いやすいサービスを見つけるのがポイントです。

医療DXにおけるPHRの導入・活用の進め方

医療DXでPHRを効果的に活用するためには、単にシステムを導入するだけでなく、段階的な運用設計と現場への定着が重要です。特に医療機関では、業務フローやスタッフの役割、患者対応など多くの要素が関係するため、計画的に進める必要があります。

また、患者さん側の理解と協力も不可欠であり、院内だけで完結する取り組みではありません。小さく始めて改善を重ねることで、無理なくPHRを活用できる体制を構築できます。

ここでは、医療DXにおけるPHR導入・活用の具体的な進め方を解説します。

進め方1:導入目的と解決したい課題を院内で明確にする

医療機関がPHR関連サービスを導入する最初のステップは、「何のために導入するか」といった目的を院内で明確にすることです。「患者満足度を高めたい」「予約業務を効率化したい」など、具体的なゴールを設定しましょう。

目的がはっきりすると、導入するシステムの機能や、導入後の効果を評価する基準も定まります。PHRの活用を始める際は、スタッフ全員で目的を共有するのが、プロジェクトを成功させるうえで大切です。

進め方2:スタッフへの説明と協力体制・運用フローを構築する

医療DX推進において、PHR関連システムの導入を成功させるには、現場スタッフへの丁寧な説明と協力体制の構築が不可欠です。新しいツールの導入は、一時的に業務の負担が増えるため、目的やメリットが伝わっていないと、職員の抵抗感を生みかねません。

誰がどの役割を担うのかといった運用ルールを事前に決めておくと、スムーズなPHRの導入につながります。

進め方3:患者さんへの案内方法とサポート体制を準備する

患者さんにPHRを積極的に使ってもらうには、院内での丁寧な案内とサポート体制の準備が必要です。たとえば、オンライン予約の操作方法を説明したポスターの掲示や、アプリの登録を手伝う専門スタッフの配置が挙げられます。

とくに高齢の患者さんや、スマートフォンの操作に不慣れな方への配慮が、PHRの利用率を高めるポイントになります。PHRを始める際は、安心して使ってもらえる環境づくりを事前におこなうのが大切です。

進め方4:スモールスタートで運用を開始して改善を続ける

医療DXにおけるPHR関連システムは、まず予約機能だけといった、一部の業務で試験的に導入するスモールスタートがおすすめです。小規模で始めると、現場の混乱を最小限に抑えながら、実際の運用で見えてきた課題を改善できます。

スモールスタートで得られた成功体験やノウハウをもとに、徐々に対象範囲を広げていきましょう。段階的な運用は、着実に院内へPHRを定着させる始め方です。

医療DXのPHR導入・活用における3つの課題

PHRの導入・活用には、いくつかの課題が存在します。特に重要なのが、個人情報を扱う上でのセキュリティ確保とプライバシー保護です。また、医療機関ごとに異なるシステムやデータ形式が情報連携の障壁となるケースも多く見られます。さらに、導入コストや運用体制の整備も大きな負担となり、特に中小規模の医療機関ではハードルが高いのが実情です。

これらの課題を踏まえた上で、段階的かつ現実的な導入が求められます。 それぞれの課題をご紹介します。

個人情報を守るセキュリティとプライバシー

医療DX推進におけるPHR普及の課題は、個人の病歴といった重要な情報を、どのように守るかといったセキュリティ問題です。厚生労働省の調査でも、多くの人が個人情報が漏れてしまうことへ不安を感じています。

以下は、PHRの利用で個人情報が漏れてしまうことへの不安を調査した結果です。

出典参照:民間PHRサービスの現状と課題に係る調査等について|厚生労働省

上記のグラフから要介護者や治療中の患者さんのほうが健常者と比べて、個人情報漏洩に対する不安を強く感じているのが読み取れます。

個人情報漏洩の不安を解消し、患者さんが安心してPHRを利用するには、国や事業者が協力して、データを安全に管理する厳重な仕組みを構築する必要があります。徹底したセキュリティ対策による信頼の確保は、医療DX推進におけるPHRの普及に向けて重要な取り組みです。

病院ごとにバラバラなシステムとデータ形式

医療DXのPHRが役立つためには、病院ごとにシステムやデータ形式が異なり、情報連携がスムーズにおこなえない現状が課題です。せっかくPHRアプリを持っていても、通院するすべての病院のデータを取り込めない場合、情報は分断されます。

医療DX推進でPHRを活用するために、国が進める電子カルテの標準化を推進し、情報の分断を解決する必要があります。

導入にかかるコストと院内の運用体制づくり

医療機関にとっては、医療DX推進でPHRを導入するにはシステム開発といった費用と、院内の運用体制を整えるのが課題です。とくに中小規模のクリニックでは、新しい業務が増えることによる現場スタッフの負担増が懸念されます。

誰が患者さんからのPHRデータを管理し、どう診療に活かすのかといった、明確なルール作りも必要です。PHRの導入コストを抑えつつ、現場が混乱しない仕組みをどう作るかが、普及に向けたポイントといえます。

医療DXにおけるPHRのセキュリティとは

PHRでは個人の健康・医療情報を扱うため、セキュリティ対策が極めて重要です。国は「3省2ガイドライン」を策定し、データ管理や運用に関する基準を示しています。具体的には、通信の暗号化や二要素認証による本人確認、不正アクセス防止などの技術的対策が求められます。

また、データ利用においては本人の同意(オプトイン)を徹底し、透明性のある運用が必要です。安全性と利便性を両立させることが、PHR普及の鍵となります。PHRのセキュリティ対策について1つずつ見ていきましょう。

厚生労働省・総務省・経済産業省により「3省2ガイドライン」が策定されている

医療DX推進におけるPHRの安全な運用のため、国は厚生労働省・経済産業省・総務省が連携した「3省2ガイドライン」といった統一ルールを定めています。これは、医療情報を扱う事業者や医療機関が守る情報管理の基準を示したものです。患者さんが安心してPHRを利用できるよう、データの取り扱いに関する厳格な決まりが設けられています。

3省2ガイドラインを守るのは、信頼されるPHRサービスの絶対条件です。

出典参照:医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン(METI/経済産業省)

通信の暗号化や厳格な本人確認による不正アクセスを防止する

医療DX推進におけるPHRのセキュリティでは、通信の暗号化と厳格な本人確認で、不正アクセスを防止するのが効果的です。データを送受信する際は、中身が分からないように暗号化し、第三者による盗み見を防ぎます。

また、ログイン時にはID・パスワードに加えてスマートフォンに通知が届く二要素認証をおこない、本人以外がアクセスできないようにできます。PHRのセキュリティ対策では、多層的な対策をおこない、大切な健康情報を守りましょう。

データ利用に関する本人の同意取得(オプトイン)を徹底する

医療DXにおけるPHRのプライバシー保護では、データを利用する前に本人の明確な同意を得るオプトインが徹底されています。勝手に情報が使われるのではなく、「この目的でデータを利用しても良いですか」といった問いに、本人が「はい」と答えて初めて利用が可能になる仕組みです。

医療DXにおけるPHRの活用では、利用目的や範囲を事前に分かりやすく説明し、患者さん自身が納得して情報を提供するのが大前提となります。

医療DXでPHRを活用する際の注意点

医療DXでPHRを活用する際の注意点は、以下の3つです。

  • 国が定める安全管理のルールを守る
  • 患者さんへの十分な説明と同意を得る
  • 既存システムとスムーズに連携できるか確認する

それぞれご紹介します。

国が定める安全管理のルールを守る

医療DX推進でPHRを導入する際は、国が定める医療情報の安全管理に関するガイドラインを守るのが大前提です。国が定めるガイドラインは、患者さんの大切な情報を守るためのもので、違反すると法的な責任を問われかねません。

医療DX推進で導入を検討しているPHRサービスが、ガイドラインに準拠しているかを必ず確認しましょう。信頼できるサービスを選ぶのが、医療機関自身のリスク管理にもつながります。

患者さんへの十分な説明と同意を得る

医療DX推進でPHRのデータを診療に活用する際は、必ず事前に患者さんへ十分な説明をおこない、明確な同意を得る必要があります。どのような情報を、何のために利用するのかを丁寧に伝え、患者さんの不安を取り除くのが大切です。

一方的な情報利用は、信頼関係を損なう原因になりかねません。患者さん自身に納得してもらったうえで協力をお願いする姿勢が、医療DX推進でPHRを円滑に運用していくうえで必要です。

既存システムとスムーズに連携できるか確認する

医療DX推進でPHRサービスを選ぶ際は、院内の既存システムとスムーズに連携できるかの技術的な確認が欠かせません。電子カルテと連携できない場合、結局スタッフが手入力する手間が発生し、業務効率化につながりません。

医療DX推進で導入したいPHRサービスが、自院で使っているシステムとの連携実績があるか、事前に事業者へ確認しましょう。データが自動で流れる仕組みを作るのが、PHR活用の効果を最大化させます。

【まとめ】医療DXでPHRを活用し自分の健康を管理しやすい社会をつくろう

医療DXにおけるPHRの活用は、患者さん自身が健康管理の主役となり、より質の高い医療を受けられる社会に向けた重要な取り組みです。自分の健康情報をいつでも確認できると、生活習慣の改善や病気の予防意識が高まります。

セキュリティ対策の課題を乗り越え、医療機関との連携が進んだ場合、さらなるPHRの効果発揮が期待できます。

医療DX推進におけるPHRを通じて、誰もが自分の健康に責任を持ち、安心して暮らせる社会を実現しましょう。

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