不動産DXの電子申込システムを導入するメリットと注意点

不動産DXを促進するにあたって、電子申込は比較的導入しやすいツール・サービスです。また、業務時間の短縮やミスの削減といった効果も実感しやすいです。この記事では電子申込システムを導入するメリットと注意点、導入事例を解説しています。内容を参考に、不動産DXにおける電子申込ツール・サービスの活用を始めましょう。

「不動産DXで電子申込を活用する際の、具体的な仕組みや導入方法を知りたい」

「不動産DXを活用して、紙や対面での契約手続きを効率化したい」

「不動産DXで導入する電子申込ツール・サービスの比較や費用感を把握したい」

不動産DXに取り組むにあたって、電子申込ツール・サービスの導入を考えている方のなかには、上記のお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

電子申込ツール・サービスの活用により、業務効率化や顧客満足度向上、紙代や印刷代、郵送費などのコスト削減につながります。

この記事では、電子申込ツール・サービスを導入するメリットや注意点を解説しています。電子申込ツールサービスを導入した企業の成功事例や、電子申込での取引の流れもご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

不動産DXの電子申込とは?

不動産DXにおける電子申込とは、賃貸契約の申込をWeb上で完結させる仕組みです。契約にかかる時間や場所の制約がなくなるため、入居希望者の利便性を高められるのが特徴です。紙の申込書を手書きし、店舗へ持参する必要がなく、スマートフォンやパソコンから手軽におこなえます。

また、不動産会社側も電子申込の活用によって入力内容をそのままデータ化でき、書類作成や確認作業を効率化できます。IT重説や電子契約との連携もスムーズになるため、業務全体のDX推進に重要なステップです。

従来の「紙の申込書」が抱える課題

紙の申込書での手続きは、業務全体のスピードや正確性を損ねるのが課題です。紙の申込書は手書きによる記入ミスや修正、身分証のコピー提出、郵送の手間などで時間や費用がかかります。不動産会社側も文字の読み取りや再入力、内容不備の確認連絡に時間を取られます。

また、紙の書類は保管スペースを必要とし、紛失や情報漏洩のリスクもあるため、紙の申込書は、入居希望者にも不動産会社にも負担がかかる仕組みです。

電子申込で何が変わるのか?

電子申込を導入すると、賃貸申込にかかる手間や時間の削減につながります。入居希望者は、スマートフォンやパソコンからいつでもどこでも申込が可能です。

不動産会社側も、電子申込によって申込情報をそのままデータとして扱えるため、転記作業やミスが減り、業務を効率化できます。保証会社との連携もオンライン上でスムーズに進むため、審査結果までの時間も短縮されます。

電子申込の活用で業務全体のスピードや正確性、顧客満足度を向上させましょう。

電子契約やIT重説との違い

電子申込と電子契約、IT重説は、以下のようにそれぞれ異なる目的と役割を持つ手続きです。

  1. 電子申込:入居希望者が「この物件を借りたい」といった意思を示し、必要な情報をWeb上で送信する
  2. IT重説:宅建士がビデオ通話で、契約前に物件の重要な情報や注意点をオンラインで説明する
  3. 電子契約:内容をすべて確認したうえでWeb上で正式に契約を結ぶ

電子申込、IT重説、電子契約は、契約手続きの各ステップであり、それぞれの段階を通じて、来店不要で手続きが完了できます。

不動産DXにおける電子申込の5つのメリット

不動産DXで電子申込を導入するメリットは、以下の5つです。

  • 申込対応のスピード向上により機会損失を防げる
  • 記入ミスや確認の手間が減る
  • ペーパーレスでコスト削減と情報管理を効率化できる
  • 営業や事務の負担を軽減できる
  • 申込者の負担軽減が顧客満足度向上につながる

1つずつ解説します。

申込対応のスピード向上により機会損失を防げる

電子申込を導入した場合、申し込みから審査までの全体的なスピードが上がり、空室の機会損失を削減できます。たとえば、電子申込によって従来の郵送や手渡しにかかる時間を削減可能です。

また、保証会社との連携も自動化でき、申し込みから審査までの対応スピードが上がり、入居者の目移り防止につながります。電子申込は、入居希望者の取りこぼし防止に加えて、成約率や空室対策にも効果的です。

記入ミスや確認の手間が減る

電子申込のシステム導入により、記入ミスや確認の手間を削減し、審査までの対応を迅速化できます 。電子申込のシステムには、必須項目への入力チェックや未入力や誤入力を防ぐ文字補正機能があります。そのため、紙書類にありがちな書き損じや、読みにくい文字が原因の確認連絡も不要です。

電子申込の機能によって正確な情報が最初から揃うと、審査や契約手続きへのスムーズな移行が可能です。さらに、電子申込システムの導入で紙から電子共有への切り替えた場合、顧客とのトラブル削減にもつながります。

ペーパーレスでコスト削減と情報管理を効率化できる

電子申込システムの導入により紙を使わなくなることで、コスト削減と情報管理の効率化につながります。たとえば、電子申込で紙の申込書が不要になると、印刷や郵送にかかる費用が発生せず、保管スペースも不要です。

また、申込データはデジタルで管理されるため、検索や共有がスムーズで、紛失や情報漏洩のリスクも抑えられます。業務効率化と同時に、セキュリティ面でも安心して運用できる環境が整うのが、電子申込の強みです。

営業や事務の負担を軽減できる

電子申込は、営業や事務スタッフの作業負担を減らせます。たとえば、手書きの申込書を読み取り、システムに入力し直す作業が不要になり、社員の負担軽減が可能です。

また、電子申込システムの導入によって、スタッフは接客や物件提案などの業務に集中できるようになると、業務全体の効率と生産性を向上できます。電子申込ツール・サービスを導入し、入力や確認、修正にかかる時間と手間を削減して、社員の負担軽減と業務効率化を図りましょう。

申込者の負担軽減が顧客満足度向上につながる

電子申込を活用した場合、申込者の負担が軽減し、顧客満足度の向上につながります。たとえば、電子申込はスマートフォンやパソコンからいつでも申込できるため、来店や郵送の手間が省けます。

申込作業にかかる時間が短くなることで、手続きの煩わしさが減り、スムーズな対応に対して好印象を持ってもらいやすいです。電子申込による顧客の利便性を高める取り組みは、他社との差別化にもつながり、集客や成約にも良い影響を与えてくれます。

不動産DXにおける電子申込システム・ツール

以下は、不動産DXにおける代表的な電子申込システムです。

  • 申込受付くん
  • いえらぶサイン
  • GMOサイン

各電子申込システムの特徴や費用を見ていきましょう。

申込受付くん

申込受付くんは、入居申込から審査までをWebで一元管理できる不動産DXツールです。入居者が入力した情報は、即時に関係者へ共有され、審査の進行状況もリアルタイムで確認が可能です。リアルタイムの進行状況がわかるため、申込対応の遅れを防ぎ、入居希望者のモチベーション維持につながります。

約80社の大手保証会社と連携しており、業務スピードと精度の向上に役立ちます。

料金は月額制で、詳細は問い合わせによる見積もりが必要です。

出典参照:申込受付くん |イタンジ株式会社

いえらぶサイン

いえらぶサインは、申込から契約完了までをすべてオンライン化できる電子契約システムです。基幹システムいえらぶBBとの連携で契約書を自動作成できるため、事務作業を効率化できます。

賃貸契約だけでなく売買契約にも対応しており、物件管理や更新契約、原状回復の手続きといった幅広い不動産業務におすすめです。料金は機能や会社の規模によって異なり、導入前に見積もりが必要です。

出典参照:いえらぶサイン|株式会社いえらぶGROUP

GMOサイン

GMOサインは、不動産業界でも広く活用されている電子契約サービスです。本人確認の精度が保たれた実印タイプの電子署名に対応しており、売買契約や管理委託契約といった重要な契約にも安心して使えるのが特徴です。

料金は月額9,680円(税込)と送信ごとの文書費用がかかりますが、無料プランもあるため、まずは試してから本格的な導入を検討するのがおすすめです。

出典参照:GMOサイン|GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社

出典参照:料金プラン|電子印鑑GMOサイン | 導入企業数No.1の電子署名・電子サイン・電子契約サービス|GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社

不動産DXの電子申込を導入した成功事例

以下は、不動産DXの電子申込を導入した成功事例です。

  • FAXの送付や資料作成の業務削減|株式会社パナホーム兵庫
  • 1時間かかっていた申込作業を10分程度に短縮|株式会社富士建設工業新宿支店
  • 電子申込システムの導入で業務効率がアップ|株式会社絹川商事

各事例を導入効果にも触れて解説します。

FAXの送付や資料作成の業務削減|株式会社パナホーム兵庫

株式会社パナホーム兵庫では、電子申込システムの導入により、個人契約の約8割が電子化され、FAX業務に関する課題を解消しています。以前はFAXの不鮮明な文字や画像により、再確認の連絡が頻繁に必要でした。しかし、電子申込システムの導入によって情報の精度が上がり、添付漏れのリスクが軽減しました。

申込内容や添付書類の確認作業の手間がなくなると、スタッフはほかの業務に集中しやすくなり、今まで手が付けられなかった業務もおこなえる状況に改善した事例です。

参照元:業者間物件流通サービス リアプロBBの導入事例|不動産BBと電子入居申込機能を導入後、はるかに業務効率が上がりました!|日本情報クリエイト株式会社

1時間かかっていた申込作業を10分程度に短縮|株式会社富士建設工業新宿支店

株式会社富士建設工業新宿支店では、電子申込システムの導入によって、従来の申込作業にかかっていた時間を「約1時間」から「約10分」にまで短縮しました。とくに効果があったのは、必須項目を入力しないと次に進めない仕組みにより、書類不備の確認作業が不要になった点です。

また、電子申込によって保証会社との連携もWeb上でおこなえるため、遠方の申込者ともスムーズに手続きが進められます。結果的に、各担当者の進捗も共有しやすくなり、業務全体の効率が向上しました。

参照元:お客様ファーストでIT化を推進し、内見予約くんと申込受付くんを導入! 株式会社富士建設工業新宿支店様|ITANZINE(イタンジが運営するウェブメディア イタンジン)イタンジ株式会社

電子申込システムの導入で業務効率がアップ|株式会社絹川商事

株式会社絹川商事は、電子申込システムの導入により業務効率を高め、繁忙期の残業時間削減を実現しています。以前はFAXの文字が読みにくく、不備確認に時間がかかっていました。しかし、電子申込に切り替えてやり取りがスムーズになったため、残業時間削減に成功しました。

また、電子申込システムの導入により、遠方の顧客もオンラインで申込手続きが完了できるため、対応の幅が広がり顧客満足度も向上しています。結果的に、スタッフがゆとりを持って働ける環境が整えられています。

参照元:スマート申込│不動産賃貸入居申込書のWeb受付システム|アットホーム株式会社

不動産DXを促進する電子申込システムの選び方

不動産DXを促進する電子申込システムの選び方は、以下の3つです。

  • IT導入補助金を適用可能な電子申込システムを選ぶ
  • 既存システムと連携できるか考慮して選ぶ
  • 電子申込システムが対応できる業務範囲を事前に確認する

1つずつ解説します。

IT導入補助金を適用可能な電子申込システムを選ぶ

電子申込システムを導入する場合は、IT導入補助金の対象ツールを選ぶのがおすすめです。IT導入補助金は、国が中小企業のIT化を支援する制度で、導入費用や月額料金の一部が補助されます。

費用の負担が軽くなるため、コスト面の不安は解消しやすいですが、すべてのツールが対象ではありません。補助金の対象になるには、提供会社が事前に登録されている必要があります。導入を検討する際は、公式情報を確認してから進めましょう。

出典参照:サービス等生産性向上IT導入支援事業『IT導入補助金2025』の概要|中小企業庁

既存システムと連携できるか考慮して選ぶ

電子申込システムを選ぶ際は、既存の物件管理システムと連携できるかを確認するのが重要です。電子申込システムの導入で情報をデジタル化しても、効率化につながらなければ意味がありません。

既存のシステムと新しいシステム同士が連携できないと、入力作業が重複して手間も増える場合もあります。そのため、電子申込システムを選ぶ際は、API連携に対応しているかどうかを事前に調べておくのが大切です。

電子申込システムが対応できる業務範囲を事前に確認する

電子申込システムの導入時は、そのツールがどこまでの業務をカバーできるかを事前に確認しましょう。電子申込システムのなかには、申込受付だけでなく、保証会社との連携や契約書の電子化、IT重説なども対応可能なものもあります。

活用する機能が不足していると、一部を紙や手作業で補う必要があるなど、手間が残ってしまう場合もあります。電子申込システムを選ぶ際は、自社の業務フローに合わせて、必要な機能がすべて揃っているかを見極めるのがポイントです。

不動産取引における電子申込の流れ

以下は、不動産DXの電子申込における不動産取引の流れです。

  1. 入居希望者によってオンライン申込がある
  2. 申込情報の確認と保証会社への審査を依頼する
  3. IT重説(重要事項説明)を実施する
  4. 電子契約書の作成と送付をおこなう
  5. 関係者による電子署名をおこなう
  6. 契約完了後はデジタル上で安全に保管する

順番に見ていきましょう。

入居希望者によってオンライン申込がある

電子申込は、入居希望者がスマートフォンやパソコンを使って申込情報を入力するところから始まります。入居希望者は、不動産会社から届いたURLにアクセスし、名前や連絡先、勤務先などの必要項目を順番に入力します。

その際、身分証といった書類も、スマートフォンで撮影した画像をそのままアップロードできるため、コピーや郵送は不要です。

申込情報の確認と保証会社への審査を依頼する

電子申込によって申込が完了すると、不動産会社はシステム上で情報を確認し、保証会社へ審査を依頼できます。入力されたデータは自動で反映されるため、紙の書類を手作業で転記する必要はありません。

入力情報に不備がないかをチェックしたあとは、画面上の操作だけで審査依頼がおこなえます。

IT重説(重要事項説明)を実施する

保証会社の審査を通過したら、IT重説としてWeb会議システムを使った重要事項の説明が可能です。Web会議で宅地建物取引士が画面越しに契約内容を丁寧に説明できるため、入居希望者は契約内容をしっかり理解したうえで手続きを進められます。

また、入居希望者は自宅や好きな場所からWeb会議に参加できるため、来店する必要がありません。結果的に、社員や入居希望者の移動時間の削減や柔軟なスケジュール調整が可能になります。

電子契約書の作成と送付をおこなう

電子申込では、IT重説のあとに電子契約書の作成と送付をおこないます。電子申込システムを活用した場合、申込時に入力された情報は、自動で契約書に反映されるため、内容を最初から作る必要がありません。

電子契約で完成した契約書は、入居者だけでなく連帯保証人や物件オーナーにも、メールを通じて一括で送付されます。

関係者による電子署名をおこなう

電子契約のあとに契約書が届いたら、関係者全員が画面上で内容を確認し、電子署名をおこないます。電子申込システムを活用している不動産会社の場合、入居希望者はスマートフォンやパソコンを通して、表示された内容に問題がなければ、承認ボタンをクリックするだけで署名が完了します。

契約完了後はデジタル上で安全に保管する

電子署名がすべて完了すると契約は正式に成立し、その契約書はクラウド上で安全に保管されます。紙のように物理的に保管場所を確保する必要がなく、契約書の紛失や破損の心配もありません。

また、クラウド上で保管された契約書は、必要なときにすぐに検索して閲覧できるため、管理業務がスムーズになります。電子申込システムには、セキュリティ対策も講じられてるため、安心して運用できます。

不動産DXの電子申込システム・ツールを導入する際の注意点

不動産DXで電子申込を導入する際の注意点は、以下の3つです。

  • システム導入と運用にコストがかかる
  • 今までの仕事の進め方を変える必要性がある
  • デジタルが苦手な顧客への配慮をおこなう

それぞれ解説します。

システム導入と運用にコストがかかる

電子申込システムを導入するには、初期費用や月額利用料が必要です。システム導入後も、保守費用やアップデート対応、職員向けの研修など運用にかかるコストが継続します。

電子申込システムの費用は導入規模や機能によって異なるため、削減できる人件費と比較して、費用対効果を事前に試算するのが重要です。電子申込システムの導入はコストだけでなく、将来の経営改善を見据えた投資と考えましょう。

今までの仕事の進め方を変える必要性がある

電子申込システムを活用する場合は、従来の業務フローを見直す必要があります。たとえば、申込情報の確認方法や承認の流れ、他部署との情報共有などをシステムに合う形で整理し直さなければなりません。

これまでのやり方に慣れているスタッフほど変化に戸惑う場合があるため、電子申込システムを導入する前に業務内容を明確にし、スタッフに共有しておくのが大切です。あわせて新しい手順にそったマニュアルの整備もおこないましょう。

デジタルが苦手な顧客への配慮をおこなう

電子申込を導入する際には、デジタル機器に不慣れな方への配慮が必要です。たとえば、スマートフォンやパソコンの操作が困難な高齢者にとって、完全オンライン化は申込のハードルとなりかねません。

デジタル機器に不慣れな方でも申込ができるように、紙の申込書も用意する、または窓口でスタッフが入力を補助するなどの対応が求められます。電子申込システムや紙の申込書を組み合わせて、誰でも安心して利用できる体制を整えましょう。

不動産DXの電子申込を成功させるポイント

不動産DXで電子申込を成功させるポイントは、以下の5つです。

  • 目的と課題をはっきりさせる
  • 自社に合うツールを比較・選定する
  • 新しい運用ルールを決める
  • 小さく始めて社内に広める
  • 効果測定と改善を続ける

1つずつご紹介します。

目的と課題をはっきりさせる

電子申込の導入を成功させるには、導入する目的と現状の課題を明確にするのが大切です。「申込処理の手間を〇%減らす」といった数値目標を設定すると、効果も測定しやすくなります。

また、現場スタッフの声を聞きながら、紙書類や入力作業にどのような無駄があるのかを具体的に洗い出すのも重要です。目標と課題を社内で共有し、電子申込システムの導入をスムーズに進められる準備をしましょう。

自社に合うツールを比較・選定する

電子申込を導入する目的が定まったら、自社に合った電子申込のツールを慎重に選ぶのが重要です。機能や費用だけでなく、使いやすさやサポート体制、ほかのシステムとの連携がスムーズかも確認しましょう。

導入実績の豊富さも、電子申込を安心して使用するうえで大切なポイントです。電子申込のシステム・ツールごとに無料トライアルを活用するなど、実際の操作感を事前に確かめましょう。

新しい運用ルールを決める

電子申込システムの導入にあわせて、現場に合った運用ルールを整備しましょう。たとえば、「誰が申込内容を確認するか」「いつ保証会社に審査を出すか」といった具体的な業務手順を明確にしておきます。そのうえで、現場スタッフが理解できるマニュアルを作成し、事前に研修で周知しておきましょう。

事前に新しい運用ルールを現場スタッフに周知しておくと、電子申込を導入したあとの混乱を防ぎ、業務がスムーズに進められます。

小さく始めて社内に広める

電子申込システムの導入は、まず一部の部署や店舗で小さく始めるのが効果的です。いきなり全社展開を目指すよりも、試験的に導入するほうがリスクを抑えられます。

もし電子申込を実際に使ってみるなかで課題が見つかれば、その都度改善していくのが重要です。また、「業務が早くなった」といった声を社内で共有すれば、ほかの部署も前向きに協力してくれるような環境を作りやすくなります。電子申込を導入する際は、段階的に進めていきましょう。

効果測定と改善を続ける

電子申込を導入したあとは、最初に設定した目的と企業の課題に対してどれだけの成果を得られたのか、効果を測定して改善を重ねるのが大切です。たとえば、「申込処理時間がどれだけ短縮されたか」を、具体的な数値目標をもとに評価できます。

あわせて、電子申込を活用する現場スタッフの声や入居希望者の反応も集めましょう。現場スタッフや入居希望者の声や反応、具体的な効果をもとに、運用ルールやシステム設定を見直すのがポイントです。電子申込を導入して終わりではなく、使いながら改善していき、効果を最大化させましょう。

【まとめ】電子申込から不動産DXを始めよう

電子申込は、不動産DXのなかでも効果を実感しやすく、最初のステップとしておすすめな取り組みです。不動産会社の業務効率化と、入居希望者の利便性向上を実現でき、双方にとってメリットがあります。

電子申込の効果を最大限に引き出すには、この記事でお伝えした目的設定やツール選定、計画的な導入が大切です。

まずは自社の申込業務のどこに課題があるのかを洗い出すところから始めてみましょう。