不動産DXによる自動追客とは？メリットや成功のポイントも解説

「不動産DXで問い合わせや反響に対して、自動でメールやLINEなどでフォローできる仕組みを導入したい」

「不動産DXで追客漏れや対応遅れを防ぎ、反響からの成約率を上げたい」

「不動産DXを活用した自動追客ツールの機能や費用、他社の導入事例を知りたい」

不動産DXで自動追客したいと考えている方のなかには、上記のようなお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

不動産DXで自動追客をおこなうと、問い合わせに即時対応できるため機会を逃さない、対応漏れや見込み客の放置を防ぐ、営業活動の見える化により接客対応の質を均一にするなどのメリットがあります。この記事では、不動産DXで自動追客をおこなうメリットや、成功させるポイントを解説しています。

不動産DXで自動追客に成功した企業事例も紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

不動産DXによる「自動追客」とは？

不動産DXによる自動追客とは、見込み客に対しておすすめなタイミングで自動的に情報を届ける仕組みです。見込み客との接点を切らさず、来店や契約につなげやすくなるのが魅力です。

たとえば、顧客のWebサイトでの行動や過去の問い合わせ履歴を分析し、どの物件に興味があるかを把握して配信内容を調整できます。結果、個別対応のような丁寧さを保ちながら、担当者の負担を軽減できます。顧客対応を効率化しつつ、成約率向上につながる重要なDX施策です。

MAツール・CRMとの関係

不動産DXにおける自動追客は、CRM・SFA・MAの3つのツールが連携して初めて効果を発揮できます。

各ツールは以下の役割を担います。

• CRMは顧客情報の管理
• SFAは営業活動の進捗管理
• MAが自動でメールや情報を届ける

CRM・SFA・MAの3つのツールをAPIでつなげると、見込み客1人ひとりに合った対応が可能です。

CRM・SFA・MAが連携すると、見込み度がある人には来店を促す案内を、あまりない人には物件の紹介を送るなど、状況に応じたアプローチが自動でおこなえます。ツールを分断せず一体で活用するのが成功のポイントです。

不動産業界の追客における従来の課題

これまでの不動産業界の追客における課題は、以下の4つです。

• 対応の遅れによる機会損失がおきていた
• 接客対応の質にばらつきがあった
• 顧客の検討状況が不明確なままでアプローチせざるを得なかった
• 手作業による非効率な追客業務をおこなっていた

1つずつご紹介します。

対応の遅れによる機会損失がおきていた

対応の遅れは、見込み客を他社に奪われる原因です。とくに不動産を探している顧客は、複数の会社へ同時に問い合わせており、最初に連絡をくれた会社と話を進める傾向があります。

たとえば、営業時間外の問い合わせに即対応できないと、せっかくのチャンスを逃してしまいます。しかし、自動追客を活用した場合、24時間365日いつでも一次対応をおこなえるため、このような機会損失を防ぎ、顧客とのつながりを確保可能です。スピードが重視される現代において、自動追客は機会損失を防ぐためにも重要な役割です。

接客対応の質にばらつきがあった

手作業による追客は、担当者の経験や知識に左右されます。追客の頻度や内容も人それぞれで、顧客対応に一貫性がなくなるケースが見られました。顧客情報が個人で管理されており、共有がうまくいかず、組織全体の資産として活用できないといった問題もありました。

自動追客を使うことで、誰が対応しても一定の品質が保たれた接客が可能です。情報の一元管理も進み、組織力を高めるのにもつながります。

顧客の検討状況が不明確なままでアプローチせざるを得なかった

顧客の興味や検討度合いが分からないまま、同じような連絡を全員に送るのは非効率です。顧客が実際にどの物件をどれくらい見ているかが分からないと、的外れなアプローチになってしまい、顧客にとって負担になりかねません。

自動追客では、Webでの行動履歴をもとに検討状況を把握し、一人ひとりに合った対応が可能です。必要な情報を適切なタイミングで届けるのは、スムーズな関係構築につながります。

手作業による非効率な追客業務をおこなっていた

従来の追客は、メール作成や電話対応などをすべて手作業でおこなう必要があり、社員の負担となっていました。特定のテンプレートもないまま、営業担当者が1件ずつ対応するため、時間と労力が奪われる原因になります。

また、定型業務が積み重なると、接客や交渉などのほかの業務に手が回らなくなります。自動追客は単純作業を効率化し、スタッフがほかの業務に集中できるようサポートするため、社員の生産性向上に効果的です。

不動産DXで自動追客を導入する5つのメリット

不動産DXで自動追客を導入するメリットは、以下の5つです。

• 問い合わせに即時対応できるため機会を逃さない
• 対応漏れや見込み客の放置を防ぐ
• 営業活動の見える化により接客対応の質を均一にする
• 顧客の熱意に合わせてアプローチを自動化する
• 営業の負担を軽減し重要な仕事に集中できる

詳しく見ていきましょう。

問い合わせに即時対応できるため機会を逃さない

問い合わせにすぐ対応できる自動追客は、大切なビジネスチャンスを逃さない重要な仕組みです。顧客が複数の会社に同時に問い合わせた場合、最初に返事をした会社に好印象を持ちやすいです。

自動追客は、夜間や休日でも自動で初回対応をおこなえるため、良い第一印象につなげられます。営業担当者が不在でも、見込み客とのつながりを絶やさず、次のアクションへつなげられるのがメリットです。

対応漏れや見込み客の放置を防ぐ

不動産DXによる自動追客は、問い合わせへの対応漏れや見込み客の放置を防ぐのに効果的です。すべての情報はシステムで記録されるため、対応を忘れるといったミスが起きにくくなります。

自動追客を活用した場合、検討中の顧客にも定期的に自動で連絡が届くため、対応が途切れる心配がありません。誰に対しても継続的にアプローチできるため、タイミングを逃さず、成約につながる確率を高められます。不動産DXによる自動追客は、見込み客との関係を保つのに役立つのが魅力です。

営業活動の見える化により接客対応の質を均一にする

営業活動を見える化すると、誰が対応しても一定の質を保った接客が可能です。自動追客では「どの担当者が、いつ、何を送ったか」が記録され、成果につながった方法を全員で共有できます。結果、ベテランだけでなく新人でも同じ水準のサービスをおこなえます。

営業活動を見える化すると、マネージャーが客観的に営業状況を確認でき、フォローや指導も的確になるため、組織全体の対応力向上につながるのが特長です。

顧客の熱意に合わせてアプローチを自動化する

顧客の興味の高さに応じたアプローチを自動化できるのが自動追客の強みです。顧客がどのページを見たか、メールを開いたかなどの行動データをもとに、システムが「どれだけ本気か」を点数化します。点数をもとにして、「関心度がある人には営業担当に通知」「あまりない人には情報メールを継続送信」などの対応を自動で進められます。

自動追客によって、一人ひとりに合わせた対応ができるため、見込み客を効率よく育てて、契約につなげやすいです。

営業の負担を軽減し重要な仕事に集中できる

自動追客は、営業の負担を減らして大切な仕事に集中できる環境づくりに効果的です。一次対応のメール送信や履歴の記録、定期連絡などの作業はシステムが自動でおこなえます。その結果、営業担当者は来店対応や契約前の商談など、人の力が必要な場面に専念できます。

毎日の業務量を減らせると、ミスやストレスを軽減し、仕事へのやる気向上につながりやすいです。自動追客を活用することで、チーム全体の生産性や業績向上に役立ちます。

不動産DXの代表的な自動追客・MAツール

不動産DXで活用できる代表的な自動追客・MAツールは、以下の3つです。

• KASIKA（不動産特化型）
• HubSpot（中小企業向け汎用型）
• SalesforceAccountEngagement（多機能型）

1つずつご紹介します。

KASIKA（不動産特化型）

KASIKA（カシカシカ）は、不動産業界に特化した自動追客ツールです。顧客がWebサイトで見た物件や閲覧回数などの行動履歴を自動で記録し、どの物件にどれだけ興味があるかを点数化します。点数化したデータをもとに、タイミングよく顧客に物件情報をメールで送れます。

営業担当者は追客にかける手間を減らせるため、より多くの成約に集中できます。不動産の商習慣に合わせて作られているため、初めてでも使いやすいのが魅力です。

出典参照：KASIKA｜Cocolive株式会社

HubSpot（中小企業向け汎用型）

HubSpot（ハブスポット）は、中小企業でも使いやすい自動追客ツールです。マーケティングや営業活動をまとめて管理できるのが特長で、メールの自動送信や見込み客のリスト作成などが簡単におこなえます。無料プランから始められるため、コストを抑えて導入できます。

不動産業界に限らず、さまざまな業種で活用されている実績の豊富さが安心材料です。HubSpotは、必要に応じて機能を増やせるため、会社の成長に合わせて柔軟に対応できる点も高く評価されています。

出典参照：HubSpot｜HubSpot Japan株式会社

SalesforceAccountEngagement（多機能型）

Salesforce Account Engagement（セールスフォース アカウント エンゲージメント）は、高機能な自動追客ツールです。顧客の行動に応じて興味の度合いを点数化し、おすすめなタイミングで営業活動をおこなえるよう支援できます。データの分析力が高く、費用対効果の見える化も得意です。

Salesforce（セールスフォース）と連携しているため、営業部門との情報共有もスムーズに進められます。

なお、Salesforceは顧客情報を一元管理するCRM（顧客関係管理）システムであり、Salesforce Account Engagementはそのなかでもマーケティングオートメーションに特化しています。

Salesforce Account Engagement導入にはコストがかかりますが、本格的なマーケティングをおこないたい大規模な企業には頼もしい存在です。

出典参照：SalesforceAccount Engagement｜株式会社セールスフォース・ジャパン

不動産DXで自動追客に成功した事例

不動産DXで自動追客に成功した事例は、以下の3つです。

• 自動追客で接客提案の質が向上｜三菱地所レジデンス株式会社
• 自動追客で顧客ニーズに対応した接客が可能に｜株式会社ホームズ
• 自動追客の活用で成約率が向上｜長谷工アーベスト株式会社

詳しく見ていきましょう。

自動追客で接客提案の質が向上｜三菱地所レジデンス株式会社

三菱地所レジデンス株式会社は、自動追客により接客の質を向上させています。自動追客を活用し、顧客がWebサイトで見ている物件や回数などの行動が見えるようになりました。

営業担当者は自動追客によって来店前から関心のある物件を把握できるため、誰にでも同じ説明をするのではなく、より個別に合った提案が可能になりました。自動追客の活用が、信頼関係の強化につながった事例です。

出典参照：ニーズを捉えた接客でお客様一人ひとりに寄り添うコミュニケーションを実現 – 住宅・不動産業界に特化したマーケティングオートメーションツール『KASIKA』｜ Cocolive 株式会社

自動追客で顧客ニーズに対応した接客が可能に｜株式会社ホームズ

株式会社ホームズでは、自動追客を活用して顧客ニーズに合った接客を実現しています。自動追客を導入してから4カ月で2件の契約獲得に成功しました。

顧客のWeb上の動きをリアルタイムで確認できるため、興味のある物件や連絡したほうがいいタイミングがわかるようになり、データを使った確実なアプローチが可能になりました。自動追客による変化が、全体の営業力向上につながった好事例です。

出典参照：KASIKA導入で社員の意識改革！さらに運用4カ月で2件契約獲得！ – 住宅・不動産業界に特化したマーケティングオートメーションツール『KASIKA』｜Cocolive 株式会社

自動追客の活用で成約率が向上｜長谷工アーベスト株式会社

長谷工アーベスト株式会社では、自動追客によって成約率の向上を実現しました。同社は自動追客を活用し、見込み度のある顧客を自動で見つけ出し、営業担当者がその方に集中してアプローチをおこないます。

自動追客によるデータの力で効率よく見込み客を絞り込み、担当者の経験と提案力で契約につなげられるため、限られた人員でも営業活動ができ、全体の成果アップにも結びついています。

出典参照：販売担当者のスキル ×「KASIKA」活用｜相乗効果で反響獲得率、歩留まり・成約率が向上！ – 住宅・不動産業界に特化したマーケティングオートメーションツール『KASIKA』｜ Cocolive 株式会社

不動産DXで自動追客に失敗しないための注意点

不動産DXで自動追客に失敗しないための注意点は、以下の3つです。

• 目的とターゲットを明確にする
• 配信シナリオとメール内容を工夫する
• 「自動」と「手動」の接客対応を組み合わせる

1つずつご紹介します。

目的とターゲットを明確にする

自動追客を成功させるためには、目的とターゲットをはっきりさせるのが大切です。誰に、何を伝えるのかが曖昧だと、ただ情報を送りつけるだけになり、逆効果になる場合もあります。

そのため「休眠顧客の再アプローチ」や「来店率アップ」など、明確な目的を決めるのが最初のステップです。その目的に合う顧客層をしっかり設定し、届けたい相手を具体的にイメージできた場合、内容やタイミングの工夫もしやすくなります。

配信シナリオとメール内容を工夫する

自動追客の成果を上げるには、顧客の動きに合った配信シナリオと、心のこもったメール作成が必要です。たとえば「特定の物件ページを3回見た人に限定して送る」といったルールを決めておくと、より効果的なタイミングで見込み客との接触が可能です。

自動追客によって、ただの物件紹介ではなく、名前入りや地域の魅力を伝える内容を加えると、親しみが増します。もし見込み客に「自分のための情報だ」と感じてもらえた場合、信頼も深まりやすいです。

「自動」と「手動」の接客対応を組み合わせる

自動追客の効果を高めるには、自動と手動の対応をうまく組み合わせるのが重要です。自動追客は、広く見込み客とつながる「空中戦」として使います。

顧客の反応を見て「関心がある」と判断された場合に、営業担当者が手動で個別に対応する「地上戦」に切り替えるのが、自動追客の効果を最大化させるのに効果的です。引き継ぎのタイミングや判断基準を決めておくと、対応に迷いがなくなり、効率よく成果を出せます。

不動産DXで自動追客を成功させるための4つのポイント

自動追客を成功させるポイントは、以下の4つです。

• 顧客の行動パターンを考える
• 顧客の「本気度」を点数化する
• 配信するメール内容を準備する
• 効果測定と改善を続ける

1つずつ解説します。

顧客の行動パターンを考える

自動追客を成功させるためには、顧客の行動に合わせたシナリオ設計が大切です。具体的には「同じ物件を何度も見る」「特定のページを長く閲覧する」などの行動を、自動でメールを送る合図として設定します。合図のあとにどのような内容を、どのタイミングで送るかといった流れも考えておきましょう。

顧客の行動パターンを考えて段階的な追客の仕組みを作れると、興味を持った人にぴったりの情報を届けられます。その結果、問い合わせや来店につながりやすくなります。

顧客の「本気度」を点数化する

顧客の行動に点数を付けて「本気度」を見える形にするのがスコアリングです。たとえば「内覧予約ページを見たら10点」「お気に入り登録で5点」など、購入に近い行動ほど高い点数をつけていき、合計点が一定を超えたら営業担当へ自動で知らせる仕組みにします。

結果的に、見込み度のある顧客をすぐ見つけて対応できます。さらに、顧客の本気度を点数化して見える形にしておくと、営業のムダも減り、チャンスを逃さない効率的な営業活動が可能です。

配信するメール内容を準備する

自動追客では、あらかじめ送るメールの内容を準備しておきましょう。とくに「通勤に便利な駅が近い物件の紹介」や「地域の買い物事情」など、物件以外の情報もあると読まれやすいです。

また、顧客の名前を自動で入れ、興味のあるエリアに合わせると、自分だけに届いたように感じてもらえます。このような工夫が、顧客に「読んでみよう」と思わせるきっかけになり、関心を引く情報が、信頼関係を築くきっかけとなります。

効果測定と改善を続ける

自動追客は、一度設定したあとも結果を見ながら改善するのが重要です。そのため、「開封されなかった件名は別の言い方に変える」「反応の少ないメールは内容を調整する」といった見直しを重ねていきましょう。

また、開封率やクリック率などのデータをもとに、小さな工夫を積み重ねていくのがポイントです。改善を何度もくり返すと、自動追客の効果を高められます。結果的に、成約につながる顧客を効率よく育てられるようになります。

【まとめ】自動追客は営業担当者を支える強力なパートナー

不動産DXにおける自動追客は、営業担当者を支える強力なパートナーとして、不動産DXを推進する有効な施策です。担当者を定型業務から解放し、「効率化」とデータにもとづく「成約率向上」を両立させ、収益基盤を強化できます。

また、自動追客を成功させるには、この記事で解説した目的設定やシナリオ設計、継続的な改善が必要です。自動追客といったパートナーの導入を、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。