不動産DXアプリが必要な理由 | DXアプリ導入で得られるメリット
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不動産DXに取り組むにあたってAPI連携は、導入するツールの効果を最大限に発揮させるうえで重要です。この記事では、API連携とは何か、効果や具体的な事例、ツールを紹介しています。
「不動産DXにおけるAPI連携の具体的な仕組みや、導入方法、対応サービスを調べたい」
「不動産DXのAPI連携で複数の不動産業務システムを連携し、業務効率を高めたい」
「不動産DXのAPI連携を活用して、手作業でのデータ入力や二重管理を減らし、ミスの少ない業務フローを構築したい」
不動産DXを促進するにあたって、API連携を活用したいと考えている方のなかには、上記のようなお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
不動産DXにおけるAPI連携は、ヒューマンエラーによるミスや入力の手間を軽減するのはもちろん、企業としての信頼を下げないうえでも重要な役割を果たします。この記事では、不動産DXにおけるAPI連携の重要性や効果、API連携の活用例を解説しています。
API連携が可能なツールやAPI連携の導入方法もご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
不動産DXにおけるAPI連携とは、複数のシステムをつなぎ、データのやり取りを自動化する仕組みです。不動産業界では、顧客情報や物件情報、契約状況などがさまざまなツールに分散して管理されています。
API連携を導入した場合、あるシステムで入力した情報が、ほかの連携先にも自動で反映されるようになります。たとえば、顧客管理と物件管理のシステムをAPIで結んだ場合、情報の二重入力や転記ミスの防止が可能です。
API連携によって業務が一元化され、作業時間の短縮やヒューマンエラーの削減にもつながります。不動産DXにおいてAPI連携は、各ツールの力を最大限引き出すつなぎ役として必要な技術です。
不動産DXでAPI連携が重要な理由は、以下の4つです。
1つずつ確認していきましょう。
API連携がないと、不動産ポータルサイトごとに同じ物件情報を何度も入力する手間が発生します。複数のサイトに手作業で同じ情報を入力するのには時間を消費し、入力ミスもしやすいです。
とくに物件数が多い場合、業務負担はさらに増加します。たとえば、SUUMO(スーモ)やLIFULL HOME’S(ライフルホームズ)など、それぞれの画面に個別でログインし、住所や家賃、間取りなどを手作業で入力しなければなりません。
結果的に顧客対応の時間が奪われ、生産性の低下につながる場合もあるため、API連携の活用が不可欠です。
出典参照:SUUMO|株式会社リクルート
出典参照:LIFULL HOME’S|株式会社LIFULL(ライフル)
不動産DXでAPI連携を導入しない場合、手入力中心の業務でヒューマンエラーが起きやすいです。たとえば、入力時に家賃を1桁間違える、設備情報の記載を忘れるなどのミスが発生します。表記の揺れや入力漏れは担当者ごとに起きやすく、情報の正確性が保てません。
とくに繁忙期には作業が急増し、注意力が低下するため、ミスの発生率が高まります。こうしたミスは顧客トラブルにつながるリスクがあり、会社の信用にも悪影響をおよぼす場合もあります。
API連携の導入で入力作業の手間を減らし、情報の正確性を保つのが重要です。
不動産業界では、情報更新が不十分なまま接客をおこなうと、顧客に誤った内容を案内してしまうリスクがあります。情報がシステムごとに食い違うと、どれが正しいのかがわかりにくくなり、スタッフごとの対応もばらつきやすいです。たとえば、設備や賃料の説明が実際と異なっていた場合、顧客は混乱し、会社への信頼も揺らぎかねません。
API連携で誤った情報を掲載するリスクを減らし、顧客対応の質を低下させないのが大切です。
物件情報の更新漏れは、顧客とのトラブルの原因になります。空室と表示されていた部屋が実は成約済みだった場合、「無駄足だった」と顧客に不満を抱かせかねません。こうした情報のすれ違いは、顧客の信頼を損なうだけでなく、「あの会社は情報が古い」といった悪評にもつながります。
最終的に、会社をほかの顧客に紹介してもらえるチャンスを逃し、機会損失につながるため、API連携による更新ミスを防ぐ仕組みづくりが必要です。
不動産DXに取り組むにあたって、API連携の導入で得られる効果は以下の6つです。
1つずつご紹介します。
API連携をした場合、繰り返しの入力作業が不要になり、データ入力の手間や時間の削減が可能です。手作業による情報の再入力は、時間がかかり非効率です。
例として、API連携の機能により、顧客管理システムに入力した情報を、契約書作成ソフトや会計システムなどに再度入力が不要になる点が挙げられます。
API連携を活用し、一度入力すれば十分な仕組みをつくり、日常業務の効率化や社員の負担軽減につなげましょう。
API連携で入力作業が減ると、社員はほかの業務に集中できる環境を整えられます。API連携によって、ほかの業務をおこなえる時間を確保できると、社員の現場での対応力や提案力の向上にもつながります。
社員はこれまでデータ入力に追われていた時間を、顧客対応や物件提案、契約のフォローなどの業務にあてることが可能です。社員の対応力や提案力の向上にともない、顧客満足度や会社全体の成果向上といった好循環が生まれるのもAPI連携を活用するメリットです。
API連携によって、システム間のデータを自動で同期させた場合、転記ミスを防ぎ、情報の正確性を高められます。手入力では、どうしても数字や文字の入力間違い、変換ミスが発生しやすいです。たとえば、契約金額や顧客情報の入力ミスは、顧客との重大なトラブルにつながります。
API連携をおこなった場合、手作業での入力回数が少なくなるため、ヒューマンエラーの削減に役立ちます。API連携で正確な情報を保つ仕組みは、信頼される会社づくりに欠かせない要因です。
API連携をおこなった場合、1つのシステムで更新した内容がすぐにほかのシステムにも反映され、リアルタイムで情報共有が可能です。たとえば、営業担当が外出先から入力したデータが、即座に上司や管理部門にも届いた場合、社内の連携がスムーズになります。
API連携によるリアルタイムでの情報共有によって、情報の伝達にかかっていた時間を短縮可能です。社内全体が常に最新の状況を把握できる環境が整うと、迅速な顧客対応につながります。
API連携によって、既存のシステムを使いながら、新たに必要な機能だけを追加可能です。全部の業務を一から作り直す必要がないため、柔軟にツールを組み合わせられます。
たとえば、既存の顧客管理システムに電子契約サービスや自動査定ツールをつなげると、契約がスムーズに進み、業務の効率化につながります。段階的に組み合わせるツールを増やせるのが、API連携ならではのメリットです。
導入するシステムをAPI連携で正しく設計した場合、高いセキュリティレベルを保ちながら業務を効率化できます。一定数のAPIには、データを暗号化する仕組みやアクセス権を細かく設定する機能があり、情報漏洩や不正利用のリスクを軽減できます。
例として、顧客データや契約情報にアクセスできる人を制限し、安全性を保てる点が挙げられます。API連携におけるセキュリティ対策の充実度は、企業としての信頼を守るうえで重要です。
不動産DXでAPI連携を活用した例は、以下のとおりです。
1つずつご紹介します。
顧客情報と物件情報を連携させると、営業活動の効率と質を向上できます。API連携によって、顧客が問い合わせた内容や過去の対応履歴と、最新の物件情報を一元的に把握が可能です。たとえば岡﨑建工株式会社では、顧客管理と物件管理のシステムをつなげた結果、営業担当がすぐに最適な物件を紹介できるようになりました。
そのため、提案スピードが上がり、顧客満足度と成約率の向上にもつながっています。API連携でシステム同士を連携させるのは、成果を出すうえで重要です。
参考元:岡﨑建工株式会社 – GENIEE(ジーニー)SFA/CRM|株式会社ジーニー
物件情報サイトへの自動掲載は、作業時間の短縮と反響数の増加につながります。株式会社ONE RED(ワンレッド)では、API連携を活用した物件コンバーターツールを導入し、物件登録にかかる時間を従来の3分の1にまで削減しました。
開業当初、多数の物件を早く掲載する必要があり、手作業による入力に負担がかかるといった課題がありました。
API連携を活用した物件コンバーターツールの導入によって、一度の入力だけで複数サイトに同時掲載できるようになり、業務効率の向上に役立っています。結果、問い合わせ件数が増加し、事業の立ち上げが加速しました。
参考元:【導入事例】物件登録時間を1/3に短縮!- いい部屋ネット 三軒茶屋店 株式会社ONE RED – 「入力速いもん」で地域反響UP!開業期の物件登録課題を解決|いい部屋ネット株式会社
顧客情報と電子契約をAPIで連携させると、契約業務の効率が向上します。株式会社ランドネットでは、顧客管理システムと電子契約サービスをAPI連携し、手作業での入力や郵送作業を省く体制を構築しました。
以前は、契約書作成のたびに社内データを見ながら一つひとつ手入力していたため、ミスのリスクや手間が問題になっていました。現在は、顧客管理システムと電子契約サービスをAPI連携させ、ボタン操作だけで契約書に必要な情報が反映される仕組みをつくり、業務のスピードと正確性、顧客満足度の向上につながっています。
参考元:書類の多い不動産業界こそ電子契約を積極的に活用すべき|GMOインターネットグループ株式会社
クラウド賃貸管理ソフトを提供するBambooboy(バンブーボーイ)株式会社は、API連携で入金確認と消込作業を自動化し、業務効率化と収益向上を実現しています。同社では、毎月の家賃の入金確認が手間で、月末月初の繁忙期にはその作業のためだけにアルバイトを雇う必要がありました。そこで金融データAPIを導入し、銀行口座の入金情報を自動で取得・照合する仕組みを構築しました。
結果、入金確認の作業時間が改善され、1人当たりの管理戸数も増え、収益向上につながっています。
参考元:活用事例から学ぶ!金融API連携:不動産管理業務編|LINK Blog|マネーツリー株式会社
不動産DXにおけるAPI連携が可能なツールは、以下の3つです。
1つずつご紹介します。
賃貸管理・仲介ツールは、不動産業務の中心を担い、API連携でほかのシステムとのスムーズな連動が可能です。イタンジ株式会社の「イタンジ管理クラウド」は、入居者募集から契約、退去までの業務を一元化し、契約システムとの連携によって作業を自動化してくれます。
この仕組みにより、業務の抜け漏れや手入力のミスが減り、スタッフの負担が軽減できます。料金体系は個別見積もりが中心のため、システム導入を希望する場合は、公式サイトからの問い合わせが必要です。
出典参照:イタンジ管理クラウド|イタンジ株式会社
顧客管理・営業支援ツールは、営業活動を効率化し、API連携によって業務全体の流れをスムーズにします。いえらぶCLOUDは顧客管理から広告出稿まで一括で対応でき、ITANDI BB+は物件確認やWeb申込がリアルタイムで可能です。
ITANDI BB+は利用する機能やプランによって費用が異なり、いえらぶCLOUDは業種・会社規模に合わせたプランを提案しています。これらのツールの情報を、会計ソフトや契約書作成システムとAPIでつなげると、同じデータを何度も入力する手間がなくなります。営業と事務の連携が強化され、社内全体の業務スピード向上に効果的なツールです。
出典参照:ITANDI BB+|イタンジ株式会社
電子契約や経理業務に特化したツールも、API連携によって不動産業務の自動化に役立ちます。たとえば、クラウドサインは顧客情報と連携し、契約書をボタン1つで作成できるため、記入ミスや郵送の手間を省けます。月額料金は1万円前後から利用可能です。
また、freee会計は金融機関とのAPI連携により、入出金データの自動取得が可能で、売上や家賃の管理も効率的におこなえます。これらのツールを組み合わせると、バックオフィスの業務負担が軽減できます。
出典参照:クラウドサイン|弁護士ドットコム株式会社
出典参照:freee|フリー株式会社
不動産DXでAPI連携を進める方法は、以下のとおりです。
1つずつ見ていきましょう。
API連携を成功させるには、まず目的をはっきり決めるのが大切です。目的を明確にし、どのシステムのどの情報をなぜつなげるのかを最初に整理しておくと、無駄なシステムの導入・開発を避けられます。
もし「顧客対応を早くしたい」といった目的があった場合、問い合わせフォームと営業担当のツールをつなぐといった、具体的な設計が可能です。API連携を進める目的を明確にすることで、API連携の効果を最大化しながらシステム全体の成功につなげましょう。
API連携をおこなう前に、使用したいAPIの仕様や制限を確認するのが大切です。1日の利用回数に制限があるものや、特定の時間にしか更新できないAPIもあります。制約を知らずにAPI連携を始めると、あとになって「やりたいことができない」と気づき、トラブルになるリスクがあります。
APIの仕様は、ほとんどの場合サービス提供元のWebサイトにある開発者向けページなどで確認できるため、必ず事前にチェックしましょう。
API連携を実現するには、開発費や運用費がかかるのを理解しておく必要があります。複雑な連携を外部の開発会社に依頼する場合、初期費用が高額になる場合があり、連携先のシステムが変更された際、その対応にも費用が発生するケースもあります。
API連携を導入したあとの効果だけに目を向けるのではなく、長期的な保守費用や人件費も含めて、総合的に判断するのが大切です。また、コストを把握すると、費用対効果のある計画を立てやすくなります。
API連携をおこなうときは、情報のやり取りが自動になる分、セキュリティへの配慮が欠かせません。導入を検討しているAPI連携の通信が暗号化されているか、安全な認証方式が使われているかを事前に確認しましょう。
また、APIの設定変更を誰ができるか、社内で明確なルールを作っておくのも重要です。万が一の情報漏洩を防ぐには、アクセス権限の管理が効果的です。便利さを追求するだけでなく、企業の信用を守るための対策もしっかり整えておきましょう。
API連携を実現後、意図しないトラブルを防ぐためには、計画後に開発・実装とテストを丁寧に進めるのが大切です。まず、連携させるデータや処理内容を細かく設計し、その設計にもとづいて開発をおこないます。
もし社内に技術者がいない場合は、専門の外部パートナーに依頼するのが安心です。実装が完了したら、意図どおりに動作するか、セキュリティ上の問題がないかを確認するため、複数の条件で繰り返しテストをおこない、安全で安定した運用につなげましょう。
API連携を効果的に使うには、新しい仕組みに合った業務フローへの見直しが重要です。以前は社員が手で入力していた作業も、連携によって自動で登録されるようになるため、「自動登録された内容を確認・承認する」といった新しい手順に変える必要があります。
社員が混乱せずにシステムを活用でき、全社での定着と効率化を進めるためにも、業務ルールやマニュアルを新たに作成し、関係する部署に向けて研修をおこないましょう。
API連携は導入後の運用と保守、そして継続的な改善が欠かせません。連携先のシステムが更新されると、今までの仕組みが使えなくなる場合もあります。事前にトラブルを防ぐためにも、定期的な動作確認やAPIの仕様変更への対応が必要です。
また、実際の業務で使っていくうちに「このデータもつなげたい」といった新たなニーズが出てくる場合もあるため、改善の意識を持ち続けるのが大切です。こうした対応が、安定した運用と効果発揮につながります。
不動産DXにおけるAPI連携は、データの活用効果を高めるために重要な仕組みです。複数のツール間で情報を自動連携させ、二重入力や転記ミスを防ぎ、正確な情報をリアルタイムで共有可能になります。業務効率が上がるだけでなく、データの信頼性も向上にもつながります。
API連携を成功させるためには、目的の明確化、API仕様の確認、セキュリティ対策など事前準備が重要です。まずは自社の業務で効果が期待できる部分から、API連携を進めてみましょう。