店舗DXにはモバイルPOSがおすすめ！ツールや導入時のポイントを解説

店舗運営の効率化や省人化が求められる中で、デジタル技術の活用は欠かせない存在となっています。特にレジ業務は店舗のオペレーションの中心的な役割を果たし、ここを効率化できれば全体の業務負担軽減につながります。

近年注目されているのがモバイルPOSです。これはスマートフォンやタブレット端末を使って簡単に会計処理を行えるシステムで、固定型のPOS機器とは異なり、設置場所を問わず柔軟に運用できる点が特徴です。こうしたモバイルPOSを活用すれば、会計のスピードアップやレジ待ち時間の短縮、さらには店舗スタッフの作業効率改善にも期待が持てます。

本記事ではモバイルPOSの概要や具体的なツール例を紹介し、店舗のオペレーション改善に役立つ実践的な知識を深めるためのヒントを提供します。これからの店舗運営に役立つ情報を得て、効率化と省人化の両立を目指す参考にしていただければ幸いです。

モバイルPOSとは

モバイルPOSとは、スマートフォンやタブレットを活用して行う会計システムのことを指します。従来のPOSシステムは専用の機械や固定の端末が必要でしたが、モバイルPOSはこれらの機器を持ち運びできる端末で代替できるため、店舗内外のさまざまな場所で使えます。

これにより、テーブル会計や屋外販売など、柔軟な販売スタイルが可能になり、顧客へのサービス向上につながるでしょう。また、売上や在庫のデータはクラウドで管理されるため、店舗運営者はリアルタイムに情報を把握でき、経営判断のスピードアップにも寄与します。

導入コストも比較的抑えられることが多く、中小規模の店舗やスタートアップに適している点も評価されています。モバイルPOSはこれからの店舗運営における重要なデジタルツールの1つです。

モバイルPOSのツール例

モバイルPOS市場には、多様な業態やニーズに合わせたツールが数多く存在しています。操作性や機能面、料金体系も異なるため、店舗の規模や業種、求める機能に合わせて選択することが必要です。

ここでは、特に人気が高く評価されているモバイルPOSツールをいくつかピックアップし、その特徴や強みを詳しく解説します。これにより、自店舗に合った最適なモバイルPOS選びに役立つ情報が得られるでしょう。今後のオペレーション改善に活かせるよう、それぞれのツールのメリットや利用シーンを踏まえた説明を進めます。

スマレジ｜高機能かつ直感的な操作性が魅力

スマレジは、高機能ながらも使いやすさを重視したモバイルPOSツールとして広く知られています。販売管理や在庫管理、顧客管理といった基本的な機能を網羅しながら、クラウド上でデータを一元管理できるため、複数店舗を運営する場合でもリアルタイムに状況を把握しやすくなっています。

特に現場スタッフ向けの画面は直感的な操作性を追求しているため、ITに慣れていない従業員でも短期間で習熟できる点が特徴です。また、多彩な周辺機器や決済端末とも連携可能で、店舗のニーズに応じてカスタマイズしやすい柔軟性も魅力の1つです。

加えて豊富な連携サービスを活用すれば、販売促進やデータ分析にも役立てられ、店舗のDX推進に貢献するツールとして評価されています。

出典参照：スマレジ｜株式会社スマレジ

Square POSレジ｜決済とPOSが一体化したシンプル構造

Square POSレジは、決済機能とPOSシステムが一体化したシンプルな構造を持つモバイルPOSツールです。特に決済処理に特化して設計されているため、クレジットカードや電子マネーなど多様な決済手段に対応できることが特徴です。

シンプルなユーザーインターフェースにより、導入後すぐに運用を始めやすく、小規模店舗やポップアップショップでも利用されやすい点が強みとなっています。データはクラウド上で管理されるため、売上や顧客データをリアルタイムで確認でき、経営者は店舗の状況を把握しやすくなります。

また、月額料金の無料プランが用意されているため、コストを抑えてスタートできるのも魅力的です。シンプルさを求める店舗に適しているツールといえるでしょう。

出典参照：SquarePOSレジ｜Square, Inc.

Airレジ｜初期費用ゼロで始められるPOS

Airレジは初期費用をかけずに始められるモバイルPOSとして、多くの店舗に支持されています。基本的な会計機能だけでなく、売上分析や商品管理など多彩な機能を備えているため、効率的な店舗運営が期待できるでしょう。

iPadやiPhoneといったApple製品を中心に対応し、アプリをインストールするだけで手軽に利用できる点も評価されています。さらに、決済端末と連携することで、スムーズな決済処理が可能となり、顧客の待ち時間短縮にも貢献するでしょう。

定期的なアップデートにより新機能も追加されており、時代の変化に対応しながら利便性を維持しています。中小規模の店舗で手軽にPOSを活用したい場合に検討しやすいツールです。

出典参照：Airレジ｜株式会社リクルート

POS+｜業種別に機能が最適化

POS+は、飲食店や小売店、美容サロンなど業種ごとに特化した機能を備えたモバイルPOSです。店舗の業態に応じた使いやすい画面設計と機能が充実しており、オーダー管理や顧客管理、予約管理など業種特有のニーズに応じた機能が用意されています。これにより業務効率が向上し、スタッフの負担軽減や顧客サービスの質の向上につながるでしょう。

また、クラウド上でデータ管理が可能なため、多店舗展開する場合でも各店舗の状況を一元的に把握しやすいのも特徴です。POS+は業種に特化しながらも柔軟なカスタマイズが可能であり、店舗の運営スタイルに合わせて最適な運用がしやすいモバイルPOSツールとして注目されています。

出典参照：POS+（ポスタス）｜ポスタス株式会社

店舗DXにモバイルPOSがおすすめされる5つの理由

店舗DXを推進するにあたり、モバイルPOSは多くの店舗で注目されています。その理由は、従来のPOSシステムにはない柔軟性や利便性が備わっているためです。モバイルPOSは省スペースで設置しやすく、会計処理をスムーズに進めることで顧客満足度を向上させます。

また、リアルタイムでの在庫管理やキャッシュレス決済への対応、スマートフォンやタブレットとの連携が可能な点も店舗運営の効率化に寄与します。これらの特徴が、店舗DXを加速させる重要な要素となるでしょう。

①省スペースで設置・移動が楽

モバイルPOSは小型で軽量なデバイスを活用しているため、従来の大型POS端末に比べて設置に必要なスペースが少なくなります。この省スペース性は、狭い店舗や売り場でも場所を取らずに導入しやすい点が魅力です。

また、モバイルPOSは持ち運びが容易なため、イベントやポップアップショップのような臨時店舗でも柔軟に活用できます。さらに、店舗内のレジ配置を変えたい場合や複数箇所で会計処理を行う必要がある場合でも、機器の移動が簡単であるためスムーズに対応できるでしょう。

設置場所の制約を気にせず活用できる点が、モバイルPOSのメリットといえます。

②会計処理の高速化で顧客の待ち時間を短縮

モバイルPOSは直感的な操作画面やスキャン機能などが備わっており、会計処理を迅速に進めることが期待できます。これにより、レジ前での顧客の待ち時間が短縮され、店舗全体の回転率が向上するでしょう。

また、会計のスムーズさは顧客満足度にもつながり、リピーターの増加にも寄与しやすくなります。現金だけでなく、多様なキャッシュレス決済に対応できる点も処理の速さに貢献します。効率的な会計フローを実現することで、忙しい時間帯や繁忙期にも対応しやすくなるため、店舗運営の負担軽減にもつながるでしょう。

③在庫データとリアルタイム連携し正確な管理が可能

モバイルPOSは売上データと在庫データがリアルタイムで連携される仕組みを備えています。この連携により、商品が売れた時点で在庫情報が即時更新されるため、常に正確な在庫状況を把握しやすくなります。正確な在庫管理は過剰在庫や品切れを防ぎ、販売機会の損失を減らす効果が期待できるでしょう。

また、複数店舗で在庫共有を行う際にも、モバイルPOSを活用することで全店舗の在庫状況を一元管理できるため、効率的な発注や補充が可能になります。こうしたリアルタイム管理は、経営判断のスピードアップにもつながり、店舗運営の質を向上させる要素として重視されるでしょう。

④キャッシュレス決済に対応し利便性を向上

モバイルPOSはクレジットカードや電子マネー、QRコード決済など、多彩なキャッシュレス決済に対応しています。これにより顧客は自分に合った支払い方法を選べ、利便性が向上するでしょう。また、店舗側も現金管理の手間が減り、会計ミスのリスクを抑えられるメリットがあります。

特に近年ではキャッシュレス決済の利用率が高まっているため、対応できる決済手段の多様化は競争力を保つ上でも重要なポイントです。加えて、決済情報はデータとして蓄積されるため、分析に活用しやすい点も経営に役立つでしょう。こうした決済機能の充実が店舗DXの推進に寄与します。

出典参照：2024年のキャッシュレス決済比率を算出しました｜経済産業省

⑤スマートフォン・タブレットとの多様な連携

モバイルPOSはスマートフォンやタブレットと連携して使用されるケースが多く、これによりさまざまな付加価値が生まれます。例えば、在庫管理アプリや顧客管理システムと連携すれば、リアルタイムで情報を共有でき、店舗スタッフは迅速な対応がしやすくなるでしょう。

また、モバイルデバイスの携帯性を活かして店舗内のどこでも会計や情報確認が可能になるため、接客の質を向上させる効果も期待されます。さらに、外出先からでも売上や在庫の状況を把握できるため、店舗経営者は効率的に運営状況を管理しやすくなるでしょう。多様な連携が店舗運営の柔軟性を支える要素となっています。

店舗DXにモバイルPOSを導入する際のポイント

モバイルPOSを店舗DXの一環として推進する際には、導入前にいくつかの重要なポイントを検討する必要があります。単に最新の機器を導入するだけでなく、店舗の業態や規模に応じた適切な端末選び、既存システムとの連携、安全性の確保、スタッフ教育、そして継続的に使いやすいサポート体制の構築まで考慮することが大切です。

これらのポイントを押さえることで、スムーズな運用が期待でき、店舗全体の効率化や省人化の促進に寄与するでしょう。次に、それぞれのポイントについて詳しく見ていきます。

店舗の業態・規模に合った端末にする

モバイルPOSを選ぶ際は、店舗の業態や規模に適した端末を選択することが運用を円滑にするために必要です。例えば、小規模な飲食店や物販店では、軽量で持ち運びやすいスマートフォンやタブレットを活用したシステムが向いています。

一方、多店舗展開をしている大規模な小売チェーンでは、高度な機能や多様な連携が可能なPOS端末を求められることもあります。業態によっては、屋外での使用や接客エリアが広い場合もあるため、防塵・防滴性能やバッテリー持続時間も選定基準に含めましょう。

店舗の特性に合わない端末を導入すると、操作の煩雑さや故障リスクが高まり、業務効率化の妨げになる恐れがあります。適切な端末を選ぶことで、現場の負担を減らし円滑な会計業務を実現できるでしょう。

POSシステムと既存の在庫管理・販売管理を連携する

モバイルPOSを導入する際は、既存の在庫管理や販売管理システムと連携できるかどうかも重要な検討ポイントです。連携がうまくいけば、リアルタイムに売上データと在庫データが同期され、手作業による入力ミスや遅延を防ぐことができます。これにより在庫の過不足を減らし、効率的な発注や棚卸し作業が可能になるでしょう。

また、販売管理との連携で顧客の購買履歴が蓄積されれば、マーケティング施策やリピーター向けサービスの強化にも役立ちます。逆に連携ができないシステムを導入すると、複数の管理ツールを別々に操作しなければならず、業務効率を下げる要因になりかねません。

モバイルPOSの選定時には、システム間の連携対応状況をしっかり確認し、円滑に情報が連携できる環境づくりを意識することが大切です。

安全な決済機能を使う

店舗でモバイルPOSを利用する際、顧客の決済情報を安全に取り扱うことは重要課題の1つです。クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済に対応していることはもちろん、決済処理時に情報が暗号化され、不正アクセスや情報漏えいを防ぐセキュリティ機能が備わっているかを確認する必要があります。

加えて、多要素認証や不正検知システムなどの導入により、リスクを減らすことが期待されます。安全な決済環境は顧客の信頼を守り、トラブルを防止する上で欠かせません。決済機能に関する基準や法規制も変化するため、最新の情報を踏まえて安全性を検証し、適切に運用することが求められます。

スタッフの操作トレーニングを実施する

モバイルPOSの導入にあたっては、スタッフの操作スキルの向上を図るトレーニングも必要です。新しいシステムや端末に慣れていないと、会計処理が遅れるだけでなく、誤操作によるトラブルも発生しやすくなります。

操作トレーニングでは、日常的に使う機能の確認はもちろん、トラブル時の対処法やセキュリティ面で注意すべきポイントも丁寧に教える必要があります。加えて、操作マニュアルや動画を活用するなど、復習しやすい環境を整えることも効果的です。

スタッフが安心してモバイルPOSを使いこなせれば、店舗の効率化だけでなく顧客サービスの質の向上にもつながります。継続的なフォローアップも検討しながら運用体制を整えていきましょう。

使いやすさとサポート体制を見ておく

モバイルPOSの導入を成功させるためには、操作性の良さと導入後のサポート体制を重視することが欠かせません。使いやすいインターフェースはスタッフの負担を軽減し、ミスの減少や作業スピードの向上を促します。

一方で、トラブルや疑問が生じた際に迅速に対応できるサポート体制が整っているかも大切です。問い合わせ方法の多様さや対応時間の柔軟性、問題解決までのスピードなど、実際の利用時の利便性が業務継続の安定性に影響します。

さらに、ソフトウェアのアップデートやセキュリティパッチの配布も継続的に行われるかを確認し、常に最新の状態で利用できる環境づくりが望まれます。こうした視点で選定すると、長期的に安心して運用を続けられるでしょう。

店舗DXの一貫でモバイルPOSを導入した企業事例

店舗DXの推進では、モバイルPOSが実際に多くの企業で採用されている事例が増えています。これらの事例を知ることで、自社のDX推進におけるモバイルPOS活用の方向性や運用イメージが掴みやすくなります。企業ごとに業態や規模が異なるため、導入の背景や目的も多様です。

しかし共通するのは、店舗運営の効率化と顧客サービス向上を目指す点にあります。具体的な成功事例を通じて、現場の課題に対処する実践的なヒントが得られるでしょう。これにより、店舗DXを推進する上での戦略的判断材料として活用しやすくなります。

事例①株式会社セブン‐イレブン・ジャパン｜スマホがレジになるシステムを導入

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、店舗DXの一環としてスマートフォンをレジ端末として活用するシステムを全国の店舗で展開しています。従来の固定型POSに比べ、スマートフォンや専用端末を使い商品スキャンから会計処理までを行えるため、省スペース化が進み、レジ待ち時間の短縮にも寄与しています。

特に繁忙期や混雑時におけるオペレーションの負担軽減に効果が見込まれ、スタッフは接客に注力しやすくなりました。また、データはクラウド上で一元管理され、売上や商品動向をリアルタイムに把握できる点も店舗運営の効率化に役立っています。こうしたシステムの活用は、顧客満足度向上と業務効率化の両面で評価されています。

出典参照：進化する「レジ」のかたち｜株式会社セブン‐イレブン・ジャパン

事例②イオン株式会社｜スーパーでのモバイルPOS「レジゴー」を導入

イオン株式会社は、スーパーマーケットにおいてセルフスキャン型のモバイルPOSシステム「レジゴー」を導入しています。このシステムは、顧客自身がスマートフォンで商品のバーコードを読み取って買い物を進め、専用のレジで簡単に会計できる仕組みです。結果としてレジでの待ち時間が減り、混雑緩和につながっています。

従業員のレジ業務負担も軽減されるため、接客や売り場整理に注力する時間が増えています。さらに、この仕組みは売上データを販売管理システムと即時連携するため、在庫のリアルタイム把握や売れ筋分析が進み、迅速な補充や商品戦略に反映できる点も店舗経営におけるメリットの1つです。

出典参照：レジに並ぶ必要がない「レジゴー」の仕組みとは？使い方やお支払い方法について詳しく解説！｜イオン株式会社

事例③タリーズコーヒージャパン株式会社｜モバイルオーダーで決済を簡易化

タリーズコーヒージャパン株式会社は、モバイルオーダーのシステムを店舗DXの中核に据えています。顧客はスマートフォンから事前に注文や決済を済ませられるため、店頭での待ち時間を減らせます。混雑時でもスムーズな受け取りが可能となり、顧客体験が向上しました。

一方で店舗スタッフは、注文処理の効率化により接客品質の向上に注力できる環境が整います。注文データはPOSシステムと連携し、売上管理や在庫調整も自動化されているため、店舗運営の効率化に寄与しています。こうした取り組みは、顧客利便性と業務効率の両面から評価されている事例といえるでしょう。

出典参照：モバイルオーダー｜タリーズコーヒージャパン株式会社

まとめ｜店舗DXの推進でモバイルPOSを効果的に導入しよう

店舗DXを推進する上でモバイルPOSの導入は、業務効率化や顧客サービス向上に役立つ重要な手段の1つです。省スペース化や会計処理の迅速化、在庫管理のリアルタイム連携など、多面的なメリットが見込めます。

事例を通して見えてくるように、業態や規模に合った機器選びやシステム連携、安全な決済機能の確保、スタッフ教育、サポート体制の充実が導入成功のカギを握ります。店舗の特徴を踏まえた計画的な推進により、効率的かつ安全にDXを進める環境が整いやすくなるでしょう。この記事の内容を参考に、自社の店舗DX戦略に役立ててください。