不動産DXとは?導入のメリットやデメリットを成功事例とあわせて解説
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※エンジニア数は2026年8月期 第1四半期決算説明資料に基づきます。
「工事が終わってみたら赤字だった」「月末に集計するまで、どの工事がいくら使っているか分からない」。原価管理ソフトやExcelの工事台帳を使っている建設会社でも、こうした声は少なくありません。
原因は、ソフトの機能でも担当者の能力でもありません。日報、注文書、請求書という原価のもとになる情報を、月末に人が集めてから入力していることにあります。入力が月末である限り、どのソフトを使っても、原価が見えるのは月末の後です。
本記事では、建設業の原価管理の基本を整理したうえで、工事ごとの原価が月末までわからない原因を費目ごとに切り分け、今のソフトとExcelを残したまま月の途中で予算と実績を比べる方法を解説します。工事台帳の予実シート(Excel)も用意しましたので、参考にしてください。

建設業の原価管理とは、工事ごとにかかる費用を予算と比べながら管理し、利益を確保する取り組みのことです。製造業のように同じ製品を繰り返し作るのではなく、1件ごとに内容も場所も違う工事を扱うため、工事単位で原価を追う点に特徴があります。
建設業の工事原価は、国土交通省の告示で次の4つに分けられています。決算で作る完成工事原価報告書も、この4つの区分で作ります。
| 費目 | 内容 |
| 材料費 | 工事のために直接購入した素材、半製品、製品など |
| 労務費 | 工事に従事した、直接雇用の作業員に対する賃金、給料、手当など |
| 外注費 | 協力会社に、材料と作業をあわせて任せた工事の支払額 |
| 経費 | 上の3つ以外の費用。機械の費用、動力・水道光熱費、現場の従業員の給料、法定福利費など |
参考:国土交通省|建設業法施行規則別記様式第十五号及び第十六号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類
実行予算は、受注が決まってから着工までに作る、工事ごとの原価の計画です。発注者に出す見積とは別に、「この金額以内で工事を終える」という社内の目標として作ります。
工事台帳は、工事ごとに発生した原価を記録する帳票です。実行予算と工事台帳の実績を並べて比べることが、原価管理の中心になります。
関連記事:ERPによる原価管理とは?メリットや導入のポイントを解説
建設資材の価格は上がり続けています。建設物価調査会の建設資材物価指数(東京、2015年を100とした指数)は、2026年6月に建設総合で149.6となり、前年同月を5.2%上回りました。
建設業従事者1,060名への調査では、資材の高騰で利益率が低下したと答えた人が68.1%にのぼります。2024年4月からは時間外労働の上限規制も建設業に適用され、月末にまとめて残業で集計するやり方は続けにくくなっています。
見積の時点と工事の時点で原価が変わる以上、工事の途中で原価を確かめ、早めに手を打てるかどうかが利益を左右します。
参考:PR TIMES|建築資材の価格高騰と原価管理に関する実態調査(アイピア)

多くの会社でつまずくのは、3と4です。記録が月末にまとまるため、比べる時点では手を打てる時期を過ぎています。
先の調査では、予算と実際の原価の差を把握するタイミングについて、「月次の締めの時点」が37.3%、「工事が完了した後」が24.0%でした。リアルタイムに把握できている人は23.7%です。6割の人は、月末か工事の後にならないと差が分かっていません。
なぜ月末まで分からないのか。費目ごとに、原価が発生する時点と、工事台帳に載る時点を並べると、理由が見えてきます。
| 費目 | 原価が発生する時点 | もとになる書類 | 工事台帳に載る時点(よくある運用) |
| 労務費 | 作業した日 | 日報 | 月末に日報を集計した後 |
| 外注費 | 協力会社が作業した日 | 注文書、出来高の報告 | 協力会社の請求書が届いた後(翌月) |
| 材料費 | 納品された日 | 納品書 | 仕入先の請求書が届いた後(翌月) |
| 経費 | 使った日、契約した日 | 経費精算、リース契約 | 月末の経費精算の後 |
どの費目も、原価が発生してから台帳に載るまでに、数週間から1か月以上の時間が空いています。原価そのものは日々発生しているのに、入力の合図が「請求書が届くこと」と「月末の締め」になっているためです。
工事写真・施工管理のサービスを提供するルクレも、請求書が届いてから経理が入力し、月次決算を待って初めて収支が分かる状態を課題として挙げ、注文書を出した時点で見込みの原価を計上する方法を勧めています。
原価管理ソフトを入れれば解決するとは限りません。
参考:PR TIMES|建設関連システムの部分導入による「管理の分断」に関する実態調査(Archi Village)
参考:PR TIMES|建設産業従事者への建設DXの現状調査(野原グループ)
参考:アイピア|原価管理ソフト・システム導入状況に関する調査
原価管理ソフトが速くするのは、入力された後の集計です。入力する時点は変えてくれません。日報は施工管理アプリやExcel、注文書はExcel、請求書は紙というように、もとの情報がソフトの外にあり、月末に人が集めて打ち込んでいる限り、ソフトの画面に数字が出るのは月末の後です。
つまり、直すべきはソフトではなく、日報・発注・請求の情報がソフトに届くまでの流れです。
※入稿時:ここに「工事台帳の予実シート」のダウンロードバナーを設置
関連記事:建設DXにはERPが必要?!勧められる理由や成功のポイントを解説

今のソフトやExcelを残したまま、入力の時点を前に倒します。考え方は、請求書で確定した原価を待たず、発生した時点で「見込み」として入れることです。
協力会社や仕入先に注文書を出した時点で、工事番号・費目・金額を一覧に入れます。実行予算のうち、すでに発注先と金額が決まった分が分かり、予算を超える発注は注文の時点で気づけます。
日報の人工(にんく)を月末まで溜めず、週に一度、1人工あたりの単価を掛けて工事台帳に入れます。単価は職種ごとの平均で構いません。給与計算で確定した金額との差は、月次で直します。
協力会社の請求書を待たず、月に2回、現場で確認した出来高の金額を見込みとして入れます。注文金額の全額を原価に入れると、工事の進み具合より原価が先に進んで見えるため、進んだ分だけを入れるのがポイントです。
請求書が届いたら、見込みで入れていた金額を請求額に直し、状態を「確定」に変えます。見込みと確定の差が大きい取引先や費目は、次回から見込みの入れ方を直します。
原価の消化率(発生した原価÷実行予算)と、工事の進み具合を並べます。進み具合が40%で原価の消化率が50%であれば、このままでは予算を超えます。
最終の原価の見込みは「発生した原価÷進み具合」で概算できます。契約金額から引けば、最終の粗利の見込みが出ます。月の途中でこの数字が見えていれば、残りの発注の見直しや、追加工事の交渉に間に合います。
なお、ここでの原価は、月の途中で判断するための管理用の数字です。決算で使う会計上の原価(未成工事支出金、完成工事原価)とは目的が違うため、会計の処理は従来どおり、請求書と支払にもとづいて行います。
入力の時点を前に倒すと、入力の回数が増えるように見えます。そこで、すでにどこかに入力されている情報は、打ち直さずに運ぶようにします。
| つなぐ場所 | 今の状態(よくある例) | つなぎ方 |
| 日報から工事台帳へ | 施工管理アプリやExcelの日報を、月末に集計して打ち直す | 日報のデータをCSVで出し、工事番号と人工を原価管理ソフトに取り込む |
| 注文書から工事台帳へ | Excelで作った注文書を、請求書が来てから入力する | 注文の入力を1か所にまとめ、注文した時点で原価管理ソフトに渡す |
| 請求書から工事台帳へ | 紙やPDFの請求書を見ながら入力する | AI-OCRで読み取り、注文・出来高と突き合わせてから取り込む |
| 工事台帳から会計へ | 原価管理ソフトと会計ソフトに同じ仕訳を入力する | 原価管理ソフトから仕訳のデータを会計ソフトに渡す |
多くの原価管理ソフトと会計ソフトは、データを出し入れする口を持っています。公開されている例を挙げます。
参考:OBC|勘定奉行クラウド API連携 レッツ原価管理Go2
製品に口があっても、自社の工事番号や費目の付け方に合わせて運ぶ部分は、会社ごとに作る必要があります。ここが、製品の提供会社が手を出さず、人の転記が残りやすい部分です。

工事の件数が少ないうちは、Excelでも原価管理はできます。次の3つを守ると、後からソフトに移すときにも困りません。
一方、次のような状態になったら、Excelだけで続けるのは難しくなっています。
原価管理ソフトを選ぶ、または買い替える前に、先に入力の流れを決めることをおすすめします。入力の時点が月末のままでは、どのソフトでも結果は変わらないためです。そのうえで、次の点を確かめます。
主な製品の公開価格は次のとおりです。最新の価格と税の扱いは、各社のページで確認してください。
| 製品 | 公開されている価格 |
| どっと原価3(クラウド) | ライト 月額13,000円、スタンダード 月額23,000円(税抜。いずれも1ライセンスの参考月額。追加は1ライセンス月額7,000円) |
| レッツ原価管理Go2 | スタンドアロン版 660,000円(税込)、年間保守33,000円 |
| アイピア | ライト 初期費用120,000円、月額10,000円(5ユーザーまで) |
| 勘定奉行クラウド[建設業編] | 月額27,500円から(初期費用50,000円) |
参考:アイピア|料金
関連記事:建設DXでSaaSを導入するメリットとは?代表的なサービスや選定ポイントを解説
月の途中で予算と実績を比べるためのExcelテンプレートを用意しました。次の6つのシートで構成しています。
工事一覧では、最終の原価の見込みが実行予算を3%以上超える工事に色が付きます。工事の進み具合に対して原価が少なすぎる工事にも色が付き、日報や注文の入力漏れに気づけます。
まず「遅れの確認」のシートで、自社のどの費目が最も遅れているかを確かめてください。そこが、最初に直す場所です。
建設業法は、営業所ごとに帳簿を備え、工事の引渡しから5年間保存することを求めています。ただし、この帳簿に書くことが決められているのは、請負契約や下請契約の内容です。工事ごとの原価を記録する工事台帳の様式が、法律で決められているわけではありません。
一方、決算で作る完成工事原価報告書は4つの費目で作る必要があり、公共工事を受注する会社は経営事項審査も受けます。工事ごとの原価を正しく記録しておくことは、実務上は欠かせません。詳しい扱いは、顧問の税理士や行政書士に確認してください。
合わなくて構いません。見込みは、月の途中で判断するための数字です。請求書が届いた時点で確定の金額に置き換えます。差が大きい場合は、出来高の査定の仕方や、労務費の単価を見直してください。
入力する場所が2つ以上あると、現場は入力しなくなります。日報の入力は1か所に決め、そこから工事台帳へは打ち直さずに運ぶ形にしてください。日報の項目も、工事番号、人数、作業時間の3つまで絞ると続きやすくなります。
買い替える前に、原価が台帳に載るまでの流れを確かめてください。もとの情報が月末に集まる運用のままであれば、買い替えても見える時期は変わりません。今のソフトがデータの取り込みに対応していれば、買い替えずに、日報・注文・請求とつなぐだけで月の途中に見えるようになる場合があります。
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ご相談では、今のソフトとExcelを見せていただき、「どこをつなげば、月の途中で工事ごとの利益が出るか」を一緒に整理します。予実シートを使ってみて、手入力では続かないと感じた段階でも構いません。お気軽にお問い合わせください。

建設業の原価管理は、実行予算と工事ごとの実績を比べることが中心です。その実績が月末まで分からないのは、日報・発注・請求の情報を月末に人が集めて入力しているためで、原価管理ソフトを入れただけでは変わりません。
注文した時点、作業した時点、出来高を確認した時点で見込みの原価を入れ、請求書が届いたら確定に置き換える。この流れを作れば、今のソフトとExcelのままでも、月の途中で工事ごとの利益が見えるようになります。まずは費目ごとに、原価が台帳に載るまでの日数を書き出すところから始めてみましょう。
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