スマートファクトリーとは?定義・メリット・導入のポイントを徹底解説
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「保守会社から、ハードの保守が終わると言われた」「システムを作った人が退職して、中身が誰にもわからない」「Windowsを更新したら起動しなくなった」。販売管理や在庫、受発注を支える基幹システムの老朽化は、ある日突然、期限つきの問題として表に出てきます。
ところが、いざ入れ替えを調べても、費用の幅が広すぎて見当がつかず、ベンダーの見積が妥当かも判断できない、という声をよく聞きます。IT専任の担当者がいない会社ではなおさらです。
本記事では、基幹システムの老朽化のサインと放置するリスクを整理したうえで、入れ替えの4つの方式と費用の内訳、期間の目安、業務を止めずに移す段取り、自社側で決めておくこと、ベンダー見積の見方までを、中小の製造業を想定して解説します。

基幹システムとは、販売管理、在庫管理、生産管理、会計など、止まると会社の業務が回らなくなる仕組みのことです。老朽化とは、その仕組みが古くなり、保守が受けられない、直せる人がいない、今の業務に合わないといった状態になることを指します。
基幹システムの寿命は一般に14年前後といわれます。ただし実際には、20年以上使い続けている会社も珍しくありません。経済産業省のDXレポートは、21年以上稼働している基幹系システムを抱える企業が2025年には6割に達すると指摘しました。
参考:経済産業省|DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
関連記事:基幹システム(ERP)とは?主要機能から導入時の注意点まで詳しく解説
老朽化は、性能が落ちるといった緩やかな形よりも、次の3つのきっかけで急に問題になります。
特に中小の製造業では、オフコン(オフィスコンピュータ)、20年前に地元の開発会社が作った独自システム、社内の詳しい人がAccessで作った仕組みの3つが多く、どれも「人の不在」が重なりやすいのが特徴です。
次の項目に当てはまるものが多いほど、入れ替えの検討を急ぐ必要があります。
| サイン | 確認すること |
| 保守終了の通知が来た、または期限を把握していない | ハード、OS、データベース、開発言語それぞれの保守期限 |
| 仕様書がない、または納品時のまま更新されていない | 画面・帳票・データ項目の一覧があるか |
| 中身を説明できる人が社内にも社外にもいない | 開発会社の担当者は在籍しているか。ソースコードは手元にあるか |
| 小さな改修に時間と費用がかかりすぎる | 項目を1つ足すのに数十万円、数か月かかっていないか |
| 法改正や取引先の要請のたびに手作業が増える | インボイス、電子帳簿保存法、取引先のEDIに対応できているか |
| 周辺業務をExcelやAccessで補っている | 同じ数字を2か所以上に入力していないか |
| 動作が遅い、障害が増えた | 月次の締め処理にかかる時間、停止の回数 |

動いているものを替えるのは勇気が要ります。しかし、使い続けることにも次のリスクがあります。
保守が切れたハードは、故障しても部品が手に入りません。受注の入力、出荷の指示、請求書の発行が同時に止まります。作った人がいない場合は、復旧の手順すらわかりません。
開発会社そのものがなくなるリスクも高まっています。帝国データバンクによると、ソフトウェア業の倒産は2024年度に220件と過去10年で最多となり、2025年度も同じ水準で推移しています。倒産した会社の約85%は負債1億円未満の小規模な事業者で、地域の中小企業のシステムを支えてきた会社が含まれます。
古い言語や機器を扱える技術者は年々減っています。担当できる人が限られるほど、保守費や改修費は上がります。5年間の総額で比べると、入れ替えた方が安くなる例もあります。ある試算では、現行を維持した場合は年間の改修などで5年間に5,000万円、環境だけを移し替えた場合は初期2,000万円と年間450万円で5年間に4,250万円となり、入れ替えた方が750万円安くなりました。
参考:オフコン移行・リプレースの完全ガイド(シースリーインデックス)
保守が終わったOSやソフトには、見つかった弱点を直す更新が届きません。基幹システムには得意先の情報や単価、取引の履歴が入っており、取引先から安全対策の確認を求められる場面も増えています。
古い仕組みは、決まった帳票しか出せないことが多く、製品別の利益や得意先別の推移を見たいときに、担当者がデータを抜き出してExcelで加工することになります。月次の数字が出るのが翌月の半ばでは、値上げや受注の判断に間に合いません。
入れ替えには、大きく4つの方式があります。どれを選ぶかで、費用も期間も業務への影響も変わります。
| 方式 | 内容 | 費用の目安 | 期間の目安 | 向いているケース |
| リホスト | プログラムはそのままに、動かす環境だけを新しいサーバーやクラウドに移す | 2,000万〜5,000万円 | 8〜12か月 | 保守終了が迫っており、まず動く環境を確保したい |
| リライト | 業務の流れは変えずに、プログラムを新しい言語に書き換える | 8,000万〜2億円 | 18〜24か月 | 今の業務に満足しており、言語と人材の問題だけを解消したい |
| リビルド | 業務の流れから見直して、作り直す | リライトと同等以上 | 1年半〜2年 | 業務そのものを変えたい。今後の拡張を重視する |
| パッケージへの移行 | 市販の販売管理・生産管理・ERPに乗り換える | 3,000万〜8,000万円 | 10〜14か月 | 業務を標準の形に寄せられる。保守の負担を減らしたい |
上の金額は、売上30〜300億円規模の会社がオフコンから移行する場合の目安です。販売管理だけをクラウドの製品に替える場合は、月額数万円から始められるものもあります。自社の規模と範囲に当てはめて考えてください。
関連記事:レガシーシステム刷新でAI活用するメリットと進め方|注意点も解説
関連記事:自社にERP導入する際のポイントは?5つのステップを詳しく解説
見積書の金額だけで予算を組むと、後で足りなくなります。実際にかかる総額は、ベンダーへの支払額の1.3〜1.7倍になるといわれます。見積に入りにくい費用は次のとおりです。
| 費用 | 内容 |
| データの整備と移行 | 古いデータの重複や不整合の修正、移すデータと捨てるデータの仕分け |
| 周辺の仕組みとの接続 | 帳票、取引先とのEDI、会計、Excelで作っていた補助の仕組みの作り直し |
| 周辺機器の更新 | プリンター、ハンディ端末、サーバー室の設備(数百万〜数千万円) |
| 社内の人の時間 | 業務部門の担当者が、1〜2年のあいだ仕事の2〜3割を割く |
| 並行稼働 | 新旧の両方を動かす期間の保守費と、二重に入力する手間 |
| 教育と定着 | 操作の研修、手順書の作成(200万〜500万円) |
検討に3〜6か月、要件を決めてから稼働までに8〜24か月、稼働後に慣れるまで約3か月かかります。保守の期限から逆算すると、期限の2年前には検討を始める必要があります。たとえば富士通のオフコン向けクラウドサービスは2031年3月末で提供を終える予定のため、利用中の会社は2029年には動き出したいところです。
参考:エフサステクノロジーズ|Cloud Service for オフコン サービス提供終了までのご案内

入れ替えの成否を分けるのは、最初の棚卸しと、後半の並行稼働です。5つの段取りで進めます。
画面、帳票、データ項目、ほかの仕組みとのやり取り、月次や年次の処理を全て書き出します。仕様書がない場合は、実際の画面と帳票を集め、担当者に操作してもらいながら記録します。作った人がいないAccessや独自システムでは、この工程に1〜2か月かかることもありますが、省くと後の見積が全て不正確になります。
棚卸しの結果をもとに、4つの方式から選びます。このとき、今の機能を全て引き継ごうとしないことが大切です。使われていない帳票や、人が替われば不要になる例外の処理を引き継ぐと、費用が膨らみます。
開発や設定はベンダーの仕事ですが、画面や帳票の確認は自社の仕事です。月に2回は実物を見て、現場の担当者に触ってもらってください。完成してから「思っていたのと違う」となるのが、最も高くつきます。
得意先、品目、単価、在庫、受注の残りなどを新しい仕組みに移します。古いデータには、重複した得意先や使われていない品目が必ず含まれています。移す前に整理する作業は、自社にしかできません。
移した後は、1〜2か月、新旧の両方に同じ取引を入力し、請求額や在庫数が一致するかを確かめます。負担は大きいですが、月次の締めを最低1回、できれば2回またいで確認することで、切り替え後の混乱を防げます。
関連記事:ERP導入時にデータ移行する方法は?主な5つのステップを解説
切り替えは、月初や期首など、取引の区切りがよい日を選びます。古い仕組みはすぐに捨てず、過去の取引を照会できる状態で一定期間残します。帳簿の保存義務がある期間は、データを取り出せるようにしておいてください。
入れ替えの失敗の多くは、ベンダーの技術ではなく、発注する側の体制から起きます。ボストン コンサルティング グループの調査では、大規模なシステム投資のうち、予定した納期・予算・品質を守れたものは2割に届きませんでした。中小規模でも構図は同じです。
参考:BCG Japan|「2025年の崖」システム投資に失敗する理由
ベンダーの契約範囲に含まれず、自社でやる必要がある仕事は次のとおりです。
| 自社の仕事 | 担う人 | 目安の負担 |
| 入れ替えの目的と予算を決める | 社長・役員 | 最初と節目の判断 |
| 全体の進行を見る(責任者) | 管理部長など。兼務でも1人に決める | 期間中、仕事の2〜3割 |
| 今の業務と例外の処理を説明する | 営業事務、購買、製造、経理の各担当 | 棚卸しと確認の時期に集中 |
| 移すデータを整理する | 各部門の担当 | 数週間〜数か月 |
| 受入テストをする(実際の取引で確かめる) | 各部門の担当 | 稼働前の1〜2か月 |
| 社内に操作を教える | 各部門のリーダー | 稼働前後 |
IT専任者がいない会社では、責任者の負担が特に大きくなります。中小企業基盤整備機構によると、売上50億円未満の企業では情報システムの担当者の61%が兼務です。社内で人を出せない場合は、ベンダーとは別に、発注する側の立場で進行とベンダーとのやり取りを支える外部の人を入れる方法があります。
参考:中小機構|中小企業は「ひとり情シス問題」にどう向き合うべきか
外部の人材を使う動きは広がっています。当社がシステム開発を行う中小企業(従業員500名未満)の経営者・役員321名に行った2025年の調査では、59.2%が外部委託エンジニアの獲得に意欲的と答えました。求めるスキルでは「コンサルティング/プロジェクト管理」が33.7%で、前年から7.2ポイント増えています。作る人だけでなく、進める人を外部に求める会社が増えていることがわかります。
参考:TWOSTONE&Sons|中小企業における外部委託エンジニアの獲得意欲に関する調査
関連記事:PMOの役割とは?業務内容・価値を発揮するポイントを徹底解説

棚卸しから見積の比較、総額の試算までをそのまま進められるExcelのテンプレートを用意しました。
棚卸しのシートで「やめる」に仕分けた行が多いほど、見積は下がります。ベンダーに見積を依頼する前に、このシートを埋めておくことをおすすめします。
見積が妥当かどうかは、金額の大小ではなく、前提と範囲で判断します。
2社以上から見積を取り、同じ前提で比べてください。金額が大きく違う場合は、範囲か前提が違っています。安い見積は、データ移行や帳票が「お客様作業」になっていることが多いので、注意が必要です。
関連記事:ERPを販売管理に活用する方法を解説!代表的な機能や事例を紹介
オフコンは、画面の操作が速く、長年の改修で自社の業務にぴったり合っているため、現場の満足度が高いことが多い仕組みです。入れ替え後に「前の方が速かった」という不満が出やすいので、入力の速さが求められる受注や出荷の画面は、試作の段階で必ず現場に確かめてもらってください。メーカーごとに保守の状況が違うため、まず自社の機種の期限を確認することが出発点です。
ソースコードと設計書が自社の手元にあるか、契約上の権利がどうなっているかを最初に確認します。開発会社が健在であれば、入れ替えの前に、画面・帳票・データ項目の一覧を作ってもらうだけでも、その後の選択肢が広がります。開発会社と連絡が取れない場合は、今あるプログラムとデータベースを解析して仕様を起こす作業から始めます。
Accessは、社内の詳しい人が業務に合わせて作り込んでいることが多く、その人が退職すると誰も直せなくなります。Accessの保守を専門に受ける会社にも「担当者が退職して仕様がわからない」という相談が多く寄せられています。パソコンの入れ替えでAccessのバージョンが変わり、動かなくなる例もあります。データが増えて動作が不安定になっている場合は、データベースだけを先に別の仕組みに移し、画面は段階的に作り替える方法があります。
参考:Accessの担当者が退職したら最初にやるべき10項目(株式会社マクティズム)
判断の基準は、保守の期限と、直せる人がいるかどうかの2つです。どちらかが欠けた時点で、止まったときに復旧できない状態になります。期限の2年前を、検討を始める目安にしてください。
請求や在庫など、他社と大きく変わらない業務は製品に合わせ、受注生産の見積や独自の生産の段取りなど、自社の強みに関わる部分だけを作るのが現実的です。全てを合わせようとすると現場が使わなくなり、全てを作ると費用と保守の負担が大きくなります。
全て移す必要はありません。取引中の得意先と品目、受注の残り、在庫は移し、過去の取引の履歴は、古い仕組みやデータの形で照会できるように残す方法が一般的です。移す範囲を絞るほど、費用と期間は下がります。
中小企業向けには、IT導入補助金などの制度があります。対象となる製品や経費、申請の時期は年度ごとに変わるため、最新の公募要領を確認してください。補助金の採択を待って着手が遅れ、保守の期限に間に合わなくなることがないよう、スケジュールを先に決めることをおすすめします。
基幹システムの保守終了が迫っている、作った人がいなくて中身がわからない、ベンダーの見積が妥当か判断できない、といったお悩みがあれば、『株式会社 TWOSTONE&Sons』にご相談ください。
当社は、今の仕組みの棚卸しから、方式の検討、開発、データの移行までを支援しています。特定の製品を販売する立場ではないため、発注する側に立って、ベンダーとのやり取りや進行の管理を支えることも可能です。古い言語や仕組みに対応できる技術者を必要な期間だけ確保することもできます。
「何から手を付ければよいかわからない」という段階でも構いません。お気軽にお問い合わせください。

基幹システムの老朽化は、保守の終了、作った人の不在、OSや法改正への対応の3つをきっかけに、急に期限つきの問題になります。使い続ければ、止まったときに復旧できない、保守費が上がり続ける、数字が取り出せないといったリスクが大きくなります。
入れ替えには4つの方式があり、費用と期間は大きく違います。ベンダーへの支払額の1.3〜1.7倍を総額として見込み、検討から稼働まで1年半〜2年半を確保してください。成否を分けるのは、最初の棚卸しと、自社側の体制です。まずは保守の期限を確認し、画面・帳票・データの一覧を作るところから始めましょう。
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