2024年8月期 第2四半期決算説明会 質疑応答(要旨)

2024.05.14

当決算説明会における主な質疑応答の要旨は、以下の通りです。
回答者は当社代表取締役CEO 河端 保志が努めさせていただきました。
なお、記載内容につきましては、ご理解いただきやすいよう、加筆修正しております。

Q1

今後のM&Aについて、計画、参入分野、想定する成長率など具体的なところを教えてください。

A1

基本的には、今までと同じ方針のM&Aを検討しており、PMIが非常にうまくいく理由も説明させていただければと思います。現状、国内のフリーランスエンジニア領域において当社はトップティアを走っているのですが、当社より規模が小さい会社は、実際のところは多少苦労しています。

人材領域で垂直的に上がってきている会社というのは、基本的に市場を独占していくかたちになります。当社より規模が小さい会社の場合、エンジニアを集客するために広告を同じようにかけたとしても、どうしてもブランド人気や認知度が低かったり、上場企業でなかったりするため、広告の獲得単価が当社より上がってしまうからです。

そのようにエンジニアの集客コストに差が出るだけでなく、案件のバラエティーも規模の大きさや与信により多くなります。

つまり、エンジニアには豊富なバラエティーの案件と高い単価モデルを提供でき、低い広告単価で仕入れている分を企業側にも還元できるかたちになっています。

買収した会社に参画していたエンジニアの単価を上げたり、その会社の保有案件でエンジニアがいなかった際には当社のデータベースを使ったりと、非常にうまくPMIができるかたちになっています。今後も、このような具体的な部分に関しては、同様のM&Aを行っていきたいと考えています。

Q2

海外募集による資金調達を行うことで組織強化を図るとのことですが、現状の組織の課題は何だと捉えていますか?

A2

過去の説明会でもお伝えしていることになりますが、当社は営業が弱いことが根本的な課題となっています。エンジニアは非常に売り手市場のため、今まではあまり営業会社らしくならずに、徹底的にエンジニアファーストの組織を作ってきました。そのため、当社からアウトバウンドしてお客さまに営業するようなことをしていませんでした。

今までは、なにもしなくても当社のホームページの問い合わせに企業から「エンジニアを紹介してくれないか」と連絡があり、それに対してエンジニアを提供するかたちになっていました。そのため、会社としての営業力が非常に弱かったのですが、ナショナルクライアントのような大手企業は向こうから来ることはないため、当社からアプローチする必要が出てきています。

そのため足元では営業強化に力を入れており、2024年4月から幹部人材も非常に増え、営業部分に関してはかなり改善が見られています。組織強化を行っていくことで、第4四半期や来期以降に関しても、非常によい結果を出せるのではないのかと思っています。

Q3

資金調達によってより大きな企業の買収を検討するとありましたが、規模が大きくなれば管理コントロールも大変になると思います。そのあたりの対策などがあればお聞かせください。

A3

現在、足元ではそのためのガバナンスを強化しています。また、当社のメンバーが出向することにより、徹底的なコントロールをしていこうと思っています。管理ができないような会社については、そもそもM&Aを検討しない方針をとっており、管理コントロールができるかどうかをベースにM&Aを考えていきたいと思っています。

Q4

今後のM&Aに関して、現時点で具体的に検討している企業はありますか?

企業名は言えないと思いますので、Yes or Noで回答をお願いします。

A4

常に積極的にソーシングしているため、検討している企業はもちろんございます。

Q5

獲得できる案件は2次請け以下のものはほとんどない状態なのでしょうか?

ゼロではないにしても、その比率はどのようによくなっているのでしょうか?

A5

実際のところ、まだまだ2次請けの案件もあるというのが実状になります。ただ、企業を挟まずに直接取引するためにも、比較的バリュエーションを気にせず、企業からの与信獲得のために上場を優先したということもあり、その狙いどおり足元では直接取引がどんどん増えてきています。

おそらく、最終的には2次請け案件もほぼゼロに近いかたちにはなってくると思います。具体的な数字は開示しておらず大変恐縮ですが、比率はかなり下がっていくと考えています。

Q6

フリーランスエンジニア不足は世界的な波及が見られますが、国外へのマーケット参入なども視野に入れているのでしょうか?

A6

世界的なエンジニア不足により、日本のエンジニアを海外に提供することは非常にニーズがあると思っており、足元では海外企業に展開することを積極的に検討しています。

プログラミング言語は世界共通のため、エンジニアはリモートワークを非常に行いやすい仕事でもあります。テキストでの英語のやり取りにふだんから慣れているエンジニアにとっては、その点も問題ありません。

また、円安の影響で、欧米、特に北米などは、日本に比べると単価が上がりやすくなっています。国内のエンジニアにとっても、海外の案件を受けるほうが単価も上がるということもあり、海外への展開は積極的に考えています。

Q7

MapleSystems社のM&Aに関して教えてください。

正社員エンジニア採用を得意としていることを利点としてお話しされていましたが、御社はもともとフリーランスを強みとしていたと思います。

その中で、正社員エンジニア採用に強みを持った企業を買収するという意思決定に至った理由をお聞かせください。

A7

大企業との取り組みの時、フリーランスのみだと先方が嫌がる場合があります。その際に、正社員エンジニアを出向させ、その下にフリーランスエンジニアのチームを作ることにより、先方が受け入れてくださったり、単価を向上できたりすることがあるため、正社員採用が強い会社と組むことは非常に有意義になります。

Q8

御社の経済圏で仕事をしているエンジニアの収入は、他社の経済圏で仕事をしているエンジニアと比べてどの程度の水準でしょうか?

または、上昇ペースは優れているのでしょうか?

A8

私が言うのもなんですが、私がエンジニアでしたら必ず当社を使うぐらい、お客さまからもらっている金額の中からエンジニアに渡す還元率は非常に高くなっています。

当社もさらに営業強化していき、案件の単価自体を上げた時には、テイクレートを多少変えていくことは考えています。しかし、足元ではエンジニアへの還元率が非常に高い状態になっており、かつ単価向上も進んでいるため、その分エンジニアに対しての還元も行えているかたちです。

Q9

子会社の合併に関して、今回はTSRと名前のついた2社でしたが、今後、他の子会社なども合併していく可能性はありますか?

A9

もちろん、合理性がある場合は合併していこうと考えています。また、当社がホールディングス体制をとっている大きな理由として、若手のためにいろいろなポストを用意することができるという点があります。

今は、優秀な若手ほど裁量権を求めることが多くなっているため、若手が非常に多い当社では、子会社の設立などにより小さな組織を作ることで、優秀な若手に子会社の社長などを任せるようにしています。若手のパフォーマンスがブラックボックスにならないため、責任感や裁量権も生まれやすくなっています。

しかし、合併したほうが合理性を伴う場合は合併も行うなど、当初のホールディングス体制の狙いも活かしながら経営を進めたいと考えています。

Q10

高原代表が貸株を行っているようですが、これはなぜでしょうか?

河端代表、高原代表は今後も貸株を行っていくのでしょうか?

A10

高原の貸株は今回の資金調達において必要だったため行ったことで、現在はすでに返却されています。私も高原も基本的には貸株を行うことはありませんので、そのようにご認識いただければ幸いです。

Q11

今回の説明会の参加者数は、どのくらいでしょうか?

A11

100名程度となっています。

Q12

企業体としての御社をSIerとして捉えた場合、国内ではどのようなポジションになっていると認識されていますか?

規模の面、質の面での評価をお願いします。

A12

当社は今、非常に評価していただいていると思います。少し長くなりますが、その理由についてご説明します。

コロナ禍により「DX」という言葉が非常に盛んになりました。それから今までのDXは、社内の工数管理などのDXがメインでした。最近になってやっと、ユーザー向けのサービス、つまりサービスプロバイダー側がDXをしっかり進めていくかたちに変わってきました。

例えば、トヨタをはじめとする自動車業界では、今まではハードのシステムしか持っていませんでした。しかし現在は、テスラのような会社が市場を牽引し、自動車の真ん中にディスプレイが置かれ、自社アプリやWebシステムと連動するハードが非常に多く作られています。

既存のSIerは基幹システム寄りで、Webを伴わないようなシステムを強みとしていたため、Webシステムに関するソリューションやケイパビリティはあまり持っていませんでした。対して、当社はそれらを持っているというところが、まず大きな強みになっています。

また、今までの上流領域の戦略コンサルは、国内ではほとんどが外資系企業でした。アクセンチュア、マッキンゼー、ボストンコンサルティンググループなど、さまざまな外資系企業は本国の税金もかかるため、フィーを多めに取るのは事実です。また、下流工程の開発に関してのソリューションを持っていないため、2次請け、3次請けに流す前提でフィーを取るかたちになっています。

当グループ会社で上流領域を担当するYellowstone Consulting社は、マッキンゼーに出向するような人材が立ち上げています。そのため、上流から下流まで一気通貫で関われることが1つの強みであり、企業からは質も含めて高い評価をいただいています。

Q13

先日、マーケター事業の登録者数が5,000名を超えたと発表がありましたが、いずれはエンジニア領域のように伸びていくと期待してもよいでしょうか?

A13

マーケター領域に関しては、まだリソースを大きく注いでいるわけではないのですが、着実に成長曲線を描き始めています。今後も、エンジニア領域と同様の成長を見込めるのではないかと考えています。

Q14

御社のM&A戦略がエンジニアデータベースの拡大を通じて競争力を強化するとのご説明がありましたが、そのメカニズムをもう少し詳しく教えてください。

A14

現在、どの企業もエンジニア不足に困っているため、エンジニアのデータベースが多ければ多いほど、取引できる確率が増えていきます。

一方で、エンジニア側は当社のような業者を選ぶ立場となっています。実際にどのような案件があるのか、自分たちの手残りの報酬がどの程度なのか、などを判断軸としてデータベースに登録するかしないかを判断します。

「卵が先か、鶏が先か」のような話になりますが、結局エンジニア登録数が少なければ、大手企業を含め、企業はわざわざ当社と取引する価値はないと思われてしまいます。裏を返せば、一定規模の案件がなければ、エンジニアも登録してくれません。

そのため、多くの案件を有していることや多くのエンジニアを有していることは、競争力強化に非常に重要なファクターとなります。

当社は今、この領域でトップティアを走っているため、正の循環がうまく回っており、競争力という部分で優位性を持っていると考えています。

Q15

新卒入社の半数がすでにインターンで勤務していたとのことですが、具体的にどのような業務を行っていたのでしょうか?

即戦力化に期待とあったので、基本的には正社員と同じような業務を行っているのでしょうか?

A15

もちろん、インターン時代にはガバナンス上関わることができない業務からは外しています。コミットのレベルなどによっても異なりますが、基本的には正社員とほぼ同じような業務を行っていたため、立ち上がりは非常によくなると考えています。

Q16

コンサルタント職の採用は難易度が高い印象がありますが、営業職と比べて難しいと感じることはありますか?

A16

正直なところ、採用の難易度というよりも、そもそも営業職に比べて母数が少ないため、その分しっかりした魅力付けやアプローチなど、当社を認識してもらうことが非常に重要になってくると考えています。

ただ、他社に比べて採用はうまくいっていると考えています。理由は、当社のケイパビリティやソリューションがコンサルタント側から高評価を受けているためです。

先ほどもお伝えしたとおり、上流領域では戦略策定だけ行うというのが一般的です。当社では、最後のソリューション提供や実際の運用まで責任を持ち、企業に喜ばれるところまで携わることができるため、そのような部分がコンサルタントから魅力を感じてもらえるポイントになっているのではないかと思います。

また、当社は市場の中でも他社に比べて成長率が高いため、そのように伸びている会社でコミットできるという部分も訴求の1つになっています。ストックオプションなどのインセンティブ制度をしっかり設けて、採用強化を図っている点が機能しているのではないかと考えています。

Q17

M&Aの検討内訳の中に受託企業も一定数あるようですが、受託企業のM&Aの可能性はありますか?

A17

基本的には検討企業のメインは受託企業ではないのですが、もちろんよい受託企業に関しては内容次第で可能性はあると思っています。詳細を見てみなければわかりませんが、例えば大手企業の細かいDX領域に長年携わっているような受託企業にはかなり興味を持っています。

コロナ禍前は、先進国も含め各国でデフレに悩まされましたが、中国の人口爆発により安い労働力が世界中に広がったためにデフレが起きたと思います。中国や先進国を筆頭に少子高齢化が大幅に進み、ブルーカラー系の業態は深刻な人手不足に悩まされていることから、ブルーカラー領域のDXに取り組んでいる会社には大きな可能性があると考えています。

当社は、ブルーカラー領域での上流領域から実際の運用まで進めることは、今後の日本社会、また世界的にも重要であると考え、経営戦略・営業戦略をもとに展開していきたいと考えています。

Q18

新興の企業として配当を実施していることに驚くのですが、増配は考えていますか?

A18

コロナ禍が収束を見せ始めた一昨年から昨年にかけて、世界的なインフレに伴う利上げが行われ、各国が金融規制を行った時に、株式市場のマーケットが下落したタイミングがありました。

当時「配当を出さなければ投資の基準に達しない」「1円でもいいから出してほしい」と言われる機関投資家の方が多く、取り急ぎ1円を出したというのが事実です。したがって、今後すぐの増配は残念ながらまだ検討していません。

みなさまへの株主還元をしていく上では、事業を伸ばして株価を上げることで還元していきたいと考えているため、その点をご了承いただけますと幸いです。

Q19

上流工程を担当できる人材の採用により、数年前と比較して大きく変わったことや、今後変わっていくであろうことを教えてください。

A19

今まで当社は、上流の戦略コンサルティングファームなどが作った最後の戦略を実行する下流部分にしか携わってきませんでしたが、上流から一気通貫で関わることにより、利益率や案件のグリップ力、営業力の粘着性が非常に強化されます。

従来は、下流を受け持つ会社の選定で争っていましたが、当社が一気通貫で携わることができる点が1つの強みになっていくと思っています。

Q20

御社の企業価値(時価総額)の妥当性が今ひとつ理解できていません。M&A戦略は連動性があるような気がしています。また、河端代表が動画で株式交付制度について話されていましたが、代表としてはどのようにお考えですか?

A20

株価のバリュエーションに関しては、当社がコントロールできるものではないため、基本的にはノーコメントになってしまいます。以前と比べて、直近では出来高や株価も向上しており、みなさまからよい評価をいただいているのはうれしいポイントです。

M&A戦略については、現在のグロース市場では成長率が重要な指標になっていると考えています。SHIFT社などを筆頭に、基本的に成長率が高く、時価総額が数千億円になっていくような企業は成長率が非常に重要になってきており、その点が高評価をいただいているポイントかと思っています。

以前までの日本国内は、基本的に終身雇用が主軸でしたが、今は大企業に勤めていても転職するなど、人材の流動性がかなり上がってきています。

例えば、当社の創業当時にエンジニアにフリーランスを提案すると「フリーランスは怖い」「明日、仕事がなくなるかもしれない」というような会話がよく繰り広げられていました。ただし、合理的に考えた時、エンジニアの有効求人倍率は10倍を下回ったことがなく、働くうえでのデメリットを徹底的に打ち消してメリットを享受できるのはフリーランスだと思っています。

年収を上げていく上で人材の流動性は重要になってきており、実際に欧米では日本の正社員に比べて雇用がまったく守られていません。極端に言えば、すぐに人を解雇することができます。これは一見冷酷に見えるかもしれませんが、人材が必要であればその分給料を上げます。


給料を上げて採用を加速していくため、欧米は日本に比べ、物価を考慮しても給料は高く、それゆえに国力が上がるのではないかと思っています。この人材の流動性というのは、今後日本国内でもかなり変わってくると思っています。

SIer市場の売上合計は、NTTデータ系列の企業を含めると、数十兆円以上あります。例えば、エンジニアを正社員として雇用して出向させるモデルでは、その市場の中の1パーセントでもフリーランスになると、それだけでTAMが年間数千億円に広がっていきます。このTAMの広がりをかなり評価していただいていると感じています。

そもそもマクロな部分で、金融緩和の影響上、国内はこれから間違いなくインフレが進んでいくと思います。政府関係者ともよく話しますが、やはり給料を上げていかなければいけません。給料を上げていくと、当社のテイクレートが仮に一定だとしても、絶対値の売上総利益が上がっていくため、当社にとっても追い風になるというところを全体的に評価いただいていると考えています。

株式交付制度に関しては、まさに株式交付におけるM&Aは、先方が望む限り積極的に行っていきたいと思っています。

Q21


時価総額1兆円企業の目標について自信はありますか?

A21

あるかないかで言えば、私はまだ夢の話だと思っています。というのも、私は自分の人生で目標は持っても夢は持てないタイプです。

他のインタビュー記事などでも伝えたことがありますが、目標は「がんばれば50パーセント達成できるもの」、夢は「がんばっても5パーセント以下の確度しかないもの」と考えています。そのため、今はまず足元で時価総額1,000億円というバリュエーション、企業価値を目指しています。

1,000億円を達成した後に、2,000億円、3,000億円と目標をコツコツ積み上げ、最終的に1兆円企業を目指していきたいと思っています。今は、まだそこを目指せる規模ではないため、中長期的な目標として取り組んでいきたいと考えています。

ただし当社の強みとして、市場に4,000社近くある上場企業の中でもごくわずかな、創業社長である点があります。なおかつ、社長の平均年齢から考えると私たち2人の年齢は非常に若く、当社は市場でまだ数十年以上戦うことができます。

そのような意味では、まだ大きな可能性を秘めていると考えています。幸いなことに、現在さまざまな経験をさせていただいているため、中長期でその経験が生きてくると考えています。そのために、足元でコツコツがんばって業績を上げていきたいと考えています。

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