スマートファクトリーとは?定義・メリット・導入のポイントを徹底解説
製造
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※エンジニア数は2026年8月期 第1四半期決算説明資料に基づきます。
生産管理をエクセルで行っている製造業は今も多くあります。費用がかからず、自社のやり方に合わせて自由に表を作れるからです。一方で、「担当者しか触れない」「どの注文がどこまで進んでいるか現場に聞かないとわからない」「製品ごとの原価が出ない」といった悩みも、同じエクセルから生まれています。
本記事では、エクセルで生産管理表を作る手順と使う関数、製品ごとの原価計算表の作り方を紹介したうえで、エクセル管理が限界に近づいているサインを整理します。さらに、生産管理システムの導入で失敗する理由と、自社に合わない部分だけを作る選択肢、費用の目安、3か月の進め方まで解説します。
エクセルを続けるべきか、仕組みを変えるべきかを判断する材料としてお使いください。

生産管理とは、受注した製品を、決めた品質・原価・納期で作るために、計画、手配、進み具合、在庫、原価を管理する仕事です。エクセルで行う場合は、これらを複数の表に分けて持つのが一般的です。
従業員30名前後、製品の種類が少ない工場であれば、エクセルで十分に回ります。問題が出てくるのは、品種、工程、関わる人数が増えたときです。
最大のメリットは費用です。多くの会社ですでに使えるため、追加の投資なしで始められます。表の形を自社の工程に合わせて自由に変えられること、社員の多くが基本的な操作を知っていて教える手間が少ないことも利点です。生産管理システムを入れる前に、管理する項目を固めるための試作としても役に立ちます。
デメリットは、同時に複数人で編集しにくいこと、データが増えると動作が重くなること、関数やマクロを作った人しか直せなくなることです。入力の間違いや、古いファイルを上書きしてしまう事故も起きます。こうした弱点は、後半の「限界のサイン」で詳しく扱います。

ここでは、受注生産の工場を想定して、生産管理表を作る手順を5つに分けて紹介します。
最初に、表に持つ項目を決めます。受注番号、得意先、品名、数量、納期、工程、担当機械、予定日、実績日、完了数の10項目前後から始めてください。項目を欲張ると入力が続きません。「この項目は誰が、いつ、何の判断に使うのか」を言えないものは外します。
品名、工程名、得意先名を自由に手入力させると、「A社」「A社」「A社様」のような表記のゆれが生まれ、集計が合わなくなります。品目、工程、得意先の一覧を別のシートに作り、入力欄は「データの入力規則」のリストから選ぶ形にします。品目マスタには、標準の加工時間と材料単価も持たせておくと、後で原価計算に使えます。
受注一覧は1行1注文で作り、範囲を「テーブル」に変換しておきます。テーブルにすると、行を足しても数式や書式が自動で引き継がれます。生産計画表は、縦に注文、横に日付を並べ、条件付き書式で予定期間に色を付けると、ガントチャートとして使えます。
工程ごとに完了日を入力する列を作り、未完了のまま納期が近い注文に色が付くようにします。「今日から納期までの稼働日数」を計算し、残り3日以内なら赤にする、という設定が実用的です。
誰が、いつ入力するかを決めます。おすすめは「工程が終わったら、その場でその工程の担当者が入力する」です。まとめて夕方に入力する運用は、忙しい日に必ず抜けます。ファイルは共有フォルダかクラウド上の1か所に置き、コピーを作らないことを徹底します。
生産管理表でよく使う関数と機能をまとめました。難しいマクロよりも、基本の関数を正しく使う方が、後で誰でも直せる表になります。
| 関数・機能 | 使いどころ | 例 |
| XLOOKUP/VLOOKUP | 品目マスタから標準時間や単価を引く | 品名を選ぶと材料単価が自動で入る |
| SUMIFS | 条件に合う数量や金額を合計する | 得意先別・月別の受注金額、工程別の負荷時間 |
| COUNTIFS | 条件に合う件数を数える | 納期遅れの件数、未着手の注文数 |
| IF/IFERROR | 条件で表示を変える、エラーを空欄にする | 完了日が空欄なら「未完了」と表示 |
| WORKDAY/NETWORKDAYS | 休日を除いた日付や日数を出す | 納期から逆算した着手日、納期までの残り稼働日 |
| 条件付き書式 | 遅れや期間に色を付ける | ガントチャート、納期3日前の警告 |
| テーブル | 行を足しても数式が続く | 受注一覧、実績入力 |
| ピボットテーブル | 集計の切り口を変える | 機械別の稼働、製品別の不良数 |
| データの入力規則 | リストから選ばせる | 品名・工程・担当者の表記ゆれ防止 |
マクロ(VBA)は、作った人が異動や退職をすると直せなくなる原因の第一位です。使う場合は、何をしているかを別シートに日本語で書き残してください。
生産管理とあわせて整えたいのが、製品ごとの原価です。原材料や電気代の値上がりが続くなか、値上げの交渉には「この製品はいくらで作っているのか」という根拠が欠かせません。原価計算表は、次の4つを足し合わせて作ります。
| 費目 | 計算のしかた | 必要なデータ |
| 材料費 | 使用量×材料単価(端材・不良の分を歩留まりで割り戻す) | 図面・部品表、仕入単価 |
| 労務費 | 作業時間×賃率(賃率=製造部門の人件費÷年間の作業時間) | 工程別の作業時間(日報)、人件費 |
| 外注費 | 外注先への支払額 | 外注の発注・請求 |
| 製造間接費 | 機械の償却費・電気代・消耗品などを、機械時間や作業時間で割り振る | 決算書の製造経費、機械別の稼働時間 |
作り方の手順は次のとおりです。
最初から全製品でやる必要はありません。売上の上位20品目から始めると、値上げ交渉が必要な製品が見えてきます。
ここまでの内容をそのまま使えるExcelのテンプレートを用意しました。品目マスタ、賃率と機械レート、原価計算表、受注一覧と進捗、限界チェックの5つのシートで構成しています。
サンプルの数字では、3つの製品のうち1つだけ粗利率が1割を切っています。売上の上位品目を入れてみると、同じように値上げの交渉が必要な製品が見えてきます。製造間接費を機械時間で割り振る簡易な方法のため、決算用ではなく、値付けと交渉の根拠づくりに使ってください。
2026年版の中小企業白書は、原価管理を詳細に行っている事業者ほど価格転嫁率が高い傾向にあること、原価のデータを経営者だけでなく現場の担当者まで共有している事業者の方が転嫁率が高いことを示しています。原価管理に取り組んだ効果として最も多く挙がったのは「価格設定の最適化」でした。
中小企業庁の調査では、コスト全体の価格転嫁率は53.5%(2025年9月時点)にとどまっています。転嫁できない理由の一つが「コストの根拠を説明できない」ことです。製品ごとの原価は、経理のためではなく、営業が値上げの話をするための資料です。
参考:中小企業庁|2026年版 小規模企業白書 第6節 価格転嫁
関連記事:ERPによる原価管理とは?メリットや導入のポイントを解説

次の項目に3つ以上当てはまる場合、エクセルの工夫では解決しにくい段階に入っています。
| サイン | 起きていること |
| 計画の更新に毎日1時間以上かかる | 受注が増えるほど、並べ替えや数式の修正に時間を取られる。1日2〜3時間かける担当者も珍しくない |
| 表を直せる人が1人しかいない | 関数やマクロが複雑になり、作った人以外は触れない |
| 飛び込みの注文や機械の故障で計画が崩れる | 計画全体を手で組み直すのに数時間〜半日かかる |
| 「今どこまで進んでいるか」を現場に聞きに行く | 進捗の入力が遅れ、表が実態を表していない |
| 同じ数字を2か所以上に入力している | 生産計画、販売管理、日報で同じ内容を打ち直している |
| 製品ごとの原価が出ない | 作業時間の実績が集まっておらず、月次の総額しかわからない |
| ファイルが重い、壊れたことがある | データ量が増えて開くのに数分かかる。上書き事故が起きた |
参考:Excelによる生産計画の限界と脱却方法(スパライシス)
ただし、サインが出たからといって、すぐに生産管理システムを買えばよいわけではありません。次の章で、導入がうまくいかない理由を確認してください。
関連記事:製造DXでペーパーレス化を実現!メリットや成功のポイントを解説
「以前システムを入れたが、現場が使わずエクセルに戻った」という会社は少なくありません。中小製造業のIT導入を支援する専門家は、失敗の要因として次の7つを挙げています。
参考:なぜ生産管理システムのIT導入は失敗しやすいのか(二宮ITマネジメント研究所)
7つのうち5つは、製品を選ぶ前の準備の問題です。失敗の多くは、製品が悪いのではなく、自社の業務の流れと「何を見たいのか」を言葉にしないまま導入したことから起きています。
この傾向は、当社の調査にも表れています。従業員300名以上の企業でAI・DXの推進を担う責任者111名に聞いたところ、91.9%が社内主導のプロジェクトの停滞や頓挫を経験していました。理由の上位は「経営課題・業務課題を活用につなげる力の不足」(58.8%)、「実装・開発を担える人材の不足」(50.0%)、「構想を実装に落とし込む設計力の不足」(49.0%)です。AI活用についての調査ですが、人や予算に余裕のある企業でも、課題を仕組みに落とし込む段階で止まっていることがわかります。
参考:TWOSTONE&Sons|企業のAI内製化に関する「限界」の実態調査
もう一つの典型が、市販の製品に自社の業務を合わせきれないケースです。多品種小ロット、受注ごとに仕様が変わる、外注と内製が入り混じるといった工場では、標準の機能に収まらない部分が必ず出ます。そこを無理に合わせると現場が使わなくなり、全て作り替えてもらうと費用が膨らみます。
関連記事:システム内製化が失敗する7つの理由と対策・成功に導くポイントを解説
エクセルの次の選択肢は、市販の生産管理システムだけではありません。自社に合う部分は製品を使い、合わない部分だけを作るという方法もあります。
| 選択肢 | 費用の目安 | 向いている工場 | 注意点 |
| エクセルを整え直して続ける | 0円(担当者の時間) | 品種・工程が少ない。サインが2つ以下 | 作った人しか直せない状態を避ける |
| クラウド型の生産管理システム | 月額1,000円〜100万円(規模・機能による) | 標準的な見込生産・繰り返し生産 | 自社の例外処理に合うか、試用で確認する |
| パッケージ型(自社サーバーに導入) | 10万〜1,000万円 | カスタマイズが必要な受注生産 | 改修のたびに費用がかかる |
| kintoneなどで自分たちで作る | 1ユーザー月額1,800円(10ユーザーから) | 進捗・日報など一部の業務から始めたい | 作る人が1人に偏らないようにする |
| 足りない部分だけを開発する・全て開発する | 233万円〜(技術者の月額×人数×期間で決まる) | 標準の機能に収まらない工程や原価計算がある | 業務の整理と要件を先に固める |
関連記事:ERPによる生産管理とは?メリットやシステム導入の流れを解説
関連記事:システム内製化の6つのメリット|最大化できる企業の特徴とは
愛知県碧南市の自動車部品メーカーである旭鉄工株式会社は、市販の仕組みに頼らず、光センサーと磁気センサーを既存の設備に取り付けて、生産個数と停止時間を自動で集める仕組みを自社で作りました。その結果、80ラインで時間あたりの出来高が平均34%向上し、労務費を年間2億円以上減らし、設備投資を総額4億円抑えています。
同社はこの仕組みを外販する会社(i Smart Technologies)を立ち上げ、5ライン分で月額39,800円という価格で提供し、約180社が利用した実績があります。高額なシステムを入れなくても、「見たい数字」を絞れば小さく始められることを示す例です。
参考:パナソニック コネクト|中小製造企業のデジタル化をリードする旭鉄工

切り替えは、製品選びからではなく、自社の業務を書き出すところから始めます。
| 時期 | やること | できあがるもの |
| 1か月目 | 受注から出荷までの流れと、今使っているエクセル・紙・ホワイトボードを全て書き出す。例外処理も拾う | 業務の流れ図、帳票の一覧 |
| 2か月目 | 「誰が、いつ、どの数字を見たいか」を決める。標準の製品で足りる部分と、足りない部分を分ける | 見たい数字の一覧、製品で足りる・足りないの仕分け |
| 3か月目 | 1つの工程か製品群で小さく試す。現場が入力できるか、数字が出るかを確認する | 試用の結果、本格導入の範囲と費用の見積 |
ポイントは、現場の担当者を1か月目から参加させることです。ベテランの頭の中にある段取りの決め方や、表に書かれていない例外のルールは、聞き取らなければ出てきません。ここを飛ばすと、できあがった仕組みが実態と合わず、エクセルに戻ることになります。
始めるきっかけとしては有効です。ただし、テンプレートの項目は一般的な工場を想定しているため、自社の工程や呼び方に合わせて直す必要があります。直すときは、この記事の手順1と2(項目とマスタ)を先に決めてからにしてください。
Microsoft 365のクラウド上にファイルを置けば、共同編集ができます。ただしマクロを含むファイルは制約があり、データが数万行を超えると動作が重くなります。同時入力が毎日必要な規模になったら、切り替えを検討する時期です。
入力の手間に対して、現場に返ってくるものがないことが原因です。入力した進捗が朝礼の表示や段取りの指示にそのまま使われるようにし、項目は工程の完了と数量だけに絞ってください。タブレットやバーコードで入力の手間を減らす方法もあります。
前回、なぜ使われなくなったのかを現場に聞くところから始めてください。多くの場合、入力が二重だった、例外処理に対応できなかった、画面が複雑だったのいずれかです。原因がわかれば、次は小さく試してから広げることで避けられます。
生産管理のエクセルが限界に近づいている、製品ごとの原価を出したい、前に入れたシステムが合わなかった、といったお悩みがあれば、『株式会社 TWOSTONE&Sons』にご相談ください。
当社は特定の製品を販売する会社ではありません。業務の流れの整理と「見たい数字」の言語化から入り、市販の製品で足りる部分はそれを使い、足りない部分だけを開発する形でご提案します。販売管理や会計など、今お使いの仕組みとつなぐ開発にも対応しています。
まずは現状のエクセルを見せていただくだけでも構いません。お気軽にお問い合わせください。

エクセルでの生産管理は、項目とマスタを決め、基本の関数とテーブルで組めば、小規模な工場では十分に使えます。製品ごとの原価計算表も、材料費、労務費、外注費、製造間接費の4つを足す形でエクセルで作れます。
一方で、計画の更新に毎日時間がかかる、直せる人が1人しかいない、原価が出ないといったサインが3つ以上出ていれば、切り替えを考える時期です。そのときは製品選びから入らず、業務の流れと見たい数字を書き出すことから始めてください。それが、システム導入で同じ失敗を繰り返さないための一番の近道です。
株式会社TWOSTONE&Sonsグループでは
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